イエメンと首都サヌア
首都サヌアからプラント建設地へ向かう途中の風景
セメントプラント建設地
イエメンはシバの女王、モカコーヒーで有名な国。首都サヌアの旧市街は中世を思わせる街並みで世界遺産に登録されている。世界の秘境の地ということで故森繫久彌の奥さんが当地を訪れている。このサヌアから北55kmのアムラン地区(以前紹介した「イエメンの農村風景」の近く)にセメントプラントが建設されることになった。今から約40年前のことである。
当時のイエメンは世界の中でも最も貧しい国であった。道路や学校、港湾などの復興のためにはセメントが必要だが全て輸入に頼っていた。 しかし外貨不足などで必要な量が確保できない。そこで政府は国家予算の1/5を注ぎ込みセメントプラントを作ることにした。まさに国家的事業であり、経済的自立を目指す政府の意気込みが伺える。
客先(イエメン政府)から各社にプラント建設の引き合いが出された。ハードネゴの末、我が社が受注し契約調印が行われた。いよいよプロジェクトのスタートだ。セメント生産量は年間50万トン。工事着工から性能試験完了までの契約工期は36か月。客先側のコンサルタントはフランスのB社。
プロジェクト開始にさきがけ、私はこのプラント建設のプロジェクトマネージャーを仰せつかった。役割は客先/コンサルタントとの交渉、社内部門間の調整、プロジェクト全体のコスト/工程/品質/リスク管理など多岐にわたる。入社以来、設計、開発部門の仕事をしてきた私にとって、今回の仕事は責任は重いがやりがいがある。
秩父で開発された新技術の装置はプラントの心臓部ともいえる重要な部分であり今回のプラントにも採用されている。当時苦労した原料性状からくる運転障害への対応(下記参照)には自信があった。 (イエメンプロジェクト(2)に続く) (イエメンの農村風景はこちら)(運転障害への対応:秩父で新技術開発(1)はこちら)