松山のベーシスト、故・吉岡英雄さんの初七日が過ぎたところです。本当に残念でなりません。
この夏に久しぶりにキーストンバーで演奏を聴き、その素晴らしい音楽に感激してこのブログにもそれを書いたところでした。東京のジャズシーンでは滅多に聴けなくなった落ち着けるコンテンポラリーなジャズが心に沁みました。→『残暑詣り/2022年8月14日ブログ』
2022年8月13日(土)松山・キーストンバーにて
享年69。あまりにも早過ぎます。
今、2016年の9月から11月にかけてFM愛媛で放送した初めてのDJ担当の番組『Nose to Tail』の第五回目に登場した吉岡英雄さんのインタビューの保存データを聞きながら書いています。
滅多にインタビューなどに応じてくれない吉岡さんがこの時はいろんなことを話してくれました。
若い頃から「それだけの腕があればこんなところにいないで東京に行けばいいのに」と周りからも言われ続け、共演した東京のミュージシャンからも誘われながらも松山を離れなかった吉岡さん。
インタビューでその核心に触れると、「ここが好きだから」という答えが返ってきました。
出身は山口県、大学で松山に来て、最初はディスコのロックベーシストから始まってそのままこの世界に。この街の特徴に他所から来た人ほどこの街が好きになる、という不思議な例がたくさんあるのですが、吉岡さんもその一人だったようです。生業になるほど仕事があったのもこの街の特徴ですが、「ここは暮らしやすいし、ミュージシャンは皆仲がいいんよ」とニコニコしながら喋っていた顔が忘れられません。
吉岡さんと一緒に演奏するようになったのは2002年のシュガービレッジからだと記憶します。もちろんそれまでにもありますがレギュラーな編成で一緒に始めたのはこの時から。毎年10月の三連休の最終日にこの街の音楽のライブを提供する店が十数軒同時にサーキット的なライブイベントを行なっていたのですが、ちょうど毎年そこの連休には横浜の横濱ジャズプロムナードが入っていてなかなかスケジュールを組めなかったのです。キーストンバーの初代オーナー(ドラマーの櫻井康雄さん)から「是非やってよ」と頼まれて、プロムナードの出演が初日で一日移動に時間が取れる年にやってみたら面白そうでこれはイケる、と判断。それから10年間、横浜が終わるとそのまま西へ880km走って松山で演奏するというパターンが続きました。(その後各地の有能なミュージシャンとの共演をしながら東京へと戻ることも毎年のスケジュールになりました)
もちろんそれはベースの吉岡さんと一緒に演奏することが何よりも目的でした。こんなに気を許して共演できるベーシストは全国津々浦々を探してもそういません。また一緒にやる渡部由紀さんも回を重ねるごとにどんどん成長して年に一度の楽しみとして移動の苦労も跳ね飛ばして松山に駆けつけていました。タフと言われますが、なかなか長距離を走ってそのまま演奏というのは大変なことです。何かそれに見合うものがなければ続かなかったでしょう。音楽は結果。その結果が楽しみだったわけです。
赤松敏弘(vib)渡部由紀(p)吉岡英雄(b)矢野元(g)河北洋平(ds) 松山・キーストン
毎回お店から溢れるほどの超満員の観客に囲まれて演奏していた松山・シュガービレッジでの吉岡さん(2012年10月9日)
これが契機となり、松山以外でも演奏する機会が増えて、ユニットで何度か広島に遠征したこともあります。
吉岡さん自身も松山を拠点に四国全域で演奏活動を行なっていたので他の街のフェスでの再会もありました。
これは2018年8月の徳島JAZZ WEEK 2018 オープニング・ステージ@徳島市新町川水際公園特設ステージ
赤松敏弘(vib/from東京)後藤美穂(p/from徳島)吉岡英雄(b/from松山)こうさかてるお(ds/from大阪)の混合ユニットでの共演。吉岡さんがいるからどんな組み合わせでも安心して演奏できます。
最も嬉しかったのが、松山のジャズメンが一堂に介した暮れのイベント「愛媛ジャズ・オールスター・フェスティバル」が始まったことでした。
赤松敏弘(vib)渡部由紀(p)吉岡英雄(b)河北洋平(ds)@2014年12月22日松山・本町 南海放送本町会館テルスターホール
民放局のホールを使って昼から夜まで愛媛県のジャズメンが出演する前代未聞のイベント。僕も初回にゲストに呼ばれて出演しました。もちろん吉岡さん達と。さらに街のレジェンドが一堂に揃うジャムセッションも。
吉岡さんと後で話すと「こんなイベントが出来るのはいいね」と心底喜んでいました。もちろん狭い街ですがいろんな事情もあるので普段はそんなに密にならなくても年に一度くらいは、というのがとてもいい、と嬉しそうでした。
今年の8月13日のキーストンバーが最後に会ったことになってしまいましたが、演奏を聞く限りまさかこんなことになるとは思いもよらない完璧なものでした。休憩時間に話すジョークも以前と変わりなく。
唯一気になったのは、この日は演奏しながら指を気にされていたことです。何か感触が変わったのでしょうか。
今年もその愛媛オールスター・ジャズフェスティバルが暮れに開かれるそうで、自身のfbでもそれに向けて治療を進めていることが書かれていました。大好きなイベントを楽しみにしていた様子が文面からも伝わりました。
何よりも、もう一度一緒に演奏したかった。。。
まぁ、そう遠くないうちに僕もそちらで一緒になるでしょうから、その時の楽しみに取っておきましょう。 “例の曲”も含めてね。
心からご冥福をお祈りいたします。
あかまつ
一昨年好評を博した藤岡孝一氏の木彫の展覧会を開催します。前回にもまして意欲的な作品が多数出品されます。期間中の11月13日(日)には藤岡氏と親交のある日本を代表するヴィブラフォン奏者赤松敏弘氏と人気ピアニスト ハクエイ・キム氏によるデュオと藤岡氏の作品とのコラボをお楽しみいただくイベントを開催致します。どうぞご期待下さい。
【イベント料金】2.500円 (1ドリンク付き/要予約)
※先着30名様限定とさせていただきます。
【お申し込み、連絡先】
栃木県足利市通2丁目2658
artspace & cafe ☎ 0284-82-9172
https://artspace-and-cafe-ashikaga.com/
━━━━━━━━━━━━━━
■2022年11月19日(土)東京・成城 CAFE BEULMANS
開場 19:30 開演 20:00
第二回(8月延期分)望月慎一郎(p)赤松敏弘(vibes)Duo
━━━━━━━━━━━━━━
■2022年11月30日(水)神奈川 茅ヶ崎 Storyville
開場 18:30 開演 19:00
赤松敏弘(vibes)×酒井麻生代(flute)Duo
- MC:3.850円(別途要オーダー)
- 問い・予約0467-91-9604
- 〒253-0056 神奈川県茅ケ崎市共恵1-8-19 中島ビル1F
━━━━━━━━━━━━━━
■赤松敏弘 official site VIBRAPHONE CONNECTION
発売中のCD、ライブ情報、電子書籍やインタビュー掲載誌等、ジャズ、ヴィブラフォン、演奏法、ジャズセオリーと、ジャズやビブラフォンの周りにある様々な疑問も解決するお役立ち情報も満載。
1997年開設以来のユーザーからの様々な質問や情報交換もアーカイブとして保存中。是非一度お立ち寄りください。
( http://www.vibstation.net )
■赤松敏弘 FaceBook ( https://www.facebook.com/akamatsu.toshihiro/ )
■赤松敏弘 Twitter
それでは今日も楽しい一日を!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【放送】
今週のオンエア (10月24日~10月30日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)
番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』
癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。
━━━━━━━━━━━━━━
月〜木曜 放送時間 26:00〜27:00
───────────────────
“ねこの足跡”
21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。
━━━━━━━━━━━━━━
金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00
日曜 12:00〜12:30 祝日 12:00〜12:16
───────────────────
“路面電車のある風景 - 1”
『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
━━━━━━━━━━━━━━
土曜 6:00〜7:00 / 13:55〜 / 26:30〜27:00
日曜 6:00〜7:00 / 26:05~26:35
───────────────────
“猫の足跡 看板猫”
22年1月、ビブラフォン ジャズ部門【Amazon's Choice】選出作品
『TIDE GPAPH/赤松敏弘』(2007年作)
演奏:赤松敏弘(vib, mar)ユキ・アリマサ(p)松島美紀(mar)
━━━━━━━━━━━━━━
月曜〜金曜 17:00〜 (東京シティ競馬中継の時はお休み)
───────────────────
“東京点描 城南1”
『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)
演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)
首都圏以外の方はこちらの「エムキャス」で全国からスマホやパソコンでリアルタイムにお楽しみいただけます。
★エムキャス→https://mcas.jp/c/mx2.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ブログの引越しから二ヶ月半。こちらで変わらずのんびりとやっております。