あひる町の住人~兼業画家ライフ~

兼業画家をしています。高知在住。にゃんず・釣りやギター・ハシビロコウネタ、など、悲喜こもごもの土佐日記です。

おへそを向けて話すこと。

2017年04月06日 | 【エッセイ】
まもなく小3になる息子。
8才の生意気盛り、脳内はコロコロコミック満載。

稽古ごとは剣道を週4回、ピアノ週1回。これに宿題や教材で勉強がんばっていて、僕より忙しい 笑

3DS・・・おともだちとベイブレードなど、子供だから時間を見つければ休まず遊ぶ。

そんな忙しい息子は、まんがやアニメの主人公みたいなフツーの少年にすくすくと育っている。

アニメの主人公の少年って、意外に普通なんですよね。
それがある日、超絶な能力を得たとか、実は何かの末裔だったとか継承者とか・・・妖怪の見える時計をみつけたり猫型ロボットが未来から助けにきたり 笑



ともかく、今回はそんなフツーの8才の息子のチョット成長話。



【夕方のピアノのお稽古】

ピアノの稽古には僕が付き添いで一緒に参加していて、フォロー。

「ちゃんとやらんかったらゲームやらせんきね!」なんて厳しく言っていた。しかし本来、音楽は楽しいもの。音楽が嫌いになったら意味がない。最近は息子の自主性にまかせてみようととやかく言わずに様子をみることにしている。

始まる前に〈稽古なんだから、しっかり先生のお話を聞いてね〉と、これだけはさらっと言っておいた。ピアノのことは家では教えられませんからね 笑


【先生へのよくない態度】

ピアノのお稽古開始。

まずは、音符などを書く宿題があったが、彼はすっかり忘れていて、やっていなかった。

連弾などの課題曲もあまり練習していなかったので、前回の先生が指摘したところもまったくできない。

さらに、先生が一生懸命話していてもうわの空。

勝手に息子はピアノを弾いている。

先生が「ここ弾いてね」と言ってもまったく別のところから弾きだす。

先生が困って「ここからよ」と言っても「ぼくはここから弾きたい!」とわがままっぷり。

すかさず僕が注意すると「わかっちゅう!!」と反発。

先生も子供の扱いは慣れているとはいえ、少し困り顔。

いつもなら僕は怒鳴るところだが、ぐっとこらえてたしなめる程度に注意し冷静に見ていた。


【うわの空】

先生:
「上手になってきたから次の発表会、もう一曲増やそうか?」

息子はなにも答えず適当にピアノを弾いている。

先生:
「この曲はどう?あの曲はどう?」

いろいろと譜面を見せてくれたり、あれやこれや先生が弾いてきかせてくださった。

息子はというと、足をぶらぶらさせながら返事もしない。

僕がにらみを利かせると
「あ、それもいい。あ、それでもいいや」と、適当に答えている。

結局曲も決まらず、稽古の時間も終了。後日、先生に選んでいただくことになった。


【よくない態度の訳】

そして帰り道。

いつもなら、そんな日の帰りは説教ドライブ (笑)になるところだったが、今回は冷静に「訳」を聞くことにした。

僕:
「今日はいつもより先生のお話を聞いてなかったね、自分でもわかるろう?」

息子:
「うん。でもなんでかわからん。どうせ今日もパパは怒るんやろ。」

自分の態度はよくなかったことはわかってるようだ。

僕:
「いや、今日は怒らんよ。なんでかなっと思って。ちょっと心配になった。疲れてた?お腹空いてた?おしっこ我慢してた?」

息子:
「どれでもない」

僕:
「なんか理由があるやろ。ピアノが嫌なん?先生が嫌なん?」

息子:
「ピアノも先生も好き。」

僕:
「うーん、なんでやろね。」

息子:
「わからん」

僕:
「先生が悲しそうな顔して困ってたよ。パパも君の態度を見て悲しかったし、なんでだろうと思ったよ」

息子:
「ごめん・・・でもわからんがよ。」

このときふと思った。

いつも僕が見ていて、後でああだこうだ言われるのが嫌なのかなと。

僕自身、後でダメ出しされることが続くとへこたれることがあるもんな。

彼の「意欲」を削いでいるのは自分なのかなと感じた。


【おともだちとの約束】

話題を変えてみた。

僕:
「ところで、今日の学校はどうだった?楽しかった?」

息子:
「楽しかったよ・・・でも、終わってからA君と遊ぶ約束をしたがよ。その時、嫌なことがあった。」

いつも遊んでいる近所の同じ学校の同じ歳のA君。
幼馴染なので一番の仲良し。でもしょっちゅうケンカもしている。

僕:
「何があったが?」

息子:
「A君に『〇〇時に迎えに来てよ』って言って約束したのに、来てくれんかったがよ。先に帰ったみんながどこで遊んでいるかわからんき。」

僕:
「ふーん」

息子:
「でよ、来てくれんき、みんなを探して見つけた時、A君に聞いたよ。『なんで来てくれんかったの、約束したのに』って。そしたらヘラヘラ笑って無視されて・・・」

僕:
「それでどうしたが?」

息子:
「ぼくは嫌な気持ちになった。怒って『もう遊ばん!』って言った!」

僕:
「そしたらA君はどうした?」

息子:
「それでもヘラヘラして・・・もうほんといやになった」


【悲しい気持ち】

その話を聞いて、ピアノの時の息子の態度のことを思い出した。
ちょっとこじつけになってしまうかもしれないが、こんな話をしてみた。

僕:
「さっきのピアノの時に似てるね」

息子:
「・・・」

僕:
「先生と『音符を書く宿題』と『ここまで練習してきてよ』という約束したのに、守れなかったね」

息子:
「あ・・・」

僕:
「先生が一生懸命話してたけど、君は返事もせんかったね。ふざけてたし。そのとき先生はどんな気持ちになったかな?」

息子:
「悲しい気持ち…」

僕:
「やっぱり、約束を守るとか、人の話をちゃんと聞くって大事だなぁ。明日からちゃんとやろうな。」

しばらく塞ぎこむ息子…


【おへそを向けて人と話す】

家に着くと、彼はさっそくピアノ稽古のおさらいをはじめた。ピアノの書く宿題も、前回忘れた分もやりきった。

妻が残業だったので、僕は夕食を作りながら彼を見ていた。

そして、とことこと台所にやってきて言った。

「パパ、ごめんよ。」

表情を見ると、心から反省しているのがよくわかった。

息子と僕はちゃんと「おへそを向けて」向き合えて話しができた。

叱るより、罰を与えるより、訳を聞いて話しをすることのほうが何倍も効果があったような気がする。

でも子供はすぐ忘れてしまう。こういうことの繰り返しなんだろうな。

まぁ、そもそも自分も普段から「ちゃんと人の話を聞く」なんてできてない。

次の日、仕事仲間と「おへそを向けて話す」自分がいた。

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