収入が安定してくる、子どもが生まれて住んでいるところが手狭になる、老後のことを考えて・・・など自分の家を持ちたいと考える時が誰しもくるのではないでしょうか。
物件の購入を考えはじめた時に専門書などを目にする方も多いと思います。
「賃貸と売買、どちらに住んだ方が良いのだろうか?」
そういった疑問に回答すべく今回は費用面に重点を置いて賃貸と売買を比較してみました。
『賃貸物件に住み続けた場合の住居費用はどのぐらいになるのか?』
2年ごとの更新料15,000円、2年間ごとの火災保険料20,000円に賃料を加えた金額が以下の通りです。
●賃料60,000円の場合
10年⇒735万5千円/35年⇒2578万5千円/50年⇒3687万5千円
●賃料65,000円の場合
10年⇒780万円/35年⇒2771万円/50年⇒3970万円
●賃料70,000円の場合
10年⇒840万円/35年⇒2981万円/50年⇒4270万円
●賃料75,000円の場合
10年⇒900万円/35年⇒3191万円/50年⇒4570万円
●賃料80,000円の場合
10年⇒960万円/35年⇒3401万円/50年⇒4870万円
こうして数十年先まで計算してみると、相当な金額を「家賃として」支払うことになるんだな~と確認することができますね。
次に売買物件を購入した場合にどのぐらいかかるのかを算出してみます。
『住宅を購入した際の住居費用はどのぐらいになるのか?』
購入の場合は個別条件が多岐にわたるため、ある一定の条件にもとに算出したデータであることを前置きしておきたいと思います。
金利は固定金利1.3%、返済期間35年、頭金なしのフルローン、返済方法は元利均等返済としています。
●ローン1500万円を組んだ場合
月々返済額:44,472円(元金28,222円/利息16,250円)
返済総額:1667万8149円(元金1500万円/利息367万8149円)
諸雑費・維持費合計:868万5千円(修繕費など690万円/その他178万5千円)
35年間の費用総額:2736万円3149円
●ローン2000万円を組んだ場合
月々返済額:59,296円(元金37,630円/利息21,666円)
返済総額:2490万4285円(元金2000万円/利息490万4285円)
諸雑費・維持費合計:908万5千円(修繕費など690万円/その他218万5千円)
35年間の費用総額:3398万円9285円
●ローン2500万円を組んだ場合
月々返済額:74,140円(元金47,037円/利息27,083円)
返済総額:3113万418円(元金2500万円/利息613万418円)
諸雑費・維持費合計:948万5千円(修繕費など690万円/その他258万5千円)
35年間の費用総額:4061万円5418円
●ローン3000万円を組んだ場合
月々返済額:88,944円(元金56,445円/利息32,499円)
返済総額:3735万6562円(元金3000万円/利息735万6562円)
諸雑費・維持費合計:988万5千円(修繕費など690万円/その他298万5千円)
35年間の費用総額:4714万円1562円
金額の表示は親からの援助などで現金が調達できる場合も想定しているため、物件価格ではなくローン金額とさせて頂きました。
購入した場合の費用で目をひくのが利息分の金額と税金や維持費などにかかる費用の金額ですね。
これが賃貸に住んでいる場合には全くと言って良いほどかからないことになります。
次に両方の数字をもとに比較してみましょう!
『賃料と月々返済額で比較した場合』
月次の住居費用負担を変えないために、「家賃⇒月々返済額」として見てましょう。
現在60,000円の家賃を払っている場合、同じ返済額で済むローン金額が2000万円ですね。
35年間の支払家賃総額は2578万円5千円、購入の場合が3398万9285円。
これは購入した場合が、賃貸の場合と違って固定資産税などの税金、火災保険料、各種負担金、10年後に発生するであろう水廻りなどの修繕費が発生しているため、その分の金額分が購入した方の負担増となっています。
ローンの返済が終わってしまえば、約5年~10年で住居費用が逆転することとなります。
『35年間の総賃料と総費用との比較』
35年という期間で区切った場合には、月額賃料6万円~6万5千円の場合とローン1500万円の総額がほぼ同額、月額賃料7万5千円~8万円の場合とローン2000万円の総額がほぼ同額ということになります。
ちなみにローン2500万円の総額を家賃換算すると、約9万5千円。ローン3,000万円の場合で約11万円となります。
●まとめ
簡単な費用算出から、賃貸と売買についての比較を行いました。簡単な算出と比較ではありましたが、現在の賃料から購入した場合の月額負担など概算が見えたかと思います。
今回福島県の相場賃料とよく取引されている売買物件価格での比較を行いましたが、どちらの居住費用が安くなるか?については賃貸物件に住み続けた場合と購入した際の総費用が同額になるのが返済が終わって数年住み続けた後になるので概ね40年という期間が目安になると思われます。
あくまでも費用の面からの話になりますが、購入した物件に40年以上住み続けるのかどうか?そこが賃貸か?購入か?の判断をするポイントになると思われます。
●あとがき
自分で自由にできる家を持つということは、隣人に気をつかう必要がない!室内の利用方法に制限がない!などお金には替えられない要素がたくさんあります。快適さを求めるという点では、比較の必要はなくローンの組める時に住宅の購入に踏み切るのが正解だと思います。
ただ断言できることは、「家イコール投資や資産」という価値観が間違っているということです。人口が減り続ける以上、都市部など人口の増加が見込まれる地域を除いては今後数十年の間下がり続けるのと多くの専門家が予測をたてています。
住宅の空き家問題がニュースなどでも取り上げられていますが、2017年現在でも全国平均で空き家率は20%を超えており、市町村単位で見れば30%超の地域もある実情です。
家が余ってしまう時代に不動産⇒資産・財産という価値観を捨てて、あくまでも『自分や家族が快適に過ごすための空間』という感覚でいるべきではないか?と私は思います。
2017年度福島版として、今回は費用面から検証してみました。参考にして頂けると幸いです。