ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

New Orleans Ukulele Maestro & Tent Show Troubadour (2013)/ Papa Lemon

2024年12月30日 | US & Canada Ukulele

パパ・レモンである。日本の台所洗剤のアレは1966年発売だそうだが、こちらは1959年から1961年の間にニューオリンズのジャズ歴史研究家によって録音された数回のインタビューと演奏の記録を纏めたものだ。2013年にカリフォルニアのArhoolieというレーベルがCDとアナログLPでリリースした。このレーベルの親会社はSmithsonian Folkways。

パパ・レモンことLemon Nashはインディアンの酋長の羽飾りを付けてウクレレをかき鳴らし、1920年代にはブルースやジャズ小唄を歌い旅芸人に加わって旅をしたウクレレ芸人である。1898年生まれのルイジアナ州出身で、薬売りの一座や、巡回興業のボードヴィルやミンストレル・ショウなどで各地を巡り、50年代後半頃にニューオリンズに落ち着いたようだ。60年代後半にはまだニューオリンズで路上演奏を続けていたようだが、賑やかなブラスバンド演奏がひしめく合間に2曲ほど歌っては次の場所へ移動する、名もなき「グランパ(じい様)」として知られていたという。

ウクレレの原型となった楽器がポルトガル人によってハワイにもたらされたのは一説によれば1879年とも言われるが、アメリカ本土に広く紹介される機会となったのは1893年のシカゴ万博とされる。その後ハワイアンのレコード等と共にウクレレの販売も広まったようである。1920年のマーチン社におけるウクレレ生産本数は、ギターの二倍もの規模に達したというが、ウクレレは演奏が容易なうえに、構造上スイングするリズム感を表現しやすい楽器でもあって、当時のアメリカ流行歌との親和性は高かっただろう。

当時のいわゆる旅芸人の一座がどのようなものであったかはマイケル・ジャクソンとポール・マッカートニーがデュエットした「セイ・セイ・セイ」のPVでも抽象的にではあるが描かれていた怪しげな興業だが、現代アメリカのエンターテインメント産業(歌、手品などのショウ、コメディ、映画など)に繋がるルーツである。

A1 Bourbon Street Parade    
A2 Papa Lemon's Blues
A3 Serenading With Frank Wagner
A4 Grave Digger's Blues
A5 Trouble With The Man
A6 What Was A Medicine Show Like?
A7 Bowleg Rooster, Duckleg Hen / Sweet Georgia Brown
A8 $25 A Night
A9 Nobody Knows You When You're Down And Out
A10 Anybody Seen My Kitty?
A11 Please Give Me Black And Brown
A12 Barrelhouse
A13 Let The Good Times Roll
A14 What A Friend We Have In Jesus

B1 Way In The Hee Hi Hoo
B2 We Played Anywhere
B3 I'm Blue Every Monday
B4 Stagolee
B5 The Battlefield
B6 Rabbit Brown
B7 If You Could Fight Like You Can Love
B8 Those Drafting Blues
B9 Spano's And Fox
B10 Nobody Knows The Trouble I've Seen
B11 Big Rock Candy Mountain
B12 The Jiggler Vein And The Raincoat
B13 Brownskin, Come And Go With Me

ニューオリンズのA1に始まり、本格的なカントリー・ブルースや、A7「スイート・ジョージア・ブラウン」もあり、エリック・クラプトンもカヴァーしていたA9、ウクレレ・アイクも歌っていたB3など、ジャズ小唄とブルースを自在に行き来しながらウクレレを手に歌う。コード使いもなかなか多彩である。インタビューのパートでは、時折ガラス(酒瓶?)の音なども聞こえつつ、大きな声でまくしたてながら在りし日の旅芸人稼業の様子などを語ってもいる。



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George Formby (1970s) / George Formby

2024年12月16日 | World Ukulele
戦前・戦中に活躍した英国のコメディ銀幕スター、ジョージ・フォームビーのベスト盤を取り上げる。オリジナルは1966年リリースの「I'm The Ukelele Man ‎(MFP 1182)」で、発売年は不明だがカタログナンバーひとつ後の「Hear My Song/Josef Locke (MFP 50336)」が1977年リリースというから、本盤は恐らく70年代中頃のリイシュー盤(MFP 50335)。オリジナル盤とはジャケット違いだが内容は同じである。レーベルはMusic For Pleasure (大手レコード会社EMIと出版会社Hamlynの合弁会社)。

余談でこれはあくまで個人的な推測だが、90年代に大ヒットした映画「オースティン・パワーズ」シリーズでカナダ人俳優のマイク・マイヤーズが創造した英国人スパイのキャラクターには、どことなく英国が誇るコメディアンであるジョージ・フォームビーからの影響を思わせるものがあった。

ウクレレ・オーケストラにせよ、イアン・ウイットコムにせよ、時折エポック・メイキングなウクレレ音楽のアーチストが、何故だかウクレレの歴史とはおよそ縁のなさそうな英国から登場する理由はこの人、ジョージ・フォームビーにあると言っても良いだろう。生涯ウクレレの愛好家でもあったジョージ・ハリソンも少年時代に大ファンだったというし、ジョン・レノンが母から学んだ最初の楽器がバンジョーだったという有名なエピソードも、実はこのジョージ・フォームビーが弾いていたバンジョー・ウクレレではなかったかという説もあるくらい、ロック音楽到来以前の英国における国民的スターであった。トレードマークのバンジョー・ウクレレをかき鳴らし、とぼけた歌声とスインギーなリズムでコミック・ソングを歌うというスタイルで、やはり同時代にアメリカではウクレレ・アイクが銀幕で歌い人気を博していた時代に、英国にはジョージ・フォームビーがおり一世を風靡していた。どちらも達者なウクレレによるコード・ストラミングで弾き歌う、というスタイルも似ていた点が面白い。

ジョージ・フォームビーは父親が戦前のコメディ・スターとして劇場で活躍しており、本人はその父のおかげで裕福な家庭に生まれ育ち乗馬の騎手を目指していたが、父の急逝に伴い母親の売り込みもあり父の後継ぎとして急遽コメディ俳優の道に転じ、父から受け継いだコメディアンとしての才能を開花させる中で、父とは異なる自身の個性として身に着けたのが当時新しくイギリスに紹介されてきた南洋ハワイ諸島より伝来の楽器、ウクレレであった。バンジョー・ウクレレはそれを電気化することなく大きな音量を稼ぐためにバンジョーの楽器的な構造を取り入れたいわばハイブリッドで、劇場を主戦場とした彼にはうってつけの伴奏楽器であったろう。やがて成長するに従い母親の影響から独立すべく年上の女優と結婚するも、今度はその年上妻から強い精神的束縛と支配管理を生涯受けることになった。戦時下は兵隊さん役の戦意高揚コメディ映画に大量に出演し、銀幕でトレードマークのバンジョーウクレレをかき鳴らし歌って、ナチスドイツと戦っていたチャーチル戦時内閣の時代に英国民の支持を得て活躍した。

A1 Leaning On A Lamp-Post    
A2 Mother, What Will I Do Now?
A3 Auntie Maggie's Remedy
A4 Grandad's Flannelette Nightshirt
A5 In My Little Snapshot Album
A6 With My Little Stick Of Blackpool Rock

B1 The Window Cleaner
B2 The Window Cleaner (No. 2)
B3 Mr Wu's A Window Cleaner Now
B4 Our Sergeant Major
B5 The Lancashire Toreador
B6 I'm The Ukulele Man

イアン・ウイットコムの著書「Ukulele Heroes(洋書)」にもジョージ・フォームビーが英国娯楽界においていかに偉大な存在であったかと、彼から受けた大きな音楽的影響が綴られている。のちのモンティ・パイソンやミスター・ビーンにも連なる英国コメディ界の巨人であり、ユーモア精神を国是とする英国ウクレレ音楽における元祖であろう。



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Stanley's Gig (2000) / Music From Motion Picture

2024年12月02日 | US & Canada Ukulele

2000年制作、アメリカの自主映画のサウンド・トラック。多くの楽曲で歌とウクレレ演奏を、Ian Whitcombが担当している(アルバム収録の14曲中、8曲)。好評だったのか、後にサントラに対応した歌本まで発売された。
他にウクレレの歌本などをアメリカで出版しているFred Sokolowや、アメリカ本土でウクレレ・リヴァイバルの伝道師として長年にわたり精力的に活動するお馴染みJim Beloffなどが楽曲提供。アルバムはJim BeloffのFlea Market Musicが発売元を請け負った。

1.Ukulele Heaven
2.Uke Mania
3.Good Night Little Girl Goodnight
4.Blue
5.The Uke is on the March
6.So Wrong
7.Somebody Stole My Gal
8.Makin' Love Ukulele Style
9.For the Love of Uke
10.I Love you
11.Bill Bailey Won't You Please Come Home
12.All I Can Bring You Is Love
13.Boogie Woogie Jungle Snake
14.Baby Won't You Please Come home

プロデュースはRich Dickerson。レーベルは4Johnny Records。映画の方はウクレレ愛にあふれた劇映画で、アメリカとドイツの映画祭で上映されたようだ。76年にアカデミー主演女優賞を受けたフェイ・ダナウェイが出演している他、ベテラン黒人女優/歌手のMarla Gibbsが歌も本人が担当し3曲(11,12,14)収録。そのMarla女史だがL.A.にMarla's Memory Laneなるジャズクラブを所有しておられたとのこと(現在は閉店)で、女優としての活動の傍らプロ歌手としての活動もあったようだ。音楽も素晴らしいが、映画のほうも何年かごとにまた見たくなるような、素晴らしい作品である。




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