手賀沼日記

L/C(信用状)を担保に取る―貿易講座220回

今回は「教科書」ではなく、事例としてお読みいただければ幸いです。

売主である当方は、ある機械を東南アジア某国の買主に輸出した。取引は終了したが、代金決済条件をめぐり、紛糾した。

買主の主張:代金前払いはできない。商品製造後1か月以内にL/C(信用状)を開設する。それから船積してほしい。

売主の主張:特別規格で転売のきかぬ商品なので、買主の主張には同意できない。金融費用の安い香港から今すぐL/Cを開設してほしい。入手後生産を開始する。

その後の経過:担保の意味合いで入手した香港で開設されたL/Cを点検、問題なしと判断、国内メーカーに機械を発注した。順調に予定通り10か月で製造されたが、買主は自国からL/Cを開設せず、船積を待ってくれと言うばかり。そこで売主は、手元にある香港で開設されたL/Cを利用し、船積を行い、代金全額を入金した。

買主は怒ったが、自社が自国でL/Cを開設しなかったことに原因があるので、クレームもできず、黙らざるを得なかった。

このような方法は決して褒められる方法ではないと思うが、リスク回避のためには必要であった。買主の言い分を真に受け、本国からのL/Cを待っていたら、かなりの金利・倉敷料の負担、最悪の場合L/Cは開設されず、事実上船積できず、膨大な損失を被る恐れがあった。


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