「残り香」
奴奴は店主を脅し、饅頭を奪うと仁仙薬店へ行く。足の傷を見せ「必ず治せ。金はない。拒めば殺す」と言い、薬を出させる奴奴。
「昨夜、皇宮に曲者が侵入し、玉璽が奪われた。この玉璽は兵権の行使を可能にする。ゆえに極秘裏に捜査を進めよ」と四大名捕に命じる諸葛正我。諸葛が「5人で行け」と言ったところに、離陌が「諸葛様、ご用ですか?」と入ってくる。
諸葛は「捜査のため、皇宮へ行け」と離陌に言う。「皇宮へ?」と驚く離陌。四大名捕の様子もおかしいが、事情を知らない諸葛は意味が分からない。
六扇門。韓総領は于春童や部下たちに玉璽が盗まれたことを話し「直ちに皇宮へ出向き、捜査せよ」と言う。神侯府もすでに捜査に乗り出しているだろう、今回は決して手柄を奪われるな、と。
蝴蝶は姫瑶花に「四大名捕が捜査に楚離陌を同行させました。これまでは姫統領の役目だったはず。楚離陌は油断なりません」と報告する。咳き込み、吐血をしてしまう瑶花。瑶花は「吐血したことは誰にも言わないで。特に冷兄さんには」と口止めする。
蝴蝶は瑶花を心配し、天下の名医“陰陽聖手”仲月白(ちゅう・げつはく)が都に来ているそうだと話す。ただ、気難しくて、位の高い役人から頼まれても絶対に治療しないと。瑶花は「確かに気難しいけど、父に救われたこともあって親しく行き来してるわ。都においでなら父を訪ねてるはず」と言う。「それでは、お父上のもとへ参りましょう」と言う蝴蝶。
離陌は四大名捕と一緒に皇宮へ行く。うつむきかげんの離陌に「今は神侯府の捕吏なのだから、堂々としてろ」と言う冷血。
無情、離陌、鉄手は遺体を追命は外を調べる。
遺体からいい香りがすることに気づく無情。匂いをかいだ離陌は「この匂いは、まるで若い娘が使う…」と言う。「若い娘?」と聞き返し、無情は詳しく調べ始める。
無情は「遺留品はなかった」と冷血に報告する。「唯一の手がかりは匂いだ」と鉄手が言い、無情は幻覚作用のある香を嗅がされたのだろう」と話す。そこに部下を連れた春童が通りかかり、四大名捕たちの様子をうかがう。
外にいた追命が、見つけた小瓶を持ってくる。その匂いを軽く嗅ぎ「欲望を増幅する匂いか」と言う無情。「何の欲望?」と言った追命が、小瓶に入っていた香を思い切り吸い込んでしまう。
若い娘の幻覚が見え始め、追命は追いかけようとする。冷血が「点穴しろ」と言い、無情がツボを突く。我に返る追命。
ふと、こちらを見てる春童に離陌が気づく。冷血が「何を見てる?」と聞き、離陌は「あの人に見覚えが…」と答える。「于春童か」と言う冷血。
姫府。蝴蝶と一緒に実家に戻った瑶花は、家に来ていた仲月白と会う。風邪をひいたという父を診てくれた仲月白に感謝する瑶花。仲月白は「ついでだから、お前の脈も診てあげよう」と瑶花に言う。
瑶花の部屋で2人きりになり脈を診た仲月白は、深刻な顔をしながら「顔色が悪く、目に黄疸も出ている。化粧で隠しても具合が悪いことは明らかだ」と言う。
「どういう経緯で傷を負ったのか教えてくれ」と聞く仲月白に、瑶花は「3年前、悪党を追跡中に重傷を負ったのです。その時に治らないと悟りました」と答える。「その時点で療養に専念していれば、治せたかもしれぬ」と言う仲月白。瑶花は「神侯府の捕吏になることは、幼い頃からの夢でした。途中で投げ出すなんてできない」と話す。
仲月白は「望みを捨ててはいかんぞ。ある男なら治せるかもしれぬ」と言う。「誰ですか?」と瑶花が聞き「嶺南、温一族の温約紅(おんやくこう)だ」と仲月白が言う。だが16年前、妻の唐方に先立たれ、隠居して世俗との関わりを絶った、それゆえ治療を受けるのは難しいと。
仲月白は今すぐ職を離れ、療養に専念するよう説得する。しかし、きっと私の病は手遅れでしょう、残された時がわずかなら好きなことをしたい、と瑶花は言う。仲月白は瑶花の気持ちを理解し、口外しないことを約束する。
瑶花と仲月白が部屋から出てくると、外で父が待っていた。親子水入らずにするため、仲月白はその場を離れる。
嫁に行く年頃の瑶花に「冷血とはどうなのだ?お前がよき伴侶を得て子宝に恵まれたら、私の憂いは消えてなくなる」と父が言う。女のお前からは言い出しにくいだろうから、私が口添えしよう、と。「お父様、やめてください」と言う瑶花。父は「なぜだ?似合いの2人だと、みんなが認めているじゃないか」と言う。瑶花は「今は事件が山積みで、その捜査に追われてるの」と話す。父が「いつになったら、連れてこられる?」と聞く。瑶花は「事件が落ち着いてからにしましよう」と答える。父は娘が四大名捕の妻になると思い喜ぶ。
皇宮から戻った冷血たちは、諸葛に報告する。「世叔(諸葛)、遺体から検出した香の成分は、16歳から18歳の若い娘の血から作られたものです。49人もの娘の血からできており、この匂いを嗅ぐと色欲が高まる」と話す鉄手。気まずそうな追命を見て、無情が笑みを浮かべる。
諸葛が「49人の若い娘…。先日、失踪した娘が30人、殺された娘が19人、合計すれば49人だ。まさかその娘たちの血を使ったのか?」と言う。ただ、これほどの毒だ、作り手は限られる、嶺南の温一族くらいだ、と。
「もしや温如玉?」と諸葛が言うと「息子が移送中に逃亡しました。おそらく温親子が共謀して作ったのでしょう」と話す無情。冷血は「加えて于春童が絡んでいるようです」と言う。諸葛が根拠を聞くと「楚離陌の証言です」と冷血は答える。離陌は「冷統領の発作が起きた夜を覚えていますか?あの夜、怪しい男を目撃したと皆さんに報告しましたが、今日、于春童を見かけた時にはっきり思い出したんです。あの夜の怪しい下男に間違いありません」と言う。
厳重な警備をかいくぐってまで、なぜ于春童は神侯府へ?冷血の発作との関係は?と言う諸葛。無情は「玉璽が奪われるまでに要した時間は、ほんのわずか。事情通の手引きは必須です」と話す。諸葛は「もし六扇門の統領と毒の使い手が手を組んだとしたら、玉璽の強奪も用意かと。だが玉璽をどうするつもりだろうか。何か大きな陰謀があるはずだ」と言う。
耐え難い頭痛に苦しんだ韓総領は、于春童から烏香葉膏をもらう。そして春童に「玉璽強奪は一大事であるが起き上がれぬ。于統領、お前に任せる」と言う韓総領。
蝶舞の神位の前で「君に会いたい。蝶舞、もうすぐだ。じきにすべてが終わる。この手で必ず皇帝を亡き者にしてやる」と言う安世耿。
蝶舞が亡くなったと聞き、安世耿は“我が想い 血涙と化す 天下を捧げ 君に報いん”と何枚も書き続けた。そんな悲しみの中、安世耿は町で如煙を見かける。蝶舞と瓜二つの如煙に“あれは、まさしく蝶舞ではないか。私のことを哀れんで、巡り会わせてくれたのか?”と思う安世耿。安世耿は如煙のあとをつけ、屋敷を突き止める。
安世耿は“やはり私を案じた蝶舞が引き合わせてくれたのだ”と思い込む。すぐに求婚書を書いて使いを出すが、殿下とは釣り合わない、娘には意中の殿方がいると断られてしまう。それでも“蝶舞が導いてくれたのだ。意中の男がいても関係ない”と諦めきれない安世耿は、両親と明幽山荘に幽閉されるか、嫁ぐかを如煙に迫る。
如煙が化粧をしていると、安世耿が部屋に入ってくる。「昼間から化粧をしていたのか?誰に見せる?」と聞く安世耿。如煙は「殿下が塞ぎ込んでいらっしゃったので、気を晴らそうと思いまして」と答える。
安世耿は「今日は気分がよい。髪を梳いてやろう」と如煙を鏡の前に座らせ、如煙のあごに、蝶舞と同じほくろを描く。蝶舞を思い出し、安世耿が涙を流す。
「実に美しい。すべてが16年前と変わりない。失いたくない、絶対に」と如煙の顔を見ながら安世耿が言う。安世耿が口づけをしようとし「殿下、私は如煙です」と言う如煙。如煙を殴ろうとした安世耿は「お前は蝶舞なのだ」と怒鳴る。そして“如煙、お前が蝶舞なら、どれほどよかったか。だが蝶舞とは違う…”と思いながら安世耿は部屋を出て行く。
つらい如煙は涙を流しながら無情と別れた時のことを思い返す。「お別れね、二度と会わないわ」と如煙が別れを告げ「なぜだ」と言う無情。如煙は無情の手を振り払い、その場を後にする。
奴奴は鍛冶屋で鎖を直してもらう。しかし「手持ちがないので、あとで払う」と言う奴奴。狼族は嘘をつかない、金は必ず払う、と。鍛冶屋たちは許してくれず、奴奴は直してもらった鎖を使おうとする。そこに冷血が現れる。
奴奴を連れ去る冷血。
冷血が狼族の王子だと分かり「王子がご健在なら、国の再興が果たせます」と奴奴が言う。「他に生き残りは?」と冷血が聞く。奴奴は暗い顔で首を横に振り「私と王子の他には誰も…」と言う。
冷血は「朱殿下を暗殺しようとしたのはお前か?」と尋ねる。「ご存知でしたか」と奴奴が返し「なぜ、あんな真似を?」と冷血が言う。「長い放浪生活の末に、狼族の仇が分かったのです」と答える奴奴。
奴奴は「殺戮のあった現場に玉佩のかけらが」と言って、そのかけらを見せる。「義父の物と似ているが、確証はない」と言う冷血。奴奴は冷血と朱殿下が親子になっていたことに驚く。
「仇と分かったからには、これ以上、待てません」と奴奴はムキになる。冷血は落ち着かせ「一族の復讐は俺がこの手で成し遂げる」と話す。
「皇族の玉佩はどれも似ている。かけらだけで断定するわけにはいかない」と言う冷血。冷血の言葉が、奴奴には優柔不断に聞こえる。そんな奴奴に「仇討ちは成し遂げる。だが、まず証拠だ」と冷血は言う。そして、お前は傷を治すことが先決、これからは王子と呼ぶな、と話す。
神侯府に戻った冷血は「義父上は私に隠し事をしてませんか?」と諸葛に言う。諸葛が意味を尋ねると「狼族を滅ぼした者について、何かご存知なのでは?」と言う冷血。諸葛は「それは長年に渡り、謎のままだ。それでも朱殿下は真相解明を諦めておられない。突然、どうした」と言う。冷血は玉佩のかけらを諸葛に見せ「この玉佩は義父の物ですか?」と聞く。殺戮の現場にありました、義父の物だとしたら…と。
手に取ってかけらを見た諸葛は「やはり疑っているのか。朱殿下が狼族を滅ぼしたのなら、なぜ崖から落ちたお前を救い、育てたのだ。朱殿下に育てられながら、その人となりが分からぬのか?」と言う。さらに「お前が捕吏として神侯府に入ったばかりの頃、私は何と言った?複雑な事件ほど、冷静さが求められる。感情で物事を決めてはならぬ」と諸葛は話す。
冷血は「分かりました」と言い、義父を狙ったのは、狼族の娘だったと報告する。「私が聴取をする。何か分かるかもしれん」と言う諸葛。そこへ鉄手が来る。
鉄手は「目下のところ、毒の使い手は鳴りを潜めています」と言う。「温如玉は何か企んでいるはずだ。鉄手、薬局を見張れ。温如玉が姿を現すかもしれん」と諸葛は命じる。
ーつづくー
瑶花の傷がそんなに深いものだったなんて。
それに、お父さんも冷血と結婚すると思っているのねヾ(・ω・`;)ノ
幻覚を見た追命が面白かったーo(≧▽≦)o
諸葛に報告している時、ばつの悪そうな追命を見て笑っている無情も(*´艸`*)
それにしても、香の成分が49人の娘の血からできているとわかるなんてすごい!!
どうやって調べたんだろう?
安世耿…。
愛し合う2人を引き離してしまうなんて。
それは陛下と同じことをしているということなのに(;д;)
そして、どんなに似ていても蝶舞ではないのに。
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瑶花は覚悟が出来ているかもしれないけど、何も知らないお父さんが気づいたら・・。お父さんのためにも瑶花には無理をしないでもらいたいです。
奴奴は冷血の言うことさえ聞かないのね(;^_^A
冷血が落ち着かせようとして色々言い聞かせてるけど、聞く耳もってないような?
如煙と無常のことも心配だし、皆それぞれに事情を抱えているのですね。これからの展開が気になります。
そうそう、イケメン四人組の他では諸葛おじさまが何気にお気に入りかもと思う今日この頃(笑)
それも治せるのが、温約紅だけと複雑な状況でした。。。
それにしても、血からそんな香りができるなんて
怖いですね~
追命の感染ぶりは面白すぎましたw
如煙と安世耿もそれぞれ悲し過ぎますね。。。
ここ数回の狼族問題、奴奴の誤解だとよいですよね。
冷血には冷静な判断をしてほしいです!