ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

South Sea Island Magic (1995) / Nina Kealiiwahamana & Herb Ohta with friends

2023年07月31日 | Ohta-San - CD
ニーナ・ケアリイヴァハマナは、ラジオ番組「ハワイ・コールズ」に1958年から1974年の長きにわたりソロ歌手として出演を続けたハワイ音楽の大物女声歌手。番組を降板後はロイヤルハワイアン・ホテルに出演を続け、ハワイのツーリズム黄金時代をその歌声で飾った。

本盤はオータサンとのダブルヘッダー名義となっているが、通常の音楽アルバムの作りとはちょっと異なるようだ。作品の作りとしてはまさにニーナ・ケアリイヴァハマナが長年、主戦場としたラジオの音楽バラエティ番組「ハワイ・コールズ」やハワイの一流ホテルで夜な夜な開催されるルアウ・パーティのように、次々と一流の演者が入れ代わり立ち代わりステージに登場しては一流の芸能を披露するエンタテインメント・ショー仕立ての構成となっているのが面白い。ニーナ・ケアリイヴァハマナに対するリスペクトといった事であったろう。

曲によって演者が異なるが、この二人のダブルヘッダー名義のアルバムという事に違和感はなく、むしろその事でかえって目立たない存在ながら、作品の充実度ではオータサンのディスコグラフィでも屈指の隠れ名盤であろう。おおまかには全13曲収録中、ニーナ・ケアリイヴァハマナが5曲で歌っている他は、曲によって別の歌手がリードを取ったり、またはボーカル無しのインスト・トラックも含まれる。一方オータサンは6曲でウクレレを奏でているが、単なる伴奏というものはなく一聴してすぐオータサンとわかるソロ奏者としてフィーチャーされており、看板に偽り無しといえよう。その他の楽曲で演奏するウクレレ奏者はじめとする楽器演奏陣はいずれもハワイを代表する豪華メンバーで、ざっと挙げるとウクレレにベニー・カラマ、バイロン・ヤスイ、スティールギターはアラン・アカカ、ギターのDanny Otholtはオータサンのアルバム"Chotto Matte Kudasai - Wait For Me (1995) "でも素晴らしいジャズギターを聴かせていたし、またベースのライル・リッツ、キーボードのPaul Mark、ギターのジミー・フナイなどはいずれもこの時期のオータサンのレギュラーメンバーで、いずれもハワイの第一人者級メンバーが揃っている。

(Vocals)
Gary Aiko
Iwalani Kahalewai
Nina Kealiiwahamana
Leilani Kuhau
Nanri
Joe Recca

(Musicians)
Alan Akaka(スチールギター)
Bob Albanse(ピアノ)
Jerry Byrd(スチールギター)
Jimmy Funai(ギター)
Benny Kalam(ウクレレ)
Paul Mark(シンセサイザー、ピアノ)
Herb Ohta(ウクレレ)
Noel Okimoto(ドラム)
Hiram K Olsen Jr.(スラック・キー・ギター)
Danny Otholt(ギター)
Lyle Ritz(ベース)
Byron Yasui(ベース、ウクレレ)

1. Kipahulu
2. Waikiki
3. Rose Medley
4. Follow Me
5. I'm Going to Maui Tomorrow
6. Mi Nei
7. Pua Mae'ole
8. Sands of Waikiki
9. Le Lokelani
10. I'll Remember You
11. E Ho'i I Ka Pili
12. South Sea Island Magic
13. Ka Makani Kaili Aloha

本盤はその企画と構成から言って、音盤全体をトータルで楽しむ事で作品が本来意図した感動が味わえるコンセプト・アルバムと思うが、ここでの収録曲中、1.だけはのちにビクターが編纂した編集盤"Hawaii - The Best Selection from M & H Hawaii (2010)"にレア音源ボーナス・トラック的に再録されたので断片的にそこで聴く事もできる。レーベルはM&H Hawaii、プロデューサーはおなじみミチコ・ウラタだが今回はExecutive ProducerとしてTakiko Nanriが大きくクレジットされている。ボーカル陣のひとりNanriと同一人物かもしれない(「南里」さんだろうか?)。

拙宅の盤は中古で手に入れたが、前オーナーがスチールギター愛好家だったらしくジャケットにアラン・アカカ氏のサインがある。(この人もハワイの第一人者)



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The Hawaiian All Starts (2006) /Billy Hew Ren, Barney Issacs & Herbert Ohta

2023年07月17日 | Ohta-San - CD
ビクター・エンタテインメントが2006年にリリースした国内盤CDだが、原盤は同社が1977年にリリースした24曲入りのLP二枚組『南国の夜ハワイアン・デラックス/ハワイズ・グレイテスト・オールスターズ(On A Tropic Night / Jack Demello And The Hawaii's Greatest All Stars)』という音盤である。

このアルバム企画の縁起はライナーノーツに詳しく、大変興味深い。戦後の第一次ハワイアンブームに沸く1970年代の日本では、日本人ミュージシャンの演奏によるレコードが飛ぶように売れる一方、本場ハワイのミュージシャンのレコードは一部の好事家の蒐集アイテムに留まりヒット作が出なかった。洋楽部門も何とかブームにあやかってハワイアンのヒットレコードをものにしたい、という事で白羽の矢が立ったのが親日家として知られたハワイの大物ミュージシャン/バンド・リーダーで、尚且つやり手のビジネスマンでもあったJack de Mello(イズ Israel Kamakawiwo'ole のプロデューサー等で知られるJon de Melloの父親)。

このJack de Melloがビクターからの業務依頼を受けて実質的なプロデューサーを請け負い、ハワイのトップミュージシャンを集めて日本市場向けに吹き込んだのがこの音源というわけである。翌78年には2枚組から選抜した14曲と、もともとハワイ市場向けに別選曲で録音しておいた日本盤には未収録の2曲(17,19)を追加し16曲入りのLPアルバム"Jack De Mello Presents Steel Guitar Magic Hawaiian Style: Hawaii's Golden 16"として、自身が所有するハワイのレーベルMusic Of Polynesiaから発売している。本CDはこの2曲も追加収録した完全盤で、見た目は安易なハワイアン全曲集だが、大物プロデューサーが招集した一流ミュージシャンによるオリジナル・アルバムとして吹き込まれた音源である。

なお、ハワイでの16曲入りバージョン発売から更に数年後、同じく16曲収録で¥2,000という一枚ものLPの体裁で国内盤も再リリースされている(選曲はハワイ盤と異なり、国内盤からの抜粋)から、アナログからCD化も経て様々なバージョンでの再発売を繰り返し、結果的に息の長いセールスでビクターは充分に元が取れたことに違いない。

セッションは来日時に日本のハワイアンブームを視察したJack de Melloが、日本はスチールギター入りのバンド編成が大人気、というリサーチ結果をもとに当時のハワイ一級のスチールギター奏者として当初はプア・アルメイダが予定されていたようだが、吹込みの1か月前(74年の2月)に急死。代わって急遽Billy Hew LenとBarney Issacs,Jr.のダブルヘッダーを看板に据え、更に念入りにウクレレに日本でも音盤のリリースがあり知名度のあったオータサンを第三の看板スターとして配置。この三枚看板を中心としたアレンジを書き下ろし、自らセッションの指揮を執った。

メンバーは以下:
Steel Guitar – Barney Issacs, Jr., Billy Hew Len
Ukulele – Benny Kalama, Herb Ohta, Randy Oness
Vibraphone – Alex Among
Drums – Al Bardi
Guitar – King Kamahele, Sonny Kamahele
Bass – Jimmy Kaopuiki
Composer, Conductor, Arranger – Jack de Mello

なお、ここでのオータサンはセッション仕事とは言え『第三の主役』扱いとしてソロの見せ場も要所要所にしっかりと用意されており、12.や18.などオータサンのウクレレを中心にフィーチャーした楽曲も収録されており、20.などでは自身名義の音源ではあまり演られない珍しいジャカソロ(バトキン奏法)も巧みな所を聴かせている。ウクレレにBenny Kalamaも加わっているが、この時期オータサンのセッション仕事にはセットで参加している例が多い。音の方はスチールギターにBarney Issacs,Jr.が入っている事から、オータサンのディスコグラフィにおいては拙稿で先に紹介済であるNew Hawaiian Bandと同系統の音源と言えるだろう。録音はホノルルのSounds of Hawaiiスタジオにて1974年3月に行われた。

01 南国の夜 
02 ハワイアン・パラダイス
03 月の夜は  
04 ハワイアン・ウォー・チャント
05 ブルー・ハワイ
06 真珠貝の歌 
07 メカナニ・アウ・カウポ 
08 珊瑚礁の彼方に 
09 ラハイナの月
10 小さな竹の橋
11 美わしのケアウカハ 
12 マウイ・ガールズ 
13 スイート・レイラニ 
14 ラブリー・フラ・ハンズ
15 マウイ・チャイムズ 
16 アカカの滝
17 ホレ・ワイメア
18 タイニー・バブルス
19 ワイピオ
20 ワイキキの浜辺で
21 ホノルルの月
22 マリヒニ・メレ
23 ハワイアン・ウエディング・ソング 
24 カイマナ・ヒラ
25 アロハ・オエ 
26 別れの磯千鳥




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Hawaii's Greatest Instrumentalists (1971) / The New Hawaiian Band

2023年07月03日 | Ohta-San - CD
ニュー・ハワイアン・バンド名義での1971年の録音。60年代末に立て続けにリリースされた二枚はアメリカ本土のメジャー大手Decca作品だったが、こちらはTrim Recordsというハワイ・ホノルルのレーベルからのリリース。しかし参加メンバーはほぼ同一で、以下の通り。

Ohta San - Ukulele
Benny Saks (aka Ben Sakamaki) - Vibraphone
Jimmy Kaopuiki - bass 
Atta Issacs - Slack Key Guitar (※)
Barney Issacs Jr. - Steel Guitar 
Pua Almeida - Guitar
Jerry Byrd - Steel Guitar (※)
Sonny Kaopuiki - guitarist

このうち本作には参加していて、一作目には名前が見られなかったのが(※)で記した二人。Jerryだけはアメリカ本土ナッシュビルのミュージシャンで、他はハワイのトップ・ミュージシャンという顔ぶれ。BarneyとAttaの二人は、「Poki-san & Friends」という名義による1974年リリースの覆面バンド作品でもオータサンと再共演しているが、それぞれハワイを代表するスティールギター、スラッキーギターの名手。プロデュースとアレンジはCharles "Bud" Dantが本作でも引き続き担当しており、正当なシリーズ続編(再会セッション)と位置付けられるだろう。

アルバムの構成を見てみると、本作の売りのひとつであったろうJerryとBarneyの二人によるスティール・ギター・デュオが4曲(1,4,6,9)、オータサンのウクレレをフィーチャーした4曲(3,5,8,11)、Attaのスラッキーが4曲(2,7,10,12)の全12曲がオリジナルLPの体裁で、各スター・プレーヤーそれぞれをフィーチャーしたコンセプトになっている。オータサンがメインの4曲は普通のハワイアンに留まらないバリエーションを持たせたアレンジで、自作の1曲も含めていつものオータサンのウクレレのレコードと遜色ない出来映え。

1.Ke Kali Nei Au    
2.Medley (Maikai Makani - Kui Au)
3.Chotto Matte Kudasai  ハワイ・ローカルヒットを得意のボッサ風にアレンジ
4.Analani E'
5.Kaulana O Hilo Hanakahi  フラでもお馴染みのハワイアン・ソングをスイング風のリズムで。終盤はオータサンのウクレレがアドリブで盛り上げる。
6.Beautiful Kahana
7.Green Rose Hula
8.Ebb Tide 70年代によく演奏していた「引き潮」、昭和ムードの情感たっぷり
9.Lei Aloha, Lei Makamae (Forevermore)
10.Haole Hula
11.Red Hibiscus  トレモロ単音弾きでのメロディーが印象的なオータサンのオリジナル曲。
12.Kekapu (Love Song)
13.Night Time
14.Across The Sean
15.I Don't Mind

なお最後の3曲は1992年のCD化に際して追加されたボーナストラックで、ハワイの歌手Nohelani Cyprianoによる1978年録音のEPのための伴奏トラック(歌無しのカラオケ)。Jerry Byrdのスティールギターに加え、Peter MoonやHenry Kaponoなどの新世代(当時)のスタープレーヤー達も参加している。メンバーも録音時期も異なる為、この部分だけコンテンポラリーなハワイアンで、トラディショナルな本編とはサウンドが異なりミスマッチな印象だが、Jerry Byrdのスティールギターがお目当てのリスナーには嬉しい追加収録だろう。


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