思えば去年の今頃、映画「何者」のように息子は就活に翻弄され、ストレスで激太りし、何度も列車に飛び込もうとしていた。
今年娘は就活時期を迎えた。
「おかあさん、私がしたいのは就活じゃなくて就職。」と。
「ねえ、なんで会社は没個性的人間になることを求めるのに、面接の時だけ個性を主張しないといけないの?」
「部活とかバイトとか言われても中学校も高校もひどい状況で、正しいことが通らずに、校則破る人とかサボる人が堂々と暮らしてて真面目な生徒の邪魔をする。専門学校だって授業仲西大声でしゃべるしサボるし…。」と涙ぐむ。
学歴ってそんなに大切?
大学時代、みんなサボって真面目な子のノート借りて他力本願だったじゃん。
文化系に行った子はコンパ(今で言う合コン)とかバイトに精を出して、出席カードは知り合いにたのんで、単位論文はお金で解決してたよ。
大卒=人間性に優れてる
それは違うと思う。
地域でトップの受験校に通っていたけど性格悪い人たくさんいたし、お人好しでは人の上にたてないし。
上にたつとしたらめんどくさいPTA会長とか、町内会長とか。
人にはみなそれぞれ得意分野があって、苦手なことがあって、性格も欠点ばかりではないんだけど…。
なぜか自分のこととなると出来ないことと欠点はよくわかっていて、いくつでもかけるんだけど、
得意なことや自己アピールは書けない。
日本人は元来奥ゆかしくて、自分を抑える風習がある。
そのせいかと思い込んでいたんだけど、
違うんだ。
幼稚園の先生は子供を誉める。
お絵描きの時もお歌の時もお遊戯の時も。どんなデキでも満面の笑みで誉めてから、アドバイスをするんだ。
「こうするともっとよくなると先生は思うよ。」と。
お絵描きは修正しないで花丸をつけることが多い。自由に描かれた絵はどれも素敵だ。でも、既成概念にとらわれたあとなたちの目には落書きか下手くそにしか見えないんだ。だから他の子の絵と比べてこどもを叱ったりする。
そしてお絵描き教室に通わせたりする。
いや、そうならないために物心ついた時からあらゆるお教室に通わせる。お稽古ではなくて「英才教育」。
ベネッセとリクルートはそんなゆとり教育に対する不安を抱く保護者たちの強い味方。
いまや就活に親が二人三脚だったり、入社式に同席したりするんだからビックリだよお!
「会社の経営方針をご家族にも理解していただくことでご子息ご息女が…。」腹立たしくてテレビのスイッチ切っちまったけど、アサヒビールだったかなあ。ニュースで今時の就職事情を取り上げていた。
その一方で数年前に神奈川県庁で入庁式に席ががらがらで、なんてニュースも。これは珍しいことではなくて、入社式に来ないから連絡したら、「お宅には興味ないから息子は他にいきました。」と親が答えたなんて記事が週刊紙に載っていたり。
内定を何個ももらったまま卒業して断りもしない学生は結構いるらしく、リクナビに頼るのをやめて元通り自社独自の採用試験をする企業も出てきたとかで…。
クリックしてエントリーシートに書いて申し込んで、一次面接、二次面接、最終面接。
まともな会社もあるけれど、面接のパワハラはひどくて、内容も意味不明だったり。誰も何も言わないから部活のようにいじめられたからいじめ返す。先輩にやられたから後輩にやり返す。しかもエスカレートすることもしばしば。
日本独特の新人いびりや、村八分攻撃。
こんなんじゃ世の中よくなるはずないよね。
息子が臆病者でよかったよ。
再び死にきれなかったから生きてる。
生きててくれたらそれで充分。
だから娘にはリクナビを信じるなと言ってある。
そんなもの信じなくてもいいように普通じゃない道を目指してる。
就活で毎年たくさんの若者が自殺する。この現実こそ週刊紙に取り上げて欲しい。
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