ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

To You Sweetheart, Aloha (2006)

2024年03月25日 | Ukulele DVD

2006年作、制作と監督はS.Leo Chiang。ハワイ国際フィルム・フィスティバル公式出品作、L.A.アジアン・パシフィック・フィルムフェスティバルの観客賞受賞作品。

ビル・タピアは1908年ハワイ生まれのウクレレ演奏家で、特に晩年から103歳で亡くなるまでの期間に世界最高齢プロミュージシャンとして世界的に存在を知られるようになった。ジャズギター・イディオムを用いた巧みなテナー・ウクレレ演奏と、とぼけたユーモラスな味わいのヴォーカルが相まって独特の緩くやさしい世界観を持ったスヰング・ウクレレ音楽を創造した。何枚かアルバムがCDでリリースされているがいずれも素晴らしい内容で甲乙つけがたい。

さて本作はビル翁が94歳の時に撮影された生涯唯一の映像作品でありながら、ややビターな味わいを伴う。それはなぜかといえば、ビル本人が生前この内容にハッピーではなかった事が何度も言及されていたからだ。本作のストーリーの核をなすのは、ビルを時にアシスタントとして、時に孫娘のように、あるいは親しい友達として接する26歳の白人女性との関係を軸に語られる。映像ではビルが年甲斐もなくこの女性に恋心を抱いてしまい、それを察知した女性が悩み苦しむ・・・という展開になっている。しかし、のちにビル翁曰く、この女性に恋愛感情を抱いた事実など一度もなかったという。そういわれて見ると、作為的にそのように見せようとする制作者の演出が見え隠れしてしまう。作品としてはそのほうがストーリー性があって面白いだろうが、果たして制作者の真意や如何に。

しかし、ビル・タピアという稀代のスヰング・スタイル・ウクレレの巨人を捉えた貴重な映像作品には違いない。事実はどうであれ、翁が遺した音楽はどこまでやさしく、ユーモラスで、純粋である。


パッケージ表のステッカーから判るように、拙宅の個体はノースカロライナ州イーロン大学図書館からの放出品でした。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Becky & Lyle Bossa Style (2009)

2024年03月11日 | US & Canada Ukulele

前作「 I Wish You Love (2007)」ではLyle Ritz & Rebecca Kilgore名義であったが、二作目の本作ではBecky & Lyle名義となっており、固定ユニットとしてパーマネントな活動を志向していたことが伺える。メンバーは前作に引き続きLyle Ritzのジャズ・ウクレレとRebecca Kilgoreのヴォーカル、Dave Capteinのベースに加え、新たにギター&パーカッションでJohn Stowell、パーカッションでPiper Heisigが加わりサウンド面でも多彩さを増した。

リリース元は前作同様PDX Ukeで、地元ポートランド・ウクレレ・アソシエイション(PUA)による自主制作盤。録音はオレゴン州ポートランドからコロンビア河を越えて対岸に位置するお隣のワシントン州バンクーバーにあるNettleingham Audio にて。パーカッションはわざわざカリフォルニアにあるSutton Sound Studioで別録りされており、前作以上に手の込んだ制作が行われ、自主制作ながら作品としての完成度を上げる事に成功している。

1 A Moment Later
2 Take Me To Aruanda
3 Abobora
4 Love Me Or Leave Me
5 Easy Come, Easy Go
6 Happy Talk
7 I Will
8 I'm Looking Over a Four Leaf Clover
9 Once I Loved
10 What The World Needs Now
11 Triste
12 Old In New Mexico

ボッサ・スタイルというタイトルの通り、アントニオ・カルロス・ジョビンやカルロス・リラのボサノヴァ曲だけでなく、ビートルズの「I Will」やバート・バカラックなど幅広い選曲をジャズ・ボッサ風味で演奏する趣向。ユニットとしての一体感ある心地よいサウンドの好アルバムに仕上がっている。

ライル氏はこの翌年2010年2月10日、アロハタワー・マーケットプレイスで開催された「一夜限りの4大巨匠ウクレレライブ〜UKULELE LEGENDS IN CONCERT」に出演した模様が日本でDVDリリースされた。そこではハワイのバイロン・ヤスイ(b)とベニー・チョン(ukulele)と共に再びオーソドックスなジャズ・ウクレレ演奏を披露している。実はこの二人、ビル・タピアの2007年発表セカンドアルバム「Duke Of Uke」の伴奏メンバーで、実はライル氏は体調不良の為にアメリカ本土にある自宅からのリモート参加のみとなったビル翁のピンチヒッターとして急遽参加したという経緯だったが、貴重なライヴ映像となった。

2007年にポートランドのウクレレ・フェスティバルで、ライル・リッツ氏はウクレレの殿堂入りを果たし、さらに同年、スタジオミュージシャン集団「レッキング・クルー」の一員としてもミュージシャンの殿堂入りも果たす。2017年3月3日、素晴らしい数々の音楽作品を遺しジャズ・ウクレレの先駆者ライル・リッツはオレゴン州のポートランドにて87歳で亡くなった。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする