渡邊ちか子氏は最近、櫻を上書きした磁器の創作に取り組んでいる。なんとも華やいだ美しさである。小筆で、一輪一輪櫻を描いていくその筆致・・・それが平面でなく、器の曲面に描きこむ根気というか・・・執念に近い細やかな神経の配りには圧唐ウれる。最近、書道を始めたという。書を習って、絵を描く筆の動きに自信がもてたという。書道の師の教えで、ひとつの曲線、いっきに描きこむ必要ないと知ったという。筆の流れ、途中で筆を置き、描きつづけることができるそうだ。
私は中鉢を一個買った。何をよそうの?そう訊かれて、即答はできなかったけれど、芋の煮っころがしでしょ?!と、半分ふざけた気分で笑うちか子氏の言葉に、うんうん、そんなもんサと答えた。ちか子氏の画廊、いい助っ人を迎えて、素晴しいスペースになっている。同行した奥田氏が持参したパンプキンパイも切り分けて、櫻の香りのする珈琲に添えて、だしてくれた。嬉しい!
帰りがけ、奥田氏の愛用している八百屋や乾物屋で、あれこれ食材を購入し、自転車とばして、帰って来た。さて、今夜は何を料理して、あの櫻の中鉢によそおうかな?!
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櫻を外面と内面ともに描いた中鉢
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