口内環境を整えると、物を噛んだり、飲み込んだりする機能の低下を防ぐほか、認知症や感染症予防など、さまざまな効果が得られるといわれています。そのため、歯科だけでなく、入院病床を持つ医療機関でも、患者のQOLを維持するためにオーラルケアに力を入れるところが増えてきました。したがって、手厚い看護を実践するためには、看護師もオーラルケアの基礎を知っておいたほうがいいでしょう。
オーラルケアの基本といえばまず歯磨きです。食べかすが歯の隙間や口内に残っていると細菌が繁殖し、口臭や虫歯の原因になるので、看護師は歯磨きの重要性を説き、自分でできる患者には、率先してやってもらうようにしましょう。また、自力で歯磨きができない患者には、看護師が歯磨きを実施することになるため、その際には口内を傷つけたり、誤嚥を起こさないよう、姿勢に気をつけなければなりません。身体を起こし、安全な姿勢を保ってから、歯や歯茎をマッサージするように磨き、うがいで汚れを洗い流してください。
ちなみに、寝たきりの患者へのオーラルケアは、負担を減らすために口腔清拭という方法をとります。水で湿らせたスポンジやガーゼで口内の汚れを拭き取りますが、歯や歯茎だけでなく、歯と頬の間も優しく拭くようにしましょう。
オーラルケアは慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、患者の健康を維持するための重要なケアです。大きな病院では、オーラルケアの研修を行っているところもあるので、ぜひ率先して正しい知識を身につけることをおすすめします。