先日松山の実家滞在中に、偶然にも近所のライブハウスMONKで開かれていた渡辺貞夫さんの2Daysで松山入りしていたベースの須川崇志とマチネがはねた後、実家のレッスンスタジオでデュオセッションをしていた時の雑談でその話題になった。
確かにカセットテープは記録媒体としてはとても優秀で僕自身中学時代に英会話のカセットテープを聞くという名目で導入したカセットレコーダーからの付き合いになる。
それまでは個人的な記録でもオープンリールのデッキが必要で、たまたま父親が所持していた2chのでかいオープンデッキの左右のチャンネルを使ってオーバーダビングして遊ぶ、という一人ジャムセッションに中学の頃は明け暮れていたのだけど、それがカセットデッキの登場で気軽にどこにでも持ち運べる恩恵を得た。ただし、録音に関してはオープンデッキのようにチャンネルの使い分けが出来ず、あくまでも記録という用途しかなかった。オープンデッキでダビングした音を流しながらさらにダビング演奏することは出来たが・・。
それが70年代だからデジタル録音の始まる80年代後期まで、ほぼ20年間が全盛期。個人ユースであれば80年代の後半から現れたDATに僕らは移行したけど、一般的には90年代にMDが普及するまではまだまだ時代の主流だった。実際にMDよりもカセットの方が音が良かった。
アメリカに渡った80年台半ばはまだCDは登場しておらず、留学生が帰国を前提に音源を集めるとなるとレコードは不向きで、さて、どうしたものかと思いながら渡米すると、ナント、アメリカではミュージックカセットというものが普通にレコード店の棚に並んでいてびっくりした。
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車社会の違いをまざまざと感じさせるもので、日本ではお気に入りのレコードを自分でカスタマイズした選曲のカセットテープをカーステレオで流すのが当たり前だったけど、アメリカではそんな野暮なことはしないようで、車で聴く用のミュージックカセットというものが存在していた。
バークリーの側にあったタワーレコードでもレコード売り場と並んでミュージックカセット売り場が大半を占め、ポップスはもちろん、クラシックからジャズ、エスニックまでありとあらゆるジャンルのフロアでカセットが売られていた。
確か新譜で5ドル前後。単純に1ドル100円とすれば500円でフルアルバムが買える寸法だ。当時日本でレコードのLPが新譜で2500円前後。同じものが五分の一! なので当座のリスニング用に日本でレコードで持っていたアルバムも気兼ねなく購入した。
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87年頃まで聞きたいものがあればタワレコに行ってカセットで買っていた。新譜も旧譜も。ちょうどボストンの街中の狭いアパートから郊外のニュートンのベースメントとガレージ付きの一軒家(ハウスシェアリング)に引っ越す時にパット・メセニーの『Still Life (Talking)』(Geffen/87年)が初夏の引越しで借りたBudgetのレンタカーのラジオからも流れていたのをよく覚えている。まさにあの音楽の通りの環境でのアメリカ暮らしが始まった頃に、それまで使っていたfisherのカセットデッキが壊れて悩んでいたところにCDプレーヤーという選択肢が生まれた。
メセニーの『Still Life (Talking)』もこの時まではカセットで聞いていたが、急速に拡充されるCDで改めて買い直した。新譜で12ドル。日本円にして1200円だ。それでもミュージックカセットの倍ではあるが、意外とケースがかさばるカセットテープと比べて薄いCDはあっという間に主流となった。
最後に買ったミュージック・カセットがなんだったかは覚えてないけど、『Still Life (Talking)』だったような気もする。
ちなみにレコードの最後は渡米直前に買ったライル・メイズのファーストアルバム『Lyle Mays』(Geffen/86年)。これはカセットでも買っている(写真の端に写ってるのがそれ)
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今となっては自慢(?)なのがECMのミュージック・カセット。須川くんに言うと激レアですよ、と。
たまたま、アナログとデジタルの境界線をアメリカで過ごしていたから「普通」に買っていたのだけど、今となっては貴重なのかもしれない。
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その中の一つ、パットメセニーの『Watercolors』(ECM/77年)のカセットテープ。
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ケースを開けると真っ白のカセットが出てくる。テスト盤などでおなじみだった奴。
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自宅で唯一現役のカセットデッキはDENON。これをデノンと呼ぶ人はセミデジタル世代(笑)。僕らはデンオンと呼ぶ(爆)。
テーブルに設置して静かにローリング。儀式としてまずテープを先送り、そして巻き戻して準備万端。カセットの巻きムラをこれで解消するアナログ人の知恵。
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ドルビーをオフで聴いてみると少しザラ付きあり。オンにするとあの独特のふくよかな空気感が聴こえる。シンバルとかピアノのハイエンドとか、CDにはないまろやかさがあるね。
クローゼットからこんなのも出てきた。
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バークリー時代のホールコンサートの録音。ホールの下にあるスタジオで記録されたもの。卒業までにリサイタルはほぼ毎セメスター行いホールでのコンサートは二回開いた。88年の3月3日と89年の2月22日。なぜか二回ともゾロ目。88年の時は西海岸のテレビ局が撮影に来てステージにテレビカメラが何台もセットされ、ライティングもテレビ局が行い、挙句にスモークまで炊かれて普段のコンサートとは全く違った様相だった。学校の宣伝になったようだ。ビデオはまた別に保管されている。
さらに・・・
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一つは帰国直後にポリドールレコードに呼ばれて「試し録音」したヴァイブソロ。これが帰国後の第一歩となる『アンファンIII フィーチャリング赤松敏弘』(Polydor/90年)へと続く。今となっては今日の僕の原点。
横にあるのはもっと古く、留学直前にいろんなところで録音した音源。すっかり忘れているものもあるけど、ちょっと聞くと昨日のことのように思い出す。
ヲイヲイ、1982年5月20日録音なんてのもある! しかもそれがそこそこの音質で聞こえてくるから、記録媒体としてカセットテープは今のところ最強かもしれない。
ああ、こうして聞くと、やっぱりカセット時代に育った人間なんだなぁ、と実感。
時代は繰り返す。
■赤松敏弘 official site VIBRAPHONE CONNECTION
発売中のCD、ライブ情報、電子書籍やインタビュー掲載誌等、ジャズ、ヴィブラフォン、演奏法、ジャズセオリーと、ジャズやビブラフォンの周りにある様々な疑問も解決するお役立ち情報も満載。
1997年開設以来のユーザーからの様々な質問や情報交換もアーカイブとして保存中。是非一度お立ち寄りください。
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■9月7日(水) 池袋・Absolute Blue
【Majestic Colors Trio】
【出演】赤松敏弘(vib) ハクエイ・キム(p) 市原ひかり(tp)
【内容】2014年のアルバム「Majestic Colors」から最新作まで三枚のアルバムのフロント3人だけでお届けするここだけのトリオロジー!
【時間】open 19:00 / 1st 19:30-20:30 / 2nd 21:00-22:00
【チャージ】¥3,600 / 学割¥2,600 (別途1ドリンクオーダー)
【ご予約】リンクページ下部で人数を「決定」後、表示される「予約を進める」をクリックし、ご予約ください。
※「会員登録」をすると、次回以降の予約で入力の手間が省けて便利です。また、予約履歴の確認やキャンセルができます。会員登録なしでも、「連絡先を直接入力する」でご予約いただけます。
それでは今日も楽しい一日を!
【放送】
今週のオンエア (9月1日~9月8日)
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。
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火曜〜金曜 放送時間 4:00~5:00 (9月7日からは 2:00〜3:00)
土曜 26:30〜27:00 日曜 26:05~26:35
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“ねこの足跡”21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。
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金曜 放送時間 25:35 都知事定例会見後 ~27:00
土曜 18:00〜19:00 日曜 18:30〜19:00
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“路面電車のある風景 - 1”『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
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日曜 15:00~15:20(プロ野球中継の時はお休み)
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“猫の足跡 看板猫”22年1月、ビブラフォン ジャズ部門【Amazon's Choice】選出作品
『TIDE GPAPH/赤松敏弘』(2007年作)
演奏:赤松敏弘(vib, mar)ユキ・アリマサ(p)松島美紀(mar)
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土曜 5:00~6:00
日曜 5:00~6:00 24:00〜24:30
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“東京点描 城南1”『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)
演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)
首都圏以外の方はこちらの「エムキャス」で全国からスマホやパソコンでリアルタイムにお楽しみいただけます。
★エムキャス→https://mcas.jp/c/mx2.html
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変わらずのんびりとやっております。