CSでなんとなく観始めた映画、「殿、利息でござる!」。
物凄く良い映画でした。
まぁ、出演者が豪華と言うこともあったけど、それぞれの役者が演じた役とリンクしていてとても良い味を出していたかと。時代劇ではあるのだけど、全然古臭さなど感じない。寧ろ、軽妙な切り口ではあるが現代の問題に同じようなことが出来るのではないかと思えた程。勿論、今の御時世、士農工商制度はないのでこの映画で描かれたような理不尽さはないのだけど、相互扶助の精神でやれることはあろう。観終わったあとの感想としてはとても清々しい感覚になった。観て、良かった。お勧め。
映画の最後にも出てきたが、これは実はで、ご子孫がいらっしゃるとのこと。
Wikipediaによれば、原作は18世紀に仙台藩の吉岡宿で宿場町の窮状を救った町人達の記録『国恩記』(栄洲瑞芝著)を元にした歴史小説『穀田屋十三郎』(磯田道史著)、とのことである。正直、fictionとしたら何がモチーフだったのかな、と思っていたけど、やっぱりNon Fictionでしたか。いや、そうであって欲しいとすら思えるような出来の良さでした。事実は小説より奇なり、でしょうか。現実にあったものを映画としての脚本に書き起こしているので、多少、上述の国恩記とは異なるやも知れませんが、実際、彼ら町人の奮闘ぶりはあったのでしょう。
阿部サダヲが穀田屋十三郎を演じていましたね。
いや、正直、あまりポジティブな印象はありませんでしたが、とっても素晴らしい演技だったかと思います。小さい頃から持っていたであろう劣等感を逆手に頑張る姿に加えて、幼き頃の父の教えを愚直に、行き方の根底に持って生活をしてきた姿。そしてそれが実は養子に出された出自の実家の母親から、実は、、と言う話を聞かされた時に全てが繋がり、ある意味救われる図式は勧善懲悪的な、日本の古き善き時代劇としての有り姿。
その他、妻夫木聡、寺脇康文、など個人的に好きな俳優さんがオンパレード。きたろうや、中本賢などの名脇役もとても良い色を添えていたなぁと思う次第。西村雅彦なんて、全くちょんまげ姿が似合っていないのにw、とても味のある、西村雅彦的な演技をしていて、とても良かった。どんなドラマや映画に出ても、西村雅彦たる西村雅彦としての演技がある。好き嫌いはあるでしょうけど、おいらは好きだなぁ。西田敏行さん的な存在感を今後提示していくのではないかなと期待している。あとは、堀部圭亮かな。嫌な役人の役どころかと思いきや、人情味の出し方が抜群でした。
現代に生きていて良かったな、と言う感想はおよそこの映画を観たあとの感想としては相応しくないのだけれども、全員揃ってこの時代の理不尽さに知恵を出しあって対抗していく姿としては、仕事の在り方として参考にすべきところがある、とさえ思ってしまった。
何度も云いますが、お勧めです。