単独行の山歩き(yamakuma)

「一人は危険」と言われながら、一緒に行ってくれる人がなくいつのまにか単独行が身についてしまいました。

山で出合いたくない生き物

2010-05-30 | インポート

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 山の雑誌ヤマケイに、「山の不快害虫」という記事があった(相当昔の記事)と思うのですが、このページでは私が山で体験した出合いたくない生き物の話です。

ヒル

 南アルプス聖岳の伊那側の登山口である遠山郷、遠山川、易老渡、便が島から聖平へ登ったときのこと。前日来の大雨が朝に止み、登り始めました。山側からの増水で登山道を覆う水に靴を濡らしたくなく、脱ごうとしたとき、下半身全体に無数のナメクジのようなものがひっついていることに気がついた。ヒルは生まれてこの方1~2回しか見たことがなく、それも水たまりに漂うものでした。まさか、自分にヒルが吸いついているなど想像もしたことはないが、ヒルだと思い、取ろうと思うが素手で触るのも気持ち悪く、小石でこそぎ落した。敵も御馳走を逃がすまいとなかなか離れてくれない。しばらく格闘し、股までついていたものを取り除いたが、幸い、血は吸われていませんでした。

 皮の登山靴に吸い付いたヒルが、縫い目でもないところに侵入しようとしているのを石で取ろうとしてもなかなか取れず、執念のようなものを感じました。しかし、一旦とれると、逃げ足の速いこと、体をくねらせて「ピュピュ」という感じで、逃げていきました。落ちたところを探しても見当たりませんでした。

 道幅もそこそこあるのになぜついたのか不思議でしたが、ズボンがフラノ地のニッカーに毛糸のストッキングという素材がつきやすいということもあったのでしょうが、その後先へ進むと、草むらの中に黒い15センチ以上もあるヒルが無数に元気よく動いているのが見えて、基本的にヒルの多い地区なのだと思いました。帰りに地元の人に聞くと、やはりヒルの多いところだそうです。

 ちなみに、登りで追いついてきた登山者に「ヒルの多い所でいやですね」と声をかけると、「そんなのいました?」との返答なので、「そのズボンの赤いシミはかまれたのと違いますか」というとあわててズボンのすそをあげると血が流れていました。まったく気がついていなかった、とのことでした。

  なお、山のベテランに聞いたところ、15センチもある大きなヒル(ヤマヒルと言うのだそうです)はあまり人間を襲わない。3~5センチくらいの小さなものが人間の血を吸う、とのことでした。また、服の素材も毛足の長い物にはつきやすく、ツルッとした素材にはつきにくいようです。カッパを着ると吸い付かないといわれています。下からだけではなく、上から降ってくることもある、と聞かされますと益々恐怖です。また、ハナヒルといって、沢の水を直に口をつけて飲むと、鼻に入るものもいるとのことです。

 TVや新聞記事によりますと、ヒルは一度血を吸うと、半年は水も何もなくとも生きられるのだそうです。そして、雪の下でも死なないので、冬も越年する。また、鹿の繁殖に伴い、ヒルの生息域も広がって、新興住宅街でもいるとのことです。

マダニ

 初めて、かまれたのは六甲山で7月か8月の暑い頃でした。クマザサをかき分けて登ったところがあり、後で思うとあそこでかまれたのではないかと思うのです。帰って風呂に入り、体を洗っていると、右足のすねの右側にポツッとほくろのようなものがあり、「こんなところにほくろがあったっけ」と思いながら良く見ると、なんとなくムシらしく見えました。そのころにはヤマケイの不快害虫の記事を読んでいましたから、すぐ「マダニだ」と直感し、ムシリ取りました。少し皮がむけましたが、どうということなく終わりました。その時は記念にビニール袋に入れて保管していましたが、いつの間にかなくなっていました。

 2回目にかまれた時は、これも暑いときで、京都の保津峡に下る斜面で、木を伐採されたところがあり、そこでかまれたような気がします。古いことではっきりとした記憶はないのですが、何か注意書きのようなものがあったように思います。スズメバチにも遭遇していますので、その注意書きだったかもしれません。この時は油断して、気がつかず、日曜日に登り、水曜日の晩に風呂で気が付きました。もう手遅れです。右足すねの骨のところ、いわゆる「弁慶の泣き所」というところで、しっかり食いついており、はっきり虫の形をしていました。2~3ミリでクワガタのような口器で食いついて、引っ張ってもとれず、無理矢理取って一部が残ると厄介なので、地元の町医者へ行きました。ヤマケイの記事を持って行き、これだと思うと説明し、医者も「そうだと思う」納得し、メスで切り裂いて取りました。麻酔はしたのですが、場所が骨のすぐ上で、麻酔を打つ注射が痛かったことを覚えています。

 その後、傷はすぐ治ったのですが、しばらくすると、右半身がかゆくなり、出来物があちらこちらにできて、口を開いてただれたようになり、別の皮膚科で塗り薬を貰い、付けていました。治るまで半年くらい(年が明けるころまで)かかりました。

 3回目もあるのですが、恥ずかしいところなので詳しいことは割愛させていただきます。その時に某厚生年金病院の皮膚科で見て貰ったとき、前回、メスで切除したことを言うと、「今はそんなことはしない」「ドライアイスで殺せば終わり」と聞かされ、やはり専門か大きい病院に行かなければいけないのか、と思いました。

スズメバチ

 これは接近遭遇で刺されたことはありません。先の、マダニにかまれたとき、林道を歩いているとバイクの爆音のような音が響いてきました。こんなところで暴走族?、と疑問に思いましたが、絡まれるのが怖いので振り向かずまっすぐ歩いていました。しばらくすると、「バリバリ」という音とともに、耳のそばを何かが飛んでいきました。スズメバチです。5センチ位のが飛んで行きました。恐怖で足がすくみました。そのあと、マダニのところでも遭遇しました。

 2回目は、中央アルプスの中小避難小屋へ至る林道の入り口で車を止めていた時、空いている窓からスズメバチが飛び込み、運転席で出口を求めて飛び回っていました。これも5センチくらいの大きさです。運よく反対側へ出てくれたので助かりましたが、身動きもできず恐怖に震えていました。

 3回目は、奈良県の高見山高見峠から小峠に至る林道で、下山していると、道の真ん中でスズメバチがこちらを睨んでいました。黄色と黒の5センチくらいの胴も太いがっちりしたハチでした。死んでいるのかと思いましたが、「触らぬ神にたたりなし」と遠巻きにしてよけて通り、事なきを得ました。

 TVで、ハチに2回刺されるとアレルギー反応で呼吸困難になり、最悪、死に至ることもある、という話を聞いて、子どもの頃、クマバチに刺されたことがあるので恐いです。

ヘビ

 裏六甲の灰ケ谷を下山中、休憩に腰を下ろしたところ、目の前にヘビがとぐろを巻いてかま首を持ち上げ、こちらを睨んでいました。腰が抜けるとはこういうことを言うのかと思いました。立ち上がることができず、後ずさりするしかなく、幸い飛びかかってくることはありませんでした。(結果的には後ろにさがったのが良かったようです。)

 谷筋はヘビが多い、とは聞かされていましたが、油断するとイケないと反省しました。ちなみに、南アルプス、戸台から北沢峠に至る谷(戸台川)にはマムシが多いとのこと、地元の人の話です。

アブ・ブヨ

 ヘビと並んで山で良く出て来ますが、鈴鹿(南北)縦走の時、中峠で休憩後、出発しようとザックを担ぐと、背中右下を虫に刺されました。ハチかと思ったのですが、既述のような深刻な変化はなく、痛いだけなので、ほっとしました。傷みをこらえながら思い出すと、ハエのような黒いものが飛んでいたことを思い出し、アブかブヨの類かな、と思います。ザックを担ぐのに痛かったのですが、猫岳の手前で出合った登山者に事情を話し、背中を見て貰うと、「赤くなっているが、腫れてはいない」と聞かされ安心できたことを覚えています。

ホビ(正式名称は判りません)

 中央アルプス・空木岳~越百山縦走で木曽側に車を止め、下山後、車で着替えると、足を何か小さい虫がチクチクとさすような感じがするが、うす暗くて見えない。また、ズボンを履き替えるわずかな間に両足全体を刺されていました。かゆくてたまらないが、その後は何も残りませんでした。見えないので何とも言えませんが、無数の小さな虫のような感じで、子どものころ田舎で刺された「ホビ」という虫と刺され方やかゆさが似ているように思いました。

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 京都の北山に皆子山という山で、山頂部はクマザサに覆われているところがあります。7月の暑いときで、登りだしたら、雨が降ってきました。カッパを着て頂上に至りました。昼飯にしようと腰をかけると、カッパの全身に白く細い1~2センチくらいの糸ミミズのような虫がいっぱいついていました。激しい動きではないものの、もぞもぞと動いています。気持ち悪く、取ろうにも数が多すぎてきりがない。あきらめて歩きだしブッシュの中を歩いて下山すると、樹の枝や草にこそぎ取られたようでついたときはいなくなっていました。帰ってから左の手のひらの付け根に1箇所赤い点があり、虫にかまれたような感じでしたが、痛くもかゆくもなく、そのままになりました。跡は長年残りましたが、特に支障はありませんでした。

 その後、何年後かの冬に、愛宕山につながる尾根で、雪の残るクマザサをかき分けて歩くと、スパッツに皆子山で見たあの虫がいましたので、夏だけいるわけでもなく、冬でもいる虫なのだと思います。これが何の虫なのか不明です。

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 害虫ではないのですが、春先に羽虫というか小さい虫が登山道に群れで飛んでいる中に入り込むと、間が悪いといいますか、思いっきり息を吸いこんだ拍子に虫が鼻に入り、取れなくなり、耳鼻科にお世話になったことがあります。

 北アルプス・霞沢岳も7月に行った時は、小さい羽虫が大量に飛んでいました。みなさん、バンダナを口に巻いたり、用意の良い方は防虫ネットをして登られていました。

虫に関して思うこと

 山小屋で出合った九州の人に聞いた話では、「夏は火山性の山に登り、冬は造山性の山に入る」とのことです。暖かい九州では不快害虫も多いと思うのですが、そういう工夫もされているのだと知りました。暖かくなると、虫たちも活動が活発になり、登山者もイヤな思いをすることが多くなると思います。個人的には、クマザサのところはマダニがいると思っています。どこかにそんなことが書いてあったような気もしますが、確証・根拠はありません。私の思いこみかもしれませんが、できるだけクマザサには入りたくない、というのが本音です。山ではそうも言ってられませんので、止むをえないときは、スパッツをつけ、長袖を着て、ボタンを留めるようにしています。(はじめから藪コギになるとわかっているときは昆虫忌避剤を持っていきます)

 そして、夏には低山に入らないようにしています。行く時は、人が多く入っているコースを選ぶようにしています。今までのところ、「アルプス」と名のつくところでマダニにかまれたことはありません。油断していると危ないかもしれませんが・・・。

 山で、サルや鹿、カモシカに出会うことがありますが、大型の動物で恐いという体験はないです。ただ、比良山縦走で、サルの大群が登山道をはさんでいた時は気持ち悪く恐かったです。

 出合いたくないけれど、一度は実物を見たいのはクマです。厳密には2回見ているのですが、1回目は山形県の大平温泉に至る林道で小熊2匹が木の上で戯れている様子を見ました。私を含めて3人が見たのですが、大平温泉の宿のご主人によりますと「このあたりで熊が出たという話を聞いたことはない」とのことで、本物かどうかは不明です。、2回目ははるか遠くの斜面にいたものを双眼鏡越しに見たものです。友人が南アルプスの秋葉街道でクマを見たと言っていましたが、車からですので恐怖感はなかったそうです。クマにまつわる話はいずれ書かせていただきたいと思います。

 虫は小さいものには、見えない恐怖があります。害がなければ良いのですが、健康障害が残るようなものは困りものです。以上、私が体験した、あるいは、新聞雑誌や人から聞いた話を交えて書かせていただきました。ご参考になれば幸いです。

 最後に、余談ですが、TVなどのCMできれいなタレントさんが草原で座ったり、寝そべったりしているシーンを見ると、虫(マダニ)は大丈夫かな、と思うようになってしまいました。取り越し苦労か、悲しい性でしょうか。

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