「市によると、敬老会には今年70歳となるお年寄りや市民計247人が参加。大きな講演会では手話通訳者をつけているといい、この日も3人を配置していた」とのことである。
「ところが、市は夢之助さん側に通訳がつくことを説明しておらず」
と、もうお話にならない。まともに問題を論議するまでもなく、市側の一方的ミスである。
独演会開始後5分ほど過ぎたころ、夢之助さんが「落語は話し言葉でするもので、手話に変えられるものではない」と発言。
真横でちょろちょろやられたらそれは気も散るだろう。それ以前に夢之助氏は市側の無礼な対応に頭に来ていたものと思われる。
「この会場は聞こえる方が大半ですよね。手話の方がおられると気が散りますし、皆さんも散りますよね」と話し、会場からは笑い声が聞こえた。
これは酷い。とっさのアドリブにしても夢之助氏の障害者の感情に対する認識は「低い」と言わざるを得ない。
その後も「どうにかなりませんかね」「皆さんが良いとおっしゃるなら構いませんが。どうなんでしょうね」
確かに退場を求める発言だろう。
通訳の女性は主催者側に促され、舞台の下に降りて手話を続けた。
ということは、主催者側の判断でやった、ということである。
その後はお定まりの展開となった。
県ろうあ連盟は夢之助さんや市、落語芸術協会に抗議文を送付したが、これも被害者意識が過剰である。
障害者が被害に遭うケースが多いので、対抗処置として抗議を常道化しているのだろうが、いささか短絡的である。事実関係を確認してから抗議するべきだ。
今回の場合は、市の対応が安直で通り一遍だったことが諸悪の根源である。
「手話通訳をつければ義理を果たしたことになるだろう」という態度がありありで、出し物の性質など一顧だにしなかったのは見え見えである。
市は出演を頼んだ夢之助氏と観客の聾唖者に対しても侮蔑しているのである。
(記事)
<落語家・夢之助さん>「手話通訳気が散る」島根の敬老会で
島根県安来市民会館で9月17日に開かれた市主催の敬老会で、独演会をしていた落語家の三笑亭夢之助さんが、舞台に立つ手話通訳者に「気が散る」などと退場を求める発言をしていたことが分かった。通訳は舞台の下で続けられたが、同県ろうあ連盟は「聞こえない人に対する侮辱」と夢之助さんや市に抗議。夢之助さんは謝罪し、市も当日来場していた聴覚障害者3人に直接謝罪した。
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