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健康保険法:第四章(保険給付)

2023年01月30日 | 社会保険労務士
第一節.通則
第五十二条(保険給付の種類)
被保険者に係るこの法律による保険給付は、次のとおりとする。
一.療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費の支給
二.傷病手当金の支給
三.埋葬料の支給
四.出産育児一時金の支給
五.出産手当金の支給
六.家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費の支給
七.家族埋葬料の支給
八.家族出産育児一時金の支給
九.高額療養費及び高額介護合算療養費の支給

第五十三条(健康保険組合の付加給付)
保険者が健康保険組合である場合においては、前条各号に掲げる給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる。

第五十三条の二(法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例)
被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条において同じ。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が五人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない。

第五十四条(日雇特例被保険者に係る保険給付との調整)
被保険者に係る家族療養費(第百十条第七項において準用する第八十七条第一項の規定により支給される療養費を含む。)、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料又は家族出産育児一時金の支給は、同一の疾病、負傷、死亡又は出産について、次章の規定により療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、埋葬料若しくは出産育児一時金の支給を受けたときは、その限度において、行わない。

第五十五条(他の法令による保険給付との調整)
被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。次項及び第百二十八条第二項において同じ。)又は地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。
2.保険者は、傷病手当金の支給を行うにつき必要があると認めるときは、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により給付を行う者に対し、当該給付の支給状況につき、必要な資料の提供を求めることができる。
3.被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。
4.被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない。

第五十六条(保険給付の方法)
入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の支給は、その都度、行わなければならない。第百条第二項(第百五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による埋葬に要した費用に相当する金額の支給についても、同様とする。
2.傷病手当金及び出産手当金の支給は、前項の規定にかかわらず、毎月一定の期日に行うことができる。

第五十七条(損害賠償請求権)
保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第一項において同じ。)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2.前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。

第五十八条(不正利得の徴収等)
偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。
2.前項の場合において、事業主が虚偽の報告若しくは証明をし、又は第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関において診療に従事する第六十四条に規定する保険医若しくは第八十八条第一項に規定する主治の医師が、保険者に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、当該事業主、保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
3.保険者は、第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関若しくは保険薬局又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によって療養の給付に関する費用の支払又は第八十五条第五項(第八十五条の二第五項及び第八十六条第四項において準用する場合を含む。)、第八十八条第六項(第百十一条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第百十条第四項の規定による支払を受けたときは、当該保険医療機関若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に百分の四十を乗じて得た額を支払わせることができる。

第五十九条(文書の提出等)
保険者は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受ける者(当該保険給付が被扶養者に係るものである場合には、当該被扶養者を含む。第百二十一条において同じ。)に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問若しくは診断をさせることができる。
(診療録の提示等)
第六十条.厚生労働大臣は、保険給付を行うにつき必要があると認めるときは、医師、歯科医師、薬剤師若しくは手当を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った診療、薬剤の支給又は手当に関し、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
2.厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた被保険者又は被保険者であった者に対し、当該保険給付に係る診療、調剤又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
3.第七条の三十八第二項の規定は前二項の規定による質問について、同条第三項の規定は前二項の規定による権限について準用する。

第六十一条(受給権の保護)
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

第六十二条(租税その他の公課の禁止)
租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。

第二節.療養の給付及び入院時食事療養費等の支給
第一款.療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費及び療養費の支給
第六十三条(療養の給付)
被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。
一.診察
二.薬剤又は治療材料の支給
三.処置、手術その他の治療
四.居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五.病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
2.次に掲げる療養に係る給付は、前項の給付に含まれないものとする。
一.食事の提供である療養であって前項第五号に掲げる療養と併せて行うもの(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第七条第二項第四号に規定する療養病床(以下「療養病床」という。)への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であって、当該療養を受ける際、六十五歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者(以下「特定長期入院被保険者」という。)に係るものを除く。以下「食事療養」という。)
二.次に掲げる療養であって前項第五号に掲げる療養と併せて行うもの(特定長期入院被保険者に係るものに限る。以下「生活療養」という。)
イ.食事の提供である療養
ロ.温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養
三.厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養(次号の患者申出療養を除く。)として厚生労働大臣が定めるもの(以下「評価療養」という。)
四.高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの(以下「患者申出療養」という。)
五.被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(以下「選定療養」という。)
3.第一項の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法(以下「電子資格確認等」という。)により、被保険者であることの確認を受け、同項の給付を受けるものとする。
一.厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所(第六十五条の規定により病床の全部又は一部を除いて指定を受けたときは、その除外された病床を除く。以下「保険医療機関」という。)又は薬局(以下「保険薬局」という。)
二.特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって、当該保険者が指定したもの
三.健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療所又は薬局
4.第二項第四号の申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法第四条の三に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行うものとする。
5.厚生労働大臣は、第二項第四号の申出を受けた場合は、当該申出について速やかに検討を加え、当該申出に係る療養が同号の評価を行うことが必要な療養と認められる場合には、当該療養を患者申出療養として定めるものとする。
6.厚生労働大臣は、前項の規定により第二項第四号の申出に係る療養を患者申出療養として定めることとした場合には、その旨を当該申出を行った者に速やかに通知するものとする。
7.厚生労働大臣は、第五項の規定により第二項第四号の申出について検討を加え、当該申出に係る療養を患者申出療養として定めないこととした場合には、理由を付して、その旨を当該申出を行った者に速やかに通知するものとする。

第六十四条(保険医又は保険薬剤師)
保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師若しくは歯科医師又は保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師若しくは歯科医師(以下「保険医」と総称する。)又は薬剤師(以下「保険薬剤師」という。)でなければならない。

第六十五条(保険医療機関又は保険薬局の指定)
第六十三条第三項第一号の指定は、政令で定めるところにより、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。
2.前項の場合において、その申請が病院又は病床を有する診療所に係るものであるときは、当該申請は、医療法第七条第二項に規定する病床の種別(第四項第二号及び次条第一項において単に「病床の種別」という。)ごとにその数を定めて行うものとする。
3.厚生労働大臣は、第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第六十三条第三項第一号の指定をしないことができる。
一.当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、この法律の規定により保険医療機関又は保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しないものであるとき。
二.当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険給付に関し診療又は調剤の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて第七十三条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による指導を受けたものであるとき。
三.当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
四.当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、禁錮こ以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
五.当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、この法律、船員保険法、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、高齢者の医療の確保に関する法律、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)又は国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)(第八十九条第四項第七号において「社会保険各法」という。)の定めるところにより納付義務を負う保険料、負担金又は掛金(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による国民健康保険税を含む。以下この号、第八十九条第四項第七号及び第百九十九条第二項において「社会保険料」という。)について、当該申請をした日の前日までに、これらの法律の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく三月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべて(当該処分を受けた者が、当該処分に係る社会保険料の納付義務を負うことを定める法律によって納付義務を負う社会保険料に限る。第八十九条第四項第七号において同じ。)を引き続き滞納している者であるとき。
六.前各号のほか、当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき。
4.厚生労働大臣は、第二項の病院又は診療所について第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その申請に係る病床の全部又は一部を除いて、第六十三条第三項第一号の指定を行うことができる。
一.当該病院又は診療所の医師、歯科医師、看護師その他の従業者の人員が、医療法第二十一条第一項第一号又は第二項第一号に規定する厚生労働省令で定める員数及び同条第三項に規定する厚生労働省令で定める基準を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した員数を満たしていないとき。
二.当該申請に係る病床の種別に応じ、医療法第七条の二第一項に規定する地域における保険医療機関の病床数が、その指定により同法第三十条の四第一項に規定する医療計画において定める基準病床数を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した数を超えることになると認める場合(その数を既に超えている場合を含む。)であって、当該病院又は診療所の開設者又は管理者が同法第三十条の十一の規定による都道府県知事の勧告を受け、これに従わないとき。
三.医療法第七条の三第一項に規定する構想区域における保険医療機関の病床数が、当該申請に係る指定により同法第三十条の四第一項に規定する医療計画において定める将来の病床数の必要量を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した数を超えることになると認める場合(その数を既に超えている場合を含む。)であって、当該病院又は診療所の開設者又は管理者が同法第三十条の十一の規定による都道府県知事の勧告を受け、これに従わないとき。
四.その他適正な医療の効率的な提供を図る観点から、当該病院又は診療所の病床の利用に関し、保険医療機関として著しく不適当なところがあると認められるとき。

第六十六条(保険医療機関の指定の変更)
前条第二項の病院又は診療所の開設者は、第六十三条第三項第一号の指定に係る病床数の増加又は病床の種別の変更をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該病院又は診療所に係る同号の指定の変更を申請しなければならない。
2.前条第四項の規定は、前項の指定の変更の申請について準用する。

第六十七条(地方社会保険医療協議会への諮問)
厚生労働大臣は、保険医療機関に係る第六十三条第三項第一号の指定をしないこととするとき、若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定(指定の変更を含む。)を行おうとするとき、又は保険薬局に係る同号の指定をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。

第六十八条(保険医療機関又は保険薬局の指定の更新)
第六十三条第三項第一号の指定は、指定の日から起算して六年を経過したときは、その効力を失う。
2.保険医療機関(第六十五条第二項の病院及び診療所を除く。)又は保険薬局であって厚生労働省令で定めるものについては、前項の規定によりその指定の効力を失う日前六月から同日前三月までの間に、別段の申出がないときは、同条第一項の申請があったものとみなす。

第六十九条(保険医療機関又は保険薬局のみなし指定)
診療所又は薬局が医師若しくは歯科医師又は薬剤師の開設したものであり、かつ、当該開設者である医師若しくは歯科医師又は薬剤師のみが診療又は調剤に従事している場合において、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師について第六十四条の登録があったときは、当該診療所又は薬局について、第六十三条第三項第一号の指定があったものとみなす。ただし、当該診療所又は薬局が、第六十五条第三項又は第四項に規定する要件に該当する場合であって厚生労働大臣が同号の指定があったものとみなすことが不適当と認められるときは、この限りでない。

第七十条(保険医療機関又は保険薬局の責務)
保険医療機関又は保険薬局は、当該保険医療機関において診療に従事する保険医又は当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師に、第七十二条第一項の厚生労働省令で定めるところにより、診療又は調剤に当たらせるほか、厚生労働省令で定めるところにより、療養の給付を担当しなければならない。
2.保険医療機関又は保険薬局は、前項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定によるほか、船員保険法、国民健康保険法、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法(以下「この法律以外の医療保険各法」という。)による療養の給付並びに被保険者及び被扶養者の療養並びに高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養及び保険外併用療養費に係る療養を担当するものとする。
3.保険医療機関のうち医療法第四条の二に規定する特定機能病院その他の病院であって厚生労働省令で定めるものは、患者の病状その他の患者の事情に応じた適切な他の保険医療機関を当該患者に紹介することその他の保険医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携のための措置として厚生労働省令で定める措置を講ずるものとする。

第七十一条(保険医又は保険薬剤師の登録)
第六十四条の登録は、医師若しくは歯科医師又は薬剤師の申請により行う。
2.厚生労働大臣は、前項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第六十四条の登録をしないことができる。
一.申請者が、この法律の規定により保険医又は保険薬剤師に係る第六十四条の登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。
二.申請者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
三.申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
四.前三号のほか、申請者が、保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認められる者であるとき。
3.厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師に係る第六十四条の登録をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。
4.第一項又は第二項に規定するもののほか、保険医及び保険薬剤師に係る第六十四条の登録に関して必要な事項は、政令で定める。

第七十二条(保険医又は保険薬剤師の責務)
保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない。
2.保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、前項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定によるほか、この法律以外の医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律による診療又は調剤に当たるものとする。

第七十三条(厚生労働大臣の指導)
保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。
2.厚生労働大臣は、前項の指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。

第七十四条(一部負担金)
第六十三条第三項の規定により保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき第七十六条第二項又は第三項の規定により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない。
一.七十歳に達する日の属する月以前である場合.百分の三十
二.七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く。).百分の二十
三.七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令で定める額以上であるとき.百分の三十
2.保険医療機関又は保険薬局は、前項の一部負担金(第七十五条の二第一項第一号の措置が採られたときは、当該減額された一部負担金)の支払を受けるべきものとし、保険医療機関又は保険薬局が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお療養の給付を受けた者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当該保険医療機関又は保険薬局の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。

第七十五条
前条第一項の規定により一部負担金を支払う場合においては、同項の一部負担金の額に五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。

第七十五条の二(一部負担金の額の特例)
保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に第七十四条第一項の規定による一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができる。
一.一部負担金を減額すること。
二.一部負担金の支払を免除すること。
三.保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。
2.前項の措置を受けた被保険者は、第七十四条第一項の規定にかかわらず、前項第一号の措置を受けた被保険者にあってはその減額された一部負担金を保険医療機関又は保険薬局に支払うをもって足り、同項第二号又は第三号の措置を受けた被保険者にあっては一部負担金を保険医療機関又は保険薬局に支払うことを要しない。
3.前条の規定は、前項の場合における一部負担金の支払について準用する。

第七十六条(療養の給付に関する費用)
保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払うものとし、保険医療機関又は保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険者が当該保険医療機関又は保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。
2.前項の療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。
3.保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、保険医療機関又は保険薬局との契約により、当該保険医療機関又は保険薬局において行われる療養の給付に関する第一項の療養の給付に要する費用の額につき、前項の規定により算定される額の範囲内において、別段の定めをすることができる。
4.保険者は、保険医療機関又は保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは、第七十条第一項及び第七十二条第一項の厚生労働省令並びに前二項の定めに照らして審査の上、支払うものとする。
5.保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)による社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という。)又は国民健康保険法第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)に委託することができる。
6.前各項に定めるもののほか、保険医療機関又は保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
(療養の給付に要する費用の額の定めに関する厚生労働大臣の調査)
第七十七条.厚生労働大臣は、前条第二項の定めのうち薬剤に関する定めその他厚生労働大臣の定めを適正なものとするため、必要な調査を行うことができる。
2.厚生労働大臣は、保険医療機関のうち病院であって厚生労働省令で定めるものに関する前条第二項の定めを適正なものとするため、必要な調査を行うものとする。
3.前項に規定する病院は、同項の調査に資するため、当該病院に入院する患者に提供する医療の内容その他の厚生労働大臣が定める情報(第百五十条の二第一項及び第百五十条の三において「診療等関連情報」という。)を厚生労働大臣に報告しなければならない。

第七十八条(保険医療機関又は保険薬局の報告等)
厚生労働大臣は、療養の給付に関して必要があると認めるときは、保険医療機関若しくは保険薬局若しくは保険医療機関若しくは保険薬局の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者であった者(以下この項において「開設者であった者等」という。)に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、保険医療機関若しくは保険薬局の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者(開設者であった者等を含む。)に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは保険医療機関若しくは保険薬局について設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2.第七条の三十八第二項及び第七十三条第二項の規定は前項の規定による質問又は検査について、第七条の三十八第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。

第七十九条(保険医療機関等の指定の辞退又は保険医等の登録の抹消)
保険医療機関又は保険薬局は、一月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
2.保険医又は保険薬剤師は、一月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができる。

第八十条(保険医療機関又は保険薬局の指定の取消し)
厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該保険医療機関又は保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定を取り消すことができる。
一.保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師が、第七十二条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき(当該違反を防止するため、当該保険医療機関又は保険薬局が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。
二.前号のほか、保険医療機関又は保険薬局が、第七十条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
三.療養の給付に関する費用の請求又は第八十五条第五項(第八十五条の二第五項及び第八十六条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第百十条第四項(これらの規定を第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による支払に関する請求について不正があったとき。
四.保険医療機関又は保険薬局が、第七十八条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定により報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
五.保険医療機関又は保険薬局の開設者又は従業者が、第七十八条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(当該保険医療機関又は保険薬局の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該保険医療機関又は保険薬局が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。
六.この法律以外の医療保険各法による療養の給付若しくは被保険者若しくは被扶養者の療養又は高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養若しくは保険外併用療養費に係る療養に関し、前各号のいずれかに相当する事由があったとき。
七.保険医療機関又は保険薬局の開設者又は管理者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
八.保険医療機関又は保険薬局の開設者又は管理者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
九.前各号に掲げる場合のほか、保険医療機関又は保険薬局の開設者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

第八十一条(保険医又は保険薬剤師の登録の取消し)
厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該保険医又は保険薬剤師に係る第六十四条の登録を取り消すことができる。
一.保険医又は保険薬剤師が、第七十二条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
二.保険医又は保険薬剤師が、第七十八条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、第七十八条第一項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
三.この法律以外の医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律による診療又は調剤に関し、前二号のいずれかに相当する事由があったとき。
四.保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
五.保険医又は保険薬剤師が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
六.前各号に掲げる場合のほか、保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

第八十二条(社会保険医療協議会への諮問)
厚生労働大臣は、第七十条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)若しくは第三項若しくは第七十二条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の厚生労働省令を定めようとするとき、又は第六十三条第二項第三号若しくは第五号若しくは第七十六条第二項(これらの規定を第百四十九条において準用する場合を含む。)の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。ただし、第六十三条第二項第三号の定めのうち高度の医療技術に係るものについては、この限りでない。
2.厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定を行おうとするとき、若しくはその指定を取り消そうとするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に係る第六十四条の登録を取り消そうとするときは、政令で定めるところにより、地方社会保険医療協議会に諮問するものとする。

第八十三条(処分に対する弁明の機会の付与)
厚生労働大臣は、保険医療機関に係る第六十三条第三項第一号の指定をしないこととするとき、若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定(指定の変更を含む。)を行おうとするとき、若しくは保険薬局に係る同号の指定をしないこととするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に係る第六十四条の登録をしないこととするときは、当該医療機関若しくは薬局の開設者又は当該保険医若しくは保険薬剤師に対し、弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、書面で、弁明をすべき日時、場所及びその事由を通知しなければならない。

第八十四条(保険者が指定する病院等における療養の給付)
第六十三条第三項第二号及び第三号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局において行われる療養の給付及び健康保険の診療又は調剤に関する準則については、第七十条第一項及び第七十二条第一項の厚生労働省令の例による。
2.第六十三条第三項第二号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、第七十四条の規定の例により算定した額を、一部負担金として当該病院若しくは診療所又は薬局に支払わなければならない。ただし、保険者が健康保険組合である場合においては、規約で定めるところにより、当該一部負担金を減額し、又はその支払を要しないものとすることができる。
3.健康保険組合は、規約で定めるところにより、第六十三条第三項第三号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局から療養の給付を受ける者に、第七十四条の規定の例により算定した額の範囲内において一部負担金を支払わせることができる。

第八十五条(入院時食事療養費)
被保険者(特定長期入院被保険者を除く。)が、厚生労働省令で定めるところにより、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、同条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する。
2.入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等(介護保険法第五十一条の三第一項に規定する特定介護保険施設等をいう。)における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「食事療養標準負担額」という。)を控除した額とする。
3.厚生労働大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。
4.厚生労働大臣は、食事療養標準負担額を定めた後に勘案又はしん酌すべき事項に係る事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない。
5.被保険者(特定長期入院被保険者を除く。以下この条において同じ。)が第六十三条第三項第一号又は第二号に掲げる病院又は診療所から食事療養を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該病院又は診療所に支払うべき食事療養に要した費用について、入院時食事療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該病院又は診療所に支払うことができる。
6.前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し入院時食事療養費の支給があったものとみなす。
7.被保険者が第六十三条第三項第三号に掲げる病院又は診療所から食事療養を受けた場合において、保険者がその被保険者の支払うべき食事療養に要した費用のうち入院時食事療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額の支払を免除したときは、入院時食事療養費の支給があったものとみなす。
8.第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所は、食事療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。
9.第六十四条、第七十条第一項、第七十二条第一項、第七十三条、第七十六条第三項から第六項まで、第七十八条及び前条第一項の規定は、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所から受けた食事療養及びこれに伴う入院時食事療養費の支給について準用する。

第八十五条の二(入院時生活療養費)
特定長期入院被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、同条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時生活療養費を支給する。
2.入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について介護保険法第五十一条の三第二項第一号に規定する食費の基準費用額及び同項第二号に規定する居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「生活療養標準負担額」という。)を控除した額とする。
3.厚生労働大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。
4.厚生労働大臣は、生活療養標準負担額を定めた後に勘案又はしん酌すべき事項に係る事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない。
5.第六十四条、第七十条第一項、第七十二条第一項、第七十三条、第七十六条第三項から第六項まで、第七十八条、第八十四条第一項及び前条第五項から第八項までの規定は、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所から受けた生活療養及びこれに伴う入院時生活療養費の支給について準用する。

第八十六条(保険外併用療養費)
被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。
2.保険外併用療養費の額は、第一号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及び第二号に掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及び第三号に掲げる額の合算額)とする。
一.当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)につき第七十六条第二項の定めを勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額(療養の給付に係る同項の一部負担金について第七十五条の二第一項各号の措置が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額)を控除した額
二.当該食事療養につき第八十五条第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から食事療養標準負担額を控除した額
三.当該生活療養につき前条第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から生活療養標準負担額を控除した額
3.厚生労働大臣は、前項第一号の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。
4.第六十四条、第七十条第一項、第七十二条第一項、第七十三条、第七十六条第三項から第六項まで、第七十七条、第七十八条、第八十四条第一項及び第八十五条第五項から第八項までの規定は、保険医療機関等から受けた評価療養、患者申出療養及び選定療養並びにこれらに伴う保険外併用療養費の支給について準用する。
5.第七十五条の規定は、前項の規定により準用する第八十五条第五項の場合において第二項の規定により算定した費用の額(その額が現に療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から当該療養に要した費用について保険外併用療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。

第八十七条(療養費)
保険者は、療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給(以下この項において「療養の給付等」という。)を行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる。
2.療養費の額は、当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)について算定した費用の額から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額を控除した額及び当該食事療養又は生活療養について算定した費用の額から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額を基準として、保険者が定める。
3.前項の費用の額の算定については、療養の給付を受けるべき場合においては第七十六条第二項の費用の額の算定、入院時食事療養費の支給を受けるべき場合においては第八十五条第二項の費用の額の算定、入院時生活療養費の支給を受けるべき場合においては第八十五条の二第二項の費用の額の算定、保険外併用療養費の支給を受けるべき場合においては前条第二項の費用の額の算定の例による。ただし、その額は、現に療養に要した費用の額を超えることができない。

第二款.訪問看護療養費の支給
第八十八条(訪問看護療養費)
被保険者が、厚生労働大臣が指定する者(以下「指定訪問看護事業者」という。)から当該指定に係る訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(保険医療機関等又は介護保険法第八条第二十八項に規定する介護老人保健施設若しくは同条第二十九項に規定する介護医療院によるものを除く。以下「訪問看護」という。)を行う事業をいう。)を行う事業所により行われる訪問看護(以下「指定訪問看護」という。)を受けたときは、その指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費を支給する。
2.前項の訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとする。
3.指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、自己の選定する指定訪問看護事業者から、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、当該指定訪問看護を受けるものとする。
4.訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき指定訪問看護に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額(療養の給付に係る同項の一部負担金について第七十五条の二第一項各号の措置が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額)を控除した額とする。
5.厚生労働大臣は、前項の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。
6.被保険者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該指定訪問看護事業者に支払うべき当該指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該指定訪問看護事業者に支払うことができる。
7.前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し訪問看護療養費の支給があったものとみなす。
8.第七十五条の規定は、第六項の場合において第四項の規定により算定した費用の額から当該指定訪問看護に要した費用について訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。
9.指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。
10.保険者は、指定訪問看護事業者から訪問看護療養費の請求があったときは、第四項の定め及び第九十二条第二項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。
11.保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を基金又は国保連合会に委託することができる。
12.指定訪問看護は、第六十三条第一項各号に掲げる療養に含まれないものとする。
13.前各項に定めるもののほか、指定訪問看護事業者の訪問看護療養費の請求に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第八十九条(指定訪問看護事業者の指定)
前条第一項の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、訪問看護事業を行う者の申請により、訪問看護事業を行う事業所(以下「訪問看護事業所」という。)ごとに行う。
2.指定訪問看護事業者以外の訪問看護事業を行う者について、介護保険法第四十一条第一項本文の規定による指定居宅サービス事業者(訪問看護事業を行う者のうち、厚生労働省令で定める基準に該当するものに限る。次項において同じ。)の指定、同法第四十二条の二第一項本文の規定による指定地域密着型サービス事業者(訪問看護事業を行う者のうち、厚生労働省令で定める基準に該当するものに限る。次項において同じ。)の指定又は同法第五十三条第一項本文の規定による指定介護予防サービス事業者(訪問看護事業を行う者のうち、厚生労働省令で定める基準に該当するものに限る。次項において同じ。)の指定があったときは、その指定の際、当該訪問看護事業を行う者について、前条第一項の指定があったものとみなす。ただし、当該訪問看護事業を行う者が、厚生労働省令で定めるところにより、別段の申出をしたときは、この限りでない。
3.介護保険法第七十条の二第一項の規定による指定居宅サービス事業者の指定の失効若しくは同法第七十七条第一項若しくは第百十五条の三十五第六項の規定による指定居宅サービス事業者の指定の取消し若しくは効力の停止、同法第七十八条の十(同法第七十八条の十七の規定により読み替えて適用される場合を含む。)の規定による指定地域密着型サービス事業者の指定の取消し若しくは効力の停止若しくは同法第七十八条の十二において準用する同法第七十条の二第一項若しくは同法第七十八条の十五第一項若しくは第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による指定地域密着型サービス事業者の指定の失効又は同法第百十五条の九第一項若しくは第百十五条の三十五第六項の規定による指定介護予防サービス事業者の指定の取消し若しくは効力の停止若しくは同法第百十五条の十一において準用する同法第七十条の二第一項の規定による指定介護予防サービス事業者の指定の失効は、前項本文の規定により受けたものとみなされた前条第一項の指定の効力に影響を及ぼさないものとする。
4.厚生労働大臣は、第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項の指定をしてはならない。
一.申請者が地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生労働大臣が定める者でないとき。
二.当該申請に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者の知識及び技能並びに人員が、第九十二条第一項の厚生労働省令で定める基準及び同項の厚生労働省令で定める員数を満たしていないとき。
三.申請者が、第九十二条第二項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準に従って適正な指定訪問看護事業の運営をすることができないと認められるとき。
四.申請者が、この法律の規定により指定訪問看護事業者に係る前条第一項の指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。
五.申請者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
六.申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
七.申請者が、社会保険料について、当該申請をした日の前日までに、社会保険各法又は地方税法の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく三月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべてを引き続き滞納している者であるとき。
八.前各号のほか、申請者が、指定訪問看護事業者として著しく不適当と認められる者であるとき。

第九十条(指定訪問看護事業者の責務)
指定訪問看護事業者は、第九十二条第二項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準に従い、訪問看護を受ける者の心身の状況等に応じて自ら適切な指定訪問看護を提供するものとする。
2.指定訪問看護事業者は、前項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定によるほか、この法律以外の医療保険各法による被保険者及び被扶養者の指定訪問看護並びに高齢者の医療の確保に関する法律による被保険者の指定訪問看護を提供するものとする。

第九十一条(厚生労働大臣の指導)
指定訪問看護事業者及び当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者は、指定訪問看護に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。

第九十二条(指定訪問看護の事業の運営に関する基準)
指定訪問看護事業者は、当該指定に係る訪問看護事業所ごとに、厚生労働省令で定める基準に従い厚生労働省令で定める員数の看護師その他の従業者を有しなければならない。
2.前項に規定するもののほか、指定訪問看護の事業の運営に関する基準は、厚生労働大臣が定める。
3.厚生労働大臣は、前項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。

第九十三条(変更の届出等)
指定訪問看護事業者は、当該指定に係る訪問看護事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったとき、又は当該指定訪問看護の事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときは、厚生労働省令で定めるところにより、十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

第九十四条(指定訪問看護事業者等の報告等)
厚生労働大臣は、訪問看護療養費の支給に関して必要があると認めるときは、指定訪問看護事業者又は指定訪問看護事業者であった者若しくは当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者であった者(以下この項において「指定訪問看護事業者であった者等」という。)に対し報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、指定訪問看護事業者若しくは当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者(指定訪問看護事業者であった者等を含む。)に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは当該指定訪問看護事業者の当該指定に係る訪問看護事業所について帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2.第七条の三十八第二項の規定は前項の規定による質問又は検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。

第九十五条(指定訪問看護事業者の指定の取消し)
厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定訪問看護事業者に係る第八十八条第一項の指定を取り消すことができる。
一.指定訪問看護事業者が、当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者について、第九十二条第一項の厚生労働省令で定める基準又は同項の厚生労働省令で定める員数を満たすことができなくなったとき。
二.指定訪問看護事業者が、第九十二条第二項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準に従って適正な指定訪問看護事業の運営をすることができなくなったとき。
三.第八十八条第六項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による支払に関する請求について不正があったとき。
四.指定訪問看護事業者が、前条第一項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定により報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
五.指定訪問看護事業者又は当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者が、前条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該指定訪問看護事業者が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。
六.この法律以外の医療保険各法による被保険者若しくは被扶養者の指定訪問看護又は高齢者の医療の確保に関する法律による被保険者の指定訪問看護に関し、第二号から前号までのいずれかに相当する事由があったとき。
七.指定訪問看護事業者が、不正の手段により指定訪問看護事業者の指定を受けたとき。
八.指定訪問看護事業者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
九.指定訪問看護事業者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
十.前各号に掲げる場合のほか、指定訪問看護事業者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

第九十六条(公示)
厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、その旨を公示しなければならない。
一.指定訪問看護事業者の指定をしたとき。
二.第九十三条の規定による届出(同条の厚生労働省令で定める事項の変更並びに同条に規定する事業の休止及び再開に係るものを除く。)があったとき。
三.前条の規定により指定訪問看護事業者の指定を取り消したとき。

第三款.移送費の支給
第九十七条
被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給する。
2.前項の移送費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要であると認める場合に限り、支給するものとする。

第四款.補則
第九十八条(被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となった場合)
被保険者が資格を喪失し、かつ、日雇特例被保険者又はその被扶養者となった場合において、その資格を喪失した際に療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養、保険外併用療養費に係る療養、療養費に係る療養若しくは訪問看護療養費に係る療養又は介護保険法の規定による居宅介護サービス費に係る指定居宅サービス(同法第四十一条第一項に規定する指定居宅サービスをいう。第百二十九条第二項第二号において同じ。)、特例居宅介護サービス費に係る居宅サービス(同法第八条第一項に規定する居宅サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)若しくはこれに相当するサービス、地域密着型介護サービス費に係る指定地域密着型サービス(同法第四十二条の二第一項に規定する指定地域密着型サービスをいう。同号において同じ。)、特例地域密着型介護サービス費に係る地域密着型サービス(同法第八条第十四項に規定する地域密着型サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)若しくはこれに相当するサービス、施設介護サービス費に係る指定施設サービス等(同法第四十八条第一項に規定する指定施設サービス等をいう。同号において同じ。)、特例施設介護サービス費に係る施設サービス(同法第八条第二十六項に規定する施設サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)、介護予防サービス費に係る指定介護予防サービス(同法第五十三条第一項に規定する指定介護予防サービスをいう。同号において同じ。)若しくは特例介護予防サービス費に係る介護予防サービス(同法第八条の二第一項に規定する介護予防サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)若しくはこれに相当するサービスのうち、療養に相当するものを受けているときは、当該疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき、当該保険者から療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給を受けることができる。
2.前項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、行わない。
一.当該疾病又は負傷について、次章の規定により療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給を受けることができるに至ったとき。
二.その者が、被保険者若しくは船員保険の被保険者若しくはこれらの者の被扶養者、国民健康保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等となったとき。
三.被保険者の資格を喪失した日から起算して六月を経過したとき。
3.第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、当該疾病又は負傷について、次章の規定により特別療養費(第百四十五条第六項において準用する第百三十二条の規定により支給される療養費を含む。)又は移送費若しくは家族移送費の支給を受けることができる間は、行わない。
4.第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給は、当該疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりそれぞれの給付に相当する給付を受けることができる場合には、行わない。


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健康保険法:第三章(被保険者)

2023年01月29日 | 社会保険労務士
第二節(全国健康保険協会)
第七条の二(設立及び業務)
健康保険組合の組合員でない被保険者(以下この節において単に「被保険者」という。)に係る健康保険事業を行うため、全国健康保険協会(以下「協会」という。)を設ける。
2.協会は、次に掲げる業務を行う。
一.第四章の規定による保険給付及び第五章第三節の規定による日雇特例被保険者に係る保険給付に関する業務
二.第六章の規定による保健事業及び福祉事業に関する業務
三.前二号に掲げる業務のほか、協会が管掌する健康保険の事業に関する業務であって第五条第二項の規定により厚生労働大臣が行う業務以外のもの
四.第一号及び第二号に掲げる業務のほか、日雇特例被保険者の保険の事業に関する業務であって第百二十三条第二項の規定により厚生労働大臣が行う業務以外のもの
五.第二百四条の七第一項に規定する権限に係る事務に関する業務
六.前各号に掲げる業務に附帯する業務
3.協会は、前項各号に掲げる業務のほか、船員保険法の規定による船員保険事業に関する業務(同法の規定により厚生労働大臣が行うものを除く。)、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等(以下「前期高齢者納付金等」という。)及び同法の規定による後期高齢者支援金等(以下「後期高齢者支援金等」という。)並びに介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による納付金(以下「介護納付金」という。)の納付に関する業務を行う。

第七条の三(法人格)
協会は、法人とする。

第七条の四(事務所)
協会は、主たる事務所を東京都に、従たる事務所(以下「支部」という。)を各都道府県に設置する。
2.協会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

第七条の五(資本金)
協会の資本金は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号。以下「改正法」という。)附則第十八条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。

第七条の六(定款)
協会は、定款をもって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一.目的
二.名称
三.事務所の所在地
四.役員に関する事項
五.運営委員会に関する事項
六.評議会に関する事項
七.保健事業に関する事項
八.福祉事業に関する事項
九.資産の管理その他財務に関する事項
十.その他組織及び業務に関する重要事項として厚生労働省令で定める事項
2.前項の定款の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3.協会は、前項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。
4.協会は、定款の変更について第二項の認可を受けたとき、又は同項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを公告しなければならない。

第七条の七(登記)
協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2.前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

第七条の八(名称)
協会でない者は、全国健康保険協会という名称を用いてはならない。

第七条の九(役員)
協会に、役員として、理事長一人、理事六人以内及び監事二人を置く。

第七条の十(役員の職務)
理事長は、協会を代表し、その業務を執行する。
2.理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。
3.理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、協会の業務を執行することができる。
4.監事は、協会の業務の執行及び財務の状況を監査する。

第七条の十一(役員の任命)
理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命する。
2.厚生労働大臣は、前項の規定により理事長を任命しようとするときは、あらかじめ、第七条の十八第一項に規定する運営委員会の意見を聴かなければならない。
3.理事は、理事長が任命する。
4.理事長は、前項の規定により理事を任命したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

第七条の十二(役員の任期)
役員の任期は三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2.役員は、再任されることができる。

第七条の十三(役員の欠格条項)
政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。

第七条の十四(役員の解任)
厚生労働大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。
2.厚生労働大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一.心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。
二.職務上の義務違反があるとき。
3.理事長は、前項の規定により理事を解任したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

第七条の十五(役員の兼職禁止)
役員(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、厚生労働大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

第七条の十六(代表権の制限)
協会と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が協会を代表する。

第七条の十七(代理人の選任)
理事長は、理事又は職員のうちから、協会の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

第七条の十八(運営委員会)
事業主(被保険者を使用する適用事業所の事業主をいう。以下この節において同じ。)及び被保険者の意見を反映させ、協会の業務の適正な運営を図るため、協会に運営委員会を置く。
2.運営委員会の委員は、九人以内とし、事業主、被保険者及び協会の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が各同数を任命する。
3.前項の委員の任期は、二年とする。
4.第七条の十二第一項ただし書及び第二項の規定は、運営委員会の委員について準用する。

第七条の十九(運営委員会の職務)
次に掲げる事項については、理事長は、あらかじめ、運営委員会の議を経なければならない。
一.定款の変更
二.第七条の二十二第二項に規定する運営規則の変更
三.協会の毎事業年度の事業計画並びに予算及び決算
四.重要な財産の処分又は重大な債務の負担
五.第七条の三十五第二項に規定する役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準の変更
六.その他協会の組織及び業務に関する重要事項として厚生労働省令で定めるもの
2.前項に規定する事項のほか、運営委員会は、理事長の諮問に応じ、又は必要と認める事項について、理事長に建議することができる。
3.前二項に定めるもののほか、運営委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第七条の二十(委員の地位)
運営委員会の委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第七条の二十一(評議会)
協会は、都道府県ごとの実情に応じた業務の適正な運営に資するため、支部ごとに評議会を設け、当該支部における業務の実施について、評議会の意見を聴くものとする。
2.評議会の評議員は、定款で定めるところにより、当該評議会が設けられる支部の都道府県に所在する適用事業所(第三十四条第一項に規定する一の適用事業所を含む。以下同じ。)の事業主及び被保険者並びに当該支部における業務の適正な実施に必要な学識経験を有する者のうちから、支部の長(以下「支部長」という。)が委嘱する。

第七条の二十二(運営規則)
協会は、業務を執行するために必要な事項で厚生労働省令で定めるものについて、運営規則を定めるものとする。
2.理事長は、運営規則を変更しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣に届け出なければならない。

第七条の二十三(職員の任命)
協会の職員は、理事長が任命する。

第七条の二十四(役員及び職員の公務員たる性質)
第七条の二十の規定は、協会の役員及び職員について準用する。

第七条の二十五(事業年度)
協会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

第七条の二十六(企業会計原則)
協会の会計は、厚生労働省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。

第七条の二十七(事業計画等の認可)
協会は、毎事業年度、事業計画及び予算を作成し、当該事業年度開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

第七条の二十八(財務諸表等)
協会は、毎事業年度の決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
2.協会は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他厚生労働省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、これに当該事業年度の事業報告書及び決算報告書(以下この条及び第二百十七条の二第四号において「事業報告書等」という。)を添え、監事及び次条第二項の規定により選任された会計監査人の意見を付けて、決算完結後二月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
3.財務諸表及び事業報告書等には、支部ごとの財務及び事業の状況を示すために必要な事項として厚生労働省令で定めるものを記載しなければならない。
4.協会は、第二項の規定による厚生労働大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び事業報告書等並びに同項の監事及び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

第七条の二十九(会計監査人の監査)
協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。
2.会計監査人は、厚生労働大臣が選任する。
3.会計監査人は、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならない。
4.公認会計士法の規定により、財務諸表について監査をすることができない者は、会計監査人となることができない。
5.会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての厚生労働大臣の前条第二項の承認の時までとする。
6.厚生労働大臣は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
一.職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
二.会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。
三.心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。

第七条の三十(各事業年度に係る業績評価)
厚生労働大臣は、協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。
2.厚生労働大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。

第七条の三十一(借入金)
協会は、その業務に要する費用に充てるため必要な場合において、厚生労働大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
2.前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3.前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

第七条の三十二(債務保証)
政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内で、その業務の円滑な運営に必要があると認めるときは、前条の規定による協会の短期借入金に係る債務について、必要と認められる期間の範囲において、保証することができる。

第七条の三十三(資金の運用)
協会の業務上の余裕金の運用は、政令で定めるところにより、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない。

第七条の三十四(重要な財産の処分)
協会は、厚生労働省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

第七条の三十五(役員の報酬等)
協会の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。
2.協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

第七条の三十六(職員の給与等)
協会の職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない。
2.協会は、その職員の給与及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

第七条の三十七(秘密保持義務)
協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない。
2.前項の規定は、協会の運営委員会の委員又は委員であった者について準用する。

第七条の三十八(報告の徴収等)
厚生労働大臣は、協会について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして協会の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。
2.前項の規定によって質問又は検査を行う当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3.第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第七条の三十九(監督)
厚生労働大臣は、協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が法令、定款若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分し、その他協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が著しく適正を欠くと認めるとき、又は協会の役員がその事業若しくは財産の管理若しくは執行を明らかに怠っていると認めるときは、期間を定めて、協会又はその役員に対し、その事業若しくは財産の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
2.協会又はその役員が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、協会に対し、期間を定めて、当該違反に係る役員の全部又は一部の解任を命ずることができる。
3.協会が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、同項の命令に係る役員を解任することができる。

第七条の四十(解散)
協会の解散については、別に法律で定める。

第七条の四十一(厚生労働省令への委任)
この法律及びこの法律に基づく政令に規定するもののほか、協会の財務及び会計その他協会に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第七条の四十二(財務大臣との協議)
厚生労働大臣は、次の場合には、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
一.第七条の二十七、第七条の三十一第一項若しくは第二項ただし書又は第七条の三十四の規定による認可をしようとするとき。
二.前条の規定により厚生労働省令を定めようとするとき。


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健康保険法:第三章(被保険者)

2023年01月28日 | 社会保険労務士
第一節.資格
第三十一条(適用事業所)
適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。
2.前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る。)の二分の一以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

第三十二条
適用事業所が、第三条第三項各号に該当しなくなったときは、その事業所について前条第一項の認可があったものとみなす。

第三十三条
第三十一条第一項の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
2.前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の四分の三以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

第三十四条
二以上の適用事業所の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該二以上の事業所を一の適用事業所とすることができる。
2.前項の承認があったときは、当該二以上の適用事業所は、適用事業所でなくなったものとみなす。

第三十五条(資格取得の時期)
被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この条から第三十八条までにおいて同じ。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条第一項ただし書の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。

第三十六条(資格喪失の時期)
被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。
一.死亡したとき。
二.その事業所に使用されなくなったとき。
三.第三条第一項ただし書の規定に該当するに至ったとき。
四.第三十三条第一項の認可があったとき。

第三十七条(任意継続被保険者)
第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。
2.第三条第四項の申出をした者が、初めて納付すべき保険料をその納付期日までに納付しなかったときは、同項の規定にかかわらず、その者は、任意継続被保険者とならなかったものとみなす。ただし、その納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときは、この限りでない。

第三十八条(任意継続被保険者の資格喪失)
任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。
一.任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。
二.死亡したとき。
三.保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)。
四.被保険者となったとき。
五.船員保険の被保険者となったとき。
六.後期高齢者医療の被保険者等となったとき。
七.任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき。

第三十九条(資格の得喪の確認)
被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては厚生労働大臣、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては当該健康保険組合をいう。第百六十四条第二項及び第三項、第百八十条第一項、第二項及び第四項並びに第百八十一条第一項を除き、以下同じ。)の確認によって、その効力を生ずる。ただし、第三十六条第四号に該当したことによる被保険者の資格の喪失並びに任意継続被保険者の資格の取得及び喪失は、この限りでない。
2.前項の確認は、第四十八条の規定による届出若しくは第五十一条第一項の規定による請求により、又は職権で行うものとする。
3.第一項の確認については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

第二節.標準報酬月額及び標準賞与額
第四十条(標準報酬月額)
標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、次の等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)によって定める。

標準報酬月額等級
標準報酬月額
報酬月額
第一級
五八、〇〇〇円
六三、〇〇〇円未満
第二級
六八、〇〇〇円
六三、〇〇〇円以上七三、〇〇〇円未満
第三級
七八、〇〇〇円
七三、〇〇〇円以上八三、〇〇〇円未満
第四級
八八、〇〇〇円
八三、〇〇〇円以上九三、〇〇〇円未満
第五級
九八、〇〇〇円
九三、〇〇〇円以上一〇一、〇〇〇円未満
第六級
一〇四、〇〇〇円
一〇一、〇〇〇円以上一〇七、〇〇〇円未満
第七級
一一〇、〇〇〇円
一〇七、〇〇〇円以上一一四、〇〇〇円未満
第八級
一一八、〇〇〇円
一一四、〇〇〇円以上一二二、〇〇〇円未満
第九級
一二六、〇〇〇円
一二二、〇〇〇円以上一三〇、〇〇〇円未満
第一〇級
一三四、〇〇〇円
一三〇、〇〇〇円以上一三八、〇〇〇円未満
第一一級
一四二、〇〇〇円
一三八、〇〇〇円以上一四六、〇〇〇円未満
第一二級
一五〇、〇〇〇円
一四六、〇〇〇円以上一五五、〇〇〇円未満
第一三級
一六〇、〇〇〇円
一五五、〇〇〇円以上一六五、〇〇〇円未満
第一四級
一七〇、〇〇〇円
一六五、〇〇〇円以上一七五、〇〇〇円未満
第一五級
一八〇、〇〇〇円
一七五、〇〇〇円以上一八五、〇〇〇円未満
第一六級
一九〇、〇〇〇円
一八五、〇〇〇円以上一九五、〇〇〇円未満
第一七級
二〇〇、〇〇〇円
一九五、〇〇〇円以上二一〇、〇〇〇円未満
第一八級
二二〇、〇〇〇円
二一〇、〇〇〇円以上二三〇、〇〇〇円未満
第一九級
二四〇、〇〇〇円
二三〇、〇〇〇円以上二五〇、〇〇〇円未満
第二〇級
二六〇、〇〇〇円
二五〇、〇〇〇円以上二七〇、〇〇〇円未満
第二一級
二八〇、〇〇〇円
二七〇、〇〇〇円以上二九〇、〇〇〇円未満
第二二級
三〇〇、〇〇〇円
二九〇、〇〇〇円以上三一〇、〇〇〇円未満
第二三級
三二〇、〇〇〇円
三一〇、〇〇〇円以上三三〇、〇〇〇円未満
第二四級
三四〇、〇〇〇円
三三〇、〇〇〇円以上三五〇、〇〇〇円未満
第二五級
三六〇、〇〇〇円
三五〇、〇〇〇円以上三七〇、〇〇〇円未満
第二六級
三八〇、〇〇〇円
三七〇、〇〇〇円以上三九五、〇〇〇円未満
第二七級
四一〇、〇〇〇円
三九五、〇〇〇円以上四二五、〇〇〇円未満
第二八級
四四〇、〇〇〇円
四二五、〇〇〇円以上四五五、〇〇〇円未満
第二九級
四七〇、〇〇〇円
四五五、〇〇〇円以上四八五、〇〇〇円未満
第三〇級
五〇〇、〇〇〇円
四八五、〇〇〇円以上五一五、〇〇〇円未満
第三一級
五三〇、〇〇〇円
五一五、〇〇〇円以上五四五、〇〇〇円未満
第三二級
五六〇、〇〇〇円
五四五、〇〇〇円以上五七五、〇〇〇円未満
第三三級
五九〇、〇〇〇円
五七五、〇〇〇円以上六〇五、〇〇〇円未満
第三四級
六二〇、〇〇〇円
六〇五、〇〇〇円以上六三五、〇〇〇円未満
第三五級
六五〇、〇〇〇円
六三五、〇〇〇円以上六六五、〇〇〇円未満
第三六級
六八〇、〇〇〇円
六六五、〇〇〇円以上六九五、〇〇〇円未満
第三七級
七一〇、〇〇〇円
六九五、〇〇〇円以上七三〇、〇〇〇円未満
第三八級
七五〇、〇〇〇円
七三〇、〇〇〇円以上七七〇、〇〇〇円未満
第三九級
七九〇、〇〇〇円
七七〇、〇〇〇円以上八一〇、〇〇〇円未満
第四〇級
八三〇、〇〇〇円
八一〇、〇〇〇円以上八五五、〇〇〇円未満
第四一級
八八〇、〇〇〇円
八五五、〇〇〇円以上九〇五、〇〇〇円未満
第四二級
九三〇、〇〇〇円
九〇五、〇〇〇円以上九五五、〇〇〇円未満
第四三級
九八〇、〇〇〇円
九五五、〇〇〇円以上一、〇〇五、〇〇〇円未満
第四四級
一、〇三〇、〇〇〇円
一、〇〇五、〇〇〇円以上一、〇五五、〇〇〇円未満
第四五級
一、〇九〇、〇〇〇円
一、〇五五、〇〇〇円以上一、一一五、〇〇〇円未満
第四六級
一、一五〇、〇〇〇円
一、一一五、〇〇〇円以上一、一七五、〇〇〇円未満
第四七級
一、二一〇、〇〇〇円
一、一七五、〇〇〇円以上一、二三五、〇〇〇円未満
第四八級
一、二七〇、〇〇〇円
一、二三五、〇〇〇円以上一、二九五、〇〇〇円未満
第四九級
一、三三〇、〇〇〇円
一、二九五、〇〇〇円以上一、三五五、〇〇〇円未満
第五〇級
一、三九〇、〇〇〇円
一、三五五、〇〇〇円以上
2.毎年三月三十一日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が百分の一・五を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、その年の三月三十一日において、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が百分の〇・五を下回ってはならない。
3.厚生労働大臣は、前項の政令の制定又は改正について立案を行う場合には、社会保障審議会の意見を聴くものとする。

第四十一条(定時決定)
保険者等は、被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日(厚生労働省令で定める者にあっては、十一日。第四十三条第一項、第四十三条の二第一項及び第四十三条の三第一項において同じ。)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
2.前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の九月から翌年の八月までの各月の標準報酬月額とする。
3.第一項の規定は、六月一日から七月一日までの間に被保険者の資格を取得した者及び第四十三条、第四十三条の二又は第四十三条の三の規定により七月から九月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。

第四十二条(被保険者の資格を取得した際の決定)
保険者等は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に掲げる額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
一.月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額
二.日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
三.前二号の規定によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前一月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
四.前三号のうち二以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前三号の規定によって算定した額の合算額
2.前項の規定によって決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の八月(六月一日から十二月三十一日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第四十三条(改定)
保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、十七日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
2.前項の規定によって改定された標準報酬月額は、その年の八月(七月から十二月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第四十三条の二(育児休業等を終了した際の改定)
保険者等は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業、同法第二十三条第二項の育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは同法第二十四条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により同項第二号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業又は政令で定める法令に基づく育児休業(以下「育児休業等」という。)を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下この条において「育児休業等終了日」という。)において当該育児休業等に係る三歳に満たない子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、第四十一条の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に次条第一項に規定する産前産後休業を開始している被保険者は、この限りでない。
2.前項の規定によって改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月(当該翌月が七月から十二月までのいずれかの月である場合は、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第四十三条の三(産前産後休業を終了した際の改定)
保険者等は、産前産後休業(出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さないこと(妊娠又は出産に関する事由を理由として労務に服さない場合に限る。)をいう。以下同じ。)を終了した被保険者が、当該産前産後休業を終了した日(以下この条において「産前産後休業終了日」という。)において当該産前産後休業に係る子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、第四十一条の規定にかかわらず、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後三月間(産前産後休業終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している被保険者は、この限りでない。
2.前項の規定によって改定された標準報酬月額は、産前産後休業終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月(当該翌月が七月から十二月までのいずれかの月である場合は、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第四十四条(報酬月額の算定の特例)
保険者等は、被保険者の報酬月額が、第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条の二第一項若しくは前条第一項の規定によって算定することが困難であるとき、又は第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項若しくは前条第一項の規定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、これらの規定にかかわらず、その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。
2.前項の場合において、保険者が健康保険組合であるときは、同項の算定方法は、規約で定めなければならない。
3.同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項若しくは前条第一項又は第一項の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。

第四十五条(標準賞与額の決定)
保険者等は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。ただし、その月に当該被保険者が受けた賞与によりその年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)における標準賞与額の累計額が五百七十三万円(第四十条第二項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。以下この項において同じ。)を超えることとなる場合には、当該累計額が五百七十三万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は零とする。
2.第四十条第三項の規定は前項の政令の制定又は改正について、前条の規定は標準賞与額の算定について準用する。

第四十六条(現物給与の価額)
報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。
2.健康保険組合は、前項の規定にかかわらず、規約で別段の定めをすることができる。

第四十七条(任意継続被保険者の標準報酬月額)
任意継続被保険者の標準報酬月額については、第四十一条から第四十四条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。
一.当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
二.前年(一月から三月までの標準報酬月額については、前々年)の九月三十日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額
2.保険者が健康保険組合である場合においては、前項の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる額が同項第二号に掲げる額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、同項第一号に掲げる額(当該健康保険組合が同項第二号に掲げる額を超え同項第一号に掲げる額未満の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額)をその者の標準報酬月額とすることができる。

第三節.届出等
第四十八条(届出)
適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を保険者等に届け出なければならない。

第四十九条(通知)
厚生労働大臣は、第三十三条第一項の規定による認可を行ったときは、その旨を当該事業主に通知するものとし、保険者等は、第三十九条第一項の規定による確認又は標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。以下同じ。)の決定若しくは改定を行ったときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。
2.事業主は、前項の通知があったときは、速やかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。
3.被保険者が被保険者の資格を喪失した場合において、その者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、事業主は、厚生労働大臣又は保険者等にその旨を届け出なければならない。
4.厚生労働大臣は、前項の届出があったときは、所在が明らかでない者について第一項の規定により事業主に通知した事項を公告するものとし、保険者等は、前項の届出があったときは、所在が明らかでない者について第一項の規定により事業主に通知した事項を公告しなければならない。
5.厚生労働大臣は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため第一項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告するものとし、保険者等は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため同項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告しなければならない。

第五十条
保険者等は、第四十八条の規定による届出があった場合において、その届出に係る事実がないと認めるときは、その旨をその届出をした事業主に通知しなければならない。
2.前条第二項から第五項までの規定は、前項の通知について準用する。

第五十一条(確認の請求)
被保険者又は被保険者であった者は、いつでも、第三十九条第一項の規定による確認を請求することができる。
2.保険者等は、前項の規定による請求があった場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。

第五十一条の二(情報の提供等)
厚生労働大臣は、協会に対し、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格に関する事項、標準報酬に関する事項その他協会の業務の実施に関して必要な情報の提供を行うものとする。


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健康保険法:第二章(保険者)

2023年01月27日 | 社会保険労務士
第一節.通則
第四条(保険者)
健康保険(日雇特例被保険者の保険を除く。)の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする。

第五条(全国健康保険協会管掌健康保険)
全国健康保険協会は、健康保険組合の組合員でない被保険者(日雇特例被保険者を除く。次節、第五十一条の二、第六十三条第三項第二号、第百五十条第一項、第百七十二条第三号、第十章及び第十一章を除き、以下本則において同じ。)の保険を管掌する。
2.前項の規定により全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く。)並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う。

第六条(組合管掌健康保険)
健康保険組合は、その組合員である被保険者の保険を管掌する。

第七条(二以上の事業所に使用される者の保険者)
同時に二以上の事業所に使用される被保険者の保険を管掌する者は、第五条第一項及び前条の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによる。

第二節.全国健康保険協会
第七条の二(設立及び業務)
健康保険組合の組合員でない被保険者(以下この節において単に「被保険者」という。)に係る健康保険事業を行うため、全国健康保険協会(以下「協会」という。)を設ける。
2.協会は、次に掲げる業務を行う。
一.第四章の規定による保険給付及び第五章第三節の規定による日雇特例被保険者に係る保険給付に関する業務
二.第六章の規定による保健事業及び福祉事業に関する業務
三.前二号に掲げる業務のほか、協会が管掌する健康保険の事業に関する業務であって第五条第二項の規定により厚生労働大臣が行う業務以外のもの
四.第一号及び第二号に掲げる業務のほか、日雇特例被保険者の保険の事業に関する業務であって第百二十三条第二項の規定により厚生労働大臣が行う業務以外のもの
五.第二百四条の七第一項に規定する権限に係る事務に関する業務
六.前各号に掲げる業務に附帯する業務
3.協会は、前項各号に掲げる業務のほか、船員保険法の規定による船員保険事業に関する業務(同法の規定により厚生労働大臣が行うものを除く。)、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等(以下「前期高齢者納付金等」という。)及び同法の規定による後期高齢者支援金等(以下「後期高齢者支援金等」という。)並びに介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による納付金(以下「介護納付金」という。)の納付に関する業務を行う。

第七条の三(法人格)
協会は、法人とする。

第七条の四(事務所)
協会は、主たる事務所を東京都に、従たる事務所(以下「支部」という。)を各都道府県に設置する。
2.協会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

第七条の五(資本金)
協会の資本金は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号。以下「改正法」という。)附則第十八条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
(定款)
第七条の六.協会は、定款をもって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一.目的
二.名称
三.事務所の所在地
四.役員に関する事項
五.運営委員会に関する事項
六.評議会に関する事項
七.保健事業に関する事項
八.福祉事業に関する事項
九.資産の管理その他財務に関する事項
十.その他組織及び業務に関する重要事項として厚生労働省令で定める事項
2.前項の定款の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3.協会は、前項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。
4.協会は、定款の変更について第二項の認可を受けたとき、又は同項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを公告しなければならない。

第七条の七(登記)
協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2.前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

第七条の八(名称)
協会でない者は、全国健康保険協会という名称を用いてはならない。

第七条の九(役員)
協会に、役員として、理事長一人、理事六人以内及び監事二人を置く。

第七条の十(役員の職務)
理事長は、協会を代表し、その業務を執行する。
2.理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。
3.理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、協会の業務を執行することができる。
4.監事は、協会の業務の執行及び財務の状況を監査する。

第七条の十一(役員の任命)
理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命する。
2.厚生労働大臣は、前項の規定により理事長を任命しようとするときは、あらかじめ、第七条の十八第一項に規定する運営委員会の意見を聴かなければならない。
3.理事は、理事長が任命する。
4.理事長は、前項の規定により理事を任命したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

第七条の十二(役員の任期)
役員の任期は三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2.役員は、再任されることができる。

第七条の十三(役員の欠格条項)
政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。

第七条の十四(役員の解任)
厚生労働大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。
2.厚生労働大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一.心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。
二.職務上の義務違反があるとき。
3.理事長は、前項の規定により理事を解任したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

第七条の十五(役員の兼職禁止)
役員(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、厚生労働大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

第七条の十六(代表権の制限)
協会と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が協会を代表する。

第七条の十七(代理人の選任)
理事長は、理事又は職員のうちから、協会の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

第七条の十八(運営委員会)
事業主(被保険者を使用する適用事業所の事業主をいう。以下この節において同じ。)及び被保険者の意見を反映させ、協会の業務の適正な運営を図るため、協会に運営委員会を置く。
2.運営委員会の委員は、九人以内とし、事業主、被保険者及び協会の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が各同数を任命する。
3.前項の委員の任期は、二年とする。
4.第七条の十二第一項ただし書及び第二項の規定は、運営委員会の委員について準用する。

第七条の十九(運営委員会の職務)
次に掲げる事項については、理事長は、あらかじめ、運営委員会の議を経なければならない。
一.定款の変更
二.第七条の二十二第二項に規定する運営規則の変更
三.協会の毎事業年度の事業計画並びに予算及び決算
四.重要な財産の処分又は重大な債務の負担
五.第七条の三十五第二項に規定する役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準の変更
六.その他協会の組織及び業務に関する重要事項として厚生労働省令で定めるもの
2.前項に規定する事項のほか、運営委員会は、理事長の諮問に応じ、又は必要と認める事項について、理事長に建議することができる。
3.前二項に定めるもののほか、運営委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第七条の二十(委員の地位)
運営委員会の委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第七条の二十一(評議会)
協会は、都道府県ごとの実情に応じた業務の適正な運営に資するため、支部ごとに評議会を設け、当該支部における業務の実施について、評議会の意見を聴くものとする。
2.評議会の評議員は、定款で定めるところにより、当該評議会が設けられる支部の都道府県に所在する適用事業所(第三十四条第一項に規定する一の適用事業所を含む。以下同じ。)の事業主及び被保険者並びに当該支部における業務の適正な実施に必要な学識経験を有する者のうちから、支部の長(以下「支部長」という。)が委嘱する。

第七条の二十二(運営規則)
協会は、業務を執行するために必要な事項で厚生労働省令で定めるものについて、運営規則を定めるものとする。
2.理事長は、運営規則を変更しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣に届け出なければならない。

第七条の二十三(職員の任命)
協会の職員は、理事長が任命する。

第七条の二十四(役員及び職員の公務員たる性質)
第七条の二十の規定は、協会の役員及び職員について準用する。

第七条の二十五(事業年度)
協会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

第七条の二十六(企業会計原則)
協会の会計は、厚生労働省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。

第七条の二十七(事業計画等の認可)
協会は、毎事業年度、事業計画及び予算を作成し、当該事業年度開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

第七条の二十八(財務諸表等)
協会は、毎事業年度の決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
2.協会は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他厚生労働省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、これに当該事業年度の事業報告書及び決算報告書(以下この条及び第二百十七条の二第四号において「事業報告書等」という。)を添え、監事及び次条第二項の規定により選任された会計監査人の意見を付けて、決算完結後二月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
3.財務諸表及び事業報告書等には、支部ごとの財務及び事業の状況を示すために必要な事項として厚生労働省令で定めるものを記載しなければならない。
4.協会は、第二項の規定による厚生労働大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び事業報告書等並びに同項の監事及び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

第七条の二十九(会計監査人の監査)
協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。
2.会計監査人は、厚生労働大臣が選任する。
3.会計監査人は、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならない。
4.公認会計士法の規定により、財務諸表について監査をすることができない者は、会計監査人となることができない。
5.会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての厚生労働大臣の前条第二項の承認の時までとする。
6.厚生労働大臣は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
一.職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
二.会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。
三.心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。

第七条の三十(各事業年度に係る業績評価)
厚生労働大臣は、協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。
2.厚生労働大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。

第七条の三十一(借入金)
協会は、その業務に要する費用に充てるため必要な場合において、厚生労働大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
2.前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3.前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

第七条の三十二(債務保証)
政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内で、その業務の円滑な運営に必要があると認めるときは、前条の規定による協会の短期借入金に係る債務について、必要と認められる期間の範囲において、保証することができる。

第七条の三十三(資金の運用)
協会の業務上の余裕金の運用は、政令で定めるところにより、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない。

第七条の三十四(重要な財産の処分)
協会は、厚生労働省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

第七条の三十五(役員の報酬等)
協会の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。
2.協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

第七条の三十六(職員の給与等)
協会の職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない。
2.協会は、その職員の給与及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

第七条の三十七(秘密保持義務)
協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない。
2.前項の規定は、協会の運営委員会の委員又は委員であった者について準用する。

第七条の三十八(報告の徴収等)
厚生労働大臣は、協会について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして協会の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。
2.前項の規定によって質問又は検査を行う当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3.第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第七条の三十九(監督)
厚生労働大臣は、協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が法令、定款若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分し、その他協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が著しく適正を欠くと認めるとき、又は協会の役員がその事業若しくは財産の管理若しくは執行を明らかに怠っていると認めるときは、期間を定めて、協会又はその役員に対し、その事業若しくは財産の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
2.協会又はその役員が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、協会に対し、期間を定めて、当該違反に係る役員の全部又は一部の解任を命ずることができる。
3.協会が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、同項の命令に係る役員を解任することができる。

第七条の四十(解散)
協会の解散については、別に法律で定める。

第七条の四十一(厚生労働省令への委任)
この法律及びこの法律に基づく政令に規定するもののほか、協会の財務及び会計その他協会に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第七条の四十二(財務大臣との協議)
厚生労働大臣は、次の場合には、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
一.第七条の二十七、第七条の三十一第一項若しくは第二項ただし書又は第七条の三十四の規定による認可をしようとするとき。
二.前条の規定により厚生労働省令を定めようとするとき。
第三節.健康保険組合

第八条(組織)
健康保険組合は、適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者をもって組織する。

第九条(法人格)
健康保険組合は、法人とする。
2.健康保険組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

第十条(名称)
健康保険組合は、その名称中に健康保険組合という文字を用いなければならない。
2.健康保険組合でない者は、健康保険組合という名称を用いてはならない。

第十一条(設立)
一又は二以上の適用事業所について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主は、当該一又は二以上の適用事業所について、健康保険組合を設立することができる。
2.適用事業所の事業主は、共同して健康保険組合を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数以上でなければならない。

第十二条
適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとするときは、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
2.二以上の適用事業所について健康保険組合を設立しようとする場合においては、前項の同意は、各適用事業所について得なければならない。

第十三条
第三十一条第一項の規定による認可の申請と同時に健康保険組合の設立の認可の申請を行う場合にあっては、前二条中「適用事業所」とあるのは「適用事業所となるべき事業所」と、「被保険者」とあるのは「被保険者となるべき者」とする。

第十四条
厚生労働大臣は、一又は二以上の適用事業所(第三十一条第一項の規定によるものを除く。)について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主に対し、健康保険組合の設立を命ずることができる。
2.前項の規定により健康保険組合の設立を命ぜられた事業主は、規約を作り、その設立について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

第十五条(成立の時期)
健康保険組合は、設立の認可を受けた時に成立する。

第十六条(規約)
健康保険組合は、規約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一.名称
二.事務所の所在地
三.健康保険組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地
四.組合会に関する事項
五.役員に関する事項
六.組合員に関する事項
七.保険料に関する事項
八.準備金その他の財産の管理に関する事項
九.公告に関する事項
十.前各号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項
2.前項の規約の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3.健康保険組合は、前項の厚生労働省令で定める事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。

第十七条(組合員)
健康保険組合が設立された適用事業所(以下「設立事業所」という。)の事業主及びその設立事業所に使用される被保険者は、当該健康保険組合の組合員とする。
2.前項の被保険者は、当該設立事業所に使用されなくなったときであっても、任意継続被保険者であるときは、なお当該健康保険組合の組合員とする。

第十八条(組合会)
健康保険組合に、組合会を置く。
2.組合会は、組合会議員をもって組織する。
3.組合会議員の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所の事業主において設立事業所の事業主(その代理人を含む。)及び設立事業所に使用される者のうちから選定し、他の半数は、被保険者である組合員において互選する。

第十九条(組合会の議決事項)
次に掲げる事項は、組合会の議決を経なければならない。
一.規約の変更
二.収入支出の予算
三.事業報告及び決算
四.その他規約で定める事項

第二十条(組合会の権限)
組合会は、健康保険組合の事務に関する書類を検査し、理事若しくは監事の報告を請求し、又は事務の管理、議決の執行若しくは出納を検査することができる。
2.組合会は、組合会議員のうちから選任した者に、前項の組合会の権限に属する事項を行わせることができる。

第二十一条(役員)
健康保険組合に、役員として理事及び監事を置く。
2.理事の定数は、偶数とし、その半数は設立事業所の事業主の選定した組合会議員において、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員において、それぞれ互選する。
3.理事のうち一人を理事長とし、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、理事が選挙する。
4.監事は、組合会において、設立事業所の事業主の選定した組合会議員及び被保険者である組合員の互選した組合会議員のうちから、それぞれ一人を選挙する。
5.監事は、理事又は健康保険組合の職員と兼ねることができない。

第二十二条(役員の職務)
理事長は、健康保険組合を代表し、その業務を執行する。理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。
2.健康保険組合の業務は、規約に別段の定めがある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる。
3.理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、健康保険組合の業務を執行することができる。
4.監事は、健康保険組合の業務の執行及び財産の状況を監査する。

第二十二条の二(協会の役員及び職員の秘密保持義務に関する規定の準用)
第七条の三十七第一項の規定は、健康保険組合の役員及び職員について準用する。

第二十三条(合併)
健康保険組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
2.合併によって健康保険組合を設立するには、各健康保険組合がそれぞれ組合会において役員又は組合会議員のうちから選任した設立委員が共同して規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。
3.合併により設立された健康保険組合又は合併後存続する健康保険組合は、合併により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。

第二十四条(分割)
健康保険組合は、分割しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
2.健康保険組合の分割は、設立事業所の一部について行うことはできない。
3.分割を行う場合においては、分割により設立される健康保険組合の組合員となるべき被保険者又は分割後存続する健康保険組合の組合員である被保険者の数が、第十一条第一項(健康保険組合を共同して設立している場合にあっては、同条第二項)の政令で定める数以上でなければならない。
4.分割によって健康保険組合を設立するには、分割により設立される健康保険組合の設立事業所となるべき適用事業所の事業主が規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。
5.分割により設立された健康保険組合は、分割により消滅した健康保険組合又は分割後存続する健康保険組合の権利義務の一部を承継する。
6.前項の規定により承継する権利義務の限度は、分割の議決とともに議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

第二十五条(設立事業所の増減)
健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得なければならない。
2.第三十一条第一項の規定による認可の申請があった事業所に係る設立事業所の増加に関する規約の変更の認可の申請を行う場合にあっては、前項中「被保険者」とあるのは、「被保険者となるべき者」とする。
3.第一項の規定により健康保険組合が設立事業所を減少させるときは、健康保険組合の被保険者である組合員の数が、設立事業所を減少させた後においても、第十一条第一項(健康保険組合を共同して設立している場合にあっては、同条第二項)の政令で定める数以上でなければならない。
4.第十二条第二項の規定は、第一項の被保険者の同意を得る場合について準用する。

第二十六条(解散)
健康保険組合は、次に掲げる理由により解散する。
一.組合会議員の定数の四分の三以上の多数による組合会の議決
二.健康保険組合の事業の継続の不能
三.第二十九条第二項の規定による解散の命令
2.健康保険組合は、前項第一号又は第二号に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
3.健康保険組合が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、当該健康保険組合は、設立事業所の事業主に対し、政令で定めるところにより、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。
4.協会は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。

第二十七条.削除

第二十八条(指定健康保険組合による健全化計画の作成)
健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(以下この条及び次条において「指定健康保険組合」という。)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(以下この条において「健全化計画」という。)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2.前項の承認を受けた指定健康保険組合は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない。
3.厚生労働大臣は、第一項の承認を受けた指定健康保険組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。

第二十九条(報告の徴収等)
第七条の三十八及び第七条の三十九の規定は、健康保険組合について準用する。この場合において、同条第一項中「厚生労働大臣は」とあるのは「厚生労働大臣は、第二十九条第一項において準用する前条の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において」と、「定款」とあるのは「規約」と読み替えるものとする。
2.健康保険組合が前項において準用する第七条の三十九第一項の規定による命令に違反したとき、又は前条第二項の規定に違反した指定健康保険組合、同条第三項の求めに応じない指定健康保険組合その他政令で定める指定健康保険組合の事業若しくは財産の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合の解散を命ずることができる。

第三十条(政令への委任)
この節に規定するもののほか、健康保険組合の管理、財産の保管その他健康保険組合に関して必要な事項は、政令で定める。


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健康保険法:第一章(総則)

2023年01月26日 | 社会保険労務士
第一条(目的)
この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

第二条(基本的理念)
健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。

第三条(定義)
この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができない。
一.船員保険の被保険者(船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第二条第二項に規定する疾病任意継続被保険者を除く。)
二.臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(イに掲げる者にあっては一月を超え、ロに掲げる者にあってはロに掲げる定めた期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。)
イ.日々雇い入れられる者
ロ.二月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの
三.事業所又は事務所(第八十八条第一項及び第八十九条第一項を除き、以下単に「事業所」という。)で所在地が一定しないものに使用される者
四.季節的業務に使用される者(継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。)
五.臨時的事業の事業所に使用される者(継続して六月を超えて使用されるべき場合を除く。)
六.国民健康保険組合の事業所に使用される者
七.後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第五十条の規定による被保険者をいう。)及び同条各号のいずれかに該当する者で同法第五十一条の規定により後期高齢者医療の被保険者とならないもの(以下「後期高齢者医療の被保険者等」という。)
八.厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る。)
九.事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。以下この号において単に「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い者をいう。以下この号において同じ。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからハまでのいずれかの要件に該当するもの
イ.一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ.報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第四十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ハ.学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。
2.この法律において「日雇特例被保険者」とは、適用事業所に使用される日雇労働者をいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者又は次の各号のいずれかに該当する者として厚生労働大臣の承認を受けたものは、この限りでない。
一.適用事業所において、引き続く二月間に通算して二十六日以上使用される見込みのないことが明らかであるとき。
二.任意継続被保険者であるとき。
三.その他特別の理由があるとき。
3.この法律において「適用事業所」とは、次の各号のいずれかに該当する事業所をいう。
一.次に掲げる事業の事業所であって、常時五人以上の従業員を使用するもの
イ.物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
ロ.土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
ハ.鉱物の採掘又は採取の事業
ニ.電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
ホ.貨物又は旅客の運送の事業
ヘ.貨物積卸しの事業
ト.焼却、清掃又はと殺の事業
チ.物の販売又は配給の事業
リ.金融又は保険の事業
ヌ.物の保管又は賃貸の事業
ル.媒介周旋の事業
ヲ.集金、案内又は広告の事業
ワ.教育、研究又は調査の事業
カ.疾病の治療、助産その他医療の事業
ヨ.通信又は報道の事業
タ.社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める社会福祉事業及び更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に定める更生保護事業
レ.弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業
二.前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの
4.この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。
5.この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
6.この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。
7.この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。
一.被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下この項において同じ。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
二.被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
三.被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
四.前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
8.この法律において「日雇労働者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一.臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(同一の事業所において、イに掲げる者にあっては一月を超え、ロに掲げる者にあってはロに掲げる定めた期間を超え、引き続き使用されるに至った場合(所在地の一定しない事業所において引き続き使用されるに至った場合を除く。)を除く。)
イ.日々雇い入れられる者
ロ.二月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの
二.季節的業務に使用される者(継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。)
三.臨時的事業の事業所に使用される者(継続して六月を超えて使用されるべき場合を除く。)
9.この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、日雇労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
10.この法律において「共済組合」とは、法律によって組織された共済組合をいう。
11.この法律において「保険者番号」とは、厚生労働大臣が健康保険事業において保険者を識別するための番号として、保険者ごとに定めるものをいう。
12.この法律において「被保険者等記号・番号」とは、保険者が被保険者又は被扶養者の資格を管理するための記号、番号その他の符号として、被保険者又は被扶養者ごとに定めるものをいう。
13.この法律において「電子資格確認」とは、保険医療機関等(第六十三条第三項各号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局をいう。以下同じ。)から療養を受けようとする者又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護事業者から同項に規定する指定訪問看護を受けようとする者が、保険者に対し、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)に記録された利用者証明用電子証明書(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第二十二条第一項に規定する利用者証明用電子証明書をいう。)を送信する方法により、被保険者又は被扶養者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けて当該情報を当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者又は被扶養者であることの確認を受けることをいう。


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個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律

2023年01月25日 | 社会保険労務士
第一条(目的)
この法律は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。以下「個別労働関係紛争」という。)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。

第二条(紛争の自主的解決)
個別労働関係紛争が生じたときは、当該個別労働関係紛争の当事者は、早期に、かつ、誠意をもって、自主的な解決を図るように努めなければならない。

第三条(労働者、事業主等に対する情報提供等)
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対し、労働関係に関する事項並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての情報の提供、相談その他の援助を行うものとする。

第四条(当事者に対する助言及び指導)
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第六条に規定する労働争議に当たる紛争及び行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項に規定する紛争を除く。)に関し、当該個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該個別労働関係紛争の当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができる。
2.都道府県労働局長は、前項に規定する助言又は指導をするため必要があると認めるときは、広く産業社会の実情に通じ、かつ、労働問題に関し専門的知識を有する者の意見を聴くものとする。
3.事業主は、労働者が第一項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

第五条(あっせんの委任)
都道府県労働局長は、前条第一項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。
2.前条第三項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。

第六条(委員会の設置)
都道府県労働局に、紛争調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2.委員会は、前条第一項のあっせんを行う機関とする。

第七条(委員会の組織)
委員会は、三人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。
2.委員は、学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。
3.委員会に会長を置き、委員の互選により選任する。
4.会長は会務を総理する。
5.会長に事故があるときは、委員のうちからあらかじめ互選された者がその職務を代理する。

第八条(委員の任期等)
委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2.委員は、再任されることができる。
3.委員は、後任の委員が任命されるまでその職務を行う。
4.委員は、非常勤とする。
(委員の欠格条項)
第九条.次の各号のいずれかに該当する者は、委員となることができない。
一.破産者で復権を得ないもの
二.禁錮こ以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
2.委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職する。

第十条(委員の解任)
厚生労働大臣は、委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その委員を解任することができる。
一.心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二.職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。

第十一条(会議及び議決)
委員会の会議は、会長が招集する。
2.委員会は、会長又は第七条第五項の規定により会長を代理する者のほか、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3.委員会の議事は、出席者の過半数をもって決する。可否同数のときは、会長が決する。

第十二条(あっせん)
委員会によるあっせんは、委員のうちから会長が事件ごとに指名する三人のあっせん委員によって行う。
2.あっせん委員は、紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決されるように努めなければならない。

第十三条
あっせん委員は、紛争当事者から意見を聴取するほか、必要に応じ、参考人から意見を聴取し、又はこれらの者から意見書の提出を求め、事件の解決に必要なあっせん案を作成し、これを紛争当事者に提示することができる。
2.前項のあっせん案の作成は、あっせん委員の全員一致をもって行うものとする。

第十四条
あっせん委員は、紛争当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは、当該委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。

第十五条
あっせん委員は、あっせんに係る紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。

第十六条(時効の完成猶予)
前条の規定によりあっせんが打ち切られた場合において、当該あっせんの申請をした者がその旨の通知を受けた日から三十日以内にあっせんの目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、あっせんの申請の時に、訴えの提起があったものとみなす。

第十七条(資料提供の要求等)
委員会は、当該委員会に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

第十八条(あっせん状況の報告)
委員会は、都道府県労働局長に対し、厚生労働省令で定めるところにより、あっせんの状況について報告しなければならない。

第十九条(厚生労働省令への委任)
この法律に定めるもののほか、委員会及びあっせんの手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第二十条(地方公共団体の施策等)
地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対する情報の提供、相談、あっせんその他の必要な施策を推進するように努めるものとする。
2.国は、地方公共団体が実施する前項の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
3.第一項の施策として、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う場合には、中央労働委員会は、当該都道府県労働委員会に対し、必要な助言又は指導をすることができる。

第二十一条(船員に関する特例)
船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員及び同項に規定する船員になろうとする者に関しては、第三条、第四条第一項及び第二項並びに第五条第一項中「都道府県労働局長」とあるのは「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、同項中「紛争調整委員会」とあるのは「第二十一条第三項のあっせん員候補者名簿に記載されている者のうちから指名するあっせん員」とする。
2.前項の規定により読み替えられた第五条第一項の規定により指名を受けてあっせん員が行うあっせんについては、第六条から第十九条までの規定は、適用しない。
3.地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)は、第一項の規定により読み替えられた第五条第一項の規定により指名するあっせん員にあっせんを行わせるため、二年ごとに、学識経験を有する者のうちからあっせん員候補者三人以上を委嘱し、あっせん員候補者名簿を作成しておかなければならない。
4.第九条及び第十二条から第十九条までの規定は、第二項のあっせんについて準用する。この場合において、第九条第一項中「委員」とあるのは「あっせん員候補者」と、同条第二項中「委員」とあるのは「あっせん員又はあっせん員候補者」と、「当然失職する」とあるのは「その地位を失う」と、第十二条から第十五条までの規定中「あっせん委員」とあり、並びに第十二条第一項、第十八条及び第十九条中「委員会」とあるのは「あっせん員」と、第十二条第一項中「委員の」とあるのは「あっせん員候補者名簿に記載されている者の」と、「会長」とあるのは「当該あっせん員候補者名簿を作成した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、第十四条中「当該委員会が置かれる都道府県労働局」とあるのは「当該あっせん員を指名した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)が置かれる地方運輸局(運輸監理部を含む。)」と、第十七条中「委員会は」とあるのは「あっせん員は」と、「当該委員会に係属している」とあるのは「当該あっせん員が取り扱っている」と、第十八条中「都道府県労働局長」とあるのは「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、同条及び第十九条中「厚生労働省令」とあるのは「国土交通省令」と読み替えるものとする。
5.第一項の規定により読み替えられた第三条、第四条第一項及び第二項並びに第五条第一項並びに前項の規定により読み替えて準用される第十八条に規定する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)の権限は、国土交通省令で定めるところにより、運輸支局長又は地方運輸局、運輸監理部若しくは運輸支局の事務所の長に委任することができる。

第二十二条(適用除外)
この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。ただし、行政執行法人の労働関係に関する法律第二条第二号の職員、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第十五条第一項の企業職員、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第四十七条の職員及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十七条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であって地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和二十七年法律第二百八十九号)第三条第四号の職員以外のものの勤務条件に関する事項についての紛争については、この限りでない。


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労働契約法:第五章(雑則)

2023年01月24日 | 社会保険労務士
第二十条(船員に関する特例)
第十二条及び前章の規定は、船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。
2.船員に関しては、第七条中「第十二条」とあるのは「船員法(昭和二十二年法律第百号)第百条」と、第十条中「第十二条」とあるのは「船員法第百条」と、第十一条中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九条及び第九十条」とあるのは「船員法第九十七条及び第九十八条」と、第十三条中「前条」とあるのは「船員法第百条」とする。

第二十一条(適用除外)
この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。
2.この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。


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労働契約法:第四章(期間の定めのある労働契約)

2023年01月23日 | 社会保険労務士
第十七条(契約期間中の解雇等)
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2.使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

第十八条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2.当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

第十九条(有期労働契約の更新等)
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一.当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二.当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。


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労働契約法:第三章(労働契約の継続及び終了)

2023年01月22日 | 社会保険労務士
第十四条(出向)
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

第十五条(懲戒)
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

第十六条(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。


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労働契約法:第二章(労働契約の成立及び変更)

2023年01月22日 | 社会保険労務士
第六条(労働契約の成立)
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

第七条
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

第八条(労働契約の内容の変更)
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

第九条(就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

第十条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

第十一条(就業規則の変更に係る手続)
就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九条及び第九十条の定めるところによる。

第十二条(就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

第十三条(法令及び労働協約と就業規則との関係)
就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。


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労働契約法:第一章(総則)

2023年01月21日 | 社会保険労務士
第一条(目的)
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

第二条(定義)
この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
2.この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

第三条(労働契約の原則)
労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2.労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3.労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4.労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5.労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

第四条(労働契約の内容の理解の促進)
使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2.労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

第五条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


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労働関係調整法:第五章(争議行為の制限禁止等)

2023年01月20日 | 社会保険労務士
第三十六条
工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことはできない。

第三十七条
公益事業に関する事件につき関係当事者が争議行為をするには、その争議行為をしようとする日の少なくとも十日前までに、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
②.緊急調整の決定があつた公益事業に関する事件については、前項の規定による通知は、第三十八条に規定する期間を経過した後でなければこれをすることができない。

第三十八条
緊急調整の決定をなした旨の公表があつたときは、関係当事者は、公表の日から五十日間は、争議行為をなすことができない。

第三十九条
第三十七条の規定の違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体、労働者の団体又はその他の者若しくはその団体は、これを十万円以下の罰金に処する。
②.前項の規定は、そのものが、法人であるときは、理事、取締役、執行役その他法人の業務を執行する役員に、法人でない団体であるときは、代表者その他業務を執行する役員にこれを適用する。
③.一個の争議行為に関し科する罰金の総額は、十万円を超えることはできない。
④.法人、法人でない使用者又は労働者の組合、争議団等の団体であつて解散したものに、第一項の規定を適用するについては、その団体は、なほ存続するものとみなす。

第四十条
第三十八条の規定の違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体、労働者の団体又はその他の者若しくはその団体は、これを二十万円以下の罰金に処する。
②.前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合に準用する。この場合において同条第三項中「十万円」とあるのは、「二十万円」と読み替へるものとする。

第四十一条.削除

第四十二条
第三十九条の罪は、労働委員会の請求を待つてこれを論ずる。

第四十三条
調停又は仲裁をなす場合において、その公正な進行を妨げる者に対しては、調停委員会の委員長又は仲裁委員会の委員長は、これに退場を命ずることができる。


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労働関係調整法:第四章の二(緊急調整)

2023年01月19日 | 社会保険労務士
第三十五条の二
内閣総理大臣は、事件が公益事業に関するものであるため、又はその規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために、争議行為により当該業務が停止されるときは国民経済の運行を著しく阻害し、又は国民の日常生活を著しく危くする虞があると認める事件について、その虞が現実に存するときに限り、緊急調整の決定をすることができる。
②.内閣総理大臣は、前項の決定をしようとするときは、あらかじめ中央労働委員会の意見を聴かなければならない。
③.内閣総理大臣は、緊急調整の決定をしたときは、直ちに、理由を附してその旨を公表するとともに、中央労働委員会及び関係当事者に通知しなければならない。

第三十五条の三
中央労働委員会は、前条第三項の通知を受けたときは、その事件を解決するため、最大限の努力を尽さなければならない。
②.中央労働委員会は、前項の任務を遂行するため、その事件について、左の各号に掲げる措置を講ずることができる。
一.斡旋を行ふこと。
二.調停を行ふこと。
三.仲裁を行ふこと(第三十条各号に該当する場合に限る。)。
四.事件の実情を調査し、及び公表すること。
五.解決のため必要と認める措置をとるべきことを勧告すること。
③.前項第二号の調停は、第十八条各号に該当しない場合であつても、これを行ふことができる。

第三十五条の四
中央労働委員会は、緊急調整の決定に係る事件については、他のすべての事件に優先してこれを処理しなければならない。

第三十五条の五
第三十五条の二の規定により内閣総理大臣がした決定については、審査請求をすることができない。


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労働関係調整法:第四章(仲裁)

2023年01月18日 | 社会保険労務士
第二十九条
労働組合法第二十条の規定による労働委員会による労働争議の仲裁は、この章の定めるところによる。

第三十条
労働委員会は、左の各号の一に該当する場合に、仲裁を行ふ。
一.関係当事者の双方から、労働委員会に対して、仲裁の申請がなされたとき。
二.労働協約に、労働委員会による仲裁の申請をなさなければならない旨の定がある場合に、その定に基いて、関係当事者の双方又は一方から、労働委員会に対して、仲裁の申請がなされたとき。

第三十一条
労働委員会による労働争議の仲裁は、三人以上の奇数の仲裁委員をもつて組織される仲裁委員会を設け、これによつて行う。

第三十一条の二
仲裁委員は、労働委員会の公益を代表する委員又は特別調整委員のうちから、関係当事者が合意により選定した者につき、労働委員会の会長が指名する。ただし、関係当事者の合意による選定がされなかつたときは、労働委員会の会長が、関係当事者の意見を聴いて、労働委員会の公益を代表する委員(中央労働委員会にあつては、一般企業担当公益委員)又は特別調整委員のうちから指名する。

第三十一条の三
仲裁委員会に、委員長を置く。委員長は、仲裁委員が互選する。

第三十一条の四
仲裁委員会は、委員長が招集する。
②.仲裁委員会は、仲裁委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。
③.仲裁委員会の議事は、仲裁委員の過半数でこれを決する。

第三十一条の五
関係当事者のそれぞれが指名した労働委員会の使用者を代表する委員又は特別調整委員及び労働者を代表する委員又は特別調整委員は、仲裁委員会の同意を得て、その会議に出席し、意見を述べることができる。

第三十二条
仲裁をなす場合には、仲裁委員会は、関係当事者及び参考人以外の者の出席を禁止することができる。

第三十三条
仲裁裁定は、書面に作成してこれを行ふ。その書面には効力発生の期日も記さなければならない。

第三十四条
仲裁裁定は、労働協約と同一の効力を有する。

第三十五条
この章の規定は、労働争議の当事者が、双方の合意又は労働協約の定により、別の仲裁方法によつて事件の解決を図ることを妨げるものではない。


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労働関係調整法:第三章(調停)

2023年01月17日 | 社会保険労務士
第十七条
労働組合法第二十条の規定による労働委員会による労働争議の調停は、この章の定めるところによる。

第十八条
労働委員会は、次の各号のいずれかに該当する場合に、調停を行う。
一.関係当事者の双方から、労働委員会に対して、調停の申請がなされたとき。
二.関係当事者の双方又は一方から、労働協約の定めに基づいて、労働委員会に対して調停の申請がなされたとき。
三.公益事業に関する事件につき、関係当事者の一方から、労働委員会に対して、調停の申請がなされたとき。
四.公益事業に関する事件につき、労働委員会が職権に基づいて、調停を行う必要があると決議したとき。
五.公益事業に関する事件又はその事件が規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために公益に著しい障害を及ぼす事件につき、厚生労働大臣又は都道府県知事から、労働委員会に対して、調停の請求がなされたとき。

第十九条
労働委員会による労働争議の調停は、使用者を代表する調停委員、労働者を代表する調停委員及び公益を代表する調停委員から成る調停委員会を設け、これによつて行ふ。

第二十条
調停委員会の、使用者を代表する調停委員と労働者を代表する調停委員とは、同数でなければならない。

第二十一条
使用者を代表する調停委員は労働委員会の使用者を代表する委員(中央労働委員会にあつては、一般企業担当使用者委員)又は特別調整委員のうちから、労働者を代表する調停委員は労働委員会の労働者を代表する委員(中央労働委員会にあつては、一般企業担当労働者委員)又は特別調整委員のうちから、公益を代表する調停委員は労働委員会の公益を代表する委員(中央労働委員会にあつては、一般企業担当公益委員)又は特別調整委員のうちから労働委員会の会長がこれを指名する。
②.労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方において中央労働委員会が処理すべき事件として政令で定めるものについては、中央労働委員会の会長は、前項の規定にかかわらず、同条第一項に規定する地方調整委員のうちから、調停委員を指名する。ただし、中央労働委員会の会長が当該地方調整委員のうちから調停委員を指名することが適当でないと認める場合は、この限りでない。

第二十二条
調停委員会に、委員長を置く。委員長は、調停委員会で、公益を代表する調停委員の中から、これを選挙する。

第二十三条
調停委員会は、委員長がこれを招集し、その議事は、出席者の過半数でこれを決する。
②.調停委員会は、使用者を代表する調停委員及び労働者を代表する調停委員が出席しなければ、会議を開くことはできない。

第二十四条
調停委員会は、期日を定めて、関係当事者の出頭を求め、その意見を徴さなければならない。

第二十五条
調停をなす場合には、調停委員会は、関係当事者及び参考人以外の者の出席を禁止することができる。

第二十六条
調停委員会は、調停案を作成して、これを関係当事者に示し、その受諾を勧告するとともに、その調停案は理由を附してこれを公表することができる。この場合必要があるときは、新聞又はラヂオによる協力を請求することができる。
②.前項の調停案が関係当事者の双方により受諾された後、その調停案の解釈又は履行について意見の不一致が生じたときは、関係当事者は、その調停案を提示した調停委員会にその解釈又は履行に関する見解を明らかにすることを申請しなければならない。
③.前項の調停委員会は、前項の申請のあつた日から十五日以内に、関係当事者に対して、申請のあつた事項について解釈又は履行に関する見解を示さなければならない。
④.前項の解釈又は履行に関する見解が示されるまでは、関係当事者は、当該調停案の解釈又は履行に関して争議行為をなすことができない。但し、前項の期間が経過したときは、この限りでない。

第二十七条
公益事業に関する事件の調停については、特に迅速に処理するために、必要な優先的取扱がなされなければならない。

第二十八条
この章の規定は、労働争議の当事者が、双方の合意又は労働協約の定により、別の調停方法によつて事件の解決を図ることを妨げるものではない。


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