囲碁マニアの詰碁ブログ

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これだけ知っておけば十分!ダイレクト三々①

2021-06-29 17:08:21 | AI流解説

 

<詰碁解答コーナー>

問題図(再掲)

黒1ホウリコむ(4)

黒1のホウリコミは正解ですが、黒3のアテは凡手でした。白4とツがれ―――

抜き跡に白6とオかれ、黒有利な二段コウになっては失敗です。

黒1ホウリコむ(4)

黒3ともう一発ホウリコむのが手筋。白4でAと黒一子を取ってきたら、黒AかBに打てば生きです。なので白は4とツいできますが、黒5が仕上げの一手で、オイオトシで黒生きです。黒5でうっかりBと白四子を取ってしまうと、前図に戻ってしまうのでご注意ください。

 

なお、問題図ではAの地点にあった黒石を△に移動させても、ほぼ同じ筋の詰碁になります。

黒1ホウリコむ(4)

黒5まで、出来上がり図はまったく一緒ですね。


 

皆さんこんにちは、tsumebloです。

更新が遅くなり申し訳ありません。

 

今回から数回に分けて、「大流行している」と書くのもしっくりこないぐらい流行っている「ダイレクト三々」について、tsumebloが「これだけ知っていれば十分だろう!」と考える範囲の変化を紹介していきます。

 

「ダイレクト三々」とはどんな手かというと―――

ご存知黒△の三々入りです。

アルファ碁の一種「マスター」が打ち始め、その後研究が重ねられ、今や大ブームです。

それにしても「ダイレクト三々」とは誰が名付けたのか不明ですが、すっかり定着しましたね。

 

では、ダイレクトではない三々とはどんな手かというと―――

たとえばこのような配石で、白△と三々に入る手は、AI登場前から「常識的な着手だ」と考えられていました。

黒が▢と両辺に構えているのがミソです。

 

黒1からオサエると、以下は基本定石で黒11まで一段落ですが、黒△の位置が非常に悪いですね。

黒▢もやや効率の悪い位置にあります。

黒1とこちらからオサエても、黒△の位置が非常に悪く、黒▢の位置もやや悪いですね。

白1やAのカカリはこの場合窮屈です。

悪いとまでは言えませんが。

 

という理由で、このような特殊な状況ならば、三々入りは「有力」と考えられていました。

ところが、最近は配石などあまり気にせず、ズカズカと三々に入る「ダイレクト三々」が「有力」と考えられるようになりました。なぜでしょうか。

 

黒1と三々に入れば、必ず白12までとなるものだと考えられて―――、いや、思い込まれてきました。

確かにこの「定石」は、黒地は10目もないのに、白の厚みが強大です。

さすがのAIもこの変化は「問題なく白良し」の判定でした。

前述のような特殊な配石でなければ、この定石は使えません。

 

黒9と一本多くハイ、黒11とワリ打つ、いえ、ハサむ―――。

壁攻め狙いです。

この手が発見されたため、「ダイレクト三々」は市民権を得ました。

 

これを食らってはすでに白がまずく、白6のノビは「悪手」だと考えられています。

なぜこれで白がまずいのかは後述しますが―――

 

まだ「ダイレクト三々」の研究があまり進んでいなかった頃は、前図黒9のハイを打たず、たとえば黒1など他の大場に打つ手がよく打たれていました。

しかし、白2とオサエる手が発見されてからは打たれなくなりました。

白2のオサエが来れば、黒3、5のハネツギは欠かせません(黒3を手抜くと、逆に白3のサガリで黒死です。詳しくは基本死活の本をご参照ください)。

以下白6のカケツギまで、必然の進行です。

 

これは前々図の「定石」に、白2のオサエが余計にある形ですね。

白2のオサエは小さいのですが、そのマイナス以上に白の厚みが強大で、この変化は白良しです。

 

という理由で、前図黒9のハイはすぐに打たねばなりません。

 

前々図の続きです。

黒1の「ハサミ」に対し、白は2などと反撃しないと仕方ありませんが、ここで黒3のノゾキが大切な一手です。

黒はこの手を打つために1の位置にハサんだのです。

 

白4のツギはやむを得ませんが、黒5のトビまで、左下の白一団は働きのない石になってしまい、すでに黒優勢です。

この後、白Aのサガリには黒Bと受けるぐらいでも腹は立ちません。

 

この図は「ダイレクト三々」の研究が全然進んでいない頃に見られましたが、最近はまったくと言っていいほど打たれません。

白はこの図だけは避けなければなりません。

 

白1、3の二段バネは、AI発達以前からあった有力な手です。

白9まで、簡明にして互角です。

 

この後黒Aと押す手が非常に大きく、すぐ打ってもよさそうです。

白から打つ場合は白Aのマゲはもちろん、Bのケイマも有力です。

 

白1とケイマにハズす手も有力です。

これに対する黒の応手はAのブツカリ、Bのツケの2通りです。

次回はこのケイマについて解説していく予定です!

 

<詰碁出題コーナー>

黒先です。ありふれた筋で、少し易しいかもしれません。

 

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囲碁関連の小ネタ

2021-06-09 16:34:27 | ひとりごと

 

<詰碁解答コーナー>

問題図(再掲)

黒1のアテはよさそうな手ですが、白2、4が好守で白生きです。

初手は黒1が正解ですが、黒3は軽率。白生きです。

黒3の元ツギが、自信の弱点を消しながら白に圧力をかける好手。以下は常用の筋で―――

黒13まで、コウが正解です。


 

皆さんこんにちは、tsumebloです。

今回は、ちょうどいいネタがなく…ちょっと書いてみたかったなー、という囲碁関連の小ネタをいくつか。

 

その1.詰碁を盤上のどこに作るか

 

中央の詰碁は稀有ですし、辺の場合もどこかの隅に寄っていることが多いので、実質右上・右下・左下・左上のどこかということになります。

 

tsumebloは「碁盤に並べる時に一番楽(右利き前提ですが…)」という理由で右下に作っています。

人によって好みが分かれるところだと思いますが、どうも左下に作る人が多いような気がします(気のせい?)。

 

機会があればアンケートをしてみたいですね!

 

その2.依田紀基裁判

 

現在日本棋院VS依田紀基九段で争われている裁判です。

 

状況が複雑なのですがtsumebloなりに要約すると、日本棋院が昨年2月、「依田九段がTwitterにて根拠のない棋院執行部の批判をした」として、依田九段へ「6ヶ月の対局停止」の処分を下しました。

しかし依田九段はそれを不服とし、その処分を取り下げさせるべく裁判を起こしているという状況です。

 

対局停止は一旦解除されていますが、依田九段が敗訴してしまうと再開されます。

詳しいことは皆さんに調べていただくとして、どうも事の元凶は日本棋院の某監事さんのようですね。

 

裁判の状況ですが、進展はどうもなさそうですね。

依田九段が時折自身のブログにて進展状況を書いていますが、ぱっとしない感じです。

 

https://ameblo.jp/yodanorimoto/

 ↑

依田九段ブログ

個人的には依田九段を応援しています。

 

その3.女流棋士急増

 

2018年9月、「女流特別採用推薦棋士」制度が突如導入され、急激に女流棋士が増え始めました。

 

それまでの女性専用枠は「女流特別棋士採用試験」(女性同士で対局)の上位1名が入段する、年たった「1枠」のみでした。

男女の区別のない、一般のプロ試験で入段を果たした女性は近年まったくおらず、実質、女流棋士は年に「1名」しか誕生していませんでした。

 

それが、この2018年(2019年度採用)から導入された「女流特別採用推薦棋士」制度は、いくつかの条件を満たせば無試験で入段できるのです。詳しくは下のリンクからご覧ください。

https://www.nihonkiin.or.jp/player/saiyou/

ただ、院生に在籍していなければいけないので、一般的な女流アマの方は選外となるようです。

 

この「女流特別棋士採用試験」で2019年度は6名、2020年度は4名、2021年度は2名が入段しています。

 

日本棋院が女流棋士を増やして囲碁人気を上げようとしたのか、あるいは優秀者をどんどん入段させることによって、優秀者のワンランク下にいた女子院生を優秀者の消えた「女流特別棋士採用試験」で入段させようとしたのか…。

 

なんだか闇がありそうな気配ですね。

 

その4.ソフト打ち

 

まず、下の画像をご覧ください。

 

種明かし(どこが?)をしますと、日本棋院のホームページに流れている広告です。

「なんだ、今流行りのオンライン講座の広告じゃないか。これがどうしたというんだ」と思われたでしょうが、何か違和感を感じませんか?

 

マーカーを引きましたが、「AI打ち」と書いてありますよね。

「AIが打ち出した驚手」という意味で書いたのだと思いますが、「AI打ち」これじゃあダメです。別の意味になっています。

 

はい、現在社会的な大問題に発展している(話を盛りすぎ)「ソフト打ち」と勘違い(勘違いというか普通の解釈?)されても仕方ありません。

 

「ソフト打ち」とは、AIの評価・候補手を参考にしながら対局する行為で、プロ公式戦ではもちろん禁止されています。

ちなみに将棋界では「ソフト指し」と呼ばれ、こちらも問題になっています。

 

最近では昨年9月、韓国の「天才少女」金恩持(キム・ウンジ)ニ段が、李映九(イ・ヨング)九段とのオンラインで打たれた公式戦で「ソフト打ち」をしてしまい、11月に1年の資格停止を受けたことは、日本のメディアでもちょこっと取り上げられましたね。

 

本題ですが、tsumebloは様々なネット対局サイトで「ソフト打ち」が制限されていないことに大きな不満を持っています。

現在「ソフト打ち」に規制がかかっているネット対局サイトは「囲碁クエスト」(全面禁止)と「野狐囲碁」(AIマークを取得すれば可)だけです。

 

中でも無法地帯なのが「幽玄の間」です。

8段の7割は「ソフト打ち」との噂もあり、中には「ソフト打ち」でただ勝つだけではつまらんと、布石で二線などのおかしな場所に打つ「ソフト打ちを楽しむ工夫」をする猛者(?)もいます。

何度も「ソフト打ち」を禁止にしてくれと幽玄の間サポートセンターへ意見を送ったのですが、毎回決まって「検討します」のお返事をいただくだけで、まったく進展がありません。

 

特に「勝ち星」「総対局数」「勝率」の3部門の優秀者を半年ごとに表彰する(賞品もあります…)「月例対局ランキング」というものがあるのですが、毎回1人は「ソフト打ち」と思われる人が表彰されているのは非常に不快です。

 

まあ、「ソフト打ち」の人ににたまに「負かしてやる!」と挑むのも楽しかったりしますが。

 

「幽玄の間」は基本有料なのに、なぜカネを払ってまで「ソフト打ち」をしたいのでしょうね。

 

「ソフト打ち」はトラブルの元ですし、「天才少女」の人生を狂わせるような危険なものなので、「幽玄の間」にもぜひ禁止にしてもらいたいところです。

 

<詰碁出題コーナー>

黒先です。コウにされないように。

 

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OGSアカウント「tsumeblo」始動!

2021-06-01 15:01:51 | ひとりごと

 

<詰碁解答コーナー>

問題図(再掲)

無条件で取りにいくなら、初手は黒1の一手。コウに粘る白2に、黒3とアテる手が気付きにくい好手。白は4とアテるしかなく、黒5と取らせ―――

白6にホウリコんで来ます。ここからでも面白い問題になりそうです。

コウを避け、黒7とツギます。白8には黒9とホウリコみ(黒Aでもよい)、白10と取らせ―――

黒11のキリでAとBが見合い、白死となりました。ここまでを読み切れましたでしょうか?


 

皆さんこんにちは、tsumebloです。

 

皆さんは「OGS」というネット碁サイトをご存知でしょうか?

OGPイメージ

Play Go at online-go.com! | OGS

Online-Go.com is the best place to play the game of Go online. Our com...

online-go.com

 

 

英語!?とビビられた方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
日本のサイトではありませんが、日本語翻訳がほとんどできているので、不自由なく使うことができます。

 

様々な時間設定(一手3秒~時間無制限)で対局できたり、トーナメントに参加したり、グループに入ったりなど、様々な楽しみ方ができます。興味を持たれましたら、ぜひ会員登録してみてください!

ブラウザで使えるので、ソフトのインストール不要です。

会員登録の仕方ですが、OGSのページ右上「ログイン」をクリックしてみてください。あとは解説するまでもないはずです。

 

そして、本題です。

数日前、tsumebloはOGSのアカウント「tsumeblo」を取得してみました!

OGPイメージ

tsumeblo

gooブログ:http://blog.goo.ne.jp/tsumeblo Twitter:https://mobile.twitter.c...

online-go.com

 

OGS・tsumebloのページ

 

はい。というのはウソなんです。

OGSではすでに、某本垢を持っており、tsumebloはある目的のために2,3ヶ月前?に取得したのですが、ほどなくして本垢でもその目的を果たせることに気付いたのです。

 

なので「tsumeblo」は存在意義がなくなり、しばらく放置していたのですが、このたび…動き出しました!

 

まず、ランクを確定すべく、9路で「ランク戦」を数局打ちました(会員登録しただけでランク戦をこなさないと「暫定ランク」で、段・級位はつかない)。7局目で負けてしまい、現在ランク戦7勝1敗で2段です。

OGSは非常に段・級位がからく、本垢も現在3~4段です。

 

そして、OGSの機能「問題集」で、いままでにこのブログに出した詰碁をまとめました。

https://online-go.com/puzzle/30659

OGSに会員登録していなくても楽しめますので、ぜひご覧ください!

 

この先、OGS「tsumeblo」で打った碁をこのブログで振り返るなど、色々とやってみたいと思います!

よろしくお願いします!

 

<詰碁出題コーナー>

黒先です。初手は衆目の一致する所ですが…?

 

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お詫び

2021-05-29 15:14:39 | その他

 

以前「ハート形の詰碁💗」にて、

ハート形の詰碁💗 - 囲碁マニアの詰碁ブログ

この形で「(黒から)次の攻め手がない」と書きましたが、このあと星のところに打てば白が死んでいました。

よって、白は4のツギではなく4の一路上にヘコんで、黒有利な一手ヨセコウになるのが正しかったです。

正しく打てば白死なので、一手ヨセコウに粘られる黒3のキリが失着というのは変わらず、失題ではないのですが、説明が間違っていました。

 

大変申し訳ございません。

 


tsumeblo感動の妙手紹介③

2021-05-28 15:30:27 | 実戦の妙手

 

<詰碁解答コーナー>

問題図(再掲)

初手は黒1の一手です。他のどこに打っても白1と打たれるとコウが避けられません。白2と石の下の形にしてきますが、黒3、5が好手筋で、黒7まで鮮やかに仕留めることができました。この手順をひとつでも間違えてしまうと、コウになってしまいます。

たとえば、石の下にハマってから―――

手筋を繰り出しても―――

白12のキリがぶり返してコウになります。

正解図の黒5で7から打ってしまった場合も、ほぼ同じ変化でコウになります。


 

皆さんこんにちは、tsumebloです。

今回は、妙手紹介シリーズ、第3回です。

久々の囲碁ネタですね。これからは囲碁ネタ増えるはずです!

 

さっそく紹介していきたいと思います。

 

1992年8月13日に打たれた第40期王座戦本戦、黒が故・橋本昌二九段、白は趙治勲本因坊(当時)です。

なお、当時はコミ5目半です。

白が1、3と打ったところですがこれはやりすぎで、白1ではAとノビておくぐらいでした。

一見黒が困っているようですが、ここで妙手が出ます。

これは論外。蛇足ながら。

白への様々な利きをにらみながら、黒1のワリコミが妙手でした。

やはり妙手と言えばズバンとワリコむ手か、ペタッとツケる手、そっとオク手のどれか、という感じですよね!

このワリコミは華やかさと鋭さを兼ね備えた、見事な妙手でした。

白は2か3のどちらかからアテるぐらいです。白2と右からアテると当然黒は3の逃げ。今度はどちらにツグか、という問題になりました。

白4と上にツグと、ご覧の通り白参ってしまいました。

白4と下にツナいでみます。

しかし黒5以下、黒大威張りの生き。この後白はAに手入れが必要なので、先手で大きく生きた黒が大成功です。

実戦の進行です。

白は2と左からアテましたが、黒3以下ほぼ一本道を辿り、黒21で一段落。

危機を脱したどころか、はっきり黒優勢になっています。

見事な妙手でした。

 

<詰碁出題コーナー>

黒先です。コウではいけません。

 

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