そして日曜日～石垣島の悲劇っ

翌朝相変わらずにわとりのように早起きな旦那君。

「朝ごはんて6時半からだよね～。」

紙みろや。そこに書いてあるわ。
眠いので内心そう思いながらも律儀に答える。

「一緒に行く？」

なんて甘い言葉をかけるなんてないない。絶対ない。

「カギ持っていかないといけないんだよね。」

カギがなぜかひとつしかない。不便なんだけど、夫婦は常に一緒に行動しろということか？
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勝手な想像

旦那君はB型なので(ここ大事。今回のキーワード)、ひとりでさっさと食べてさっさと帰る。

この生態を忘れていて居酒屋でのロマンチックな夜を想像した私が馬鹿だった。
早く帰った理由は「ぶらタモリが見たかった」だそうで。
タイムシフトの機械もっとるだろがあ💢

カギが２本あれば「先に帰れば？」と旦那君を帰らせて三線(さんしん)のライブも料理もお酒も楽しめたのに。

彼には雰囲気を楽しむと言う発想はないようだ。

女性のB型は芸術的才能があり、雰囲気をもり立てたり、飾り付けたりするのが好きなのに、男性のB型はこうなのか？
それとも化学屋だからなのか？
理科系人間は合理的だから。

いや待てよ、自分も化学屋だ。
薬剤師は薬学士でもあり、化学のスペシャリスト。今は医療系学問重視だけど我々4年制卒は有機化学が中心。

そういえば家は住めればいいとか言ってた。
専業主婦は大半の時間を家のなかで過ごす。
育児は想像以上に過酷で、転勤につぐ転勤で慣れない土地で不安でそれでも子供を育てないといけないし家をきりもりしないといけないし。
白い壁を見つめては涙を流す事多々あり。
辛いこととか嫌なことのほうが圧倒的に多いけど、旦那様は仕事が忙しくほとんど家にいない…。

しかも結婚後間もなく旦那君の父親が肝臓がんになり、頭のなかはその事でいっぱい。
亡くなったあとはずっとずっと母親の事でいっぱい。(←今回のふたつめのキーワード)

転勤する。→いじめにあう
日本は新入りを村八分したり意地悪したりするのが好きだ。

苦労して苦労して馴染んだ頃次の転勤になり、振り出しに戻る。
転勤族の妻の苦労ははかりしれないが当たりまえだのクラッカー扱い。

思えば嬉しかったことよりも辛いことと悲しいことと嫌なことたらけの人生で、未だに解決しない難問が山積みになってる。

高齢者や50代60代の眠れない理由って、私とおなじなんじゃないだろうか。

旦那君はひとの話を聞かない。
興味があることしか見ないし聞かない。
仕事はそうはいかないからちゃんとやる。
(←職場結婚なのでこの目でみたし、真面目で誠実だから結婚したんだけど…。)

聞いて欲しいときに限って生返事。
テキトーに返事するからタイミングがずれていって…。
話が終わってるのに忘れた頃に相づちを打つ。

でも、主婦であり薬剤師であるゆうこは家事に育児に介護などなど超人的に多忙な日々を送っているうちいつしか悩みを心に押し込めて生きるようになっていた。

堪忍袋の緒が切れる

心のキャパシティは限られていて、詰め込んで詰め込んで詰め込んでふたを無理矢理閉めると、ある日突然音を立ててふたがぶっ飛びいろいろな思いが噴出してしまう。
人はそれを精神疾患と名付けて白い目で見る。

溢れ出た感情はもはやコントロールできるはずもなく。

その原因を作ったのは心ない人々の言葉や態度。
鈍感な人は気がつかないけど敏感な人はそれを肌に感じ、感じてるのに感じないふりをしていい人を演じ続ける。
だってそうしないと嫌われるから。
嫌われるのが怖いから。

子供たちとの旅行なら言えることが旦那君との旅行ではなかなか言えない。
トイレに行くのさえ遠慮する。
相手はB型なのだから遠慮する必要なんてないのにね。

結婚25周年記念(←ここ大丈夫。３つめのキーワード)の旅行の朝ごはんをひとりで食べるのほど味気ないものはない。
石垣島の冬はオフシーズンなのでゆっくり楽しみたいわたしたちのような初老の夫婦が多い。

早起きすればいろいろ見られるし。(←４つめのキーワード)

6時半に早々とごはんを食べに行き、部屋に戻ると、

「今日は石垣鍾乳洞と八重山歴史記念館に行こう！石垣鍾乳洞はまだだから９時半に出ればいいよね。」と。

なんだとーっ。３時間近くどないするねん。海は見に行かないのかーい。

散歩に誘ったけどがっちりマンデーみるから行かないって。

「飛行機に乗るから荷物は最低限、重いものは置いていくように。お土産は重量オーバーになるからダメ。かさばるものもダメ。」と旅行前に言われたので本は置いていったんだ。

見るものないし、テレビは旦那君が占領してるしカギはひとつしかないし。

執筆活動をしようと思ったけど目の前に旦那君がいたのでは集中できないし。

ふて寝するしかないっ。
ロスタイム3時間近く。
なんせ早食い、朝ごはんは10分足らずで終了。

つまらないつまらないつまらないつまらない…。

やっぱり夫婦で旅行は無理だわ。
やめておけばよかった…。

そして、悲劇はさらに襲いかかる。

つづく