ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

Swing Time in Hawaii (1996) / Anita O'day & Herb Ohta

2021年03月29日 | Ohta-San - CD

この年、オータサンはM&Hから二枚のアルバムをリリースしている。一枚は通常のオータサン自身のアルバムで、もう一枚は本作、50年代から60年代に全盛を誇った(1958年の映画「真夏の夜のジャズ」 での歌唱シーンも印象的だった)アメリカ本土のジャズ歌手アニタ・オデイとの『共演』盤(後述)であった。

ライナーノーツによればこの時期アニタはハワイ諸島をコンサート・ツアーで回る際はオータサンのバンドと一緒に回っていたようで、そこからこの共演盤が作られたようだ。

01.Give Me The Simple Life
02.It Might As Well Be Spring
03.Let's Fall In Love
04.My Foolish Heart
05.Undecided
06.I Hear A Rhapsody
07.Yesterday / Yesterdays
08.The Song Is You
09.S'Posin"
10.Autumn Leaves

共演盤というとアニタの歌の間奏にオータサンがウクレレを弾くのかと思いきや、実は本質的な意味でのそうした「共演」は1曲も無く、一曲飛びにアニタ・オデイの曲、オータサンの曲が一枚のアルバム中にそれぞれ収録されている変則的な構成となっている。アニタ・オデイの楽曲ではオータサンは演奏しておらず、ピアノやサックスをフィーチャした別のコンボを従えてのジャズボーカルである。

録音はいつものAudio Resource。今回ライル・リッツ(b)の参加は3曲のみ(2,8,10)で、ギターにジミー・フナイ、ドラムにノエル・オキモト、オルガンにPaul Markといういつものオータサンの布陣で3曲を演奏。それ以外の大半の曲は地元ホノルルを拠点とするジャズ系ベーシストのブルース・ハマダ(b)の他は、ニュージャージー出身のBob Albanese (Piano)、シカゴ出身で一時期ハワイやシアトルでも活動歴のあるTom Artwick(Tenor Sax)らアメリカ本土ジャズ畑のメンバーが別途に集められ、アニタの全曲でバックを務める他、サックス抜きの編成でオータサンとも2曲を演奏。

本作でアニタ・オデイとは本当の意味で「共演」とはならずちょっと残念な気もするが、オータサン参加のトラックに限ってみれば、3曲がオルガン・ジャズ、2曲がピアノ・ジャズという二通りの編成で楽しめるゴキゲンなウクレレ・ジャズが本作の聴きもの。ハワイアン調なジャケット・デザインに反して、収録内容は全曲ストレートなジャズ・アルバムとなっている。オータサンのウクレレの音色もとても良い。

なお、本作の4年後となる2000年には、別のジャズ界の大物プレーヤーがオータサンと実に楽し気な演奏により完全な共演を果たし、ファンは溜飲を下げるのであった。それが誰だったかは、後日のお楽しみ。

なお2000年代にビクターが「Swing Time」というM&Hの旧音源をコンパイルしたCDをリリースするが、本作とは別物である。




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Ohta-San Together Again (1995) / Herb Ohta

2021年03月15日 | Ohta-San - CD

アルファ・ミュージック移籍第一作。この年は6月にフォーライフの二作目が出て、7月にアルファから本作が出てと、夏シーズンに間に合わせるために新作ラッシュとなったようだ。

01サンバ・ドーロ
02ワンス・アイ・ラヴド
03アイド・ライク・トゥ・スペンド・サム・タイム・ウィズ・ユー
04ウォーキング・ハッピー
05トゥゲザー・アゲイン
06セオラ
07ヨーロッパ
08ジャスト・フレンズ
09ダウン・ヒア・オン・ザ・グランド
10トリステ
11エリナー・リグビー
12サンバ・ドーロ (コンティニュエイション)

日本勢中心にJ-POP寄りのノウハウで制作されたフォーライフとは打って変わって、移籍先のアルファではオータサンをジャズ・ミュージシャンとして迎え、本人の自主性を尊重する方針を打ち出したようだ(やはりオータサン自身も居心地が悪かったか)。今回のミュージシャンはライル・リッツ(b)、ノエル・オキモト(ds)、ナンドー・スアン(g)ほかハワイの仲間達を贅沢に使い、録音はお馴染みAudio Resourceホノルルで、テープをハワイから日本に持ち込んで東京でのミキシング作業を経て完成されている。結果的にオータサンの本来の良さを引き出すことに成功している。

アルバムのコンセプトも30年来の親交あるジャズ・フルート奏者のマウリシオ・スミスとの共演盤という趣向で、1960年代に録音されていた演奏がのち2006年になってようやく日の目を見る(CD「Ukulele Masters in Japan」に収録)が、それ以来の再会アルバム、という事でタイトルの「トゥゲザー・アゲイン」と相成った。ラテン風味の本格的なジャズ・サウンドが楽しめるアルバムになっている。

ジャズやフュージョンの専門レーベルがあり海外での制作ノウハウも持っていたアルファに移籍し、これでオータサンも日本でのレコード会社が定まるかと思いきや、アルファ・ミュージックも経営不振で98年には制作から撤退してしまうので、翌年に出される二作目でピリオドとなる。





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Chotto Matte Kudasai - Wait For Me (1995) / Ohta-San

2021年03月01日 | Ohta-San - CD

ハワイM&Hでの作品。プロデュースはオータサンとマネージャーのミチコ・ウラタ。録音はこの時期にいつも使用していたハワイのCommercial recording Hawaiiスタジオ。

シンプルなジャズギター・トリオ(g,b, ds)との共演というフォーマットが珍しいが、安心して聴けるジャズ・アルバムに仕上がっている。ベースにはこの時期には常連となっていたライル・リッツが参加。

1. Hawaii Calls    
2. Jungle Rain
3. I'll Weave A Lei Of Stars
4. Blue Darling
5. June In Hawaii
6. Spring Spends The Summer In Hawaii
7. Chotto Matte Kudasai
8. On A Coconut Island
9. Flying
10.Happy Talk

今回、オータサンは7.でテナー・ウクレレを使用している以外、すべてソプラノ・ウクレレを演奏している。

オータサンのウクレレをサポートする今回のメンバーは、
Danny Otholt (guitar & vocal)
Lyle Ritz (bass)
Morgan Grant (drums)
ジャズギター・トリオという編成上、ギターのDanny Otholtによる貢献度が大きい作品だが、残念ながら2000年に54歳という若さで亡くなっている。ホノルルをベースに活躍したジャズ・ギタリスト。

タイトル曲7.はハワイで60年代~70年代に活躍した日系女性ソングライターJeanne Nakashimaによる楽曲で、1969年にSam Kapuの歌でヒットした。日本のフォーリーブスはじめ多くのカバーバージョンが存在する、ハワイのローカル・ポピュラーソング。


このデザインのパステル調の熱帯魚のような色使いが、ハワイならでは。
日本人の感性にはない色やフォントの組み合わせ、と思いきやデザイナーには意外にもクレバヤシさんという日系の方のお名前が。


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