たぶん自分では例年同じことを思っているのかも知れないけれど、
今年はなおさら、とりわけ。
事故や災害など、心乱されるニュースが多い一年だという印象は、
趣味であるスポーツの領域においても変わらず。
怪我や欠場、そして卒業、引退の報に、
様々に思いを巡らせています。
“辞める段になったから書くのか”と言われれば返す言葉もないのですが、
やっぱりどうしても、リングから去りゆく選手に対して、
思いを巡らさざるを得ないところがあります。
8月14日。
東京女子プロレス“ナンバーワンアナウンサー”滝川あずさ選手が、
プロレス卒業を発表しました。
そしてここでいう“卒業”は、本人からも言葉として“引退”が使われている通り同義のものであり。
3年余りのレスラー人生に終止符を打つことを意味します。
2015年、2度目となった東京女子プロレスのビッグマッチ、
新宿FACE大会でデビューを果たした滝川あずさ選手は、
デビューから連敗に連敗を重ねつつも、
アナウンサー然としたその振る舞いとは裏腹な、
なんとも狡猾な試合ぶりと、実に巧みに言葉を操る“実況”を武器に頭角を現すと、
“三禁”を標榜する団体に在りながら、
“ボインメーカー”のの子選手と共に、“結婚で強さを”をスローガンとした“婚勝軍”を結成。
その強烈な個性と、市販されている書物として最厚と言われる結婚情報誌『ゼク※ィ』を凶器として用いる試合ぶりが
うっかりバズって拡散し、まとめ系ニュースサイトに取り上げられるなど、
東京女子プロレスの知名度向上に貢献することとなりました。
2017年には未勝利のまま時の王者・優宇に挑戦し、
“全勝vs全敗”という前代未聞の王座戦を実現。
後楽園大会では伊藤麻希との“未勝利対決”で満員の観客に熱狂をもたらす等、
存在感は放ちつつも、一方で勝ち星からは遠ざかる日々を重ねてきましたが、
デビューから丸2年超を経ての新木場大会で、
のどかおねえさん(当時)とのシングルマッチでついに念願の初勝利。
勝利の勢いのまま単身沙希様に食ってかかりましたが、
直接対決での敗戦を契機に、失踪というか誘拐というか。
何かしらの施術が施された結果、
“闇堕ちシスター”アズサ・クリスティが誕生。
[2018.2.18新木場:めっちゃハマっていたシスターギミック]
沙希様との“NEO美威獅鬼軍”で東京女子プロレスマットを席巻し、
2018年2月には初代王者・みらクりあんずを破り、
初勝利からおよそ3ヶ月あまりで、東京プリンセスタッグ王座に輝きました。
その後紆余曲折を経て、再び“滝川あずさ”として
東京女子プロレスに戻ってきた直後の卒業発表。
本人の言葉として“やりきった”という言葉が聞かれましたが、
振り返れば振り返るほど、その言葉には説得力があるように思います。
なんだ、この強烈な3年間は。
そもそもアナウンサー志望で、
白百合大学のミス・キャンパスに輝き、
千葉ロッテマリーンズのチアチーム「M'Splash」や地下アイドル、
日テレジェニック候補生等等を経て、
アナウンサー養成学校に通いながらも、
アナウンサー採用選考に弾かれ続けてきた、という、
彼女の人生に紆余曲折があり過ぎる。
そしてリングアナウンサーに興味を持ちながら業界の門を叩いた結果、
プロレスラーとしてデビューすることになったあたりも、
またなんとも波乱に満ちてる。
「爆音セレナーデ」という、
東京女子プロレスを題材にした映画があります。
「プロレスキャノンボール2014」がツイッターを通じたムーブメントを起こし、
映画に興味を持ち始めたDDTグループが、
元ネタである「テレクラキャノンボール2013」の参加者でもある
嵐山みちる監督のもと、初のビッグマッチに臨む東京女子プロレスを切り出したドキュメンタリー作品。
選手たちはかの作品を「黒歴史」と呼びますが、
実は私あの映画結構好きで。
映画館にも行ったし、DVDも買いました。
まあ、いまAmazon primeで見れちゃいますけども。
この作品は大会に臨むまでの日々を選手個々人に預けられたカメラに
それぞれ記録してもらい、時間経過に合わせて貼り合わせながら、
様々な過程を経てプロレスのリングに懸ける女性たちの姿を描いています。
(と、ザックリ述べていいのかどうか自身が無いけども。)
そしてその時系列の中心となって、
モノローグを語り続けるのが、当時の練習生・あずさ(仮)。
滝川あずさ選手、その人です。
[2015.12:「爆音セレナーデ」舞台挨拶。カメラを向けるとにこやかに返してくれたのがとても印象的でした。]
あれだけ個性的な選手がいて、
何故中心が練習生だったのか。
様々に理由を想像するところでありますが。
普通のOLとして働きながら、
これからプロレスラーという非日常の世界へと飛び込もうという一人の女性の姿を通じて、
そのいわば“境界線”みたいなものを浮き上がらせようとしたのかな、とか。
嵐山みちる監督はキレイな人をキレイに撮るので、
その被写体として適任だった、とか。
選手に預けたカメラの素材で話を組むには筋立てが必要だったから、とか。
…全部想像で、全部言葉が足りないけども。
でも多分。
この映像の中では、一番“普通”だった(ように見えた)のが、
練習生・あずさ(仮)でした。
そして、“普通”からプロレスの世界へ飛び込んだ一人の女性が、
持ち前の強烈な個性を発揮してプロレスラーとして成熟し、
ベルトを獲り、
“やりきった”という思いとともに、卒業を迎えることにも、
3年間という長いような、短いような時間の感慨を覚えるところです。
滝川あずさ選手の卒業に際して、
個人的に一つ気になっていたのが、
引退試合のカードでした。
滝川あずさ選手は一体、どういう我の通し方をするんだろう、と。
あくまで個人的な印象の話なのですが、
滝川選手もまた、凄く“DDT(グループ)らしい”選手だと思ってます。
何かの挫折を抱えていることも、
南部の気配溢れる試合スタイルも、
ある程度の年齢からのデビューも、
それでも諦めない夢を持ち、夢を求めていることも。
そしてもう一つ気になる“らしさ”が、
ある種の自己犠牲性。
言い換えれば、“優しさ”。
試合でみせる狡猾さとは裏腹に、“よい人”感というか気配り、気遣いというか、
そういう精神性が随所に見え隠れし、
先日のフォトブック発売イベントでは
「女子ウケしない性格なので」「“二番目”の女」「(地下アイドル時代の最低催行人数)二人より(参加者が)多い…」
などなどの独特の節回しによる自虐的な揶揄で笑いを取り、
もうすぐ引退であることへの“悲壮感”みたいなものを、
引退の迫る今の今まで、ついぞ感じさせぬままに駆け抜けてきました。
“滝川あずさの引退が悲しくない”というわけではなくて、
あくまで想像ですが、そういった悲壮な雰囲気を醸し出さないような狙いがあったのかな…
なんていうふうにも勘ぐってしまったりとか。
端的に述べて、根本的に滝川あずさ選手は“大人”だとか“優しい”ということが、
最大の特徴だったのかも知れない、
ということをボンヤリと思ってます。
引退へ向けた試合は二つのシングルマッチを除き、
いずれも“らしさ”全開の楽しい試合、
あまり、引退の寂しさが頭によぎらない試合だったように思います。
なので最後の最後、滝川あずさ選手が引退に向けて一体どんな要求をするのかと思ったら、
まさかの、1vs16。
自身と、今試合が可能な東京女子プロレス参戦選手全員との戦い、
という、なんとも斬新であると同時に、
やっぱりなんとなく“らしさ”を伺わせる試合形式に決まりました。
またも個人的な話でアレですが、
プロレス会場に足繁く通うようになったのはここ3余年と比較的最近なので、
東京女子プロレスのプロレスラーとして、
デビューから“引退”まで見届けるのは、たぶん、滝川あずさ選手が初めて。
なんともまとまりきらないことをツラツラと綴りましたが、
その3年間の年月に思いを馳せながら、
プロレスラー人生最後の日を見届けられればと思います。
今年はなおさら、とりわけ。
事故や災害など、心乱されるニュースが多い一年だという印象は、
趣味であるスポーツの領域においても変わらず。
怪我や欠場、そして卒業、引退の報に、
様々に思いを巡らせています。
“辞める段になったから書くのか”と言われれば返す言葉もないのですが、
やっぱりどうしても、リングから去りゆく選手に対して、
思いを巡らさざるを得ないところがあります。
8月14日。
東京女子プロレス“ナンバーワンアナウンサー”滝川あずさ選手が、
プロレス卒業を発表しました。
そしてここでいう“卒業”は、本人からも言葉として“引退”が使われている通り同義のものであり。
3年余りのレスラー人生に終止符を打つことを意味します。
2015年、2度目となった東京女子プロレスのビッグマッチ、
新宿FACE大会でデビューを果たした滝川あずさ選手は、
デビューから連敗に連敗を重ねつつも、
アナウンサー然としたその振る舞いとは裏腹な、
なんとも狡猾な試合ぶりと、実に巧みに言葉を操る“実況”を武器に頭角を現すと、
“三禁”を標榜する団体に在りながら、
“ボインメーカー”のの子選手と共に、“結婚で強さを”をスローガンとした“婚勝軍”を結成。
その強烈な個性と、市販されている書物として最厚と言われる結婚情報誌『ゼク※ィ』を凶器として用いる試合ぶりが
うっかりバズって拡散し、まとめ系ニュースサイトに取り上げられるなど、
東京女子プロレスの知名度向上に貢献することとなりました。
2017年には未勝利のまま時の王者・優宇に挑戦し、
“全勝vs全敗”という前代未聞の王座戦を実現。
後楽園大会では伊藤麻希との“未勝利対決”で満員の観客に熱狂をもたらす等、
存在感は放ちつつも、一方で勝ち星からは遠ざかる日々を重ねてきましたが、
デビューから丸2年超を経ての新木場大会で、
のどかおねえさん(当時)とのシングルマッチでついに念願の初勝利。
勝利の勢いのまま単身沙希様に食ってかかりましたが、
直接対決での敗戦を契機に、失踪というか誘拐というか。
何かしらの施術が施された結果、
“闇堕ちシスター”アズサ・クリスティが誕生。
[2018.2.18新木場:めっちゃハマっていたシスターギミック]
沙希様との“NEO美威獅鬼軍”で東京女子プロレスマットを席巻し、
2018年2月には初代王者・みらクりあんずを破り、
初勝利からおよそ3ヶ月あまりで、東京プリンセスタッグ王座に輝きました。
その後紆余曲折を経て、再び“滝川あずさ”として
東京女子プロレスに戻ってきた直後の卒業発表。
本人の言葉として“やりきった”という言葉が聞かれましたが、
振り返れば振り返るほど、その言葉には説得力があるように思います。
なんだ、この強烈な3年間は。
そもそもアナウンサー志望で、
白百合大学のミス・キャンパスに輝き、
千葉ロッテマリーンズのチアチーム「M'Splash」や地下アイドル、
日テレジェニック候補生等等を経て、
アナウンサー養成学校に通いながらも、
アナウンサー採用選考に弾かれ続けてきた、という、
彼女の人生に紆余曲折があり過ぎる。
そしてリングアナウンサーに興味を持ちながら業界の門を叩いた結果、
プロレスラーとしてデビューすることになったあたりも、
またなんとも波乱に満ちてる。
「爆音セレナーデ」という、
東京女子プロレスを題材にした映画があります。
「プロレスキャノンボール2014」がツイッターを通じたムーブメントを起こし、
映画に興味を持ち始めたDDTグループが、
元ネタである「テレクラキャノンボール2013」の参加者でもある
嵐山みちる監督のもと、初のビッグマッチに臨む東京女子プロレスを切り出したドキュメンタリー作品。
選手たちはかの作品を「黒歴史」と呼びますが、
実は私あの映画結構好きで。
映画館にも行ったし、DVDも買いました。
まあ、いまAmazon primeで見れちゃいますけども。
この作品は大会に臨むまでの日々を選手個々人に預けられたカメラに
それぞれ記録してもらい、時間経過に合わせて貼り合わせながら、
様々な過程を経てプロレスのリングに懸ける女性たちの姿を描いています。
(と、ザックリ述べていいのかどうか自身が無いけども。)
そしてその時系列の中心となって、
モノローグを語り続けるのが、当時の練習生・あずさ(仮)。
滝川あずさ選手、その人です。
[2015.12:「爆音セレナーデ」舞台挨拶。カメラを向けるとにこやかに返してくれたのがとても印象的でした。]
あれだけ個性的な選手がいて、
何故中心が練習生だったのか。
様々に理由を想像するところでありますが。
普通のOLとして働きながら、
これからプロレスラーという非日常の世界へと飛び込もうという一人の女性の姿を通じて、
そのいわば“境界線”みたいなものを浮き上がらせようとしたのかな、とか。
嵐山みちる監督はキレイな人をキレイに撮るので、
その被写体として適任だった、とか。
選手に預けたカメラの素材で話を組むには筋立てが必要だったから、とか。
…全部想像で、全部言葉が足りないけども。
でも多分。
この映像の中では、一番“普通”だった(ように見えた)のが、
練習生・あずさ(仮)でした。
そして、“普通”からプロレスの世界へ飛び込んだ一人の女性が、
持ち前の強烈な個性を発揮してプロレスラーとして成熟し、
ベルトを獲り、
“やりきった”という思いとともに、卒業を迎えることにも、
3年間という長いような、短いような時間の感慨を覚えるところです。
滝川あずさ選手の卒業に際して、
個人的に一つ気になっていたのが、
引退試合のカードでした。
滝川あずさ選手は一体、どういう我の通し方をするんだろう、と。
あくまで個人的な印象の話なのですが、
滝川選手もまた、凄く“DDT(グループ)らしい”選手だと思ってます。
何かの挫折を抱えていることも、
南部の気配溢れる試合スタイルも、
ある程度の年齢からのデビューも、
それでも諦めない夢を持ち、夢を求めていることも。
そしてもう一つ気になる“らしさ”が、
ある種の自己犠牲性。
言い換えれば、“優しさ”。
試合でみせる狡猾さとは裏腹に、“よい人”感というか気配り、気遣いというか、
そういう精神性が随所に見え隠れし、
先日のフォトブック発売イベントでは
「女子ウケしない性格なので」「“二番目”の女」「(地下アイドル時代の最低催行人数)二人より(参加者が)多い…」
などなどの独特の節回しによる自虐的な揶揄で笑いを取り、
もうすぐ引退であることへの“悲壮感”みたいなものを、
引退の迫る今の今まで、ついぞ感じさせぬままに駆け抜けてきました。
“滝川あずさの引退が悲しくない”というわけではなくて、
あくまで想像ですが、そういった悲壮な雰囲気を醸し出さないような狙いがあったのかな…
なんていうふうにも勘ぐってしまったりとか。
端的に述べて、根本的に滝川あずさ選手は“大人”だとか“優しい”ということが、
最大の特徴だったのかも知れない、
ということをボンヤリと思ってます。
引退へ向けた試合は二つのシングルマッチを除き、
いずれも“らしさ”全開の楽しい試合、
あまり、引退の寂しさが頭によぎらない試合だったように思います。
なので最後の最後、滝川あずさ選手が引退に向けて一体どんな要求をするのかと思ったら、
まさかの、1vs16。
自身と、今試合が可能な東京女子プロレス参戦選手全員との戦い、
という、なんとも斬新であると同時に、
やっぱりなんとなく“らしさ”を伺わせる試合形式に決まりました。
またも個人的な話でアレですが、
プロレス会場に足繁く通うようになったのはここ3余年と比較的最近なので、
東京女子プロレスのプロレスラーとして、
デビューから“引退”まで見届けるのは、たぶん、滝川あずさ選手が初めて。
なんともまとまりきらないことをツラツラと綴りましたが、
その3年間の年月に思いを馳せながら、
プロレスラー人生最後の日を見届けられればと思います。
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