真相世界(The truth world)

200801「世界遺産」大安売り 審査に「再チャレンジ組」続々


世界遺産の発端は1960年代、エジプトでナイル川流域にアスワン・ハイ・ダムの建設計画が持ち上がり、このダムが完成すると、ヌビア遺跡が水没する危機が懸念されたため、ユネスコが、ヌビア水没遺跡救済キャンペーンを開始したことに由来する。
世界の60ヶ国の援助によりヌビア遺跡内のアブ・シンベル神殿の移築が行われた。
これを契機に、強引な開発による環境破壊から歴史的価値のある遺跡、建築物、自然等を国際的な組織運営で守ろうという機運がうまれた。

1972年ユネスコ本部で開催された総会で、「世界遺産条約」が満場一致で成立した。20ヶ国が条約締結した1975年に正式に発効した。
日本は、先進国では最後の1992年に世界遺産条約を批准し125番目の加盟国となった。(以上wikipedia参照)


当初日本は世界遺産に対して興味も関心もなかったのだ。ピラミッドや万里の長城、ガラパゴス諸島に匹敵するような名所旧跡が日本に存在しないのは明らかなので、「そんなの関係ない」と最初から逃げ腰だったようである。「下手に首を突っ込むと協賛金だけ巻き上げられる」と警戒していたのかもしれない。
ところが、その後欧米がガバガバと遺産登録し2007年終了時点で、世界遺産は851件登録されている結果になった。
イタリア(41件)、スペイン(40件)、中国(35件)、ドイツ(32件)、フランス(31件)といった調子である。どうも当初の高邁な理想は薄れて、完全な商業ベースなってしまったようだ。アメリカは意外に控えめで(21件)である。
日本が遅ればせに批准したのは、遺産登録の敷居が低くなったからだ。

さすがに、これではまずいと思ったのか、「内容的・地域的な偏りを是正するため」とか理由をつけて、世界遺産委員会では登録条件のつり上げを画策している。
というより日本・中国・韓国などアジア諸国がどんどん申請しているので、欧米諸国が自分の所の資産価値の下落を恐れたのだろう。

世界遺産の登録数に上限を設けようという動きもある。ユネスコ事務局長松浦晃一郎氏は、1000件という数字を挙げている。
すると、残りは149件ということになる。

現在、1回の委員会での審議数には上限が設けられている。かつてはナポリで開催された第21回委員会(1997年)でイタリアの世界遺産が10件登録されたこともあったが、現在は1回の委員会で各国が推薦できるのは1件だけである。

と、欧米諸国のエゴ丸出しである。既得権だけがものを言うのである。

日本は批准が遅かったが、その後急激に遺産登録を果たした。
全部で14もある。金にものを言わせたのだろう。
何やら世界遺産登録は1世紀前の植民地争奪戦の様相を呈してきた。

世界遺産の国内候補となる「暫定一覧表」なるものが存在し現在8件登録されている。いずれも継続審議になっている落選組であるが、暫定一覧表に載れば、知名度がアップし経済効果が期待できると考えているらしい。
日本の場合「世界遺産=町おこし」の図式であることは明白である。
さらにこの「暫定表に入れてくれ」と申請しているのが32件もある。
中には、「どうしてこれが?」と首をかしげたくなるようなものもあるが、既に遺産登録されているものや暫定一覧表の物件と比較すれば、失笑しては失礼だろう。

サンケイは「各自治体が世界遺産効果に期待を寄せるのは、これまでの実績があるからだ」と書いている。

19年7月に登録された島根県大田市の石見銀山。大田市によると7~11月の観光客数は約49万7300人で、前年同期の24万7300人の2倍以上になった。暫定一覧表に載るだけでも効果は大きい。


業者が便乗してバスツアーをいっぱい企画したせいだろう。企画が増えれば観光客も増加する理屈だ。客の論理では、安ければ行く。

19年7月に掲載された群馬県富岡市の富岡製糸場。18年の見学者数は約6万人だったが、19年は約26万4000人と4倍以上になった。富岡市には、7月以降、テレビ番組や雑誌の取材が殺到。


宣伝に金を使ったのが実態だろう。業者に頼み込んでツアーを増やしてもらったものと考えられる。都内からなら日帰り旅行である。例によって土産物屋に引き回すパターンだろうが、富岡市が元を回収できたかは定かでない。

20年分のユネスコへの推薦も平泉と国立西洋美術館本館で決まっており、世界への道となると、さらに険しいのが現実だ。


国立西洋美術館本館に関してはル・コルビュジエの建築群として、日本よりもフランスが熱心に工作しているようだ。まともな手段では自国の世界遺産が増やせないので搦め手作戦をとったのだろう。
平泉に関しては推薦基準もよくわからないが、「ああそうですか」としかコメントのしようがない。日本の世界遺産がまた二つ増えるのかな?

(記事)
世界遺産 審査に「再チャレンジ組」続々 知名度アップ、経済効果に期待

(参照)
文化遺産オンライン


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コメント一覧

珠洲
世界遺産
なるほど。世界遺産は町おこしのためなのだ。それならどんどん世界遺産の登録に走り出すのはよく分かる。
お金になるビジネスなのだろうか。嫌だね。
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