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ネット・プロレス大賞2018①[最優秀新人]

2019-01-11 22:30:00 | スポーツその他
例年、プロレスブログの大家である「ブラックアイ3」様主催で行われる
ネット・プロレス大賞。

かつてマッスルハウス10の感想文をこのブログに掲載した際、
たまたま拾っていただいたことをきっかけに、
以来8年続けて投票し、今年で9年目。
もはや個人的には年末年始の風物詩で、
2018年のプロレスを締めくくる、最後の楽しみとなっています。

ということで今年も無事投票を終え、全体の投票も1月8日に締め切られたということで、
ちまちま今年の投票内容についてまた
言及していこうと思います。

だってせっかく見て、せっかく悩んで、
せっかく投票したのに、それを言葉にしないのは、
もったいないでしょう?





《ネット・プロレス大賞2018〜新人賞〜》



例年頭を悩ませる部門の一つがこの新人賞。
ネット・プロレス大賞のレギュレーションとしては、
・デビュー3年(目)以内
・大賞を獲得した選手は除外
がおおよそのルールだったかと思いますが、
そこに個人的な自分ルールとしては、
・できる限り実際に試合を見た選手から選ぶ
・できる限り前年の後半以降デビューした選手を優先
・前年までに投票した選手には投票しない
といった項目を付け加えて、自分で面倒くさくしています。

新人賞を選ぶときの判断基準なのですが、
世の中には色々な判断基準があって難しく、
野球みたいな球技と違って、指標を用いた可視化も難しい。
あまり雑な区切りを作ると、今度は本質的な魅力を取りこぼしてしまう可能性がある。

でも、なんとなくここ2、3年、自分の中ではある程度の基準があるように思えてきました。
前に雑談レベルでこんな話をしたことがあります。

「ナイトガンダム物語に『力』『技』『魔法』ってあったよね」



「魔法には力」
「力には技」
「技には魔法」

という三竦みの関係で、
私が小学生のころ情熱を注いでいたファンタジーの世界は構成されていました。

ということで、三竦みではないけれど、
プロレスにおける魅力を、大まかに三つの要素に分解して
考えてみることを、新人賞を選定するにあたって応用してみることにしました。

「力」「技」「魔法」という概念は、まるでファンタジーなようで、
なんとなくプロレスに当てはめて考えることもできるように思い、
以下のように読みかえることにしました。

「力」→「精神力」
ふてぶてしさ、強気、生意気的な部分は元より、不動心、冷静、冷酷さや、
激情ぶり…“感情”の強さや、狂気についてもここに含めて考えることにします。
ex:大家健、伊藤麻希、野村卓矢

「技」→「完成度」
技の精度や動きの速さといったイメージ通りの“技”の他に、
肉体的な意味での“力”や、強さについてもこの項目に含めて考慮。
ex:優宇、ブラウン・ストローマン、樋口和貞

「魔法」→「表現力」
“表現力”以上の言葉が出てこなかった。要はファンタジーでもあるし、想像力でもあるし、創造力でもあるし、独創性でもある。
個人的になんとなく一番重みが強い要素。
ex:スーパー・ササダンゴ・マシン、トランザム✳ヒロシ、ポイズン澤田JULIE

まあ、いずれにせよ主観で選ぶものなので、
あくまでイメージの参考として。



1位 駿河メイ(我闘雲舞)
2位 ラク(らく)(東京女子プロレス)
3位 有田ひめか(アクトレスガールズ)



全員女子になってしまった。
ただ、男子レスラーのキャリアパスと女子レスラーのキャリアパスを考えると、
どうしても女子の方が個性を発揮する段階が早くなるのは否めない気もします。



2018年、最優秀新人1位に推すのは、
我闘雲舞“フレッシュファイト”駿河メイ。



京都出身の19歳は、2018年5月に師匠・さくらえみを相手にデビュー。
試合開始からほぼ何もさせない怒涛の攻めを展開する、
衝撃的なデビューを飾ると、さくらえみ負傷欠場に伴って代打参戦となったデビュー3戦目には、
田村和宏を相手に(ジャッジメントルールで)見事に初勝利を挙げるなど、
素早さと運動神経、そして抜群の吸収力で、グングングングン成長。
さくらえみ負傷に伴い、センダイガールズに参戦を始めて以降、
単独で呼ばれるようになると、くいしんぼう仮面興行やSEAdRINNNGなど、
方方から声がかかるように。

デビューから2回目のシングルマッチで希月あおいと対戦したことをきっかけに、
引退までの約4ヶ月間、“ハッピーポニーテールズ”としてタッグも結成。
おそらく一番キャリアの離れた姉弟子の持ち前の“ハッピー”をも引き継ぎ、
希月あおい最後のシングルマッチとなった10.5市ヶ谷大会では大金星となる勝利を挙げました。







[希月あおいから引き継いだ羽根]

そして年末には3WAYマッチでさくらえみから直接ピンフォール勝ちを収めるなど、
勢いは加速したまま半年間を駆け抜けていきました。

駿河メイの凄さについて、まず一つは、“当て勘”のよさ。
特にドロップキックについて、特段打点が高いわけではないですが、
スピードがあり、また、そのスピードを宙空で調節して、
相手のミートポイントを的確に捕らえることができるセンス。
まあ、運動神経と言えば運動神経なんでしょうけれど、
多分、目(動体視力)も反射神経もいいので、複合的な能力。
だから、“当て勘”と言っておきます。



もう一つは、吸収力と、応用力。
師匠であるさくらさんが「通常の3倍速で成長する」とまるでシャアザクのように例える通り、
みるみる勢いであらゆることを吸収していく成長ぶりがまず恐ろしい。

駿河メイ選手が地元で(アーサ米夏のつけたnoteなどを読みながら)苦悩し、
上京を決めたのが2018年3月。
デビューが、2018年5月28日。
デビューまでの期間が3ヶ月というのは、
数々のプロレスラーを世に送り出したさくらさんをして「最短記録」。

また技の面でもデビュー時点ですでにオリジナリティ溢れるムーブをたくさん持ちつつ、
希月あおいのハッピークラッチにインスパイアされて
改良を加えた「プロペラクラッチ」を新たに習得。



また、くいしんぼう仮面との試合で身につけた“バービック”を、
なんと試合中に自ら行うことで相手を混乱させて隙を作る、という、
“バービック”を技にまで昇華させる応用力・発想力。



もはやバービックの概念が迷子です。

そしてさらに、くいしんぼう仮面興行ではミラクルマンさんに「この人プロレスわかってません」と言い放ち、
アントーニオ本多とのフォークデュオ「リンゴとハチミツ」を結成するなど、
どの世界観に放り込んでもなんとなく雰囲気で順応する恐ろしさ。





という訳で、こんなふうに讃える言葉が止めどなく溢れてくる駿河メイ選手を、
2018年ネット・プロレス大賞最優秀新人1位に推挙いたします。




そして2位は、東京女子プロレス及びアップアップガールズ(プロレス)のラク(現・らく)。



先ほどした「力・技・魔法」の概念に当てはめるならば、完全なる魔法使い。
それも、とびっきりの。

アップアップガールズ(プロレス)は、
モーニング娘。を始めとするアイドルが多く所属するアップフロントのアイドル、
アップアップガールズ(仮)、アップアップガールズ(2)の姉妹ユニットとして、
DDTグループとタッグを組んで生み出されたアイドルグループ。

アイドル活動を行うためにはプロレスも並行してやることが必須となる
異色のアイドルグループに所属するのは、20歳前後の4人の少女たち。



元々アイドルオタクであるという埼玉出身のミウ(現・渡辺未詩)、
ジャッキー大好き東京都出身のヒナノ(現・ぴぴぴぴぴなの)、
プロレスラーになりたいがために応募した北海道出身のデスマッチフリーク・ヒカリ(現・乃蒼ヒカリ)、
そしてもう一人が“正統派アイドル”と目される、ラク(現・らく)。

2018年のイッテンヨン後楽園大会でデビューを飾った4人は、
デビュー戦からとにかく今できること、練習したことを出す、
という好感の持てる試合を展開しましたが、
力量的には元々プロレスに造形の深いヒカリ、
身体能力(主に筋力)の高いミウがリードしている印象で、
ラクは、“ジャイアント殺法”的なスタイルが最初から展開されたものの、
一番プロレスから距離があるのかな…と思っていました。



いやー…節穴でしたね。

3月、アップアップガールズ(プロレス)のメンバーの中でいち早く
王者・山下実優とのシングルマッチに挑んだのが、そのラク。
試合前には怖さで涙もこぼしていたと言いますが、
いざ試合では、持てる武器を最大限に駆使して山下実優に立ち向かい、
正直、全く歯は立たなかったものの、しぶとくスリーパーでしがみつくなど、
明確に勝利への意志を示す戦いぶりは、まさしく、プロレスラー。
試合前はどのくらい試合が成立するだろうと思っていましたが、
終わってみれば、ただただ素晴らしい、と、拍手を贈るのみでした。

さて、そんなラク…らく選手を2位に推挙するのは、
そうしたプロレスラーマインドを前提にしてリングで展開される独創性。



代表的なのは、副交感神経を操作して一瞬のうちに自身の身体を睡眠状態に陥ることで
脱力した身体で押さえ込む技…
まあ、「おやすみエクスプレス」のことなんですけども。
この技は賑やかしのようでいて実は理に適っていることを、
プロレス研究家レスラーの竹下幸之介先生から「木曜ザ・ナイト」で丁寧に解説されました。



そしてさらに相手を両手を揃えて「おやすみなさい~」と押さえつけるフォールや、
相手の背中に乗りながら「おやすみなさい~」と体重をかけていく、
いわば「子泣き式」スリーパーなど、そのバリエーションでも思考の隙を衝く独創性を展開しています。



そう、その“思考の隙”を衝く、センス。
それが恐ろしくずば抜けている。

得意技の一つにブレーンチョップがありますが、
試合で右のブレーンチョップがブロックされて即座に左のブレーンチョップが出たり、
スライディング式のブレーンチョップを放ったり、
右も左もガードされたと思ったらダブルチョップを繰り出したり、
フェイントを入れて逆水平を繰り出したり。





そして、チョップ使いということもあって、
2018年の力道山先生の法要に、女子プロレスラーとしてただ一人…
DDTグループでみても大家健しか他に参加者がいない中で、
一人飛び込んでいくその勇気。

プロレスラーとしての完成度はまだまだ未知数。
しかし、決して誰もがは持たない稀有な才能の持ち主であるらく選手を、2018年最優秀新人2位に推挙します。



3位は、ひょっとしたら怪物なのではないか枠(独断と偏見)。
アクトレスガールズBeginning所属・有田ひめか。



スルースキルズというアイドルグループで活動中、
全日本プロレスでほぼレギュラーでライブを行っていたことが一つのきっかけになり、
アクトレスガールズの門を叩くことに。
その恵まれた体格から、アイドル時代からのあだ名は“ジャンボ”。
プロレスデビューを目指す過程では、
全日本プロレス社長・秋山準指導を仰ぎ、
その名に恥じない“膝”を磨くこととなりました。

2017年12月にデビューを果たして、かねてから見たいなー見たいなーと思っていたら、
J@st、ASUKA PROJECT、野郎Zと、
思いの外色々な所で目にする機会があり、
やっぱり恵まれた体格で展開するプロレスに迫力があるなあと思っていましたが、
目を見張るようになったのは、初めてアクトレスガールズを見に行った、
9月のトーナメントあたりから。



所属選手を中心とした、初代シングル王者決定トーナメントの一回戦で、
キャリア的にはやや先輩にあたる清水ひかり選手との対戦となった有田ひめか選手。
キレのある蹴りや素早い動きを武器とする清水選手に敢然と立ちはだかり、
例え手数的に劣勢の中にあっても、強烈な攻撃一発で状況を一変させる破壊力。
頭に叩き込まれた印象は、“暴力的”。



「暴力」とはいってもそれは別にviolenceを必ずしも指していなくて、
なんといいますか、それまで対戦相手が積み上げてきた勝利への過程を、
一発で無にしてしまうような。
ある種抗いようのない、災害のような力、暴力。

自分で前置きめいた話をしておいて、
その前提を自ら覆すようなことで大変恐縮なのですが、
「力・技・魔法」の前置きの中で、一つ、評価の要素として取りこぼしているものがあります。
それは、容姿。
特に、身体の大きさというのはレスラーにとって重要な要素ですが、
その要件を満たすのが、有田ひめか選手。

身長の高い女子レスラーというのは色んな所で目にしてきましたが、
有田選手に関しては、異名に違わず、
ストレートに“でかい”というのが伝わります。
なんていうか、イメージとしてはビッグ・ショー(ポール・ワイト)的な。
大きさと強さがなんとなく直接的に結びつくようなインパクトを感じます。

アクトレスガールズ後楽園ホール大会では、
他団体でも活躍する高瀬みゆき選手、万喜なつみ選手、関口翔選手と
同じカードに組み込まれながら、その“暴力的”なジャンピングニーで
再三に渡って戦況を一変させていて、ただただ衝撃的でした。



もしかしたらきっかけ一つで女子プロレス界の勢力図を一変させるような可能性まで感じる、
“ジャンボ”有田ひめか選手に3位票を投じたいと思います。




さて。

3位票について中々に迷っていたのが、
バリアンアッキ。



昨年11月に颯爽とガンバレ☆プロレスのリングに現れたインド人青年は、
その後我闘雲舞を中心に様々なリング(マット)に参戦。
我闘雲舞恒例のゴーゴーグリーンカレーコップンカップでは、
米山香織とのタッグで準優勝を果たしたり、
HEAT-UPでは兼平大介の持つユニバーサル王座に挑戦し、
“空飛ぶインド人”の異名に紛うことなき戦いぶりをみせたり。

ただこの見た目から年齢の判断が難しいインド人青年(23歳)は、
聞けばデビューは18歳とのこと。
絶妙にネット・プロレス大賞のレギュレーションから外れます。

日本に来たの最近だから…と、
無理矢理投票も考えましたが、ルールはルール。
我慢することに。

ちなみにインド系レスラーの英雄であるサンジェイ・ダットとも面識があるというバリヤンアッキ、
今年も日本のインディーレスラーとして活動してくれるとのこと。

たぶん、彼のプロレスを見られる環境がひょっとしたらニューヨークになってしまう
可能性まで感じるので、今見ておくといいと強くオススメする選手の一人。



あと、試合自体はデビュー前のエキシビション、
デビュー戦、その他1試合くらいしか見てないのですが、
K-DOJOの笹村あやめは素晴らしくいい選手。



決して体格や身体能力的に恵まれているという印象ではないのですが、
戦う姿勢、気性の良さとか、技のタイミングの良さが抜群で、
またこの選手も“思考の死角”をよくついてくる。
実際の試合スタイルはかなり異なるので
あまり同意を得られる気がしないのですが、
イメージとしては、阿部史典選手や野村卓矢選手に近い。

ミリー・マッケンジーに奪われてしまったものの、
センダイガールズの初代ジュニア王座に輝いたのも、納得いくところでした。
是非見たいと思える選手の一人。



東京女子プロレスからは、上福ゆき選手も実に悩ましかったところです。



グラビア活動も行う傍らプロレスラーとして2017年にデビューした上福選手は、
週刊FRIDAYに“日本一の美女レスラー”のコピーで紹介されるほどの
見事なスタイルと美貌の持ち主です。
が、
個人的に最大の魅力は“フランクすぎる”と評される、その性格。



バイリンガルの“じゆーじん”がリングで展開するそのトラッシュトークは
大きな大きな破壊力を誇り、会場を爆笑の渦に巻き込むとともに、
相手のペースを著しく乱すほどに威力抜群。

ルックス、試合の印象などなど、
楽しさを伝える瞬発力が抜群で、
ある日に“DDTグループでいま一番見るべき才能”とツイートしましたが、
割と本心です。



あと、彼女のドロップキックは、いわゆる“お金のとれる”ドロップキック。
必見。



我闘雲舞、水森由菜選手についても触れないわけにはいかない。



熊本出身の“自虐系アイドル”でありながら、
ライブイベントでうっかり“おにぎりプロレス”とのコラボレーションを果たしたこと、
折しも“タイガーマスクW”が放映中だったことという要素が重なり、
我闘雲舞の門を叩いた水森選手は、2017年9月にデビュー予定でしたが、練習中の負傷でデビューが延期となり、
2018年2月、満を持してプロレスデビュー。

充分な練習を積んだことの伝わる技の数々、
さり気ない運動神経のよさ、そして、持ち前の体格から生み出されるそのパワーで、
破格のデビュー戦を展開し、いきなり週刊プロレスでカラー2ページ獲得という快挙を達成。

さらにはデビューのきっかけとなったタイガーマスクWに出てくる
“キャンディペア”のミント…の、モデルとなった沙紀選手とのタッグ“トロピカワイルド”では、
組み始めから抜群のコンビネーションを発揮。



1年数ヶ月に渡りアジアドリームタッグの長期政権を築いていた
さくらえみ&高梨将弘の“百均サンダース”から王座を奪い取る快挙を成し遂げました。





…2016年、プロレスラー新人の当たり年と呼ばれました。
しかし、その年私が投票した3人のレスラーは、
いま、活躍の場をそれぞれに移し、日本でそれぞれのプロレスを見ることができません。

1位に推したアーサ米夏は、10.5我闘雲舞の市ヶ谷大会をもって、



“卒業”となりました。

でも、たとえプロレスを離れたとしても、
彼女がその年の“1位”だと判断したことは、
「力・技・魔法」の概念に立ち帰ったとしても全くの嘘がないし、後悔がない。
あの年間違いなく、彼女は1位だった。

その事が遠回しではあるけれど、
noteを呼んでプロレスラー生活を想起した駿河メイ、
おにぎりプロレスに触れてプロレスラーを志した水森由菜という、
二人の(ある意味)フォロワーを生んだことが、証明してくれています。

いままたこうして、新たに生まれるプロレスラー出会えることに感謝を。

そして、プロレスラーが、プロレスラーであってくれることに、感謝を。


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