○○君のひとりごと 2

ちょっとひといき
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最近の地価動向とその行方

2011年01月27日 | ㈱富山不動産 代表取締役
※この記事は平成22年1月30日に発行された宅建富山支部報 第27号に寄稿した文章を転載したものです※
平成21年7月1日時点の都道府県地価調査によると、 平成20年7月以降の1年間の地価は、厳しい景気を反映して全国平均で下落(▲4.4%)となり、住宅地・商業地を含む全用途で前回よりも下落幅が拡大しました。
富山県の地価平均変動率は全用途平均で▲5.5%(前年▲3.6%)の下落となっており、平成5年から17年連続の下落となり、下落幅はより拡大しました。
富山市と高岡市においては、市街地と周辺住宅地において、地価の二極化が進行しています。
県西部の辺縁部(氷見市、小矢部市、南砺市)や県東部の辺縁部(朝日町、入善町)では、人口の減少や老齢人口割合の上昇に伴い、住宅地需要が乏しくなっており、地価は大幅な下落傾向を示しています。
県内商業地の今回の県平均変動率▲5.8%は、平成20年地価調査の下落率(▲3.4%)平成21年地価公示の下落率(▲4.7%)を上回る下落となりました。
昨年後半のリーマン・トヨタショック、株安、円高等による実体経済の悪化や雇用不安等を反映して、価格帯上位の商業地の成約が急減しています。
富山市では、富山駅前地区において、サブプライムローン問題に端を発した景気悪化により、新興ファンドの参入は皆無の状況となっており、また、地元資本の動きも鈍く、地価はやや下落傾向を示しています。
西町・総曲輪地区において、「総曲輪フェリオ」開業の効果も次第に薄れつつあり、また、不況の影響から、客足も落ち込んでいるが、路面電車の環状線化に対する期待もあり、中央通り商店街を除き、小幅な下落となっています。
高岡市では、新幹線駅が予定されている駅南地区を除けば、消費不況と顧客の減少から、地価の下落幅に拡大が見られます。
その他の小規模都市においては、人口の減少や高齢化が進み商圏が先細り傾向にある辺縁部の町で、既成商業地域全体に地盤沈下傾向が強く、商業施設の新規立地意欲も乏しいことから、地価水準は下落傾向を強めています。
結果として富山県の全国での下落の総合ワースト順位は第7位となりました。
実は、富山県は平成16年に全国第1位の下落率を示した実績があります。
その年から現在までの下落順位は下記の通りです。
*地価公示は国土交通省が所管する毎年1月1日(価格時点)の価格をその年の3月20日頃に発表するものです。
地価調査は、各地方公共団体(都道府県)が所管する毎年7月1日(価格時点)の価格をその年の9月20日頃に発表するものです。
では今までにピークの時の価格からどの程度まで下がったのでしょうか?
各市町村の過去の地価公示、地価調査地点の最高価格地点における推移を次の表のように作ってみました。
は、この後地価はどこまで下がるのでしょうか?
残念ながら、この質問に対する答えは、現在どこにも公表されておりません。
ただ一つのヒントとして「地価比率論」というのがあります。
簡単に言ってしまうと、一国の土地価格の総額はその国のGDPにほぼ一致するというものなのですが、もちろん理論的には何の根拠もなく、ただ米国と英国の土地価格総額がたまたまその国のGDPに近い値であるということを根拠としているというものなのです。
では、仮にそうだとすると日本の状況はといいますと、バブルピークの時の土地価格の総額はほぼ2,500兆円といわれていましたので、その時のGDPは今とほぼ同じの500兆円でしたから、5倍程度高かったと言うことになります。
確かに上表のように現在の富山市や高岡市の最高価格地域の一部は、もう既にピーク時の1/5を下回ってしまって、今や1/10に近づこうとしています。
中心市街地の価格の分布を見ていると、ピーク時は最高価格地点が高くそびえ立つような形で表通りと裏通りは二倍以上の価格差が見られる地点が多く、急峻な山脈が連続してそそり立つといった感じでしたが、最近はどこが最高価格地点なのか点で示すよりも広い範囲で高位地点が面的に並んでいるみたいで、老齢化した山脈によく見られる頂上が平たく盛り上がった比較的平坦な傾斜の連続といった形に見えます。
この形の推移は偶然にも、何故か老齢化を象徴する人口ピラミッドの頂上部分の形の推移と類似していると思います。
住宅地は、未だ1/2前後というところが多いので、この考えから行けば、これからは住宅地の価格の下落が続くのかとも考えられます。
最近目立つ新設の住宅団地の価格低下傾向も何となく頷ける節もあります。
直近のデーターは分かりませんが、我が国の最近の土地価格の総額はほぼ1,400兆円程度と思われますので、それでもこの理論からいけば全体で未だ1/3程度までの下落を予測しています。
しかし、H8時点の六大都市の地価は、理論地価と言われ土地価格の下限を示すと言われる収益還元価格を下回っており、現行の地価は下がり過ぎだという方もおられます。
H14の時点で既に経済白書は、下げすぎであると言っています。
経済原則は一物一価(中国では一物百価と揶揄されていますが)ということなのですから
土地の価格も世界的な一物一価の流れに乗って均衡点まで下がり続けるのでしょうか?
しかし、アメリカはサブプライム等で最近は値下がりだそうですが、それまでは日本のバブル崩壊中も下げ知らずでしたし、今や一時言われていたように日本は世界一の土地高や高賃料の国ではなく、とっくに英国やシンガポール等にその位置を明け渡してしまっています。
バブル崩壊期直後には、何時までもこんなに下がり続ける筈が無く、そのうち又値上がりしてくるだろうと土地神話を信奉しておりました。
こんなに長くここまで下がり続け、未だその先が見えないという現在、私達はもうそろそろ、土地価格の下落の続く社会での経済や社会システムを真剣に考え直さなければいけないのではないでしょうか?
右肩下がりとよく言いますが、人口減による社会の縮小スタイル(都市計画区域・市街化区域の縮小、宅地の農地化、農地の林地化、コンパクトシティ構想、空地・空き家の共有地化・入会地化・・・・)もよく見えませんが、土地本位制といわれる私達の社会や経済は土地価格の継続的な下落によりどのように対応すべきなのかもよく見えていません。
将来、土地価格が下げ止まって安定化した社会が来たときに、今までの反省をどう活かすのかその姿も全く見えていません。
又、再び土地価格の高騰が経済を牽引し、バブルとその崩壊を繰り返す社会なのか?「足るを知る」資源節約型の社会なのか?それともそれらのハイブリッド型なのか?
日本の土地価格が高いと言うことが外国資本に言わせると重大な参入障壁であるといわれ続けてきましたが、土地価格が下がったことで、果たして外国資本の参入が盛んになったのでしょうか?
土地価格が高いと言うことが公共事業の阻害要因と言われてきましたが、公共事業はこのところ税収不足等で土地価格がこれだけ下がっても、逆に減るばかりです。
土地担保融資制度はどうなるのでしょうか?都市再開発や土地区画整理事業等は開発後の土地価格の上昇を前提に組み立てられていますが、これからも機能できるのでしょうか?
土地価格の低い事が低コストを実現して今の時代が指向している「持続可能な社会」(Sustainable Society)の実現に結びつくのでしょうか?
人類は原人レベルで100万年前頃に誕生し、定着して農耕が行われた弥生時代(前10世紀~後3世紀)に初めて土地の所有概念(不動産)が生まれ、大化の改新(645)で全て天皇のもの(公地公民)となり、墾田永代私財法(743)や荘園によって私有化されつつあった土地も太閤検地で全て領主のものとなり、明治5年田畑永代売買禁止令の解除によって、ようやく今日に至る土地の私有の歴史が始まったといってよいと思います。
私達が知っている土地の私有による価格の歴史は、実に140年程度のものに過ぎなく、更に戦後の農地解放以降から言えば60年程度の歴史ですから、もっともっと長い長い将来を見据えた仕組み造りが求められていると思います。
土地の流通市場を生業とする私達は、社会の活性化を提言しながらしか生き残りがはかれません。
不動産のあり方を考えることは、私達の将来を考えることです。
不動産の問題を解くことは、現下の経済の問題を解くことになります。
不動産取引の専門家である私達不動産業者が、ほんの少しずつでも、自動的に社会がよい方向に回転していくようなより良い社会のシステム作りの議論を重ね、いろいろと社会や政治に提案・提言できるようになりたいものです。
以上

 

 

 

(株)富山不動産 代表取締役 堀江 行一

 


あけましておめでとうございます

2011年01月09日 | 利長くん

本年の営業を開始いたしました。ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

コイツも元気です。

 

さて、1月のチラシが完成いたしました。来週の富山情報に折り込まれます。

今回は、お正月をイメージして華やかさを出してみました。

当社事務所の外箱及び奥田の無人情報館でも配布しております。