久しぶりに目にしたのが、昨年の米・大統領選でカマラ・ハリス候補のリール動画で、護衛に守られながらレコードショップに買い物に立ち寄った彼女が「何を買ったの?」という記者の質問に答えて差し出したレコードジャケットだった。僕の番組(『赤松敏弘 gloaming“E”』FM愛媛)でもその時の話として昨年10月5日の放送でそのアルバムからの選曲を放送した。
ロイ・エアーズ(Roy Ayers、1940年9月10日 - 2025年3月4日)
僕がジャズを聴き始めたと同時に耳にしていたのがロイ・エアーズのヴァイブだった。フルートのハービー・マンのアルバム『メンフィス・アンダーグラウンド』がそれで、実はギターのラリー・コリエルを追いかけて買った最初のジャズアルバム。このアルバムはその後の全てにつながっていて、中村とうようさんのライナーノーツで紹介されているラリー・コリエルの欄で恩師ゲイリー・バートンの名前を知るし、ミロスラフ・ヴィトウス、ソニー・シャーロックなど当時注目されたミュージシャンの情報を得られていた。
ロイ・エアーズに関しては出身地と年齢(当時28歳)ハービー・マンとの共演歴が長い事くらいでそんなに詳しくは述べられていなかった。
これに続くハービー・マンのライブアルバム『ライブ・アット・ウイスキー・ア・ゴーゴー』でもロイ・エアーズの炎のような速弾きのソロが印象的で、前後のハービー・マンのアルバムと共に、マンのグループで来日した時に日本で録音されたエアーズ名義のダイレクトカッティングで45回転のLPアルバム(メンバーはMヴィトウスb Sシャーロックg Bカーds)が僕の初期のロイ・エアーズの記憶。
決定的だったのは、71年にナント! ゲイリー・バートンとロイ・エアーズのツイン・ヴァイブのユニットで来日したこと。エアーズ側のユビキティーのドラマーの入国監査が通らず、ゲイリーがクァルテットに対してロイはドラムレスのトリオということになっていたけど、この編成でNHKテレビの「世界の音楽」というゴールデイタイムの番組に出演してくれたのでのっけから二人のヴァイビストの演奏を見ることができた。
その後、僕はゲイリーに心酔して本格的にヴァイビストを目指して今日になるのだけど、初期の段階で見たロイ・エアーズは今でも鮮明に覚えている。
次にロイ・エアーズの音楽と再会するのは高校3年の時にヴァイブの藤井寛さんと出会い、「これ、なかなかいいよ。聴いてごらん」といただいたカセット・テープ。すでにボーカルも入っていたのでR&B色の強いユビキティーのアルバムなのは確かなんだけど、アルバムのタイトルがわからない。70年代前半のものかな?
過日、ボビー・ハッチャーソンの追悼記事をJaZZ JAPAN誌から頼まれて藤井さんを訪ねた時にお聞きしたが「忘れちゃったよ」と。どうしても解明したくて何枚もロイのアルバムをamazonで購入したけど、巡り合えないでいる。
おそらく多くの人がロイ・エアーズの追悼をしていることだろう。
ヴァイビストとしてだけではなく、プロデューサー、アレンジャー、ボーカリストとして、大活躍した人だ。
でも、一番困るのが、彼を代表するアルバムはなんだろう?
それと同じく、彼のヴァイビストとしての魅力はどこにあったのだろう?
あくまでも子供の頃から耳にした個人的な意見ではあるけれど、ロイ・エアーズの演奏からは、この人はとても知的なセンスの持ち主で、バタ臭くも演奏しているけれどそれはあくまでもそうしているだけで、そこかしこに洗練されたスタイルを取り入れて音楽的な応用というか対応力を持って演奏しているなぁ、と。
あるテレビ局のディレクターの車で移動していた時、突然彼が「これ、誰だかわかります?」と誰かヴァイビストの音楽を流し始めた。ストレート・アヘッドなジャズ。もちろん僕は聴いた事もないもの。
うーん、、、、
しばらく聞くうちに「これ、ロイ・エアーズじゃない?」。
運転しながらびっくりして「今まで一人も当てられなかったのに!」と悔しそう。
確信はなかったけど、先の通りに感じる部分があったからそう答えたまで。
ヴァイブ一本では表現できなかったことを形にした人。
だから真のヴァイビストでもあると思う。
安らかに。
♪♪♪ THE MEDIA
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毎週土曜日午後7時から、好評放送中!
次回・3/8(土)19:00- は、第49回「実は歴史の目撃者」をお届けします。お楽しみに。
【放送 / テレビ】
今週のオンエア (3月5日〜3月12日)
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)
番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』
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■平日(月〜金) 26:00〜27:00 ※金曜都知事定例会見の時はお休み
🆕 “工場夜景クルーズ”
『MY REAL BOOK - Season 1 & 2 / 赤松敏弘』(2023年作)

演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh,vo)酒井麻生代(fl,alt-fl)須川崇志(b,cello)小山太郎(ds)望月慎一郎(p)平石カツミ(b)岡部洋一(perc)
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■金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00
“路面電車のある風景 - 1”
『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)

演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)
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Rチャンネルでも配信中
番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』
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【テレビ】
昨年好評だった赤松meetsハクエイ+市原+小山+須川SPBの横濱ジャズプロムナード2024のステージが放送されます
3月8日(土)、9日(日) 21:00-22:00
出演:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,vo)小山太郎(ds)須川崇志(b,vc)
2024年10月12日 横濱ジャズプロムナード2024にて収録
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新レーベル、AMS RECORD(アムズ・レコード)
MY REAL BOOK - Season 1 & 2 / 赤松敏弘
(AMS-23001)定価3.000円(税抜)
通算17枚目となる赤松敏弘のvibraphoneに、レギュラーメンバーのハクエイ キム(p)市原ひかり(tp,flh,vo)須川崇志(b,cello)小山太郎(ds)によるグループ・インターアクションが6曲(含む赤松&ハクエイDUO1曲)と、話題の望月慎一郎(p)を迎えて酒井麻生代(fl,alt-fl)平石カツミ(b)岡部洋一(perc)と繰り広げた絵画を眺めるようなジャズ。ライナーノーツ:高井信成。
動と静、夜と昼、都会と自然、二つの異なる世界を一つのアルバムとして作り上げました。
今回は下のサブスク・サイトでも世界同時配信。ストリーミング、ダウンロード。そして今回はハイレゾ配信も行っていますのでどうぞご利用ください
━━━ Magazine Interviews, CD Reviews ━━━
■ジャズ批評 24年1月号 No.237 (23年12月24日発売)
【インタビュー】P106~109. 赤松敏弘 音と沈黙は背中合わせ『MY REAL BOOK - Season 1&2』リリース
4本マレットを駆使し、美しい音色を奏でる日本を代表するヴィブラフォン奏者の赤松敏弘が自身のレーベルAMS RECORD(アムズ・レコード)を立ち上げ、通算17枚目をリリース。完成度の高いアルバムに仕上がった。タイトルに込めた思い、レーベルを立ち上げのわけなど詳しく語ってくれた / 取材:編集部
【新譜紹介】P160. 驚くべき成熟がここにある。熟成しかつ濃密な音楽。これが現在の赤松敏弘の驚異的とも言える到達点だ / 文:小針俊郎
出版社:ジャズ批評社 発行間隔:隔月刊 発売日:毎隔月24日 サイズ:A5判 参考価格:1.320円
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■Jaz.in 24年1月号(23年11月27日発売)
【巻頭】P16~19. 赤松敏弘 世界的ヴィブラフォン奏者が紡ぐインプロヴィゼーションの奇跡。その音楽的原点にあるもの / 取材: 高井信成
【Jazz Record Guide】
P28.『MY REAL BOOK - Season 1&2/赤松敏弘』「2つの異なる世界を1つのアルバムとして作り上げた」、見事にその意図がしっかりと具現化された充実した作品 / 文:小島良太
出版社:シンコーミュージック 発行間隔:月刊 発売日:毎月24日 サイズ:A4判 参考価格:1.177円
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■JAZZ LIFE 12月号(23年11月14日発売)
【新作インタヴュー】P14~15. 赤松敏弘「通算17枚目のリーダー・アルバムを発表」対局に存在しているふたつのバンドの演奏を収めた僕流のリアルブック / 取材:長門竜也
【Disc Review】P37.『MY REAL BOOK - Season 1&2/赤松敏弘』人生を2シーズンに分け、独自の“リアルブック”を著した作品 / 文:長門竜也
出版社:ジャズライフ 発行間隔:月刊 発売日:毎月14日 サイズ:A4判 参考価格:970円
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サブスク配信(NexTone)サイト
どうぞご利用ください。
■AMS RECORDの第二弾『SOMETHING'S COMING / MIKI』(AMS-23002)
世界初!432hzサヌカイ陶琴アルバム【Something's Coming(何か起こりそう!)/MIKI】
マリンバ奏者でもあるMIKIがこの楽器と出会って得たインスピレーションから全ては始まっています。
インストによる即興演奏であることは現代ジャズのフォームと何ら変わらないものの、もう一つの「あちら側」の即興演奏の要素も取り入れて、AMS RECORDのレーベルポリシー「音と沈黙は背中合わせ」の一翼を担うものです。

SOMETHING'S COMING / MIKI
(AMS-23002)定価2.273円(税抜)2024年3月13日発売
演奏 : MIKI (サヌカイ陶琴) サポート : 赤松敏弘 (シンセ、サヌカイ陶琴 on tr M4, 7 & 9 )
━━━ Magazine Interviews, CD Reviews ━━━
■Jaz.in 24年4月号(24年2月26日発売)
【Jaz.in Portrait (インタビュー)】P72~73. MIKI ハンドメイドな楽器だから、次に何が起こるかわからない、その時にしかできないことを作品に閉じ込めた / 取材: 島田奈央子
【Jazz Record Guide】
P31.『Something's Coming (なにか起こりそう)/MIKI』「本作には、大変驚いた。マリンバの名手MIKIが全曲で、「サヌカイ陶琴」を弾いて・・・」/ 文:高木信哉
出版社:シンコーミュージック 発行間隔:月刊 発売日:毎月24日 サイズ:A4判 参考価格:1.177円
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■愛媛新聞2024年2月26日(月)刊
【芸能】サヌカイ陶琴 詩情豊か
『マリンバ奏者MIKI(松島美紀、松山市出身)が3月13日、インストゥルメンタルアルバム「SOMETHING'S COMING(なにか起こりそう)」をリリース。今作では香川県産の石サヌカイトを使った陶琴を鳴らし、詩情あふれる癒しの音楽を届ける。ジャズビブラフォン奏者の・・・』 / 文:山口淑子
発行所 : 愛媛新聞社 発行間隔 : 日刊
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CDのお求めは→■ディスクユニオン ■タワーレコード ■HMV ■Amazon 他
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どうぞよろしくお願いします
【期間限定公開/無料動画】
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最新の動画です。2022年11月に栃木県足利市のartspace&cafeで行われた彫刻家藤岡孝一氏の個展BLUEの中の「JAZZ in BLUE」での演奏からダイジェスト
約27分間の動画です
演奏:Toshihiro Akamatsu(vibraphone) Hakuei Kim(piano)
Nov/13/2022 artspace&cafe @ Ashikaga, Tochigi.