ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

Soul Time In Hawaii (1967) / Ohta San

2020年03月23日 | Ohta-San - Vinyl
アメリカ・Deccaからアメリカ本土マーケット向けにリリースされたオータサン二作目のアルバム。プロデューサーは前作と同じ、Charles "Bud" Dant 。 のちにCD化されている。

A1 One Note Samba
A2 Love Forever
A3 Lahaina Luna
A4 Shangri-La
A5 Keep Your Eyes On The Hands
A6 Pineapple Special

B1 Manha De Carnaval
B2 Beyond The Sea (La Mer)
B3 Spring Spends The Winter In Hawaii
B4 Free Again
B5 Back Home To The Cane Fields
B6 The Tears (Namida)

前作「ウクレレ・アイル」の出来栄えにDeccaも満足したのか、基本的に同じ制作コンセプトを踏襲したジャズ・ボッサ調のアルバム。スタジオ名までは記載がないがハワイ録音と明記されており、前作同様にリラックスした雰囲気でオータサンは伸び伸びとウクレレを聴かせてくれる。ジャケットに写るウクレレはマーチンのソプラノ・ウクレレだろう。着ているシャツからすると前作ジャケットと同じ時に撮った写真で、背景のハワイらしき景色はどうも貼りつけ写真のようだが。

このDeccaでの二枚はニコイチというかA面・B面のような、同じジャズ・ボッサ路線で作られたアルバムといえる。あえて違いを探せばハワイゆかりの選曲が中心だった前作に対して、本盤ではアルバムタイトルは「ソウルタイム・イン・ハワイ」と言いつつも、ボサノヴァの本場ブラジルの有名曲も2曲入り、オータサンの自作曲も増えて2曲(A6,B5)採用された。平岡精二氏も前作同様に1曲(B6)を提供しており、洒落たビブラフォン演奏と編曲にもノークレジットだが引き続き関わったに違いない。

この後、ハワイのHula RecordsがオータサンのためにSurfside Recordsという別レーベルを開設し、60年代を通じそこでアレンジャー平岡精二氏との共同作業を中心とした音楽制作を続けてゆくことになる。






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Ukulele Isle (1965) / Ohta San

2020年03月09日 | Ohta-San - Vinyl

アメリカDecca(のちのMCA、現在のユニバーサル)からリリースされたオータサン(Deccaではハイフン"-"なしでOhta Sanと表記)のメジャー・デビュー・アルバム。これ以前に日本のビクター(のちにエディ・カマエの音源と合わせてコンピレーションCD化)やポリドールでの吹き込みと、Surfside/Warner Recordsからリリースされたシングル盤(のちにSurfsideからのLP盤にAB両面とも収録)があった。キャリア最初期の貴重なアルバムであるにも関わらず、アメリカ本土のメジャーなレコード会社からのリリースである事が幸いし、本作はのちにCD化も実現している。

ジャケット裏面のライナーノーツには、「本アルバムによりDeccaがアメリカ本州の音楽ファンに、ハワイのオータサンをご紹介します・・・」と言った事が書かれており、アメリカでのハワイ/エキゾチカ音楽への需要と、折からのボサノヴァの流行等が合わさって実現した作品であったかと想像する。

曲目は以下の通り 
A1 Too Much    
A2 Adios Ke Aloha
A3 Twilight In Tokyo
A4 Little Brown Gal
A5 Ebb Tide
A6 Dahil Sa Iyo 

B1 I'll Remember You
B2 Ukulele Isle
B3 Pearly Shells (Popo O Ewa)
B4 Hawaiian War Chant (Ta Hu Wa Hu Wai)
B5 Here Is Happiness (Koko Ni Sachiari)
B6 Legend Of The Rain

アメリカ本土のメジャーレーベルからのデビューではあるが、選曲に際しては故郷ハワイのマーケットも意識したのであろう。サウンドのほうは、アルバム全体を通じて当時流行したジャズ・ボッサ調である。アメリカで当時多くのジャズ・ミュージシャンがこうした作品を作ったが、そうした中で比べてもクオリティは高いように聴こえる。バックのビブラフォンをフィーチャーしたコンボ演奏も非常に心地よいアレンジで、オータサンも気負いなく伸び伸びと演奏しているのは、恐らく録音がオータサンの地元ハワイで行われた事(ホノルルのSounds of Hawaii Studios)、選曲に地元ハワイゆかりの曲や、同胞であるハワイのアジア系移民にお馴染みの曲ばかりが採用された事もあったろうか。

オータサン自身も自作曲を1曲(B2)のほか、A1のクレジットはS.Hiraokaとあり、これは後にSurfside Recordsで多くの作品をコラボレートする事になる、平岡精二氏で間違いないだろう。そうなると、どこにも記載はないが全編オータサンのウクレレに洒落たバックを付ける心地よいジャズ・ボッサのアレンジやビブラフォンの演奏も、平岡氏による仕事だった可能性が高い。初期のオータサンらしい、ソプラノ・ウクレレを駆使した快活で若々しい演奏が堪能できる。プロデューサーはCharles "Bud" Dant 。

ジャケット裏面には同レーベルから同時期にリリースされていたハワイアン音盤の広告が楽しい。アルフレッド・アパカ、ヒロ・ハワイアンズなどもオータサンの「同僚」だった。

インナーのスリーブにも広告が。ビリー・ヴォーン、ミルズ・ブラザースに、ジャズ映画「5つの銅貨」サントラなど。
拙宅にあるレコード盤は中古で入手したプロモ・コピーのため、ホワイト・レーベルで盤自体も少し薄めな作り。ジャケット表には大きく番号がなぐり書き(37をグシャグシャと消して、578)されていたりして、ラジオ局あたりから我が家に流れ着いたものだろうか。

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