母がいる施設では、インフルエンザ患者がでたため、数週間、面会中止だった。ようやく、許可がでたので、妹と母の施設を訪れた。朝、降っていた雪は止んだが、外の空気はキリリと冷たい。母は昼食を終えて、ウツラウツラしていたが、私たちにすぐ気づいて、目を開いた。持参した腸内環境改良剤のドリンクと母が好きなお煎餅(品川巻)を手渡した。ドリンクは好きな味と喜び、最初、品川巻がなにかよくわからないようだった。口に入れて、海苔の香りがすると言いながら、食べた。 久しぶりに見た母の表情はぼんやりとどこを見ているやら~視力がガクンと落ちたように、思われた。大好きだったお煎餅の品川巻も、最初、硬すぎたようだ。施設で用意される食事は流動食ではなく、通常の堅さを希望しているが、どの食品も柔らかく調理され、細かく刻まれている。たった数週間の面会中止だったけれど、その間に、母の咀嚼力も、視力も、現状認識もガクンと落ちたように感じられた。寒い冬が終わったら、できるかぎり、車椅子での散歩に、母を連れ出したい。 寒空の下、しだれ梅が開花