ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

Shakin' The Blues Away (1970's) / Cliff Edwards "Ukulele Ike"

2023年11月20日 | US & Canada Ukulele
1970年代にカナダのTotem Recordsが組んだウクレレ・アイクことクリフ・エドワーズの戦前吹き込みコンピレーション。同レーベルはビング・クロスビー、ジーン・ケリー、アル・ジョルソンといった戦前スターの音源を1970年代から1980年代にかけて多く復刻したカナダのレコード会社。

Selections never before on record!という触れ込みなのだが、SP盤の復刻盤として当時は初のセレクションという意味だったのだろう。それというのも本盤の裏ジャケットに新聞記事のコピーが大きくレイアウトされているように、1971年にウクレレ・アイクが亡くなった際は、この人物が戦前のアメリカ芸能界で大活躍した往年の大スターとは周囲の誰にも気づかれることなく身寄りのない老人として福祉施設でひっそりと亡くなったという。恐らく本盤も当時はすっかり忘れられた存在であった彼の追悼盤として急遽組まれたLPだったろうと思われる。

1895年生まれというからロイ・スメックより5歳年上、やはりボードビルの大衆演芸出身で、映画という娯楽がトーキー化(無声映画の時代から、音声と同期する映画が登場)するにあたり映画界に進出した。戦後も『ピノキオ』『ダンボ』といったディズニーの名作アニメーション映画で声優として重要な役どころを演じ、有名な主題歌の『星に願いを』もウクレレ・アイクの歌であった。

彼のウクレレはやはりボードビル出身らしく張りの強いアメリカン・チューニング(現在一般的なハワイ式のウクレレのチューニングより一音高い)に加えてアタックの強いコード・ストラミングで、これは音響設備がまだ十分でなかった時代に劇場や屋外のステージでもしっかりと聴衆に音を届かせる為には必須のテクニックであり、加えて曲芸的な見た目も重要な要素であった。今日日本でいわゆる『ジャカソロ』と称されるコード・ソロを中心としたスタイルはこのアメリカ本土の大衆演芸が起源となっており、本来のハワイ式スタイルとは根本的に異なるウクレレ奏法だが、戦後逆にハワイに逆輸入されて多くの若いハワイ・ローカルの奏者がレパートリーに取り入れた。

ウクレレ・アイクの場合は勿論ウクレレも達者なのだがやはり歌手としての存在が大きく、間奏部分や興が乗ってくるとスキャットでジャズの管楽器ソロを真似る(ずっとのちにヴォカリーズと称される事になる)独特の歌唱法でも先駆者でもある。

何しろ戦前の大スターであるから多くの音源にはスヰング・スタイルの楽団がバックをつけており、ウクレレは必ずしもすべての吹き込み盤で聴こえる(=audible)とは限らない。しかし時折聴こえる冴えたストラミングや、こんにちyoutubeで見ることのできる初期トーキー映画での演奏を見るとやはり相当な腕前である。

A1 Singing In The Rain
A2 Shakin' The Blues Away
A3 Shine
A4 Alabamy Bound
A5 I Feel Like A Feather In The Breeze
A6 Everybody Step
A7 Indiana
A8 I Found A New Baby
A9 I'm Gonna Sit Right Down & Write Myself A Letter

B1 Yes Sir! That's My Baby
B2 Way Down Yonder In New Orleans
B3 There'll Be Some Changes Made
B4 The Blues My Sweetie Gives To Me
B5 Darktown Strutter's Ball
B6 My Baby Don't Mean Maybe
B7 Hang On To Me
B8 When You Wore A Tulip
B9 Singing In The Rain (Reprise)

収録曲はウクレレ・アイク代表曲の一つ『雨に唄えば』で幕を開け、B面ラストも幕を閉じる。1952年のハリウッド映画で有名だが、オリジナルは1929年のウクレレ・アイクによる吹き込み盤だ(MGM作品『ハリウッド・レヴィユー』で用いられた)。



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How to play Ukulele like Ohta-San (series) (1999)

2023年11月06日 | Ukulele DVD
ウクレレ再評価に伴い、90年代にオータサンが日本で「再紹介」された当時、CDの音だけではオータサンが小さなウクレレ1本を用いて一体どのような弾き方をしてあのような多彩な演奏をしているのか、謎に包まれていた。そうした要望に応えハワイM&H制作協力の元に国内独自に企画されたシリーズがVHSのビデオタイトルと対応する楽譜1冊となり発売された。VHSはやがてメディアの変遷に伴い2000年代にDVD化され再発。拙宅には今のところシリーズ中5本のうち、ジャズ・レパートリーを演奏している中古で入手したvol.1とvol.4のDVD版2本を所蔵。リリース元はFar East Island Record。同レーベルからは拙稿で既に紹介済の『Herb Ohta with Friends Vol.1-2』のDVDシリーズ2本のほか、ロイ・サクマ(Daniel Ho/Faith Rivera客演)の『ハワイアンウクレレ入門』等もリリースされた。90年代当時は、今の様に全国の身近な教室でウクレレを上手に弾けて教えられる先生もまだ少なかったのではないか。

内容はDVD1本あたり楽曲2~3曲を収録。選曲はオータサンのステージでも繰り返し演奏され、過去にレコーディングしてきた実際のレパートリーから選ばれており、冒頭にまず模範演奏、続いてちょうど画面超しにオンラインレッスンを受けているようにコード進行に沿って指使いを説明しながら弾き方を見せてくれるというもの。曲によってはオータサンがコード伴奏をつけてくれる映像や、伴奏に合わせて練習出来たり、或いはコード使い、チューニングや爪など初心者が気になるポイントを解説した演奏が続く。演奏・解説部分は左手の運指と右手のピッキング(オータサンの場合は主に親指の長く伸ばした爪をピック代わりに使用)が常にアップで映るような画面構成。本編中でオータサンは日本語で説明してくれている。収録時間は1本あたり45分程度。

vol.1
■スターダスト:STARDUST
・スターダスト(スローテンポ)
・スターダストについて解説、分解
■茶色の小瓶:LITTEL BROWN JUG
・茶色の小瓶(スローテンポ)
・茶色の小瓶について解説、分解
・茶色の小瓶カラオケ
(オオタサンからワンポイントアドバイス)
◆チューニングについて
◆爪について
・ENDING THEME:ALOHA OE

vol.4
■オーバー・ザ・レインボウ
:OVER THE RAINBOW
・OVER THE RAINBOWについて解説、分解
■サマー・タイム:SUMMER TIME
・SUMMER TIMEについて解説、分解
(オータサンからワンポイントアドバイス)
・コードについて
・ENDING THEME:ALOHA OE



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