泣きながら、撤退同盟

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線路は続くよどこまでも

2006-07-29 | paradaise weekend!
マニアと言うのは人から言われるものであって
自分から「マニアです~」というのは
まったくもってDQNである。


「マニア」と言う言葉の語源は
熱病
気狂い
癲癇

などといった言葉であって、
他人から見て
こいつどうしたの?

と思われる行動をしている香具師のことを言う。


たとえば、

こんなものを見たって普通の人は何が面白いのか分かるわけが無い。
これは、

刈谷市内に出来たJR貨物の「オフレールステーション」で
JR貨物がトラックからのモータブルシフトを加速させようと
線路が無いところに作られた貨物駅で、
本物の東海道線の刈谷駅からは5kmぐらい離れている。
近くにはアイシン精機・デンソーなどといった
トヨタ関連工場が並ぶため、
そこから出荷されたものを国道そばのここでコンテナに組み替え、
名古屋の貨物駅にトラックで運び、
全国に出荷するために出来た
全国で2番目の「オフレールステーション」なのである。

なんだけど
こんな説明を受けて面白がるのは
マニアか、関係者か、物流業者ぐらいしかおるまい



と、いうわけで、
いままで鉄道に関するコメントは積極的にしていたものの、
ドン引きされることは分かっているので
鉄道ネタはあまり控えていたのですが、
今回の

週末ごとにわたくしめのお気に入りを紹介させていただく
Paradaise Weekend!!でございますが、
今週はおもいっきりマニアな、この本。




時刻表2万キロ」/宮脇俊三

この本に出会ったのは小学5年生の頃。

わたくしめの出身地は埼玉県大宮市で、
明治以降鉄道が敷かれると信州方面と東北方面への分岐点として、
交通の要所として栄えた場所であります。

わたくしめが物心ついたときは、いわゆる「鉄道ブーム」のときで、
カメラ小僧が大挙して東京駅にブルートレインを撮りに行った時代でした。

小僧よりも小さかったわたくしめには、
30kmも離れている東京駅や上野駅には、よう行けませんでしたが、
けった(チャリ)で行ける大宮駅には良く行きました。

その時の大宮駅は「L特急」全盛の頃で、
入れ替わり立ち代り、色々な特急が
東北・上越・信越方面からやってきては出て行く光景を
目の当たりにしていました。


そのときに出会ったのがこの本。


大正15年生まれの宮脇さんは
中央公論社で常務取締役まで勤め上げられた方で、
北杜夫さんとの付き合いが長いことでも知られている。

確か下の娘さんは
わたくしめと同い年なはず。

その宮脇さんのこの「時刻表2万キロ」は、
重箱の隅を突付く様に
日本の各地のローカル線を乗り歩いている、
いわゆる紀行文にあたる、
一応ジャンルとしては。


この後の国鉄の誘導キャンペーン「いい旅チャレンジ2万キロ」は
この本が導入であり、
その後の、今も続く「ローカル線ブーム」を作ったきっかけも
この本だと思う。


先ほども言った様に
中央公論社という一流出版社の常務という肩書きを持ちながら
毎週末はセコセコと日本中のローカル線を乗り歩いていたことになる。


この本の素晴らしいところは、
他の「マニアな」鉄道の本と違って
重箱の隅を突付く様に
日本の各地のローカル線を乗り歩いている、
そのバカバカしさ、
その悲哀、
だからと言って誰がほめてくれるわけでもなく
(かえって奥さんには「また行くの?」冷たく言い放たれる

けど、それだけの経歴を持つ方らしく
(あのかの有名な雑誌「中央公論」や「婦人公論」の編集長も歴任されている!)
マニアに偏らないすばらしい筆致、
そして時には間を外す妙技!
(ストリップ小屋とか、飲み屋のねぇーちゃんとか、なんかしらんけど
そういう鉄道とはまったく縁のない話もふらっと出ては消える。。。

当時小学5年生のわたくしめがそこまで読めたわけはないけど、
この本によって
本を読む楽しさを教わった気がする。

この本の、
マニアに偏らない、というか、
どちらかというと
いい歳して、おれなにやっているんだろう  という雰囲気を
充分滲ませながらも、
自分の趣味に没頭していくその姿勢は、
幼いながらも妙に感嘆するところがあった。



特急電車が大好きだったけれど、
その特急も新幹線が出来ると次々に消えていった。
その中で、
みんなでワイワイ電車に乗って
周りの乗客や乗務員に迷惑をかけながら写真を撮ったり、
記念切符を買って楽しむのではなく、

この線路はどこへ行くのか、
どこへ行くと、その先はどうなっているのか?
という、
この宮脇さんの本の中にある
誰の迷惑になるでなく、ストイックに、個人的に、
ひっそり、深夜に1人で楽しむような
(この感覚は、エロ本、エロビデオに近いかもしれない
鉄道の楽しみ方というのは、
妙に大人びていて
本当に、人生を変えられた1冊だったのです。

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この本は河出書房新社から出版されました。

「今まで他人の本の出版を断ってきた以上、
自分の会社から出版するわけにはいかない。
自分の会社から出版しないのに、
このまま会社に居るわけにはいかない」
と、決断され、
宮脇さんは常務まで勤められた会社を辞められ、
違う会社から出版しました。

むかしは、
「男気あるねぇ~」と思ったものですが、
でもね、
今、社会人になって思うんです。

会社からしてみれば
「なんで、うちで出してくんないのかなぁ~と思うところ
しきりだと思うんですが。
この後の宮脇俊三さんの著作の数を見れば
これだけの売上が
独占的に入ったわけで。。。。。。。。

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2 コメント

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Unknown (コウ)
2006-08-12 13:46:47
モータブルシフトではなく、モーダルシフトです。
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あら、 (umiusi45)
2006-08-14 09:39:34
あら、
返信する

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