あひる町の住人~兼業画家ライフ~

兼業画家をしています。高知在住。にゃんず・釣りやギター・ハシビロコウネタ、など、悲喜こもごもの土佐日記です。

「挑む」菊池省三先生のドキュメンタリー映画を観て~教育維新は土佐の山間から~

2016年05月11日 | 【高知ライフ】


ドキュメンタリー映画「挑む~菊池省三・白熱する教室・第一部」を観てきました。




菊地省三氏の取り組み・教育維新



「プロフェッショナル・仕事の流儀」「世界一受けたい授業」などのTV出演でも有名な菊池省三さんは、九州で30年間小学校の教員をなされていて、学級崩壊したクラスを次々と再生してきた方です。「ほめ言葉のシャワー」など数々の本も書かれており、いまは教員を辞めて全国を飛び回りセミナーを行っています。

その菊池先生の活動が映画となり、どのようなことをしているのか観ることができました。先生と生徒・授業風景が主な場面なのですが、いろいろと気づきがあり、自分の息子への教育と仕事にも活かせる内容でした。僕の主観ですが綴らせていただきます。



ありがたいことに、いの町・カフェClef無料上映会がありました。


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教育維新のきっかけは土佐の山間からの一通のメール


菊池先生が高知県いの町に来られたきっかけは、Clefマスター「葉っぱさん」こと池田葉子さんの1通のメールから始まったとのことです。常日頃から葉っぱさんは教育についての危機感を感じており、「何かを伝えたい」「変えて良い方向に向けたい」という強い想いで「高知に来てください」とメールしたそうです。本人もまさか来てくれるとは思ってもいなかったようです(笑)。そしてそれを受け入れる菊池先生のフットワークの軽さと行動力は本当にすばらしいです。

そして2016年現在、「地方創生加速化交付金」を活用した「ほめ言葉のシャワーの町・いの町からはじまる教育維新」と題して日本初のプロジェクトが高知県いの町から始まっているのです。菊池先生はいの町の教育特使に任命され教育現場を巡回指導するそうです。


映画の披露前に、プロジェクトのスタッフによる「いの町の取り組み」の説明がありました。実行内容が事細かくスケジュールされ、行動・目的が明確になっていました。いままでの教育のやり方を変え、新しい教師の考え方とその指導法を学ぶそうです。やがてプロジェクトは「先生から幸福になる」へと繋げていくそうです。先生という職業を通して幸せになっていただければそれは子供たちにも影響していく・・・なるほどと思いました。プレゼンを聴いていくうちにいの町教育委員会が一丸となって取り組んでいるのがよく解りました。そのプロジェクトは「第二部」としてドキュメント映画になるそうです。第二部の予告編を拝見しましたが、いの町の本気度がよくわかりました。



『挑む』は何も変わっていないことへの怒りから始まった・・・。


本編の「第一部」の上映開始そうそう、高知の名所・桂浜が映し出されました。そして坂本龍馬像の熱いまなざし…菊地省三氏が電車に揺られている場面。疾風怒濤のごとく先生は駆けずり回り、教育維新を進めているまっただ中。僕は映像にぐっと引き込まれました。

本編の小学校の授業風景・・・授業というよりディベート(討論会)です。小学生たちが意見を戦わせてひとつの結論を導き出しているのです。衝撃でした。なかなか会社の会議でもできないことです。


数あるエピソードの中から抜粋すると・・・

議題を決める
→そのことについて2分(この時間制限が大事)隣同士で相談
→発言者が挙手(ここで「発言すること」に拍手!どんな意見でもまずは手をあげた勇気に拍手・褒め言葉のシャワーを浴びせて意見を出しやすくする)
→なぜそう考えたのかを根拠を明確にしてしっかりわかりやすく伝える
→評価をする

ディベートはどんどん白熱していきます。なんとか皆に伝えようとし、間違った発言をしたことも指摘され、反論されつつ、それを素直に修正します。理解できた瞬間や伝わった瞬間を皆で喜び合う姿に感動を覚えました。

菊地先生はあまり口を出しません。司会進行と、時折褒めて場を和やかにします。そして時間制限を設けて短時間でまとめあげていきます。

先生はよく「〇分間、隣どうしで相談をしてください」と言っています。話すことで頭の中が整理されていくのではないでしょうか。隣どうしやグループで「相談する」ことがコミュニケーション能力の向上に繋がる方法だと僕は思いました。

なぜ菊地先生がこのような授業を行うようになったか・・・それは「挑む」という言葉に込められています。
「何十年か経ち、働いていた小学校に戻ってみると、何も変わらず古い教育体制のままだったことがあった。それに怒りを覚えた・・・」
うろ覚えのセリフなので定かではありませんが、終始穏やかな表情の先生の目はこのセリフの時、燃えていました。

「先生が一方的に話していても、生徒たちが考えて学ばなければ何も起こらない。先生が授業の主役ではない、生徒たちが主役である。」
そんなメッセージが僕には伝わってきました。



「価値語」がプラスの方向に導く


時折授業の中で、「価値語」というものを使っていました。「価値語」は菊池先生の造語で、「わくわく」「冒険」「美しい」「共感」「しなやか」「広がる」「サポート」「活かす」「気づき」など、「考え方や行動をプラスの方向に導く」言葉の数々だそうです。「良い言葉は人を育てる」と言っていたのが印象的でした。生徒たちも知ってか知らずかその言葉を使っています。

「価値語ハンドブック100」という本も出版されています。価値語を知り、どんどん使っていきたいものです。



「共感力」と「利他の発想」を育てる


「ぼくはこうです」「わたしもそう」という共感は簡単だと思いますが、自分と違う人とも共感できる「利他の発想」が重要だと劇中にありました。

「誰かが喜ぶことをしたい」「自分のやりたいことは結果的には誰かに喜んでもらえることなのではないか」という考えが生まれてくるそうです。



映画を観て、親として、社会人として自分自身の心に響いたこと


映画を観終わった後、とても印象深かった言葉、感想を記しておきます。

「誰が悪い」ということでなく、「やり方が間違っている」という考え方
これは仕事にも当てはまります。

「変わる」ということは「初めて」とは全く違う
同じ「成長」ではあるけれども「変わる」ということはなかなか難しいこと。気づきがあり変われば人生の糧となる。

プロフェッショナルとはその道で覚悟をもって生きている人。この人に聞けば何とかなると思わせる人
自分もこんな人を目指したい。

『ビジョン』を持つことの大切さ
「大きな夢」は「ビジョン」を描けば実現可能なものである。


これらの言葉たちは教育だけでなく、社会人としても心に留めておきたいものです。

さて・・・僕の息子も小学生2年生。先生方に期待する前に、親として子供に大いなる将来の夢(ビジョン)が描けるよう、出来ることをしなくては!!
と、固く決意させていただいた日にもなりました。

この授業を受けた子供たちは後に各方面で素晴らしい活躍をすることでしょう。環境が変わればなかなかこの教室のようにはならず、楽しかった反面、リバウンドがあるかもしれません。しかし生徒達は困難を乗り越え、それぞれがリーダーシップを発揮して同じような空気を作っていくでしょう。そんな気がしてならないのです。

ひとりでも多くこのドキュメント映画をみて、共感し実行される先生方が増え、数年後の教育がすばらしいものになるといいですね。



【関連記事】
こちらのブログでもこの日の上映会について書かれています。とても良い記事です。
「フランス語とアコーディオン」ブログ「挑む菊池省三先生!」
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