今は昔、私はマレーシアの首都クアラルンプールに住んでいました。還暦記念にキナバル山登頂を思いつきました。当地在住の日本人に声をかけ、その人たちの日本にいる家族や友人、合計10数名が集まりました。キナバル山は標高4,100メートル東南アジア最高峰です。
クアラルンプールから空路、マレーシア・サバ州都コタキナバルへ、ミニバスで約2時間半キナバル公園本部着。当日は周辺を散策、感じの良いコテージどまりです。土地のカダザン・ドスン族のかわいい少女たちが面倒を見てくれました。
翌朝全員で公園本部へ向かい、私を含め4名が登頂グループ、あとは周辺のウオーキング。我々は公園本部でルールに従ってガイドを雇い、1,800メートルの登山口から歩き始めました。約1時間ごとに休憩所がありますが、急登の連続です。植物で目立つのは、シャクナゲ類と食虫植物です。高度により植生が変化します。
登山路は、登山客のみならず、多数のガイドやポーターが行き通う一本道、迷うことはありません。ごみ一つ落ちていません。しかしこの急坂はこたえます。ガイドには「年寄りばっかりだから、ゆっくりだぞ」と言いながら登ります。
昼食をすませ14時ころ、宿泊地の山小屋3,300メートルに到着、宿泊。ビールもあるし、夜は暖房も入る結構な山小屋でした。
翌朝0230頃起床、暗い中を頂上へ。道のない崖には黒檀で作った梯子がかけてあります。一つでいいから持って帰りたいなと思ったものです。すでに相当上まで、先行登山者のライトが見え、また登山路に沿って白いロープが張ってあり、迷うことはありません。
酸素が薄いとこんなに疲れるのかと、思い知った次第です。思うように体が動かず、休み休み登りました。頂上に0600頃到着、日の出を待ちます。
日の出を見て下山開始、どうしたことか楽に体が動きます。山小屋へ戻り朝食を取り、仲間が待っている公園本部へ向かいました。前日はこんなにひどい急坂を登ってきたのかと、改めて驚きました。ガイドが証明してくれ、登頂証明をもらいました。
昼食の後、骨休めにポーリン温泉へ。ところが骨休めにはならず、足の骨はガチガチ、数日間歩くのに苦労しました。コタキナバルへ戻ると、タクシー運転手が、日本の総理が決まった。Yoshiomoriだと教えてくれました。誰のことか思いましたが、あの森さんでした。
ラバンラタ山小屋、標高3,300メートル
キナバル山頂、左の女性はドイツからと言っていました。
下山中です。
ポーリン温泉
キナバル登山の概念図です。
キナバル登山証明書。州政府発行によるもので、ガイドの証明もあります。
キナバル山の遠景図。