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箱根へ行こうと、たっぷり着込んで、小田急線に乗り込んだとたん、陽だまりの車内で、厚着し過ぎた自分を悔いた。町田駅でロマンスカーに乗り換え、バスも利用し、箱根の宿に着いた。そこは、箱根駅伝で一番、標高の高い場所にあるそうだ。山登りの鉄人といわれた柏原選手がもくもくと走るところだという。さすがに、ここは霧が小雨にかわり、雪が降り出しそうな気配。ここでは、厚着にヌカ喜びしたネ。
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宿泊した宿には温泉が多数ある。まずは、一番いい源泉を引いた個室(いわゆる家族風呂)を予約してくれた。この他に、予約が必要な家族風呂は2ヶ所と、24時間、いつでも入れる大型温泉場も2ヶ所。むろん、自分の部屋にも風呂場はある。宿の支配人が薦めた源泉は乳白色のお湯と透明のお湯と2つの湯舟があり、夫婦二人で交代につかった。硫黄と重曹タイプだという。私は温泉愛好家ではないが、温泉につかると、身体がいつまでもホカホカとぬくまることを知った。部屋に戻ると、暖房をきった。
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宿の食事は夜も朝も、自分たちの部屋に運ばれ、ゆったり食事することができた。今朝、購入した旅土産をキャスターつきの旅鞄に詰めて、宅配を依頼し、身軽ないでたちで芦ノ湖に向かった。ここから、ロープウェイで駒ケ岳山頂に登った。昨夜、雪が降ったもよう。残雪があちこちにある。眼下に芦ノ湖、遠くに駿河湾と相模湾が見渡せる。実に美しい。が、寒い!数百メートルの標高差で、気温はガクンと落ちた。指先が凍えて、感触がなくなる。芦ノ湖へ再び降りるロープウェイの窓から、富士の姿がくっきり見えた。
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ちょうど一年前も、大病から復活した夫と箱根を旅した。その他にも、箱根ではあちこちで遊んだ記憶はあるが、今回、動いた部分はどこも、ほぼ初体験だった。遊覧でなく、船で芦ノ湖を移動し、関所跡を見たのも初めてだった。ここで、熱燗を酌み交わし、いただいた自然薯を使ったお蕎麦もうまかった。二人だけのブラリ気儘な行程を満喫。あちこちで炎のように紅葉した木々を眺めた。山の頂から見た相模湾や駿河湾の美しさは記憶の底にしっかり残った。
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写真は紅葉したかえでと蔓草
駒ケ岳の残雪と眼下の景色
遠くに相模湾・真下に芦ノ湖
芦ノ湖岸から見た富士山