日本や中国、韓国など東アジアに広く分布し、成長すると産卵のために川を下り海に入る。世界には、ヨーロッパウナギやアメリカウナギなど18種類のウナギがいるが、国内で消費されるウナギの大部分は、ニホンウナギ。日本鰻輸入組合によると、昨年の場合、国内流通量の9割近くを占めた。
日本のウナギ消費量は年間約13万トン。国民1人当たり、年平均5匹ものウナギを食べている計算になる。その99.5%は養殖ものだ。しかし、養殖では、天然の稚魚(シラスウナギ)を集めて育てているにすぎない。ウナギを卵から育てる「完全養殖」は、研究室レベルでは成功しているものの、現在の技術では飼育途中で大半が死んでしまい、ごく一部しか大きく育たない。このため、養殖法としては実用化できていない。理由の一つは、産卵・ふかする際の水温や水深など自然界に生息するウナギの生態が詳しく分かっていない点にある。
ウナギの資源量は世界的に減少しつつあり、日本の沿岸に来るシラスウナギの量は70年ごろのわずか1割との研究報告もある。
産卵場特定を機にウナギの繁殖生態や回遊ルートの全体像が解明されれば、養殖技術を進歩させるだけでなく日本を含む東アジアの国々が資源保護のためどんな対策をとるべきか科学的に示すことも可能になるだろう。
(FROM 朝日新聞)