清志郎の日常

新しい家は結構面白いよ。

引き取ってくれたおとーちゃんは猫バカだし、おとーちゃんのオッカサンも相手してくれる。

・・・・でも、おとーちゃんのオトッツァンは、僕のことを「トラ」って言う。

トラじゃないよ、なんちゃらタビーって言うらしいよ、良く分からないけど。

 

「ばひぃーん」

 

兄貴も出来て、すっごく楽しい。

相撲で遊んでくれるし。

 

「オイラのコトかえ？」

 

でも、陛下は僕も兄貴もあんまり好きじゃないみたい。

 

「実際問題どうでも良いのである」

 

金子みすゞ風に言ったら

「あそぼ？って言ったら、ウゼェって言う。えーしー」

そんな感じ。

ちょっと怖い。

でも、もう、お婆ちゃんだしね、陛下って。

しかたないよね。

 

「黙れ小僧」

 

なんとか帝国の一員になったんだけど、ここって、どこに行っても何も言われない。

陽だまりポカポカのベランダでも屋根でも庭でも好きなところへ行ける。

ご飯は好きなときに食べられるし、カツヲブシって変な魚も兄貴と一緒に食べられる。

妙に美味しいね、このカツヲブシ。

朝と夜に、ちょこっとしか食べられないけど、ものすごく美味しい。

おとーちゃんってオジサンなんだけど、若い人間に混じって大学生って仕事をしてるんだって。

変だよね、オジサンなのに若い人って。

仕事なのに、昼過ぎには家にいるんだよ。

ホントに仕事してるのかな？

 

「放っておいてくだせぇ・・・」

 

でもね、おとーちゃんはいつも近くに居てくれるから、とても楽しいんだよ。

 

「きよきよ、ぴよぴよ～」って変な声で呼んでくれるんだ。

僕はいつも「あーい」って返事するんだよ。

ちょこっとしか覚えてないんだけど、僕って仲間がいっぱい居る、きちゃない所に居たんだ。

でも、元のおかーちゃんの所に引っ越して、今は新しいおとーちゃんの所でのんびりしてるよ。

だからもう大丈夫だよ、元のおかーちゃん。