ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

Ukulele Ike Happens Again (1968) / Cliff Edwards

2023年12月18日 | US & Canada Ukulele

このウクレレ・アイクことゴードン・エドワーズの1968年リリースのアナログ、実は1956年リリースの「Ukulele Ike Sings Again」のリイシュー盤である。オリジナル盤のタイトル/ジャケットでCD化されたこともあり、そちらのほうがお馴染みだろう。タイトルとジャケットが違うが内容はどちらも全く同じである。リリース元のBuena Vista Recordsはウォルト・ディズニー傘下のレコード会社で、56年のオリジナル盤はディズニーランドというレコードレーベルからのリリースだった。

ウクレレ・アイクは戦前のアメリカ芸能界で活躍したスターで、特に1920年頃はアメリカ本土で(ウクレレ・アイク氏も愛用していた)マーチン製のウクレレの生産量がギターを凌ぎピークだった時期でもあり、レコード吹込みやステージ活動に留まらず、映画界にも進出した。1952年公開のミュージカル映画で有名な「雨に唄えば」は、もともとウクレレ・アイクが1929年の映画「ハリウッド・レヴィユー」で披露したのがオリジナル。1940年のディズニー映画「ピノキオ」ではコオロギの"ジミニー・クリケット" として「星に願いを」を歌い、その年のアカデミー賞の歌曲賞を獲得した。同曲はいまなおディズニーを代表する名曲として知られている。本盤では「雨に唄えば」の再演が収録されている。

A1    Singin' In The Rain
A2  I'll See You In My Dreams
A3  I'm Sorry I Made You Cry
A4a  K-K-K-Katy
A4b  When You Wore A Tulip
A5a  Sleepy Time Gal
A5b  At Sundown
A5c  I Cried For You

B1  Ja Da
B2  June Night
B3  The Darktown Strutters' Ball
B4  Sunday
B5  Swingin' Down The Lane
B6a  Toot Toot Tootsie
B6b  No No Nora
B6c  Five Feet Two, Eyes Of Blue

伴奏 – The Wonderland Jazz Band
指揮 – George Bruns
Bass – Jess Bourgeois
Clarinet – George Probert
Drums – Nick Fatool
Piano – Marvin Ash
Trombone, Tuba – George Bruns
Trumpet – Don Kinch

ウクレレ演奏はストラミング(コード伴奏)中心だが非常に巧みで、弾き語りスタイルでジャズソングを唄う。興が乗ってくるとヴォーカルによる楽器によるジャズのアドリブ演奏を真似たスキャットが始まるのが定番だが、この分野でも先駆者とされている。しかし類まれな才能に恵まれながら芸術家にありがちな破滅的な生活スタイルを送り続けたため、晩年は身寄りのない老人として高齢者施設に収容され、1971年に亡くなった後でそのことを知ったディズニーが埋葬費を負担したという。

彼の遺した膨大な音源はどれも素晴らしく、様々な形でコンパイルされリリースされているが、本盤はディズニーのジャズバンドをバックに従えた戦後の録音による再演集のため、演奏も音質も良くて聞きやすく、最初の一枚にも最適である。尚、本作ではウクレレ・アイクはボーカル参加のみでウクレレは弾いていないものと思われがちだが、実は大きめの音量で注意深く聴くと所々でウクレレの音も聞き取ることができる。本来の巧みなウクレレ・ストラミングを堪能するには、戦前の古い音源に触れてみてほしい。




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I Want A Girl...(1976) / Cliff Edwards "Ukulele Ike"

2023年12月04日 | US & Canada Ukulele
カナダ・Totem Recordsから1976年リリースされたウクレレ・アイクことクリフ・エドワーズの戦前吹き込み音源の復刻コンピレーションLP。同レーベルは恐らく1971年のウクレレ・アイクが亡くなった後に数枚(確認できるだけで少なくとも3枚)同趣向のLPレコードをリリースしている。

原盤はすべて戦前の78回転SPレコード盤で、ウクレレ・アイクが初期のジャズソングを歌い、スヰング・スタイルのコンボ楽団がバックをつけるといったもの。こうした戦前アーチストの音源を辿れば、ジャズソングなるもの(一部はのちにジャズ・スタンダード化)が本来はアメリカの歌謡曲だった事が容易に理解でき、演者さん達の起源はボードビルとよばれる大衆芸能まで遡る。そこにはミンストレル・ショウという白人が顔を黒く靴墨で塗って黒人役を滑稽に演じた差別的な演目が含まれるため、今日のアメリカ芸能史ではタブー史される面もあるが、同国の豊潤なるポピュラー音楽の歴史をたどれば常に人種間の鬩ぎあいと異なる文化の化学反応こそがなくてはならない要素であり、その化学反応のマジックは今もなお続いていると言って良い。(こんにち多くの白人ポピュラー音楽の歌手は黒人のソウルシンガーのような節回しで歌唱する事がすっかり一般化した/ヒスパニック系など近年急増したエスニックの要素/等など)

ウクレレという楽器もまた、ハワイから持ち込まれたが何故かスヰングのリズムを誰でも容易に奏でる事が出来るという不思議な特性から、アメリカ本土ではハワイとは異なる独自の普及と音楽的発展を見せ、のちに本国であるハワイのミュージシャンにも逆輸入で多大な影響を及ぼした。

A1 I Want A Girl Just Like The Girl That Married Dear Old Dad
A2 Who
A3 For Me And My Gal
A4 Toot, Toot, Tootsie!
A5 When My Sugar Walks Down The Street
A6 I Want To Call You Sweet Mama
A7 Yaaka Hula Hickey Dula
A8 Good Little, Bad Little, You
A9 Somebody Stole My Gal

B1 Mandy
B2 Margie
B3 If You Knew Susie
B4 K-K-K-Katy
B5 My Little Girl
B6 Mary Ann
B7 Padelin' Madelin' Home
B8 Walkin' My Baby Back Home
B9 Sleepy Time Gal

ウクレレ・アイクに代表される大衆芸能出身のスターたちの活躍により、ウクレレは戦前ジャズソングのひとつのアイコンと化し、戦後に至ってもイアン・ウイットコムやジャネット・クラインに至るまで多くのアメリカ本土のアーチストに影響を及ぼし続けた結果、アメリカ本土のウクレレ愛好家の間では今日でもウクレレを抱えて戦前などの古い歌を歌う形がひとつの定番スタイルとして定着している観がある。



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