MilanoからLondon、東京に移り住みましたが、変わらず日常生活を書き記そうかと。。
ミラノ通信 - 我が為すことは、我のみぞ知る



ずっと書い続けているこの漫画。

ここ数年の中で最も良いと思う程の完成度が、連載中、ずっと続いている。この漫画、生きているんだよね。キャラそれぞれがにずっと息吹が感じられ、それぞれのキャラクターがちゃんと生きた状態で、セリフを吐いている。漫画の中で漫画を書いている描写があるのがこの漫画の特徴だが、その漫画の中の漫画が生きていると感じられるように、各キャラクターが掛け合いをしている。少なくともそう見える。そしてそれぞれのセリフ、機微があり、琴線に触れるような話しが多い。仕事をしている中で、他の業界ではそうだろうけどさ、、と言うような彼我の境地になったままだと、感動も何も起きないと思うのだが、生きていく上で、働いていく上で、そう言うの、うちの業界でもあるんだよなぁ、生きてく上で重要だよなぁ、と思うようなことが散りばめられていると思う。次に勝てばいい、なんて軽く言えないけど、そう言う気持ちって誰にでもあり得る。


出版業界は、正直、不況な業界であろう。
斜陽産業と言っても過言ではない...。


紙媒体は電子出版に押されていて、下手すると全体的に部数は下がってきているであろう。実際、広告出稿が下がってきていると言うこともあるが、現実的に言えば、部数的にも物凄く下がってきている現れだと思う。紙媒体全体が多分そうで、雑誌だけではなく、新聞だって電子媒体に取って代わられてきていると思う。CDが売れない音楽業界と同じように、結局音楽を聞かなくなると言うような統計的な数値が出てこないことを祈るのみだが、それでも尚、紙媒体を愛している人は多いと思われる。ただ恐らくそれはマイノリティになっていくんだろうな、と言う危惧がある。自分もそうなのだけれども…。個人的には、iPad、Windows タブレットとPC以外にもポータブルデバイスを持っているし、ガラケー以外にスマホだって2台持っている。


けど、漫画は紙で読みたいんだよね。


折しも、今回の第11巻で、縦スクロールのコマ割り?と葛藤する漫画家さんの苦悩が描かれていたが、時代は明らかに変わってきている。そう言うことをきちんと取り扱って、自分たち全般の苦悩がある中で、それでも藻掻いて、何らかの新たな回答を紡ぎ出したい、と言う心の中の苦しみが、表現されている。縦スクロールか横か、と言うことについては、それは間違いなく出版業界の中でしか通じないことなのかも知れないが、そう言うことが、つまり何かInnovationを起こさなければならないと言うことについては、絶対に他の業界でも必要なことだと思う。

だからこそ、ずっとね、この漫画は読み続けたいな、と。

この作者の方があとがきで書かれていたが、単行本の発行が第11巻目になったと。キャリアハイの巻数とのこと。1年に2冊くらい出てくるであろうが、おいらも独立して丸10年で、今11年目。とっくの昔に、キャリアハイの企業への所属年数になっている。最長で3年3ヶ月くらいだったからね。きっと漫画家さんは新たなキャラを作り上げていくのも大変なんだろうけど、それらのキャラを生かし続け、踊らせ続けるのも大変なんだろうと思う。長く、生きながらえることはそれなり以上に大変なことだと本当に、心底思う。この漫画のあとがきに書かれていたあの心情吐露は、独立した人にしか分からないと思っている。頑張ったんだよ、って誰かに言いたい気持ちもとても良くわかる。だからこそ、素直におめでとうと言いたいし、勝手なことだが、この漫画が続いていることは、即ち自分へのエールに思える。

秋が待ち遠しい。

重版出来!(11) (ビッグコミックス)
クリエーター情報なし
小学館


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