第七十九条の二(運用の目的)
積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金(以下この章において「特別会計積立金」という。)及び実施機関(厚生労働大臣を除く。次条第三項において同じ。)の積立金のうち厚生年金保険事業(基礎年金拠出金の納付を含む。)に係る部分に相当する部分として政令で定める部分(以下「実施機関積立金」という。)をいう。以下この章において同じ。)の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたつて、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。
積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金(以下この章において「特別会計積立金」という。)及び実施機関(厚生労働大臣を除く。次条第三項において同じ。)の積立金のうち厚生年金保険事業(基礎年金拠出金の納付を含む。)に係る部分に相当する部分として政令で定める部分(以下「実施機関積立金」という。)をいう。以下この章において同じ。)の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたつて、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。
第七十九条の三(積立金の運用)
特別会計積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿つた運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、特別会計積立金を寄託することにより行うものとする。
2.厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、同項の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に特別会計積立金を預託することができる。
3.実施機関積立金の運用は、前条の目的に沿つて、実施機関が行うものとする。ただし、実施機関積立金の一部については、政令で定めるところにより、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)又は私立学校教職員共済法(以下「共済各法」という。)の目的に沿つて運用することができるものとし、この場合における同条の規定の適用については、同条中「専ら厚生年金保険」とあるのは、「厚生年金保険」とする。
第七十九条の四(積立金基本指針)
主務大臣は、積立金の管理及び運用が長期的な観点から安全かつ効率的に行われるようにするための基本的な指針(以下「積立金基本指針」という。)を定めるものとする。
2.積立金基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一.積立金の管理及び運用に関する基本的な方針
二.積立金の資産の構成の目標に関する基本的な事項
三.積立金の管理及び運用に関し管理運用主体(年金積立金管理運用独立行政法人、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会及び日本私立学校振興・共済事業団をいう。以下同じ。)が遵守すべき基本的な事項
四.その他積立金の管理及び運用に関する重要事項
3.主務大臣は、財政の現況及び見通しが作成されたときその他必要があると認めるときは、積立金基本指針に検討を加え、必要に応じ、これを変更するものとする。
4.積立金基本指針を定め、又は変更しようとするときは、厚生労働大臣は、あらかじめ、積立金基本指針の案又はその変更の案を作成し、財務大臣、総務大臣及び文部科学大臣に協議するものとする。
5.財務大臣、総務大臣及び文部科学大臣は、必要があると認めるときは、厚生労働大臣に対し、積立金基本指針の変更の案の作成を求めることができる。
6.主務大臣は、積立金基本指針を定め、又は変更したときは、速やかに、これを公表するものとする。
第七十九条の五(積立金の資産の構成の目標)
管理運用主体は、積立金基本指針に適合するよう、共同して、次条第一項に規定する管理運用の方針において同条第二項第三号の資産の構成を定めるに当たつて参酌すべき積立金の資産の構成の目標を定めなければならない。
2.管理運用主体は、財政の現況及び見通しが作成されたときその他必要があると認めるときは、共同して、前項に規定する積立金の資産の構成の目標に検討を加え、必要に応じ、これを変更しなければならない。
3.管理運用主体は、第一項に規定する積立金の資産の構成の目標を定め、又は変更したときは、遅滞なく、共同して、これを公表するとともに、主務大臣に送付しなければならない。
4.主務大臣は、第一項に規定する積立金の資産の構成の目標が積立金基本指針に適合しないと認めるときは、管理運用主体に対し、当該目標の変更を命ずることができる。
5.前項の規定による命令をしようとするときは、厚生労働大臣は、あらかじめ、積立金基本指針に適合するよう変更させるべき内容の案を作成し、財務大臣、総務大臣及び文部科学大臣に協議するものとする。
第七十九条の六(管理運用の方針)
管理運用主体は、その管理する積立金(地方公務員共済組合連合会にあつては、地方公務員共済組合連合会が運用状況を管理する実施機関の実施機関積立金を含む。以下この章において「管理積立金」という。)の管理及び運用(地方公務員共済組合連合会にあつては、管理積立金の運用状況の管理を含む。以下この章において同じ。)を適切に行うため、積立金基本指針に適合するように、かつ、前条第一項に規定する積立金の資産の構成の目標に即して、管理及び運用の方針(以下この章において「管理運用の方針」という。)を定めなければならない。
2.管理運用の方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一.管理積立金の管理及び運用の基本的な方針
二.管理積立金の管理及び運用に関し遵守すべき事項
三.管理積立金の管理及び運用における長期的な観点からの資産の構成に関する事項
四.その他管理積立金の適切な管理及び運用に関し必要な事項
3.管理運用主体は、積立金基本指針が変更されたときその他必要があると認めるときは、管理運用の方針に検討を加え、必要に応じ、これを変更しなければならない。
4.管理運用主体は、管理運用の方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、当該管理運用主体を所管する大臣(以下この章並びに第百条の三の三第二項第一号及び第三項において「所管大臣」という。)の承認を得なければならない。
5.管理運用主体は、管理運用の方針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6.管理運用主体は、積立金基本指針及び管理運用の方針に従つて管理積立金の管理及び運用を行わなければならない。
7.所管大臣は、その所管する管理運用主体の管理運用の方針が積立金基本指針に適合しなくなつたと認めるときは、当該管理運用主体に対し、その管理運用の方針の変更を命ずることができる。
第七十九条の七(管理運用主体に対する措置命令)
所管大臣は、その所管する管理運用主体が、管理積立金の管理及び運用に係る業務に関しこの法律の規定若しくはこれに基づく命令の規定に違反し、又は当該管理運用主体の管理積立金の管理及び運用の状況が、積立金基本指針若しくは当該管理運用主体の管理運用の方針に適合しないと認めるときは、当該管理運用主体に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置又は当該管理積立金の管理及び運用の状況を積立金基本指針若しくは当該管理運用の方針に適合させるために必要な措置をとることを命ずることができる。
第七十九条の八(管理積立金の管理及び運用の状況に関する公表及び評価)
管理運用主体は、各事業年度の決算完結後、遅滞なく、当該事業年度における管理積立金の資産の額、その構成割合、運用収入の額その他の主務省令で定める事項を記載した業務概況書を作成し、これを公表するとともに、所管大臣に送付しなければならない。
2.所管大臣は、その所管する管理運用主体の業務概況書の送付を受けたときは、速やかに、当該管理運用主体について、管理積立金の管理及び運用の状況(第七十九条の三第三項ただし書の規定による運用の状況を含む。)その他の管理積立金の管理及び運用に関する主務省令で定める事項について評価を行い、その結果を公表するものとする。
3.所管大臣は、第一項の規定による業務概況書の送付を受けたときは、前項の規定による評価の結果を添えて、当該業務概況書を主務大臣に送付するものとする。
4.年金積立金管理運用独立行政法人について第一項の規定を適用する場合においては、同項中「決算完結後」とあるのは、「独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三十八条第一項の規定による同項に規定する財務諸表の提出後」とする。
第七十九条の九(積立金の管理及び運用の状況に関する公表及び評価)
主務大臣は、毎年度、主務省令で定めるところにより、積立金の資産の額、その構成割合、運用収入の額、積立金の運用の状況の評価その他の積立金の管理及び運用に関する事項を記載した報告書を作成し、これを公表するものとする。
2.前項の報告書を作成しようとするときは、厚生労働大臣は、あらかじめ、その案を作成し、財務大臣、総務大臣及び文部科学大臣に協議するものとする。
3.主務大臣は、第一項の報告書における評価の結果に基づき、管理運用主体の管理積立金の管理及び運用の状況が積立金基本指針に適合しないと認めるときは、当該管理運用主体の所管大臣に対し、当該管理運用主体の管理積立金の管理及び運用の状況を積立金基本指針に適合させるために必要な措置をとるよう求めることができる。
4.前項の規定による措置を求めようとするときは、厚生労働大臣は、あらかじめ、積立金基本指針に適合させるために必要な措置の案を作成し、財務大臣、総務大臣及び文部科学大臣に協議するものとする。
第七十九条の十(運用職員の責務)
積立金の運用に係る行政事務に従事する厚生労働省、財務省、総務省及び文部科学省の職員(政令で定める者に限る。以下「運用職員」という。)は、積立金の運用の目的に沿つて、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。
第七十九条の十一(秘密保持義務)
運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第七十九条の十二(懲戒処分)
運用職員が前条の規定に違反したと認めるときは、その職員の任命権者は、その職員に対し国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に基づく懲戒処分をしなければならない。
第七十九条の十三(年金積立金管理運用独立行政法人法等との関係)
積立金の運用については、この法律に定めるもののほか、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号)、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は日本私立学校振興・共済事業団法(平成九年法律第四十八号)の定めるところによる。
第七十九条の十四(政令への委任)
この章に定めるもののほか、積立金の運用に関し必要な事項は、政令で定める。