https://www.mbta.com/stops/place-newto
わがNewton Centreの思い出と言えば・・・
Pat Metheny Groupの音楽!

『STILL Life (talking)』(geffin/1987年)後ろCD版、手前カセット版
アメリカに行く前からもちろんそのゼネレーションのど真ん中である事と、何よりも子供の頃から聞いていた恩師Gary Burtonの育てたミュージシャンの代表でもあるPat Metheny。面白いのはアメリカと日本の音楽文化の時差があるおかげで、パット・メセニーが聞いて育った音楽が殆ど僕も同じであること。アメリカと日本の音楽文化的時差は3年程度。
彼曰く、ラリー・コリエル(g)の入ったゲイリー・バートン・クァルテットの音楽は当時アメリカ中西部の若者から圧倒的な支持を受けていて自分もその一人だった、と。四国の田舎町でジャズに狂っていた小僧も全く同じだった。ゲイリーの楽屋を訪ねて弾いたのもその時代のレパートリーで“Walter L”だったとか。もう、それ大好きで中学時代毎日カーネギーのライブを聴いていたよ。

2006年のゲイリー・バートン・リユニオン・クァルテット公演の時に東京ブルーノートの楽屋にてパット氏を交えたスリーショット
Pat Metheny / 私 /Gary Burton(L to R)
ボストンの街中の狭いアパートでは泥棒が横行するようになり、ゲイリーから楽器を借りていたこともあって、郊外へ引っ越すことにしたのが留学して10ヶ月学校も2セメスター終わり、そろそろ右も左も見えるようになった1987年の初夏。郊外のニュートン・センターというJewish Townで環境も文化も治安も頗る良い。学校からは地下鉄Dラインがそのまま地上を走り20分で結んでいる。引っ越しと同時に中古の楽器を買い、卒業間際だったトランペットの田村夏樹氏から車も買った。
引越しの日の朝、Budget で借りたミニトラックのラジオからパット・メセニーの新譜(『Still Life "Taking"/geffin/1987年』)が流れ始めた。ボストンからまっすぐに緑の木々を抜けて森の中にある街ニュートンに着いた時は、どうしようもなくパット・メセニーの音楽と生活が同期しているように感じた。もちろんすぐにミュージック・カセット、そしてCDプレーヤーの導入と共にCDを買った。

Newton Centre (住まいのあったBeacon stの夕景)
2台分のガレージと庭に、4ベッドルームと2リビング、2バスルーム、広いダイニングキッチン、ベースメントを四人でシェアして一人400ドル。駅から徒歩7分、坂を降りたら人気のスーパーがあり、近くのクリスタル・レイクは夏は水泳、冬はスケートができた。

近くにはいくつかの湖と池があって気分転換によく出掛けた
それまで朝から晩まで殆ど学校の中で一日を過ごしていた生活から、必要な時だけ学校に行く(授業も専門課程になると減る)ライフスタイル。パット・メセニーの音楽が生活そのものに深く浸透していた。

翌年の夏にはライル・メイズの新譜『Street Dreams』(geffn/88年)もリリースされ、この中の音楽もここの生活に自然と馴染んで生活の中で常に流れていた。
僕の中でこの二つがバークリー生活後半でもっとも思い出に残っている音楽。
環境、景色、空気、色彩(特に紅葉は素晴らしかった)、味覚、どれ一つ取っても今じゃなきゃ実感出来ない貴重な時間だった。

家の横の道。奥にゆけばクリスタル・レイクがある。クリームの小型車は田村夏樹氏から買ったプリマス・チャンプ。通学、仕事に大活躍した
冬は雪が積もり大変な時もあったけど、抜けるような青空とダイヤモンドダストが舞う、神秘的な世界。この体験を知らなければ、きっとパット・メセニーらの音楽を隅々までキャッチ出来なかったかもしれないし、そういう感覚を想像だけではなく実体験したことはその後の創作活動に多大な影響を与えている。

雪の積もった庭。春になると大きな杉の木にハンモックをかけて本を読んだり音楽を聴いたり曲を作ったりした
音楽は時代の写し鏡。あの時代の中でこそキャッチ出来た感動もたくさんこれらの音楽の中に詰め込まれている。
だから、あれからもう30年以上経っても、インプットされた音と記憶は再生と共に蘇る。
ニュートンは帰国時まで住んだ街。
僕にとってこの街とパット・メセニーたちの音楽はセットとなって記憶に残っている。
不思議なことに、アメリカから帰国したと同時に、パット・メセニーの新しいアルバムが発売された。
タイトルは『Letter from Home』。

偶然だけど、なんか特別な想いで聞いた。
やがて新しい時代に自ら突入して行って、新しい世界の中で生きて来た。あのまま、あの世界に没頭していたらどうなっていただろうか。その頃に誰でも思う「ボストンに帰りたい」という気持ちは無くはなかったが、新米ゆえの余裕の無さと忙しさの中でかき消されてしまった。
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*9月のこちらのライブ、予約が始まりました。どうぞお楽しみください。
ご予約もこちらから↓

■9月7日(水) 池袋・Absolute Blue
【Majestic Colors Trio】
【出演】赤松敏弘(vib) ハクエイ・キム(p) 市原ひかり(tp)
【内容】2014年のアルバム「Majestic Colors」から最新作まで三枚のアルバムのフロント3人だけでお届けするここだけのトリオロジー!
【時間】open 19:00 / 1st 19:30-20:30 / 2nd 21:00-22:00
【チャージ】¥3,600 / 学割¥2,600 (別途1ドリンクオーダー)
【ご予約】リンクページ下部で人数を「決定」後、表示される「予約を進める」をクリックし、ご予約ください。
※「会員登録」をすると、次回以降の予約で入力の手間が省けて便利です。また、予約履歴の確認やキャンセルができます。会員登録なしでも、「連絡先を直接入力する」でご予約いただけます。
それでは今日も楽しい一日を!
【放送】
今週のオンエア (9月1日~9月9日)
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。
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火曜〜金曜 放送時間 4:00~5:00 (9月7日からは 2:00〜3:00)
土曜 26:30〜27:00 日曜 26:05~26:35
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“ねこの足跡”21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。
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金曜 放送時間 25:35 都知事定例会見後 ~27:00
土曜 18:00〜19:00 日曜 18:30〜19:00
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“路面電車のある風景 - 1”『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
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日曜 15:00~15:20(プロ野球中継の時はお休み)
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“猫の足跡 看板猫”22年1月、ビブラフォン ジャズ部門【Amazon's Choice】選出作品
『TIDE GPAPH/赤松敏弘』(2007年作)
演奏:赤松敏弘(vib, mar)ユキ・アリマサ(p)松島美紀(mar)
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土曜 5:00~6:00
日曜 5:00~6:00 24:00〜24:30
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“東京点描 城南1”『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)
演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)
首都圏以外の方はこちらの「エムキャス」で全国からスマホやパソコンでリアルタイムにお楽しみいただけます。
★エムキャス→https://mcas.jp/c/mx2.html
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変わらずのんびりとやっております。