当時はレコード(LP)だったけどCDになってA面B面の区切りなく聞いても飽きない音楽性が非常に高いバンドでした。当時は片面の24分くらいでお腹いっぱいになって次のジャズメンのレコードに移って行くのが常識(ジャズ喫茶とかも片面基準で流していました)でしたが、このバンド、全部聴き通しても疲れなかった。
その理由は、今なら明確に答えられます。
楽曲です。
楽曲の良さ、これがとても大きく作用しています。
当時は曲をバンドの武器とするのもまだ少なく、演奏時間はどんどん伸びて10分や20分など平気で続けられていましたが、実は聴衆は飽きていました。そうなる原因はひとえに奏者のソロが長い、という傾向。
最初から最後まで張り詰めた空気が維持できるだけのソリストは一握りで、結末の見えない堂々巡りなものも多かったと言えます。
60年代から70年代にかけて生き抜いたバンドは楽曲が武器になっていました。
知る限りでは、恩師のゲイリー・バートン・クァルテットがその代表で、マイケル・ギブス、カーラ・ブレイ、スティーヴ・スワロウ、キース・ジャレット、チック・コリアなどの作品をレパートリーにビートルズのようなコンパクトで大胆な個性のある時間(楽曲)でアルバムやステージを構成して人気を博していました。ライブパフォーマンスの一部を除けば6〜7分の中で全てを語る、という方式は、ともすれば当時はソウルがないなどと言われたものですが、そもそもそれを音楽の中心に据えない方針なのでお門違いの意見でした。
このザ・フォースウェイも楽曲の幅広さ、コンパクト表現に徹したパフォーマンスが人気で中学生でもちゃんとDigできる音楽でした。
最初に70年のモントリュー・ジャズフェスティバルのライブ盤、それを聞いてそこから逆に辿りました。ちょうど話題となってスイングジャーナルの誌面に載ったりする時期だったので入りやすかったのもあるでしょう。
このバンド名義の最後となったアルバムから。
『The Fourth Way – Werwolf』1970年スイス・モントリュー・ジャズフェスティバルで収録
Mike Nock(el-p) Michael White(el-vl) Ron McClure(el-b) Eddie Marshall(ds)
Brown Rice (Ken Jenkins) 7:34
Colours (Mike Nock) 5:33
Werwolf (Mike Nock) 5:29
Tierra Del Fuego (Mike Nock) 5:09
Mesoteric Circle (Mike Nock) 8:08
Spacefunk (Mike Nock) 7:17
マイク・ノックが親交のあったチック・コリアと同じで既にリングモジュレーターなどを使用して創造的な音楽を奏でていた様子が記録されているアルバム。全員が当時最先端のジャズをベースとしたメンバーであるのがわかるパフォーマンス。もちろん直前のフリージャズの洗礼も含みながら。
CDで入手できた順に並べると次は・・・・
『The Fourth Way』1969年スタジオ録音によるデビュー盤
Mike Nock(el-p, p) Michael White(el-vl) Ron McClure(el-b, b) Eddie Marshall(ds)
Everyman's Your Brother (Mike Nock) 6:40
Clouds (Mike Nock) 4:45
Sparky (Mike Nock) 4:12
Bucklehuggin (Mike Nock) 2:35
Openings (Mike Nock) 5:45
Gemini Trajectory (Mike Nock) 4:08
Dance Of The Mechanical Men (Michael White) 3:44
The Sybil (Mike Nock) 4:35
ここから全てが始まったという感じのアルバムで、一曲目はエレクトリックでポップな感じ、対して二曲目はアコースティックで徹底的なジャズワルツ、三曲めはコンテンポラリージャズ、といった具合に「俺たちはちゃんと最新のジャズもできる正真正銘のジャズメンだ」と宣言するかのようなアルバム。60年代後半の若手ジャズメンの底力が結晶しています。
CDとしては随分探したけどなかなか見つからず、前二作のような正規のレーベルからリイシューでしかも格安に出ていないのでちょっと怪しい欧州盤を買いました。そこまでしても欲しくなった、実はザ・フォースウェイの三部作中の最高作です。
『The Fourth Way – The Sun And Moon Have Come Together』1969年カリフォルニア州バークレイ、ニューオリンズハウスでライブ録音
Mike Nock(el-p, p) Michael White(el-vl) Ron McClure(el-b, b) Eddie Marshall(ds, recorder)
The Sun And Moon Have Come Together (Eddie Marshall) 7:55
Ebony Plaza (Michael White) 4:26
Blues My Mind (Mike Nock) 5:05
Farewell Goodbye (Ron McClure) 4:58
Skiffling (Ron McClure) 2:20
Strange Love (Mike Nock) 9:37
一曲目の“The Sun And Moon Have Come Together”からして50年以上前とは思えないトリッキーなグルーヴでイカしてる曲がしかもドラマーのエディー・マーシャルの手によるものというのが頼もしい。ドラマーは常々サウンド・ディレクーだと思っているのでそれを具現化した曲の代表例になるでしょう。他、メンバーの曲が個性をさらに膨らませていて、それでいて絶対に「触れてはならない部分」に触れない鉄則というか、センスが光るアルバム。
今は日本でもオリジナルと称するありふれた曲があふれている毎日だけど、さて、その中の何%が後世に残して聴いたり奏でられたりして楽しめる楽曲だろうか?楽曲の斬新さ、面白さに満ちたこのザ・フォースウェィの三部作を聴きながら楽曲の重要性を肝に銘じた夜。
そしてそれらの源は・・・・・
全てがここに行き着く。
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*9月のこちらのライブ、予約が始まりました。どうぞお楽しみください。
ご予約もこちらから↓
■9月7日(水) 池袋・Absolute Blue
【Majestic Colors Trio】
【出演】赤松敏弘(vib) ハクエイ・キム(p) 市原ひかり(tp)
【内容】2014年のアルバム「Majestic Colors」から最新作まで三枚のアルバムのフロント3人だけでお届けするここだけのトリオロジー!
【時間】open 19:00 / 1st 19:30-20:30 / 2nd 21:00-22:00
【チャージ】¥3,600 / 学割¥2,600 (別途1ドリンクオーダー)
【ご予約】リンクページ下部で人数を「決定」後、表示される「予約を進める」をクリックし、ご予約ください。
※「会員登録」をすると、次回以降の予約で入力の手間が省けて便利です。また、予約履歴の確認やキャンセルができます。会員登録なしでも、「連絡先を直接入力する」でご予約いただけます。
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coming soon!
【ライブ】
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■赤松敏弘(vib)meetsハクエイキム(p)Duo
2022年8月24日(水)神奈川・茅ヶ崎『Storyville』19:00 & 20:00 (入替なし)MC:3.850円(別途要オーダー)
問い・予約0467-91-9604〒253-0056 神奈川県茅ケ崎市共恵1-8-19 中島ビル1F
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【放送】
今週のオンエア (8月22日~8月28日)
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。
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火曜〜土曜 放送時間 4:00~5:00
土曜 19:00〜19:16 26:30〜27:00 日曜 26:05~26:35
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“ねこの足跡”21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。
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金曜 放送時間 25:35 都知事定例会見後 ~27:00
土曜 18:30〜19:00 日曜 18:30〜19:00
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“路面電車のある風景 - 1”『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
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日曜 15:00~15:20(プロ野球中継の時はお休み)
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“猫の足跡 看板猫”22年1月、ビブラフォン ジャズ部門【Amazon's Choice】選出作品
『TIDE GPAPH/赤松敏弘』(2007年作)
演奏:赤松敏弘(vib, mar)ユキ・アリマサ(p)松島美紀(mar)
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土曜 5:00~6:00
日曜 5:00~6:00 24:00〜24:30
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“東京点描 城南1”『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)
演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)
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変わらずのんびりとやっております。