『My Funny Valentine』
Side One
1.My Funny Valentine (Richard Rodgers, Lorenz Hart) – 15:03
2.All of You (Cole Porter) – 14:57
Side Two
3.Stella by Starlight (Ned Washington, Victor Young) – 13:01
4.All Blues (Miles Davis) – 8:57
5.I Thought About You (Johnny Mercer, Jimmy Van Heusen) – 11:14
『Four & More』
Side 1
1.So What (Miles Davis) - 9:10
2.Walkin' (Richard Henry Carpenter) - 8:06
3.Joshua/Go-Go (Theme and Announcement) (Victor Feldman) - 11:14
Side 2
4.Four (Davis) - 6:18
5.Seven Steps to Heaven (Feldman, Davis) - 7:51
6.There Is No Greater Love/Go-Go (Theme and Announcement) (Marty Symes, Isham Jones) - 11:23
Miles Davis — trumpet
George Coleman — tenor saxophone
Herbie Hancock — piano
Ron Carter — double bass
Tony Williams — drums
Recorded February 12, 1964. The Philharmonic Hall of Lincoln Center, New York City.
二つのアルバムは性質の異なる支持層を持ち、バラードでハーモニックなアプローチの妙が魅力な「My Funny Valentine」派と、ファスト・テンポでアグレッシヴなアプローチでゾクゾクする「Four & More」派。つまり水と油、静と動。
僕は断然「My Funny Valentine」派で、多分生涯において最も聞いたアルバムに間違いなさそう。それぞれが耳馴染んだスタンダードソングなのに、その中身は曲毎に異なる仕掛けが施されている。
何よりも凄いのは、そんな小賢しい仕掛けの事なんか忘れてしまうくらいストーリー性のあるソロ。いちいち最初の8小節だとか、ブリッジの何小節目だとかという、ストーリーではどーでもいい事を完全に打ち消して淡々とソロの始まりから一つのストーリーで綴られている。ともすればコードチェンジを覚えたての新米のようにように二小節とか四小節とかの分かり切った短い区切りのフレーズで埋めて行くようなものは皆無。それぞれがソロを受け渡す瞬間まで、そのタイミング、ストーリーを一音も聞き逃す事なく綴っている。
なのでストーリーが完結すればその場で次のソリストに渡すというコーラスという単位を廃した新しいフォーム。60年も前にこんなスタイルで演奏していた事に改めて驚かされる。
ある曲ではコーラスを循環コードで延長、ある曲では元のコードにアプローチコードを噛ませていつでもストーリーを終わらせやすくし、スタンダード・ソングなのに、いつの間にか全く違うシーンが描かれていたり、思わぬ展開に繋がったり。こんなことを毎日やっていればスタンダードソングがどれだけ自由で面白かったことか。
さらに、「Four & More」の場合はリズムフィギアの祭典。その為にコード進行に縛られないようにハーモニーに対する自由なアプローチが随所に現れる。一つのコンサートではこの二種の性質を持った曲を並べてプログラムしているのだから、客席で皆どのような気持ちで聞いていたのか、今となっては知る由もないが、かなりぶっ飛んだことだろう。
史実は時間と共に明かされると言うが、この夜のコンサートは公民権運動とも関連したチャリティーコンサートだった。抜群の音環境のステージ、最高の雰囲気、少々殺気立った客席となれば、時代がそこだから雰囲気は想像に難くない。
このコンサートがチャリティーだと知っていたのはマイルス・デイビスだけで、メンバーには本番直前に「今日はチャリティーだ」と告げられたそうだ。メンバーの驚きと落胆は・・・・。ノーギャラと知って「忌々しい」と思ったか、「仕方あるまい」と思ったかはわからないけれど、この日のただならぬ緊張感の奥底には多分少なからずそのショックは根を下ろしていたんじゃないかと。
だから、いい演奏になったとは言わないが、何かが普段と違っていた事でバランスしているものがあるのは事実でしょう。
憶測の域の話ではあるけど、ノーギャラの日を狙ってレコーディングを設定しているのも不自然なので、これはレコード会社から録音のギャラが入るように仕組んでいるのではないかと。なのでメンバーには後日何某かの収入が入ったはず。めでたし。
この半年後にはメンバーがジョージ・コールマン(ts)からウェイン・ショーター(ts,ss)へと変わって、世間的にはさらに人気を博すのだけど、僕は天邪鬼なのかもしれないけどコールマンがいたこの日が最高だと。
確かにウェイン・ショーターは柔軟なアイデアと技で皆を魅了していったし、それが素晴らしいミュージシャンシップであるのは間違い無いのだけど、この夜と同じ曲を演奏しても、この日ほどの感動はない。そこにあるのは、音楽的な遊びの結晶。巡るところアメーバーのごとくに曲が変化して行き、徐々にステージ上での過度なお遊びへ。それはその後辿ったように「曲」が「曲」である必要がなくなり、それなら自らの土台(オリジナル曲)を敷いて走り始めることへと突き進む。
不思議な事に、そこから『Miles In The Sky』(1968年)まで僕のマイルス・コレクションは近年まで欠番となっていた。21世紀になってやっと全部揃った所。
そうなると益々このコンサートでの絶妙なバランスが音楽には大切な事のように思えてくるから不思議。
いづれにしても、演奏者として憧れのステージとは、こう言うものだ、と深く実感しているところです。
秋のお出かけにいかがでしょう!
信州・安曇野のベーシスト中島仁氏のアルバムPioggiaから広がる新しいConnectionが秋の安曇野に大集結。
さらにライブの翌日には「お楽しみ」の企画も準備中です。今年の秋は信州で大いに弾けましょう!
2022年10月15日(土)信州・安曇野
蔵のカフェレストラン 清雅
開場 18:30 開演 19:00
料金:3,500円 + ドリンク代 500円
(出演)
中島仁(b)
望月慎一郎(pf)
赤松敏弘(vib)
酒井麻生代(fl)
長野県安曇野市豊科3550-1 tel 0263-72-3982
ご予約・お問合せ: 電話 0263-50-5541 (営業時間 11:30〜16:00,18:00〜22:00、月曜定休)
どうぞお楽しみに!
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それでは今日も楽しい一日を!
【放送】
今週のオンエア (9月19日~9月25日)
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。
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月曜〜金曜 放送時間 26:00〜27:00
土曜 10:00〜10:30
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“ねこの足跡”21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。
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祝日金曜 12:00〜12:16
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“路面電車のある風景 - 1”『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)
演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
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祝日月曜 10:00〜10:16
祝日金曜 10:00〜10:16
土曜 6:00〜7:00 / 13:55〜 / 26:30〜27:00
日曜 6:00〜7:00 / 13:55〜 / 26:05~26:35
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“猫の足跡 看板猫”22年1月、ビブラフォン ジャズ部門【Amazon's Choice】選出作品
『TIDE GPAPH/赤松敏弘』(2007年作)
演奏:赤松敏弘(vib, mar)ユキ・アリマサ(p)松島美紀(mar)
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月曜〜金曜 17:00〜 (東京シティ競馬中継の時はお休み)
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“東京点描 城南1”『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)
演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)
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