三等船室は船底にある。擦り切れたカーペット敷きの何の仕切りもない雑魚寝の空間は、大きな荷物を抱えた乗船客が思い思いに自分たちの居場所を確保している。真夜中にもかかわらず、灯りは煌々と灯り、人々の寝息や小声でやり取りする話し声が耳について、眠ろうにも眠れない。それより生まれて初めての一人旅での不安と得も言われぬスリルで、私の心は極度の興奮状態にあった。
三等船室は船底にある。擦り切れたカーペット敷きの何の仕切りもない雑魚寝の空間は、大きな荷物を抱えた乗船客が思い思いに自分たちの居場所を確保している。真夜中にもかかわらず、灯りは煌々と灯り、人々の寝息や小声でやり取りする話し声が耳について、眠ろうにも眠れない。それより生まれて初めての一人旅での不安と得も言われぬスリルで、私の心は極度の興奮状態にあった。