無題

mixiに閉じこもってるのが嫌だったので日記をgooブログに移動してみました。

上海紀行・4日目(前半)

2010年02月28日 22時05分30秒 | 旅行
(2007年9月にmixiで掲載していた日記の再掲です)

 …ふわぁ……
 目覚めると、ベッドの上でした。
 昨夜、紹興酒を空けなければという義務感に駆られながらも、ついつい眠気に負けてしまったような記憶がかすかにあるのですが、いつのまにかベッドに移動していたようです。
 そーいや、外出していたC君は、結局呑んでる間には帰ってこなかったんだっけ…と思ってC君が使っているベッドに目を向けてみると、いつの間にか戻ってきていたようで、布団にくるまって寝ていました。
 O氏も未だ睡眠中。
 今朝も少々早く起きすぎたか…ま、ぼちぼちと朝の用意してよ。
 まずは昨夜の後かたづけを。
 テーブルには、昨夜のまま、呑みかけのグラスと紹興酒のボトル、ピスタチオが置かれています。
 グラスには1cmほどの紹興酒が残っていました。
 残すのはもったいないけど、さすがに朝から呑むわけにもいかんよなぁ、と思いつつグラスをのぞき込むと…
 …体長数ミリの小さな黒くて平べったい虫が浮いています。(@_@)
 う、うーむ…こいつらどれだけ酒好きなんだか。自他ともに認める酒好きの自分ですが、さすがにアルコールのプールにダイブしたいと思ったことはありません。^^;
 しかし、目に見えるところに出てこそきていませんが、こーゆーのが徘徊していると思うと、グラスの中身はもちろん、わずかに残ったボトルの中身も、テーブルに出したままのピスタチオにも手を付ける気になりません。
 もったいないけど、全部処分。(/_;)

 やがて起き出してきたC君の話によると、C君が帰ってきた夜中の2時半には、すっかりソファーに座ったまま寝込んでいたとのこと。
 声をかけたけれど、まったく起きる気配がなかったので、そのまま放置されていたらしいのですが…いつの間にベッドに移動したんでしょ。^^;

 5人そろって朝食へ。
 東亜飯店では初めての朝食ですが、さすがに2日目の早朝に持たせてくれたパンとゆで卵だけってことはないよなぁ…
 食堂へ行ってみると、義烏の大東港ホテルと同じようなバイキング形式の朝食でした。
 並んでいる品も、多少の違いこそあれ、まぁ似たようなもの。全体的には、ちょっとだけ義烏のホテルの朝食の方がレベル高いかも。
 お粥、炒飯、上海焼きそば(炭水化物ばっかり…^^;)、サラダ、コーヒーを選択。

 今日は、午前中に上海博物館へ、午後からは上海では有名な観光地らしい(全然知りませんでした)預園へ行くことになりました。
 博物館までは、南京東路を人民広場駅方面へ。人民広場駅から大通りに沿って10分ほど歩いた辺りです。
(この辺り一帯を人民広場と呼ぶようです)
 博物館の周囲は公園になっており、同じ一角には中国共産党の旗がはためく市庁舎もありました。
 O氏が、建物をバックに記念撮影しています…(@_@)
 うーむ、自分にゃ、そんな度胸ありません。^^;

 博物館の入り口(実は裏口だった模様)近くは、ちょうど日陰になり、風通りのよい造りになっているので、入館を目的としていないような人たちも涼みにきていて、なかなかの賑わいです。
 外国人も多いのですが、上海は中国国内にとっても有名な観光地ですので、中国国内の地方からも大勢の中国人がやってきています。もちろん自分たち以外の日本人も訪れていますよ。
 入館料20元を支払って入館。
 博物館は、4F建てで、中央部が吹き抜けになっています。
 フロア毎に、ひとつかふたつの展示スペースがあり、陶磁器・絵画・印鑑・貨幣・民族衣装・家具調度調などに分けて展示がなされていました。
 一応、日本の博物館にもあるような「触るな」「撮影禁止」などと書かれた注意書きがあるのですが…
 向こうで誰かがパシャリ。
 すると、それを見た別の人もパシャリ。
 するとさらに…結果的に、あちらこちらでカメラを構えた人が。
 警備員もいるにはいるのですが、さすがにこれだけの人数を相手にするには数が足りず、皆、見て見ぬ振りです。^^;
 個人的なお気に入りは、民族衣装。
 派手な色使いの、華美な衣装やかわいらしい衣装。白や黒を基調とした、質素な衣装や洗練された衣装。実に様々な衣装が並んでおり、見ていて飽きません。
 しかし。まぁ、要はそれだけ多くの民族の集まりだというわけで。
 中国がしきりと口にする「ひとつの中国」。主に台湾独立問題に関して使われていますが、台湾の独立を認めると、それに続いて他の地域も独立を計り、一夜にしてソ連崩壊の二の舞にならないとも限らないとなると、締め付けに躍起になるのもむべなるかなという気もします。
 まぁ、それでも、個人的には台湾は中国ではないと思っていますし、チベットへの弾圧は乱暴すぎるやり口だと感じていますが。

 そんなことを考えながら館内を回っていると、突然、わいわいと騒がしい一団が展示スペースに入ってきました。
 2、30人の一団は、仲間内同士、辺りはばからない声で会話しながら、両側の展示には目もくれず、順路の真ん中を早足で歩き去っていきました。
 あっという間に、話し声も聞こえなくなります。
 語感から察するに、韓国からのツアーご一行様のようです。日本の旅行会社のツアーも、観光地をつれ回されるだけでゆっくり鑑賞する暇もないとは言われますが…さすがに単なる移動経路でも、もう少しのんびり歩いていると思います。
 あのペースなら、この博物館も10分足らずで回ってしまえるのではないでしょうか。
 うーむ、熱いお国柄というかなんというか…^^;

 博物館を出た頃には、ちょうどお昼時。
 大通り沿いのいくつかの飲食店をのぞいてみましたが、どこも混雑しています。
 ようやく、大きな商業施設ビルの6Fにあるフードコートに席を確保できました。
 フードコートもかなり広く、中華をはじめ、台湾、韓国、和食(?)っぽい店が並び、麺、定食、鉄板焼、丼…と、目移りするばかりの料理が提供されています。
 店内を3周ほどしたでしょうか。迷いに迷ったあげく、台湾風の料理を提供している店の、お皿に盛ったご飯の上に、鶏肉と豚肉の薄切り、青菜を乗せ、餡をかけた一品に決めました。
 身振りで、その品をひとつ欲しいと伝え、料金を払おうとしたときのこと。
 20元だったのですが、あいにく100元札(+小銭数元)しか手元になく、100元を差し出すものの、店のおばちゃんは、差し出す現金に手を振って受け取りを断り、店の外のどこかを指さしています。
 お釣りがないのかな?
 怪訝そうな顔をしていると、おばちゃんは店から出てきて、こっちへこいと手招き。促されるままついていくと、フードコート中程にある案内所のような所へつれて行かれました。
 …なんだろ。通訳の人なんでしょうか?

 …

 …えーと、つまり、ここで100元のプリペイドカードを購入して、店へはそのカードで精算しろと。
 で、使い終わったら、またここへカードを持ってきて、残額を精算すると。
 了解しました。(`・ω・´)

 とりあえずカードを購入。
 店に戻り、20元を引き落とし。
 料理とカードを受け取り、精算へ。

 カードを購入したところへ戻り、カードを係のお姉さんに手渡します。
 カードを受け取ったお姉さんは、一瞬顔をしかめると、カードに付いていた水滴を指で拭ってから読み取り機に差し込みました。
 そ、ソーリー…って、自分が濡らしたわけじゃないんだけど。^^;
 表示部には残額を示す「80」の数字が。
 100-20=80。うむ、計算通りです。
 当然80元を返してくれるものと思いきや、なぜか係のお姉さんは、こちらに何かを要求している様子です。
 使った20元支払えばいいのかな?
 とりあえず、もう1枚の100元札を取り出してみせると、それも違うと首を振ります。
 メモ用紙に「20」という数字を書いて、それをこちらに見せています。
 んー、20元支払って、一度、元の100元に残額を戻してから、改めて100元として精算するシステムなのでしょうか。
 20元受け取って100元返すのも、今、80元返すのも同じような気がするんですが。
 とにかく、お姉さんは20元を要求しているようです。
 自分の手元には100元札しかありません。
 100元渡すから、お釣りの80元と精算後の100元返して。
 お姉さんは、首を横に振ります。
 じゃぁ、まず100元を両替して。
 お姉さんは、首を横に振ります。
 …どないせいっちゅうねん。(っ゜∀゜)っ
 自分とお姉さんは顔を見合わせてお互いに苦笑い。

 そこでようやくお姉さんが小さく肩をすくめて、カードを受け取って80元を返金してくれました。
「謝謝!」
 笑顔で手を振る自分を、お姉さんは苦笑いのまま見送ってくれました。
 中国に来てから、ずっとやられっぱなしでしたが、初めて勝利をおさめた気分です。ヽ(´ー`)ノ

 席に戻ると、それぞれ他の人も料理を受けとってきていました。
 F氏とI氏は、ウナギのひつまぶし風(?)定食。
 O氏は親子丼。
 C君は…なんだっけ。さすがに3ヶ月近く経つと記憶が…^^;
 自分のは、まぁ、ふつうにおいしくいただくことができました。
 他の4人は、皆同じ店で買ったらしいのですが、形式上は、日本風の料理をメインに提供している所みたいです。
 メニューも、ウナギや親子丼といった、日本でもおなじみのものなのですが、やはり、日本の味になれている分、微妙な味付けの違いが気になるようで、F氏もI氏もO氏も、
「まずいわけじゃないんだけどなぁ…」
 と、首を傾げつつ食べていました。

 …しかし、今年の夏はといえば、中国産のウナギから抗菌剤やらなにやらが検出されて、日本のスーパーのウナギ売り場から中国産のウナギが消えるという異常事態が起きていたのですが。
 よく、F氏もI氏も、中国に来てウナギ食べる気になったなぁ…

 さ、午後からは上海きっての観光地、預園へ繰り出します。
(後半へ続く)

上海紀行・3日目(後半)

2010年02月28日 22時02分34秒 | 旅行
(2007年9月にmixiで掲載していた日記の再掲です)

 食事の後、今度はちょっと外出。
 自宅ではナイトキャップが習慣になっているのですが、今夜からはこのホテルに連泊になるため、アルコールをちょっと大きめのボトルで仕入れてこようという魂胆です。
 向かった先は、初日にも飲み物を買いに行った、地下の食料品売場。そのときにしっかりアルコールの陳列コーナーの場所も確認済みです。( ̄ー ̄)
 中国の人もお酒好きと見え、棚にはずらっとお酒の瓶が並んでいます。老酒、紹興酒、白酒…その他、どんなお酒なのか見当もつかないようなものも。
 価格は驚くほど安い。
 500ml前後の瓶に入っているものが多いのですが、安いものは3元前後から、高価なものでも十数元。日本円で50円~300円といったところ。
 …こりゃぁ、誰でも呑むわ。ハリウッド進出前のジャッキー・チェンの映画に出てくる、大酒のみの赤鼻の師匠の顔が目に浮かびます。^^;
 珍しい種類に手を伸ばしてみたい衝動にも駆られますが、結局は味の想像できる紹興酒の中から、今日明日で呑むことを想定して、500ml入りのものを選びます。価格は3.6元…日本の1/10以下ですね。^^;
 併せて、ミネラルウォーターを何本かと、つまみにピスタチオを購入。肉や豆腐に味を付けて煮たり焼いたりしたような真空パックされたものがおいしそうだったのですが、全て冷蔵ケースに並べられていたので、冷蔵庫のないホテルの部屋には置いておけず断念しました。

 部屋に戻ってくつろいでいると、外出していたC君が、ふたりの学生を連れて戻ってきました。
 ふたりは、C君の留学生仲間の、R君とWさん。R君はさわやかな好青年、Wさんは活発なお嬢様といった雰囲気です。
 今日は、これから上海の電脳市場を案内してくれることになっています。

 旅行前に下調べしたところによると、上海には、日本で言えば秋葉原に代表されるようないわゆる電脳街はないそうなのですが、徐家匯という所に、ひとつのビル全てに電脳系の小売店が集まった「電脳城」と称される施設があるとのこと。
 徐家匯まではタクシーで移動します。
 義烏ではジェットコースターに匹敵するほどのスリルを味わいましたが、さすがに上海は交通量も多く道も入り組んでいるので、それほど無茶な運転はできません。比較的安心して乗ることができます。
 …あくまで義烏と比較しての話ですが。^^;
 2台のタクシーに分乗して訪れた徐家匯は、商業地とあってビルが建ち並び、それほど日本の市街地と変わらない様子です。(吉野家や味千ラーメンもあります)
 F氏とI氏は電脳系グッズには燃えないらしく別行動に。
 O氏・C君・R君・Wさん、そして自分の5人で、電脳城へ乗り込みます。
 入ってすぐの区画は、有名メーカー製の正規品、ノートパソコンやデジタルカメラ、携帯電話、音楽・動画プレーヤーなどを扱う店が並んでいます。
 この辺りの製品は、日本でも入手できるものがほとんどですし、ざっと眺めた範囲では安くもありません。携帯電話には興味があるのですが、日本に持ち帰ったところで使えない…そんなわけで、さっさと先に進みます。
 ビルの奥の方へ進むに従って、日本では見かけることのないメーカーの製品や、パーツ単位の小物を扱う店が増えてきます。
 まず目に留まったのが、家庭用ゲーム機、任天堂Wiiのコントローラーを充電式に変える充電池と充電器のセット。中国では、まだWiiは売られていないはずなのですが…誰に向けて売っているのでしょう?
 日本で買って持ち帰る人がいるにしても、小売りベースで利益が出るほど出回っているとは思えないのですが。^^;
 他にも、任天堂DSやSONYのPSP向けの小物がちらほらと…アヤシイ。
 …とはいえ、ここの店頭を見る限りでは、コピーしたソフトが堂々と売りに出されているといった風景は見られません。ちょっと安心したような、がっかりしたような。
(店員に声を掛ければ出てきそうな雰囲気はなきにしもあらず…ヾ(-_-;) )

 日本人として珍しいところとしては、韓国SAMSUNのデジタルカメラがありました。
 最近のSAMSUN製品に多いピアノのような表面仕上げは好みではないのですが、薄型・大画面液晶搭載と、日本でも売れ線になっているポイントをしっかり押さえているようです。触っていると凄い勢いで店員が話しかけてくるので詳しい機能まで把握できませんでしたが…
 いろんな理由(^^;)で、日本国内では人気の出ない韓国メーカーは、日本国向けには限られた製品しか提供していませんが、製品発表会など見ていると、世界へ向けていろいろと面白そうな製品を送りだしているようです。中には日本でも売れそうなモノもあるんですけどねぇ。
 個人的には、懸命に売り込みをかけている車よりも、デジタルグッズに力を入れて売り込んで欲しいのですが。(HYUNDAI車の悪口ではありませんので。〉F氏^^; )

 なにやらアヤシげな品物がないわけではないのですが、その多くは、マウスなどのちょっとした小物に、著名なキャラクターやメーカーロゴを組み合わせたもの。まぁ、日立やパナソニックのロゴが入ったマウスなど、ネタとしては笑いが取れるかもしれませんが、わざわざ買うほどのモノでもないし…
 ちょっと期待はずれだったかなと思いはじめた頃、ようやくアヤシさたっぷりのモノを見つけました。
 最近のデジタルグッズは、パソコンのUSB端子を電源にできるモノが増えており、それらの製品向けに、USB端子と同じ電力を供給するバッテリーパックが売られています。これがあれば、それらのグッズがパソコンのない環境でも使用できたり充電ができたりする、この手のモノを持ち歩く人間にとっては便利な道具です。
 日本国内では、容量2000mA(単三乾電池2~3本程度)程度のモノが3~4,000円デ売られています。
 中国で見つけたソレは、なんと9800mA!
 本体サイズも手のひらにおさまる程度ですし、ホントにこのサイズでこの容量を実現できているのだとすれば、携帯機器のバッテリーに革命を起こせるのでは…^^;
 価格を尋ねてみると、100元程。日本で流通しているモノと比較して、コストは半分、容量4倍。
 …ありえねぇ。
 ま、容量を1/4と見積もっても、日本の半値。とりあえず買っておくことに。( ̄ー ̄)

 その後、一通り建物の中を見て回りますが、個人的には、あまり興味をひかれるモノは見つかりません。
 あえて挙げるとすれば、手のひらほどの大きさの手書き入力デバイスでしょうか。日本も中国も多様な文字を使用する漢字文化圏。文字の入力にも日本と同様の苦労があるようです。
 中国では、キーボードとも画面とも独立した、漢字認識専用の入力機器が幾種類も陳列されていました。
 日本でも一部で手書き入力が使われていますが、補助的な使い方がほとんどで、けして一般的とは言えません。中国では、これだけの種類の品が並んでいるところを見ると、入力方法のひとつとして一定の地位を得ているのでしょうか。
 もちろん購入しても日本では使い道がなさそうなので買いませんでしたが。^^;

 ふと思いついて、キーボードを取り扱っている店はないかとR君にたずねてみます。
 中国で使われているキーボードは通常の英語配列であり、カナ入力を行わなければ日本で使うのになんの支障もありません。
 最近、精度の高い部品を使って作られた、高級キーボードが欲しいなと思ってはいるのですが、1万円から2万円を越える価格になかなか手が出ずにいます。中国で同様のものが安価に入手できるのではないかと期待したのですが…
 R君が見つけてくれたそのお店。パソコンとは縁のなさそうなフツーのおばさんが、次々にキーボードを棚から取り出しはじめました。
 残念ながらどれも自分が探しているようなキーボードではないのですが、こちらの反応などお構いなし。わざわざ箱を開け、中身を取り出して見せてくれます。
 …これ以上見せてもらっても、手間掛けさせるばかりだし、そろそろ引き上げようかと思いはじめた頃、ちょっと気になるキーボードが。いわゆるコンパクトサイズのキーボードです。
 コンパクトキーボードというだけなら日本にも(…日本だからこそ?)フツーに売っているのですが、他の国ではあまり需要がないのか、日本語配列のモノばかりなのです。
 自分は、英語配列のキーボード(日本語配列とは一部記号の配置が異なるのと、日本語入力にしか使用しないキーが省かれている)の愛用者です。そして、前述したように、中国のキーボードは英語配列。
 これは…ちょっと欲しいかも。
 価格を尋ねてみると、150元とのこと。
 個人的には、その価格でO.K.だったのですが、すかさずR君とWさんが値下げ交渉開始。
 …いや、もうね。(@_@)
 ホント、あまりの激しいやりとりに、このおばさんが気を悪くして、もう売ってくれなくなるんじゃないかと。
 結果的には、10元の値引きに。
 商談がまとまった後のおばさんは、先程までの激しい口調がどこへいったのかと思うほどの満面の笑み。
 レーザーポインタ&偽札判定ライトまでオマケに付けてくれたところを見ると、価格交渉はおばさんの完勝だったということでしょう。
 …R君&Wさん、お疲れさま。でも、絶対にあのやりとりには10元以上の労力がかかってると思うよ。^^;

 その後、自分はmicroSD(2GB)を購入して、買い物終了。
 一緒に回ったO氏は、iPod(?)や、USB接続のドラえもん型扇風機などを購入していたようです。
 また、ここで購入した品物は、持ち手のついたビニール袋に入れてくれるのですが、その袋…日本で名の知られた有名小売店のロゴが入っています.
 九州中心に展開している安売りスーパーとか、広く展開しているドラッグストアとか。
 袋の製造を中国で行っているのでしょうが、まさかこんなところに出回っているとは誰も思っていないでしょうね。^^;

 店の外に出ると、そこにはややうんざりした様子のF氏とI氏が。
 店の前で、観光客目当ての時計売人につきまとわれていたとのこと。…お疲れさまでした。^^;

 
 さて、その日の夕食は、案内してくれたR君を招いて(Wさんは残念ながら別件の予定があるとのこと)、南京東路に面した中華料理屋を訪れました。
(店名、全く確認せず…)
 きらびやかに飾られた入り口。
 店内にはチャイナドレス姿の案内係。
 重厚な作りの円卓。
 うーむ、Tシャツ&ジーンズ姿で入るのが躊躇われる。^^;
 鶏肉や卵、豆腐、蟹などを使った料理は、どれも割合あっさりとした仕上がり。こういうのが上海風なのでしょうか。上海は海に近い印象がありますが、魚料理はあまり食べられていないようです。
 すでに何度も中国を訪れているF氏によると、食べ物は全般的に広州の方がおいしいとのこと。ちなみに、オリンピックを控えた北京は、料理についてはイマイチだそうで。
 そこに運ばれてきた一皿。
 皿の上には、黒っぽい木の枝が折り重なったような代物が。
 …鳩の丸焼きでした。クチバシが突き出した頭も付いてます。(@_@)
 一切れつまんでみると、鶏肉よりも濃厚な味わいで、ややグロテスクな見た目を気にしなければおいしいと言っていい味です。日本の焼鳥屋で食べたスズメなんて比べものにならないくらい。
 ちょっと腰の引けているO氏は、F氏に推され、どうにか一切れだけ口に。顔の前に差し出された鳩の頭に見つめられながらとあって、とても味を感じるどころではなかった様子です。
 I氏は断固として拒否。…おいしいのに。
 観光客も訪れる中華料理店としては中程度のランクの店だと思われますが、料理は一品数十元程度とお手ごろ価格でしたよ。

 C君とR君は、地元の学生の集まりがあるとかで、店を出た後は別行動。
 自分とO氏、F氏とI氏は、それぞれの部屋に戻りました。
 さて、部屋に帰ってからは、第二のお楽しみが待っています。
 テレビ近くのソファーに陣取り、昼間購入していた紹興酒とピスタチオをテーブルに。文庫本とPDAを並べて、準備完了。
 いざ、紹興酒を開け…
 …
 …おぉっ!? (@_@)
 瓶の口を覆ったフィルムの下から現れたのは王冠でした。
 うーむ、日本で見かける紹興酒の瓶はスクリューキャップばかりなので、すっかり油断してました。
 栓抜きなんて持ってきてないし…フロントで借りようにも、C君は外出中。あの応対のフロント相手に、身振り手振りで太刀打ちできるのでしょうか。
 途方に暮れているところに、
「開けてみましょうか」
 と、ポケットからキーホルダーを取り出しながらO氏。
 瓶を受け取ったO氏は、鍵を王冠の隙間にこじ入れ、少しずつ王冠を広げていきます。
 …開いた!
 O氏、すごい。自分が女性なら惚れてたかも。

 あー、でも、これじゃもう蓋はできないなぁ。そっかぁ、今日と明日の二晩かけて呑む予定だったのに、今夜で呑み切っちゃわないといけないのか。まー、でも、しょうがないよなぁ。(*´∀`*)

 そうして、中国での3日目が更けていくのでした。

上海紀行・3日目(前編)

2010年02月28日 22時00分40秒 | 旅行
(2007年9月にmixiで掲載していた日記の再掲です)

 朝。
 普段はけっして朝に強いわけではなく、どちらかといえば寝坊することの多い自分なのですが、なぜか旅行中は早く目が覚めてしまいます。
 夜中にも何度か目覚めることがあり、そのたびに、また布団に潜り込んでいたのですが、5時過ぎに目が覚めてしまったときには完全に目が冴えてしまいました。
 さすがにこの時間帯にバタバタするのは他の人に悪いので、しばらくは、徐々に明るくなっていく窓の外を眺めたり、旅行中にあった出来事を記録したりと、静かに過ごします。
 6時をまわり、そろそろ大丈夫かと、シャワーを浴びたり、荷物をまとめたりしていたその時…
 部屋の戸をノックする音が聞こえます。
 時刻を確認すると、まだ6時半。
 朝食の案内にしては早すぎるけど…と、ドアの外を覗いてみれば、そこにはF氏とI氏が。
「朝食の待ち合わせ、6時半やったかね?」
 と、F氏。
 …違います。7時半です。まだ食堂も開いてませんし、O氏もC君も眠ってます。
 話を聞くと、F氏にいたっては、すでに朝の散歩まで済ませてきたとか。
 自分も5時過ぎには目が覚めていたことを話すと、F氏は、散歩に誘いに来ればよかったねと言った後、さらに、
「年取ると、目が覚めるのが早くなるとやろ」
 えーと、この場合、その「年取る」側に自分も含まれてるってことでしょうか。自分の中では、O氏やC君に近い立ち位置にいるつもりだったんですが…^^;
 その後、パソコンをいじったり、話をしたりして食事の時間を待ちましたが、結局、O氏とC君が起きたのは、本来の約束した7時半まで10分を切ってからでした。

 食堂へと向かいます。
 朝食はバイキング形式になっており、中国での定番の朝食であるお粥をはじめ、炒飯や焼売、パンに果物、コーヒーに紅茶、オレンジジュース、目玉焼きにゆで卵と、中洋とりまぜた内容でした。
 白飯に味噌汁、焼き海苔に生卵、梅干し…という和風なメニューは無理なようですが、まぁ、これだけのものが揃っていれば、どこの国から来た人も、食べ物に困るということはなさそうです。
 自分は、お粥に炒飯(どっちも美味しそうだったんで…^^;)、おかず少々と、コーヒー。
 コーヒーは、ポットに入っているのですが、最初から砂糖とミルクが混ぜられていて、普段ブラックコーヒー派の自分としては、ちょっと残念でした。

 食事を終え、9時前にチェックアウト。
 義烏駅までの移動は、やっぱりタクシー。今度のタクシーでは、あまり恐い思いをしなくて済めばよいのですが…
 ホテルから道を挟んだところに、タクシー乗り場らしきものがありました。
 停まっていたタクシーは1台。話を持ちかけると、5人一度に乗って駅まで40元でどうかとの提案が。
 昨日の2度のタクシー利用で、駅から中国義烏国際商貿城までのタクシーでは、メーターが壊れていると理由をつけ、通常より高い金額を請求されたことに気づいていたので、F氏がメーターを使うことを要求します。
 タクシーの運転手も同意し、さっそく乗り込みます。
 運転は…
 …
 …ま、みんな似たような運転なんで。はい。^^;
 今回の一番の犠牲者は、助手席に座ったF氏でした。
 でも、なんの説明もなく、タクシーの運営所みたいなところに立ち寄って、ひとりで車を降りていくのは勘弁してください。運転手さんがいない間、どうしていいのかわからず困惑しました。
(すぐに戻ってはきたんですが…なんだったのでしょう? (@_@))

 そうして、タクシーは駅に到着。
 さて、気になるメーターの示す料金は…
 …41元でした。
 どうやら、今回の運転手は良心的な方だったようで。^^;
 F氏は、お釣りはいらないからと50元を支払い、機嫌よく車を降りました。
 もちろん、運転手も機嫌の悪かろうはずもありません。
 不正な手段で一時的に稼いで信用を落とすより、互いに誠実な取引を繰り返した方が、結果的には利が多いと思うんですが…どこの国にも、違う考えの人たちがいらっしゃるようで。(’・ω・`)

 思っていたよりも、タクシーでの移動に時間がかかり、列車の出発時刻が迫っています。
 駅の入り口では、例によってX線検査が行われており、それほど長くはありませんが列ができています。
 その列に並ぼうとすると、C君が
「大きな荷物がなければ並ばなくていいよ」
 と、その脇を抜けて、さっさと進んでいってしまいます。
 …行きがけに乗るときは、同じ検査受けたよね? 買い物もして、その時より荷物も増えてるんですが。
 結局、検査場のすぐ先で職員に切符を見せると、全員なにごともなく入場が許可されました。
 …
 …中国の基準がわからん。(-_-;)

 待合室に入ると、程なく乗車開始のサインが出ました。
 通路に沿って進んでいくと、突然、引き留める人間を振り払いながら、ひとりの中国人らしいおじさんが待合室側から柵を乗り越えてくる場面に遭遇。
 おじさんは、そのまま、列車のホームに向かって進んでいってしまいました。
 …えーと、このまま、あのおじさんと一緒の列車に乗り込んでも大丈夫なものなんでしょうか。

 と、この文を書いている今、思い返せば当然浮かんでくる疑問。
 ですが、なぜかその時は全くそんなことは浮かんでこず、
(なんだろう、あれ?)
 くらいの気持ちで、列車に乗り込んでしまいました。
 感覚が中国ナイズされちゃってたのかも…^^;

 席に落ち着くと、急にのどの渇きが…バタバタと乗り込んだため、飲み物を準備する暇もありませんでした。
 列車が走り出してしばらくすると、車内販売のカートがやってきました。
 ミネラルウォーターを頼もうとした自分の目に飛び込んできた物が。
『生茶』
 日本でもおなじみ、キリンビヴァレッジの生茶です。
 しっかりとひらがなで「なまちゃ」とルビまでふってあります。
 そりゃもう、買うしかないでしょ。
 ねぇねぇ、中国の緑茶って砂糖が入ってるんだよ。甘いんだよ。信じられないよ。やっぱり緑茶に砂糖入れるなんて邪道だよね。砂糖入りの緑茶を飲まされてる中国の人たちに本当の緑茶のおいしさを教えてやってくれよ。
 多少、妙なテンションになりつつ購入。
 価格は10元でした。
 さっそく飲んでみると…
 …甘い。
 生茶よ、お前もか。(T_T)
 もう、ねぇ…泣きながら飲み干しましたとも。

 行きの列車では向かい合いだった席も、帰りの列車では5人が横一列に並んでいます。
 通路を挟んで声高にしゃべるわけにもいかず(中国の方々は平気みたいなんですが、日本人としてはやっぱりねぇ…^^;)、やがて会話もとぎれがちに。
 2度目の乗車であるせいか、はたまた、昨日今日の強行軍でお疲れなのか、他の方々はやがてウトウト。
 自分も、手には文庫本を持ちつつも、時折ウトウト…
 そんな中での、突然の衝撃シーン。
 制服姿でトランシーバーを手にしたいかつい職員が車内を見回しながら歩いてきました。
 自分の横に来たその時、通路を挟んで座って眠り込んでいたC君の足を、手に持ったトランシーバーのアンテナでパシッとひっぱたいたのです。
 …(@_@)!!
 少々開いた足の膝が通路にはみでていたかもしれませんが、そんな手厳しい指導を受けるような状態ではなかったように思うのですが…
 寝ぼけ眼をこすりながら目を開けたC君と、その職員が何言か言葉を交わします。
 職員が先へ言ってしまった後、C君に話を聞くと、足が通路に出ていたことの注意ではなく、C君側の席に座っているふたり(C君とF氏)が共に眠っていたため、スリに注意するようにとの話だったとか。
 要は、指導ではなく、親切心からの注意であったらしいのですが…
 …日本で生活していると、どうしても、「ありえねー」って気分になってしまいます。^^;

 ま、そんなことがありながらも、無事に上海南駅に到着。
 あの、柵乗り越えおじさんは、いったいなんだったんでしょう。

 上海南駅から、また地下鉄に乗り、人民広場駅へ戻ってきました。
 出口を探して適当に歩いていくと、地下にオールド上海時代の町並みを再現した一角がありました。ここの展示も興味深いものなのですが、その時の一行にとっては、それよりも遙かに重要な施設が!
 トイレ発見。
 そう、上海南駅でも、人民広場駅でも、トイレが見あたらなかったのです。
 中国の特殊なトイレ事情は、日本でもかなり広く知られるようになってきましたが、少なくともホテルやデパートなどを利用した範囲では、ウォシュレットこそないものの、水洗式のトイレが普及しているようです。しかし、駅や公園などの公共の場所には、あまりトイレが設置されていないようで…今回の旅行でも、施設内のトイレを除いた公共の場所では、管理人の常駐する有料トイレをひとつふたつ見かけただけでした。
 余談ですが、他に、日本ではそこら中にあるのに、中国では見かけないものが時計。通りを歩いても、お店に入っても、公園を歩いても、全くと言っていいほど時計を見かけません。こんなところが国民性の違いとして現れるんでしょうねぇ。^^;

 多少の回り道もありましたが、どうにか上海での根城、東亜飯店へ戻ってきました。
 前回のチェックアウトの歳に、戻ってきたときはインターネットに接続できる部屋にしてくれるよう頼んでいたのですが…
 …
 …はい、予想通り。空いてないの一言で、前回と同じ部屋を案内されました。
(ヤバイ…中国式の接客に慣れてきてる…^^; )

 今日の昼食は、ホテルの向かいにある味千ラーメンへ行くことになりました。ここは、日本から出店した日本食レストランで、店名になっている日本風ラーメンをはじめ、カツ丼や定食ものなどが取りそろえられています。上海ではなかなかの人気らしく、この通りだけでも数件の味千ラーメンがのれんを掲げています。
 中国入りして3日目、日本食が恋しくなる頃ではないかとの心遣い(?)から決まった味千ラーメンでの昼食なのですが、自分自身は全く中国の食事が苦になっておらず、もっと中国の食文化を堪能したいくらいの気分だったので、ここでもあえて炒飯を注文。菜っ葉の混じった「翡翠炒飯」です。
 I氏・O氏、そして、なぜか中国人留学生のC君の3人がラーメンを、F氏がカツ丼を注文していました。

 この店の単価は平均して20元をやや超えるくらい。
 地元の店では一食5元~10元程度が多いようですので、それほど庶民的な店というわけではないのでしょうが、昼時を過ぎた今の時間帯でもけっこうな賑わいです。
 隣の席には、高校生くらいの女の子がふたりで来店しており、なにごとか楽しげに会話しています。
 C君によると、髪を染めようかどうかの話をしているとのこと。
 中国ではほとんど髪を染めたり脱色した女性を見かけることはなかったのですが、ファッションの手法としては伝わっているようで…
 中国の女性には(日本の女性にも)黒髪が似合うと思うんですけどねぇ。

 そうしている間に、注文した品が運ばれてきました。
 食べ物のボリュームが大きいのは、日本式のここでも同様のようで、一品一品のボリュームがかなり大きめ。
 来客には食べきれないほどの量をふるまい、出された側は食べ残すことで満足感を表すという中国式のマナーに従えばよいのかもしれませんが、食べ物を残すことに罪悪感を覚える日本人としては、やはり食べ残すことは可能な限り避けたいとの心理が働くわけで…
 …こりゃ、旅行中、太るな。^^;

 食事を終え、ホテルの部屋に戻ると、隣の部屋に入ったばかりのF氏が、こちらの部屋を訪ねてきました。
 部屋を出る時に空調を付けて出たのに、部屋が冷えていないとのこと。そちらの部屋へ行ってみると、確かに部屋の空気は生ぬるく、じっとしていても汗がにじんでくるようです。
 初日に泊まったときから、F氏・I氏の部屋は空調の効きが弱いと感じていたらしいのですが…夕方にチェックインし、明けて早朝にチェックアウトしたため、その時はなんとか耐えられたのでしょうが、今は昼下がりの一番気温の上がる時間帯であり、暑いことが嫌いなF氏は、到底耐えられないようです。
 フロントにクレームを入れると、案外すんなりと代わりの部屋が準備されました。今回の部屋はしっかりと空調も効き、調度の雰囲気もややゴージャスになっていました。部屋の位置は4Fと3Fとに分かれてしまいましたが、F氏はご満悦です。
 ひょっとしてと思い、インターネットに接続できないかとモジュラー端子を探してみましたが、残念ながら見つかりませんでした。ホントにこのホテルにはインターネットに接続できる部屋が実在するんでしょうか…^^;


 …3日目は長くなりそうなので、ここで一度中断。
 後半は、中国電脳街での買い物と、この旅行中唯一の観光客向けグルメをお届けします。^^;

上海(義烏)紀行・2日目

2010年02月28日 21時57分20秒 | 旅行
(2007年9月にmixiで掲載していた日記の再掲です)

 今日は義烏市への移動から始まります。
 朝6時。
 明日の夜には、またこのホテルへ戻ってくるので、必要最低限の荷物を除いてフロントに預かってもらうことになったのですが、フロントで預かってくれるわけではなく、手続き後にフロント裏の預かり部屋まで自分たちで持ち込まなければなりませんでした。部屋には他の客の預けた荷物も置かれていますが…いいのか? ^^;

 ホテルの宿泊客には無料の朝食サービスがあるのですが、早朝の出発とあって、まだ食堂は開いていません。日本のホテルならそれでおしまいなのですが、ここは中国。途中で食べられるように朝食を持たせてくれるというのです。
 応対は相変わらず無愛想でそっけないのに…ツンデレかいっ!
 …ってか、力を向けるベクトルが日本とは違うんでしょうねぇ。^^;

 南京東路(ちょっとずつ地名も覚えてきた)を歩き、地下鉄の人民広場駅へ。地下鉄に乗って上海南駅へ向かいます。
 まだ朝の7時前だというのに、車内はそれなりの混雑。ここで気づいたのですが、中国の人たちは、日本ではありえないほどの荷物を公共交通機関で運びます。農作物や工事道具、その他諸々。自家用車の普及率が低いためなのでしょうが、はじめて見たときは驚きました。
 
 上海南駅で義烏行きの列車に乗り変えます。
 上海南駅は柱の少ないドームというかコロシアムに屋根をつけたような形状の駅舎です。ガラスを多用した構内は、広い上に明るく、駅というよりも空港のターミナルのようです。
 中国の特急は、ホームで待つのではなく、待合室のようなところで待機し、乗車可能になったら案内が表示されてから乗り込むことになっています。チケットの確認と手荷物検査を受け、待合室に入る(このシステムも空港みたいですね)のですが…
 …この手荷物チェック、かなりいい加減です。
 手荷物のすべてを載せたかどうかを確認している人はいないし、検査機のモニタの前に座っているスタッフらしき3人の女性は、おかしをつまみながら談笑しているし…大陸特有のおおらかさだと受け取って、さっさと通り抜けてしまいましょう。
 ま、そんなこんなで待合室へ。
 出発までにまだ間があるので、待合室で、ホテルからいただいた朝食を食べることにしました。
 1枚のビニール袋に、パンと茹で卵、パックの牛乳が詰め込まれています…^^;
 クロワッサンとカップケーキはフツーに食べられましたが、餡をくるんだパイ状のパンは、餡の味になじめず途中で食べるのを断念。茹で卵は30度前後の気温の中を持ち歩いてきたことを顧慮して、安全のためにパス。牛乳は長期保存可能なパックだったため大丈夫だろうと思ったのですが、殺菌処理のやり方などに違いがあるのか、どこか日本で飲む牛乳の味とは異なります。万一何かあって2日目にして寝込むわけには行かないので、これも途中で断念してしまいました。
 でも、気持ちはありがたく受け取りましたよ。>東亜飯店さま


 義烏行きの列車への乗車が可能であるとの案内が表示されました。
 上海南~義烏を結ぶ、07:25発「和諧号」へと乗り込みます。義烏まで2時間強で到着する予定です。
(帰国後に調べていたら、日本の新幹線をモデルに作られた車両なんだそうで)
 和諧号は全席指定の特急列車で、車内は、座席が横にが3+2列で並び、車内の中央に小さなテーブル状の板が設置され、そこから向き合う格好で前後へシートが並んでいます。
 席番を探してたどり着くと、ちょうど車内中央のテーブルを挟んで向かい合った3列シート側でした。
 出発を待っていると、何のアナウンスもなく唐突に列車が動き始めます。事前通告なしが中国流なんでしょうか?
 車窓からの景色は、なんとも大陸的。いつも視界のどこかに山や海が見える日本の風景を見慣れた目には奇異にさえ見えるほど、ただ淡々と平地が広がっています。
 駅近辺の新築の高層ビルと、そのビルの間に残る古い建物。そこから少し行くと、大規模な工場や集合住宅地の立ち並ぶ区画です。そして、開発の進んでいない小屋同然の家や畑が残る土地や、新たな開発のために以前あった構造物が取り壊されて瓦礫の広がる土地。それらの光景が、土地ごとに特徴の異なる建築様式の変化を交えながらも繰り返し現れます。

 進むにつれ、レンガ作りの建築物が多く見られるようになってきました。建設途中のものも数多く見ることができましたが、ホントにただレンガを積み重ねて壁を作り、その上に屋根を載せただけのものなのです。
 きっと地盤がしっかりしていて、地震も起こらない土地ではあるのでしょうが…常に地震が身近にある日本人の目から見ると、うらやましいような恐ろしいような、複雑な気分でした。

 さて、果てしなく続くかにも思えた平地でしたが、ようやくいくつかの山が現れ、これまで全くなかったトンネルをいくつか通り抜け、ようやく義烏駅へと到着しました。
 義烏駅は出来て間もないと思われる、近代的な建築様式の駅です。駅の周囲にはまだ開発中の区画も多く見受けられました。
 改札を抜けた乗客を待ち受けていたのは、南京東路に勝るとも劣らないクラクションの洪水。
 駅前で、客待ちのタクシーと駅に入ってくる車、人の乗り降りで一時停車中の車、道路のあちらでもこちらでも派手にクラクションを鳴らしあっています。
 切符売り場が大変混雑するとの情報があったので、明日の帰りの切符を今のうちに購入するため、C君とI氏が、すでに切符売り場のある建物に収まりきれず炎天下の通路まで伸びた列の最後尾に並んでくれることになりました。残りのメンバーは、ひとフロア下の通路で日差しを避けてふたりを待つことにします。
 10分…15分が過ぎたころでしょうか、様子を見に行ったF氏と、I氏・C君が、下のフロアへ降りてきました。
「思ったより早かったですねー」
 と、声をかけると
「ダメダメ、列、これくらいしか進んどらんとやん」
 F氏が身体の前で手を1m程広げて苦笑いしています。
 切符はまた後で入手することにして、目的地である義烏の「中国義烏国際商貿城」へ向かうことにしました。
 目的地までの移動はタクシー。
 相変わらずクラクションの鳴り響くタクシー乗り場でタクシーを拾います。5人での移動のため、2台に分乗しなければなりません。
 まず1台目のタクシーに自分とI氏・O氏が乗り込みました。始めて訪れる場所なので、2台同時に移動したいということを運転手に説明し、次のタクシーがくるのを待ちます。
 1、2分経ったでしょうか、1台目の運転手が言いました。
「もう待てない。いいから5人一緒に乗れ」
 …気、短すぎ。いや、乗りましたけどね。

 進路上にわずかでも邪魔になりそうな車や人を見つけるたびに激しくクラクションを鳴らしながら、タクシーは駅を出て義烏の市街地へ向かいます。
 ここまででもずいぶんと荒っぽい運転をするなと感じていたのですが、ここまでは、まだほんの序の口でしかなかったのです。
 …いや、もう言葉では言い表せないくらいの運転でした。
 車線はまるで無視。常に左右に動けるようになのか、車線をまたいで運転している時間がほとんどです。
 無理な追い越し、割り込み、車線変更、当たり前。
 右車線からの左折、左車線からの右折もO.K.
 歩行者がいても強引に進み、やむを得ず道を譲るときはバンパーが歩行者に触れんばかりの位置でしか止まらない。
 これが、乗車したタクシーだけならまだいいのですが、道を走る車のほとんどが同じような運転をしているのですから、事故が起こらないのが不思議なくらいです。
(ついでに、乗車したタクシーの運転手は、1分に一度は窓を開けて唾を吐いてるし…)
 道路状況も日本では考えられないことが平気で行われています。
 片側3車線の中央レーン付近を走行していると、その左側の車線と正面の車線に対向車が現れます。何事かと思っていると、その先で、対向側の車線をすべてふさいで工事が行われており、そちらの側は簡易ガードレールで封鎖してあるのですが、誘導員もなにもいないまま、対向車が反対車線(つまりこちら側)の一部を走行している状態になっていました。
 …ありえねぇ。


 奇跡的に、無事目的地に着きました。^^;
 …これはまたでっかい建物が。
 福岡ドームよりも大きく見える建物。この中が4Fまであり、そこに4畳半程度の卸売店が数え切れないほど軒を連ねています。
 1Fは玩具、2Fは宝飾品、3Fは工芸品、4Fは(訪れた時には工事中でしたが)工場の直営店が並んでいるそうです。
 1Fから見て回り始めましたが、数が多すぎるのと、似たような品物を扱っているところが何件もあるので、すべてを見て回るのは短時間では不可能です。
 ただ、数件で価格を聞いてみると確かに安い。この価格で仕入れることができるのなら、日本の店舗で同じようなものが売られている価格でも十分に利益が確保できるのも納得です。
 商才のない自分は様々な商品をおもしろがって見ているだけでしたが、きっと今回見た商品の中にも、近い将来、日本でヒット商品になるものがあったんでしょうね。

 しかし、まぁ、会場の広いことと言ったら。
 最初に目にした4階建ての建物だけでなく、連絡路でつながれた隣の建物も同じような造りになっており、こちらにもたくさんの卸売店が軒を連ねています。
 これだけの店舗が集まっているだけでも驚きなのですが、そこで営まれている中国人の営業スタイルも(日本人の目で見ると)驚くべきものです。
 日本で店舗を構えている商店では、店の中だけでなく、店の前の通路どころか店舗の両隣までも店の一部と考えて清潔さを保つことも少なくないのですが、中国では全く逆の考え方をするようです。
 店舗の中だけが自らの管理する場所であって、わずか数cmでもその範囲から出てしまえば全くお構いなし。ゴミが出たら、店舗の外に出してしまえば、それでO.K.。
 また、夏休み中ということもあってか、店員の家族らしい子どもたちが建物のいたるところで遊んでいます。
 遊び方も、店内や通路で跳ね回ったり、カートやローラーブレードで通路を走り回ったり、食べ歩き・飲み歩きをしてみたりと、まず日本ではお目にかかれない光景です。おおらかというか無頓着というか…^^;
 さらに会場内で参ったのが、休憩できる場所を見つけてちょっと休もうとするそぶりを見せると、すかさず寄ってくる靴磨き部隊。革靴だけでなく、運動靴でもスエード革でもお構いなしに迫ってきます。そんなので磨いたら、えらいことになるってば…
 しかも、ひとりを断っても、次々に近くにいる同業者が繰り返し声をかけてくるので、おちおち休んでもいられません。とうとう根負けしたO氏が靴を磨いてもらっていましたが…正直なところ、綺麗になったというより、黒く塗り込められただけのように見えます。
 義烏で靴磨きを頼む際は、よくご検討ください。


 午後1時過ぎ、さすがに歩き疲れてきたので食事を取ることにします。
 食事場所は、会場内にある食堂。店舗を出している人たちの多くもここで食事を調達しているようで、言わば社内食堂のようなところです。
 食事時を過ぎているので、食堂内はほとんど空席。食堂の床には、あちこちにゴミが散乱していますが…ま、気にしないことにしましょ。
 F氏・I氏・O氏は炒飯を、C君は野菜炒め定職を、自分は豆腐(?)拉麺を注文しました。
 炒飯を作るところを見ていました。焼きそばやお好み焼きを作るような鉄板の上で作っているのですが、まずは豪快にお玉一杯分の油を敷き、そこに卵を割り入れます。それと平行して細かく刻んだ白菜を中心とした野菜を炒め、最後にご飯を投入して全体を合わせながら味付けして完成。
 シンプルでおいしそうなのですが、使う油の量が半端じゃありません。食べ終わった後の容器には、たっぷりの油がしみ出ていました。
 拉麺は、どちらかと言えば日本の細麺のうどんに似た麺が使われており、汁もあっさりした感じ。麺の上に高菜のようなものが載せられ、さらにその上に、薄く千切りにされた豆腐(?)が盛りつけられています。
 味はともかくとして、とにかく中国で出てくる食べ物は量が多い。この拉麺も、麺の密度が高くかなりのボリュームで、全部を食べきることはできませんでした。

 昼食後、しばらく場内を見て回ったあと、目をつけていた品物を購入して(…実は、あまりの店の多さに、最初に目星をつけていた店がどうしても見つからず、散々歩き回って、似たような品物を扱っている店に辿り着き、這々の体で買い物を済ませました)宿泊先へ移動します。
 今度は2台のタクシーに分乗します。自分はI氏・O氏と一緒に先発のタクシーに乗り込みました。
 出発して間もなく、運転手がなにか話しかけてきます。
「ソ…ソーリー アイ ノー スピーク チャイニーズ」
(あ、あれ? ノーじゃなくてドントだっけ?)
 多少パニくりながらの返事に苦笑いの運転手。その後、どこかに携帯電話で電話をかけて(もちろん運転しながら!)ましたが…妙ちくりんな客を乗せたことを同僚に話していたんじゃなければいいんですが。(/_;)
 この運転手、物腰こそ、駅から展示場までの運転手よりもおとなしそうに見えるのですが、運転の方は負けず劣らず過激です。最後の最後、交差点に面するホテル入り口に入るときは、側面にトラックが突っ込んでくる寸前でした。トラックが止まってくれなかったら、今、こうしてパソコンに向かうことができていたかどうか…あー、死ぬかと思った。

 ホテルにチェックインし、まずは冷たい飲み物で一息つくことに。
 自分とO氏で、ホテルの隣にあるスーパーマーケットへ買い物に出かけます。
 ソーダやコーラ、ミネラルウォーターをカゴに入れ、レジへ。中国のレジは全く愛想なし。無言でレジ打ちし、ビニール袋にはポイポイと投げ込み、お釣りやレシートも手渡しではなく、レジの脇へ放り投げてきます。
 さすがに2日目ともなると、知らず知らずのうちに慣れてくるものなのか、
「ほんとにもう、こいつらときたら…」
 …と、店員の応対を楽しんでる自分に気づいて、ちょっとびっくり。

 義烏の宿泊先、「大東港酒店」には、一部屋に一台、インターネットに接続できるパソコンが設置してあり、ようやくメールやニュースの確認をすることができました。
 知人へ旅先での無事を知らせ、なんとなく一安心。
 上海のホテルと違って、(中国にしては)スタッフの愛想もいいし、ずっとこっちのホテルに泊まりたいと思ってしまいました。^^;
 ホテルの部屋は、先ほど死にそうな目にあった交差点に面した6Fの部屋で、窓から交差点での車やバイク、自転車、人の動きがよく見て取れます。
 中国の交通事情などを聞き、その上で交差点の流れを見ていると、最初は全く無秩序に見えた交通の流れでしたが、なんとなく規則性のようなものも見て取れるようになってきた気がします。
 そのおかげかどうか、休憩後、夕食がてら義烏の街を散策した時には、慌てることなく横断歩道を利用することができました。
 ホテル近くにも卸問屋街が広がっています。しかし、閉まるのが早いのか、中国義烏国際商貿城のような新しい場所に移動してしまったのか、どこも閑散とした雰囲気です。
 しばらく歩いてみましたが、これといった場所もなく、早々に食事をすることに。
 ホテル近くの台湾系料理を提供する店に入りました。
 中国の飲食店で何がうれしいかと言えば、なんといってもビールが安いこと。日本ではビール大瓶で600円前後ですが、中国ではその十分の一程度。日本ではビールをほとんど呑まなくなっていた自分ですが、中国にいる間は、ビールを呑みまくってしまいました。^^;
 そして、この店には、中国では珍しい焼き餃子がありました。
 …が、皮はかなり厚めだし、中の餡も、中国独特の香辛料を使っているようで、日本の餃子とは全く違う物でしたが。
 ここでのおすすめは、キュウリの和え物と、野菜の炒め物。(どちらも注文はC君に任せていたので正式な名称はわかりません^^; )
 キュウリは、短冊切りにしたキュウリをラー油で和えたような物で、さわやかな辛さと、さっぱりとした後味で、かなりいけます。
 野菜の炒め物は、細身の青梗菜を炒めただけのように見えるのですが、一口食べると、なんとも奥深い味わいが。これは、今でももう一度食べてみたいと思っています。

 夜に飲むビールや飲み物を買い込んでホテルへ。
 シャワーを浴びるなど(O氏はマッサージのサービスへ…O氏の話では健全なマッサージだけだったそうですが…^^; )一息ついた後、自分とO氏・C君の部屋に集まって、明日の予定を打ち合わせです。
 明日はまた上海へとんぼ返り。
 どうせ戻るのなら、戻ってからゆっくり時間が取れるようにと、当初の予定を繰り上げて、10時に義烏を出る列車に乗ることになりました。
 明日も朝寝坊はできないようで…おやすみなさい。

上海紀行・1日目

2010年02月28日 21時57分01秒 | 旅行
(2007年9月にmixiで掲載していた日記の再掲です)

 福岡。やや曇り。
 歩いていると、時折、小さな雨粒のようなものが落ちてくるのを感じます。
 11時過ぎ、同行のF氏、I氏と合流し、I氏の車で北九州へ。
 北九州大学でF氏の講義を受けている、中国人留学生のC君と合流しました。身分証では長かった髪をバッサリと坊主頭にしていたC君は、ややおとなしげな印象です。
 その後、4人で北九州空港へ向かいます。…北九州空港、小さい。ホントにここから国際線が発着しているんだろうか? ^^;
 空港でもうひとりの同行者、O氏と合流。
 聞いている話では、O氏もF氏の講義を受けている学生だとのこと。…自分とあんまり歳は変わらなさそうだけど。
 みんなそろったので、登場手続きを行い、出発を待つ間に遅い昼食を済ませることに。
 ちなみに、昼食はちゃんぽんと炒飯のセット。これから中国に行くってのに、なんだか中華チックなものをたのんでしまった…。
 でも、他にこれってものもなかったしなぁ。(合流前に昼食を済ませていたO氏がコーヒーフロートを頼んだ他、4人のうち3人がちゃんぽんと炒飯のセット、残るひとりが、皿うどんと炒飯のセットを頼んだってくらい…^^; )
 ちゃんぽんは少し塩辛かった。

 そして搭乗口へ。
 やたらと持ち物検査が細かい。
 ベルトまで外してようやくゲートを通過する人や、持ち込みの禁じられている液体やスプレー(ペットボトル飲料やヘアスプレー等)を持ち込んでしまい、その場で処分したり、手荷物預かり窓口まで預けに戻る人がいたりで、なかなか列が進まない。
 幸い自分はなにごともなくチェックをパスし、パスポート審査を経て搭乗口に進むことができました。
 …乗り込む飛行機、なんか予想してたより小さいんですけど。ホントにこれで大陸まで渡れるのかな。

 中国語、英語のアナウンスが流れる中、突然の急加速。そして、離陸。
(…日本の空港から出発するのに、日本語のアナウンスなし)
 これまで国内線しか乗ったことがなく、離陸前には、非常時の説明にシートベルトの確認、手荷物の位置・置き方…etc.くどいくらいの説明が行われた後、さらに客室乗務員が確認に回ってくるものだと思っていたので、「え、もう離陸するの?」と、きつねにつままれた気分。
 さすがに立って歩いていた人はいなかったと思うけど、新聞・雑誌・手荷物は、目に見える範囲の人は膝の上に乗せたり、手に持っていたりのまま。
 まぁ、無事になにごともなく離陸したので、そのままでも全く問題はなかったんですが。
 日本の航空会社が神経質すぎるのか、それとも、中国の航空会社が大雑把過ぎるのか…

 さて、出発からおよそ30分後、本を読んでいると、突然目の前に箱が突き出されました。
 これは…機内食?
 14時過ぎに出発して、2時間弱のフライトで機内食が出るとは想定外。そうと知っていたら、出発前はもっと軽い食事でよかったのに。
 しかし、本当に想定外だったのは、その中身。
 例えば、デザート。見た目は5cm四方のこんにゃく風。実際には、薄いスポンジケーキを分厚くつぶ餡で覆ったもの。餡はひたすら甘い。
 例えば、海苔巻きおにぎり。一口サイズのひらべったい円柱形のおにぎり。ご飯にはオレンジ色の粒が混じったマヨネーズっぽいものが混ぜこんである。食べてみても混ぜてあるものが何なのかよくわからない。
 例えば、おかず。魚の照り焼きとカニの唐揚げ。魚は親指大程度の大きさしかない上、味気ないし食感がモソモソ。カニは甲羅が小指の先ほどの大きさしかないし、いびつに形が崩れてる。
 例えば、蕎麦。麺にネギとわさびを載せたものに、付属のパックに入った麺つゆをかけて食べるらしい。麺つゆのパッケージには「面汁」…?(味はフツーでした ^^;)
 いちおー、内容的には和食らしいです。初めての中国旅行で出会った機内食なので、話のネタにと全部食べてみましたが、他の場面で出てきたんだったら、ご遠慮申し上げていただろうなぁ…
 また、自分は飲んでないんですが、O氏が貰ったジュースは非常にぬるく、とてもまずかったそうです。^^;

 やがて、やっぱりよくわからない中国語と英語のアナウンスが流れる中、飛行機は徐々に高度を下げてゆき、いよいよ大陸の様子が見えてきました。
 空気はやや国内より濁っているようで、少し離れたところを見ると靄がかかったように見えます。
 機体がぐぐっと旋回し、海岸線と陸地の接する部分が目に入ってきました。海上には大きな船が行き交っています。
 「これ、海じゃないよ。長江です」
と、C君。
 …見渡す限りの水面が広がっていて、にわかに海じゃないとは信じられないのですが、確かにそう言われてみれば、水の色が海の色ではないような。
 うーむ、スケール感が違う。
 
 そして着陸。駐機場までの移動中、窓の外には、はるか遠く、かすむ大気の向うまで数多くの飛行機が並んでいるのが見えます。…どんだけ広いんだか。(@_@;
 タラップを降りて大陸への第一歩。飛行機で外国に渡るのが初めての自分は、ちょっと感動してました。
 バスでターミナルへ移動。
 ターミナルでは広州への乗り継ぎ客を空港スタッフが案内しているのですが、入り口横の長いすに足を前に投げ出した格好で腰かけ、
「広州便に乗り変える人はぁ~?(「コーシュー」くらいしか聞き取れなかったけど、多分こんな感じだと思う)」
 …日本で培ってきた常識がガラガラと崩壊していく音が聞こえた気がしました。
 

 上海浦東空港内は国際色豊か。雑多な肌の色や言葉を話す人たちが行き交っています。
 空港から市内へ向かうリニアモーターカー乗り場へ向かう途中、通路脇で外を見ているふうを装っていたひとりの男が、さっと周囲の様子をうかがったのち、こちらが近づくのを見計らって近づいてきました。
 手は貴重品を入れたポーチをさりげなく押さえつつ、軽く身構えていると、男は折りたたんだ紙をこちらに向かって差し出します。
 日本語の出張マッサージ(VIPコース(!!)有り)案内パンフレットでした。
 『身体の疲れとコリをゆっくりもみほぐしてくれる。りフレッシュしてまた明日から元気に活動開始だ。』(原文ママ)
 あ、いやいや。
 国際色豊かな上海の地で、専用パンフレットを準備してもらえるとは、日本人もなかなか健闘しているようで…^^,


 さて。
 そう、リニアモーターカーです。
 中国語では「上海磁浮列車」。
「磁」で「浮」ですよ。
 日本じゃ何十年も前から研究・開発を続けているのに未だ実用化されないリニアモーターカに乗れるんです。
 日本みたいにレールをぐねぐね曲げなくていいとか、土地の所有権が国にあるとか、地震を気にしなくていいとか、他にもあれやこれや事情が違うことがあるとはいえ、日本じゃ実用化の目途も立っていないリニアモーターカーに乗れるのは単純に嬉しい。
 飛行場のような手荷物検査機に荷物を通して乗車。車内は割合ゆったりと作られており、荷物を抱えた状態でも、さほど苦労せず乗り込むことができました。
 席は3+2の変則的ボックス席。車両前後の出入り口上に現在速度の表示板がつけられています。
 いよいよ出発。静かに動き出した車両はぐんぐんと速度を上げ…100…200…300…
 …
 …うん、速い。でも、この揺れは…?
 すべるように滑らかな走りを想像していたんですが、実際には意外に揺れます。通常車両のようなガタンとした固い揺れではないのですが、船の揺れを小刻みにしたような揺れです。
 …300…400…そして最高速度430km/h!
 430と431を行き来する速度計の数値に車内のあちこちでカメラを構える人が。
 しかし、この最高速度が続くのはわずか十数秒ほど。まぁ、それでも十分に未体験の速度を体感できます。
 空港~上海まで片道7分ちょっとで50元、航空チケットの半券を切符購入時に提示すると40元。(往復割引あり)
 ディズニーランドのアトラクションよりもお得な乗り物だと思います。


 しかし、まぁ、どこへ行っても人の多いこと。
 今回、上海での宿泊先は「東亜飯店」という、繁華街のど真ん中にあるホテルです。そのホテルを探して繁華街を歩くのですが、次から次に前後左右いたるところ人、人、人。ホテルの辺りは歩行者天国になっていますが、いくつか、そう交通量は多くないものの、車道と交差する個所があります。その一帯は常にクラクションが鳴りやむことがありません。その理由は、信号を守る人が少ないから。
 歩行者側が青でもバイクがクラクションを響かせ侵入してきます。歩行者側が赤でも多くの歩行者が車の鳴らすクラクションなど気にした様子もなく歩いていきます。さらには、歩行者を避けるバイクや車同士が接触しそうになってさらにクラクション…。そんな中を、観光客を乗せた連結車が走り抜けて行き、ビルの上ではサックス奏者が大音量の演奏を響かせ、ニセブランド品やアヤシゲなマッサージの客引きがひっきりなしに声をかけてきます。
 
 ナンテニギヤカナマチナンデショウ…。(o_o )

 ようやくホテルにたどり着き、チェックイン。
(…したことにします。インターネットにつながると記載されてるのに、つながる部屋が空いてないとあっさり断られたことや、応対したにーちゃんが接客の間中ペンを指でくるくる回してたことや、カードキーが使えず交換してもらうまで長いこと部屋の前で待たされたことや、エキストラベッドの搬入に手間取ったことや、シャワーのお湯がぬるい上に流量も少ないことや、空調がいまいち効かないことや、そんなことをひとつひとつ書いてたら先に進まないし ^^; )
 日本のホテルのように、ホテル内に飲み物や食べ物の自動販売機は揃ってはいないし、部屋に置いてあるポットや給水器の水はかなり危険だと聞いていたので、まずは飲み物を仕入れに、C君・O氏・自分の3人で街へ出かけます。
 ホテルを出て間もなく、デパートの地下にある食料品売り場を見つけました。
 歩道に面した階段を降りていくと、なんとも形容しがたいニオイが。
 食料品売り場入り口で、調理済みのちまきのような物を売っているところから出ているニオイのようですが…中国入り初日の日本人にとっては、けっして食欲をそそるニオイではありません。^^;
 奥に進むと、飲み物は置いてあるものの、棚に置かれているだけの常温で売られています。
 店内を回ると、コカコーラとキリンのロゴがついた小さな冷蔵ケースがあり、それぞれのケースの中に、それぞれのメーカーの製品だけが陳列されていました。おそらく、各メーカーの販促手法なのでしょうね。
 ようやく冷えた飲み物を見つけ、さっぱりとした緑茶を選んでかごに入れようとしたその時、ラベルに不可解な文字を発見。
『低糖』
 …
 なんでも中国で売られている緑茶には、フツーに砂糖が入っているそうで。
 甘い緑茶を飲まされるくらいなら、冷えてなくても、よく知らないメーカーであっても、まだ、フツーの水の方がましです。^^;


 そんなこんなで一息ついた後、夜の上海めぐりに繰り出しました。
 道すがら、いくつかの商店を覗きながら上海タワーの見える川沿いの広場へ。
 途中の大通りではさすがに皆信号を守っており、さすがにあの騒ぎはあの場所特有のものなのかと思い始めた矢先、その次のやや狭い横断歩道では、またクラクションの音が。即座に命に関わらない限り、進めるかもしれないときにはとりあえず進んでみるってのが中国流のようで。^^;
 人でごった返す地下通路を抜けた先の広場は、ここもやっぱり人でいっぱい。最初は何かイベントがあってるんじゃなかろうかと思っていたのですが、さにあらず。純粋に上海の夜景を楽しもうとやってきた人たちのようです。


 しばらくの散策ののち、夕食を取ることにしました。
 多くの店が軒を連ね、どこに入るか迷いますが、この日は「大娘水餃」という店に入ることに。
(この店、上海ではメジャーなチェーン店のようで、滞在中に他にも何件かのお店を見かけました)
 メニュー表には、一品5元前後の安価な品が並んでいますが…よくわからない。
 とりあえず席を確保し、C君とO氏のふたりが注文をしに行きます。(レジでの先払い方式)
まずはビールと豚の串焼きで乾杯!
 しかし、その後が続きません。餃子と鶏肉料理を注文しているらしいのですが…。やがてビールも尽きたので、ビールの追加と、すぐに出てくる豚の串焼きを追加することになり、C君がレジへ行っている間に、その騒動は起こりました。
 ようやく茹で上がったらしく、餃子が運ばれてきました。直径20cm程の皿にこんもりと盛られ湯気を上げる餃子はとてもおいしそうです。
 わくわくしながら皿を受け取ると、さらに餃子の皿が。さらにもうひとつ。また、もうひとつ。
「これ全部このテーブルで間違いない?」
 身ぶり手ぶりで店員に尋ねると、店員は伝票と照らし合わせ、間違いない、と、ぷいと帰って行ってしまいました。
 餃子が盛られた皿4枚を前に茫然としているところにC君がビールと串焼きを持って戻ってきました。
 C君によると、店には5種類の餃子があり、注文が250g単位になっているそうです。分量がよくわからないが、おそらくそれが一人前なのだろうと判断し、5種類それぞれをひとつずつ注文したとのこと。
 250g…ココ壱番屋の300gカレーなら簡単に食べられますが、目の前の餃子から受けるプレッシャーは、そんなナマやさしいものじゃありません。
 推測ですが、250gとは茹でる前での250gで、茹で上がった餃子はたっぷりと水分を含んで倍以上に膨れ上がっているのではないでしょうか。
 …いくらそんな分析をしたところで、きてしまった餃子が減ってくれるわけではありませんが。
 とりあえず食べる。
 うん、おいしい。(^o^)
 何が入っているのか判然としないものもありますが、餃子はどれもたっぷりと汁を皮の中に閉じ込め、さすがのおいしさです。
 でも、量がなぁ…
「これ、一皿他のテーブルに貰ってもらえないかな」
 との誰かの言葉に、
「ちょっと聞いてきます」
 席を立ったC君が向かった先には店員さんが…。
 …いや、そこは客同士でこっそり取り引きすべきだと思うんですが。
 当然のごとくあっさりと断られたC君が申し訳なさそうに戻ってきます。
 あとはひたすら食べる、食べる、食べる…
 …ゴメンナサイ。最後の一皿はほとんど残してしまいました。
 
 満腹のお腹を抱え、ホテルへ。
 明日は早朝6時出発で、義烏市へ向かう予定です。おやすみなさーい。