ウクレレとSwing(スヰング)音盤

ブログは「ほぼ隔週月曜更新」を目安に、のんびりやっています。レコードやCDはすべて趣味で集めたもので販売はしていません。

Ukulele Magic Hawaiian Style (1970's)/ Don Baduria

2025年01月27日 | Hawaiian Ukulele
オリジナル盤(LP)のリリース元はMusic Of Polynesia Inc。正確な制作年度は不明だが、カタログナンバー前後から推測して1970年代にリリースされた作品であろう。90年代に写真のようなデジタル・グラフィックのジャケットデザインに差し替えられCD化されたが、本来は70年代らしいかわいらしいウクレレが描かれたイラストのジャケットデザインにレコードが収められていた立派なウクレレ音盤であった。

本盤のプロデューサーはMusic Of Polynesiaの設立者でもあるJack de Mello。この人のご子息がJon de Melloで、Israel Kamakawiwo'oleのプロデューサーとして知られ、レコード会社Mountain Appleのオーナー。この流れでCD盤のリリース元はIsrael Kamakawiwo'oleの諸作品で知られるハワイ音楽の大手レーベルMountain Appleとなった次第。父親からレコード会社の版権を譲り受けたのだろう。

Don Baduriaについては既に拙稿にて50年代の作品とされる最初のアルバム『Don Baduria - Worlds Greatest Ukulele Stylest』を紹介済だが、オータサンよりひとつ上の世代に当たり、1956年と57年にエド・サリヴァン・ショーに出演。アメリカ空軍バンドの一座に加わり世界ツアーに二度参加。その後の活動については不明だがプロデューサーJack de Melloの音楽イベントにゲストとして数回出演した後、約20年のブランクを経た二枚目のアルバムとして満を持して本作の制作に入ったようだ。演奏に衰えがないばかりか、最初の吹込みよりも遥かに演奏が洗練されて聴こえるので、レコーディングの無い期間も演奏活動は何らかの形で続けていたのだろう。

1 Pearly Shells
2 Na Ka Pueo (The Owl)
3 Sweet Leilani
4 Little Grass Shack
5 Hukilau Song
6 Hilo March
7 Yellow Bird
8 Little Brown Gal
9 My Dog Has Fleas
10 Beyond The Reef
11 Planting Rice
12 On The Beach At Waikiki

演奏メンバーについては不明だが、ハワイアン・パーカッション、エレキベース、ギターからなるバンドがバックを付けているが、全曲でDon Baduriaがメロディとコードを巧みに弾き分けている。楽曲はウクレレで取り上げらえる事の多いハワイ音楽が並び、ウクレレのレパートリー集といった趣だ。そのためハワイの土産物店などでもかつてはよく目にした気もするが、実はハワイのレジェンド級ウクレレ・プレイヤーによる貴重な復帰作なのであった。



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Heart Of The Ukulele (1962) / Eddie Kamae

2025年01月13日 | Hawaiian Ukulele
1962年、Sounds Of Hawaiiスタジオにて録音。レーベルはMahalo Records、プロデュースはBill Murata。

1 Come Back To Sorrento    
2 Star Eyes
3 Granada
4 Tropical
5 Under Paris Skies
6 Around The World
7 Akaka Falls
8 Ka Ua Loku
9 Kamehameha Waltz
10 Sweet Someone
11 Pa Au Au Waltz
12  Aloha Oe

本盤の主役は言わずと知れたハワイ音楽の巨匠エディ・カマエである。70年代にギャビー・パヒヌイ らと共にグループ『サンズ・オブ・ハワイ』を結成し、ハワイ音楽の復興を主導した。その巨匠が60年代に録音した貴重なウクレレのインスト・レコードが本作。のちにCD化された。(Mahalo recordsのカタログには23本のマスター・テープが残され、うち10作がCD化されたらしい。)

一般的にはエディ・カマエ「唯一の」、ウクレレのインスト・レコードと言われそうだが、実はこの2年前に日本のビクターで「南海のウクレレ・ムード (1960) / エディー・カマエ」という吹き込みがある。こちらの音源も『Ukulele Masters in Japan 1960-1964 』というCD(ビクター)で聴くことができる。

エディ・カマエが果たしたハワイ音楽の歴史における功績は計り知れないが、ウクレレ音楽史においては少年時代のオータサンの才能をいち早く見抜き、支援した事も特筆すべきだろう。前述の日本吹き込みでも、自身の録音の際に「自分よりもっと上手くて若い日系人がいる」といって紹介し、その後の日本における吹き込みデビューに繋がった。オータサンの演奏には、特にトレモロ奏法やコード・ストラミングにおいてエディ・カマエから直接受けた影響が感じられる。

本作の内容は、奏者不明のウッドベースとパーカッションがスインギーなバックをつける程度で、エディ氏の奏でるウクレレを中心にアレンジされている。飾り気のない素朴なサウンドだが内容は素晴らしく、7.などでは録音中の息遣いまで音盤にしっかりと捉えられている。




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