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それでも、ピラティス講師に指示されるままに一時間、身体を動かしているのは気持がいい。自分のことだけ考えていられる気儘な自由を手に入れた気がする。レッスンが終わると、すぐ、ジムを出て、電車に乗り、近所の内科医に寄った。処方されていた自分の血圧降下剤が切れていたことをすっかり忘れていたのだ。医師は私の血圧を測り、聴診器で心音を確かめた。どちらも、問題はないそうだ。
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内科医を出て、調剤薬局に処方箋を持ち込んだ。すると、ヨーコちゃんと呼ぶ声がして、振り返ると、今まで、一緒にピラティスをしていた友だちだった。お互い、それぞれに薬を受け取り、一緒に、夕暮れの道を歩いた。途中、私はクリーニング屋に寄り、毛布を受け取り、帰宅。父も母も無事、我が家で待っていてくれた。と、いうより、それぞれに昼寝していた。
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