けんちゃんは照れる
皮膚科の中待合室
キョロキョロキョロキョロ
めあての人を見付けると
ジーッと見詰める
こっちを見てくれるまで
どうやら、
見てさえくれたら
自分に関心を示してくれる
そう思っている
母ちゃんに抱っこされながら、
あっちにブン!
こっちにブン!
振り回す勢いで体の向きを変える
おばちゃんがニッコリ
あ!気付いた?
ボク、けんちゃん
あら、かわいい♪
エヘェ~
かわいい?
エヘェ~
照れちゃう
ちょっとだけ顔を下にむけて
クネクネ
そして、ニヤ~
優しいおばちゃん
それくらいのころが
一番かわいい
って
よかったね、
けんちゃんかわいいって
いいこいいこで
頭を撫でてくれる母ちゃん
そのあとの一言は余分じゃない?
ねぇ、けんちゃん
照れてるの?
はじゅかしいの?
最近、
一丁前に
照れたりするんですよね
あらぁ、
いろいろ分かってきたんだね
優しいおばちゃん♪
けんちゃんは
本当にいろいろ
分かってきている
診察済んで、
処方せん待ちの待合室
若いお姉さんが来院
すぐ近くのイスに
けんちゃん、
視線を送る
ボクが見詰めれば、
誰もが振り向き
そして、
笑顔をくれる
かわいいってことばと一緒に
あれ?
お姉さん・・・
ボク、見てるよ
けんちゃんだよ♪
あれ?
こっち向きませんか?
ちょっと、
手を伸ばしてみるけど・・・
けんちゃんだよぉー
こっち向いたら
ニッコリ見れるよぉ
・・・・・・
つまんなそうな顔
ちょっとうなだれて、
空を見詰める
右手の指を伸ばしてみたり、
折ってみたり
人差し指だけ立ててみたり、
パーにしたり
仕方ない
母ちゃんに照れとくか
ニヤァ