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赤松敏弘Vibraphone Connection・談話室

アグイーの街では本はデパートで買うものに

『アグイーの街では本はデパートで買うものに』
大江健三郎の「空の怪物アグイー」の冒頭に描かれた街はひょっとしたらこの松山だったのかもしれない。昔の国鉄の駅から街の中心に向かう路面電車の描写(そういう街は全国にたくさんあるが・・)とその奇妙な車掌の言動など、中学の時に読んで大江文学独特の重い描写と奇妙な登場人物に時々パニックになりながら読み進めた記憶がある。
ある意味でそれはジャズの創世記のチャーリー・パーカー達の伝説的な奇行とも結びつき、ジャズに手を出した子供にはジャズと大江文学の底なし沼のような「別の世界」がのしかかってくるように感じた。異様な世界。こちら側にはない世界。そんな括りで捉えていた。高校になる頃にはもっとこちら側の世界の広がりを感じながら「別の世界」とは手を切ったような感じに。
 
それはともかく、この街と関わる文人は多く、夏目漱石から正岡子規、高浜虚子などから高校が同窓の伊丹十三と大江健三郎、ここを自分の死に場所として選んだ種田山頭火まで、何かと文学と関わりのある場所だというのは子供の頃から刷り込まれていて、一時期は「文学の街」などと言っていたこともあった。
 
文学といえば本。
本といえば本屋でしょ?
 
ところが、ここ最近急激に街の中から本屋が消えている。
 
その大きな原因は地元の大型書店だった「明屋書店(はるやしょてん)」の姿が一気に消えてしまったのがある。
 
 
「みきゃん」が行き交う大街道電停前に立つとアーケードの入り口のところにあるアエル松山(AEL MATSUYAMA)の二階に入っていたセレンディップ明屋というフラッグシップショップが去年の暮れに閉店。
元々はアーケードを入ってすぐの所に「明屋書店大街道店」があったけどそこを閉めてわざわざアエルに移った。10年も経っていないのにそれをしめた理由は・・・・?
 
それは大街道アーケードを挟んですぐ隣りの松山三越の5階にジュンク堂書店が引っ越して来たからでしょう。
 
 
どちらもこの街に垂直方向にフロアを持つ店舗を持っていたけど、時代の流れから平面移動の1フロアにまとめた店舗へと形を変えた。よりによってまさか近所の三越にジュンク堂がやってくるとは・・・・・「明屋書店」の大きな誤算。
 
 
アーケードを入ってすぐの三越の隣にポッカリとその明屋書店大街道店跡の更地が生まれた。
先日までテナントが入った貸ビルだったが耐久年数もあるので取り壊したみたい。
 
 
久しぶりにその先の銀天街アーケードを松山市駅に向けて歩いていると、、、
 
 
中程の交差点の一角に明屋書店の本店跡。半年くらい前に来たきりで久しく来なかったらその間にすっかり更地になっていて驚いた。
 
アーケード街の中に異様な隙間が生まれて、それが二つとも明屋書店跡というのも奇妙だ。
 
街の中から本屋が消えた街。文学の街なんて少なくとも呼べる状況ではないな。(もちろん郊外にはあるが・・・・・)
では、街の本屋はどこへ行ったのか?
さっきの大街道では三越の5階にジュンク堂書店。
 
こちら側の銀天街アーケードの場合は、その先の駅ある高島屋(いよてつ高島屋)の7階に紀伊国屋書店がある。
 
 
つまり、文学の街の本屋はデパートの上にある!
ちなみにここには「東急ハンズ」に加えて最近「ニトリ」(高級版らしい)まで入っている。
 
本屋で本を買って、近所の喫茶店でお茶しながら読む、なんて事をするのはもう無理で、本が欲しければデパートに行って、その中のカフェでお茶しながら読む、なんてちょっとワクワク感が湧かない事に。
 
あれ?
 
 
市駅前も久しく来てなかったら何か景色が変わってる。
高島屋の対面の市駅前商店街からアーケードが消え失せていて、なんともスカスカな感じに。。。
 
ここまで来たのなら「でゅえっと」でこの街のソウルフードのミートソーススパゲッティでキメて帰ろうと思ったら・・・
 
っえ! 休憩時間ですって!?
 
 
昼が15:30までで、その後は17:00からって! ヲイヲィ来やすい時間に閉めるとは! これまで日中もフルタイムだったのが初めて区切った。
だいたいいつもここに入るのは午後4時台だったからもう使えないかな。混んだ時間に並ぶのだけはごめんだもの。
 
なぜアーケードを取り払ったのかと言うと、デパートの下にある私鉄の松山市駅と、現在は道路の真ん中にある市電の電停を駅側に移動させて乗り換えをスムーズにするのと同時にここはバスと市電以外は歩行者専用の広場にするその前段階。
つまり一般車の締め出しでこれは全国の駅前で起きている珍現象。不便この上ない。
 
確かに市電の乗り場は歩道から横断歩道を渡る必要(地下街からはエスカレーターで直結している)があるけど、ちょっと待てばいいだけ。莫大な費用をかけて再開発する必要があるのかは疑問。なんでも便利という言葉の代償に何かが不便になる現代病としか思えないが・・・
 
現在は道路の真ん中にある市電の発着ブースを向こうの市駅よりに移設して乗り換えをスムースにしてこの付近を歩行者広場にする計画らしい
 
それよりも何よりも不法放置自転車をなんとかしなよ。みっともない。
 
ともあれ、文学の街に来たら、本はデパートで買ってくださいというお話でした。
 
そういえば、昭和の市電の車内には「俳句ポスト」というのが備え付けられていたが、平成生まれのLRTタイプの車内には、それをみた記憶がない・・・・。今度乗ったら確認してみよう。
 
ここにしかないもの、無くさないほうがいいと思うよ。
地元の人には邪魔くさいものが、他所から来た人には「面白い」んだよね。
 
 
 
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enc
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Vibraphone : 吉野智子 Tomoko Yoshino
Piano : 雨宮彩葉 Ayaha Amamiya
Bass : 鉄井孝司 Koji Tetsui
Drums : 小田桐和寛 Kazuhiro Odagiri
 
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■吉野智子WEB
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詳しくはこちらのページから
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それでは今日も楽しい一日を!

 


【放送 / ラジオ、テレビ

今週のオンエア (3月18日~3月24日) 
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)

番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』

癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。

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■平日(月〜金) 12:10〜12:29 ※2/21はお休み ■金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00
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“路面電車のある風景 - 1”

『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)


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■土曜 17:30〜18:00 ■日曜 17:30〜17:38
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“ねこの足跡”

21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。

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■土曜 5:00〜6:00 ■日曜 5:00〜6:00
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“東京点描 城南1”

『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)


演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)

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■平日(月〜金) 27:00〜28:00 ■土曜 18:00〜19:00 / 28:00〜29:00 ■日曜 18:30〜19:00
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散歩の風景 夏から秋NEW!

『KALEIDOSCOPE/吉野智子』(2023年プロデュース作)


演奏:吉野智子(vib)雨宮彩葉(p)鉄井孝司(b)小田桐和寛(ds)



首都圏以外の方はこちらの「エムキャス」で全国からスマホやパソコンでリアルタイムにお楽しみいただけます。
★エムキャス→https://mcas.jp/c/mx2.html
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