クロージングベル

電話はいつも
突然やってくる



その日の仕事ももう終わりかけた
午後４時過ぎのこと。


仕事を適当に仕上げて
雑談などを交えながらこなしていると
突然、携帯電話が鳴った。


しかも、掛かってきたのは
家から。


なんだ？だれだ？


不思議に思いながらも電話に出る。
「おどーさーんー！！」

電話の向こうでは
大泣きに泣いている娘(小２)の声。


な、なんだ、何が起こったんだ？



確かこの時間は
学校から帰ってきて
スイミングスクールのバスに乗って
元気に泳いでいるはずだが。。。。。。




「バスに乗りおくでだー！！」
と涙声で訴えかける。


まったく、何やってんだか。。。。。


「わかった、そっち行くから」


仕事を途中切り上げて
会社を後にする。



家も会社もスイミングスクールも
同じ狭い町内なので
それほど時間も掛からずに
家で娘を拾い上げ
スイミングスクールへも無事時間内に送り届けたが、
（狭い町だと、こういうときは便利）
その間中も
泣きじゃっくりが止まらないようで。。。。


まぁ、とりあえず、泣くな、な。
と声をかけてやる。

確か今日は進級テストの日だったろう。
まず、気を落着かせてからじゃないと。


結局、
進級テストは
受からなかったらしい。

まぁ、こればっかりは
普段の本人のやる気の度合い＋生まれ持った素質などが
関係するもんだから、
だめならだめでしょうがない。


で、
「涙の電話」についてだが、
家を出たときに、見たら
スクールバスが既に出て行くところだったらしい。

それでパニックになって
俺に電話してきたらしいが
なぜか一回俺は出なかった。
見てみると、
気がつかなかったが、ちゃんと着信履歴に残っていた。
それで更にパニックになって
こんどもう一回掛けてみたら今度は掛かったよう。
で、例の「おどーさーんー！！」になったらしい。


で、
家で何やっていたのか？

テレビを見ていてボーっとしていたら、
時間が過ぎてしまって、
あわてて家を出たんだけど
時既に遅し、ってことだったらしい。

まったく、何やってんだか。。。。。


うん？ちょっと待て。
俺の小さい頃は、
夕方のそれくらいの時間て言えば
アニメの再放送がいくらでも見られる
こどもにとってのゴールデンタイムだったが、
最近はアニメの再放送とか、あまりやってないぞ？


「あんた、何見てたの？」と訊くと
「クロージングベル」







はぁ？




「だって面白いんだもん」とぬかしやがる。


確かに、
我が家のテレビは
いつも下の子（２さい）に朝飯を食わせて
めりおっと！たいそうを見せてから保育園に連れて行くので
チャンネル設定がテレビ愛知（テレビ東京系列）のままになっていることが多い。



でも、小学2年生が「クロージングベル」って、
おまえは、どんなデイトレーダーなんだ？


末おそろしい。。。。