施設で起こる介護事故の中で多いのは、転倒事故です。利用者は高齢者のため筋力や視力が衰えていたり、バランス感覚も低下しています。ベットから立ち上がろうとしたときや、補助無く自分で歩行しようとしたり、方向転換をする際にバランスを崩して転倒してしまうなどがあります。
また、不意に声をかけられて振り向いたときなど、驚いてバランスを崩すことも考えられます。さらには、筋力の衰えから車椅子やトイレから立ち上がるときも、思った以上に力が入らずに転倒することも考えられます。これらは本人でも調整の利かない体の老化が要因になっていることが多いため、介護者がいくら注意していても、起こってしまう可能性のある転倒事故です。
たとえば、移動する動線上に物が置いてあり、避けようとしてつまずくなどは、生活環境における外的要因であるといえます。施設側が転倒防止対策を怠ったという考え方も出来ます。
ちょっと目を離した隙でも、大変な事故に繋がってしまうことがあるので、内的要因であってもできるだけ防ぐことが出来るようにする努力が必要です。
そのように気をつけていても、もし転倒事故が起こってしまったら、利用者の家族に迅速に説明と謝罪をします。その場合、説明には専門用語を用いることは避け、皆が分るように説明することが大切です。利用者やその家族が不安を残さないように、誠意ある真摯な態度で転倒事故に対応しましょう。そして再度同じ事故が起きないように、対策と防止に努めていきましょう。