goo流・キャラネタブログ

ニュースなどを扱います。
あと場合によっては小説というかお話を書く事もあるでしょう。

青春の嵐 第5話「富める者は貧者の嫉妬を買い、貧者は富める者からの不快を買う」

2015年11月14日 14時42分53秒 | 青春の嵐
あれから経って。
尾場勘吉は加奈子・寛一母子を怒鳴りこそはしたものの
生活支援の打ち切り・削除などは特には考えてはいないようだ。
それどころか生活支援のお金を今までよりは増やしてくれたようだ。
それというのもあれから加奈子は勘吉と話し合った所、
寛一が小学校一年の晩秋から小学四年生になるまでの数年間の
学校や地域の他の子供たちとの諍いの原因は、
どうも寛一と争っている彼らの家庭の親の職業が、
公務員や高級ホテルの支配人、日本の精密機器に必要な部分を作っている
東証一部上場企業の経営者、大学病院の教授、請け負う案件が常に五件や十件は
当たり前の凄腕の弁護士。自衛隊の階級が米軍の基準でいえば大佐以上の者、
警察官僚、中堅芸能事務所の経営者など、いずれも皆、これまでの加奈子より
高所得家庭だ。それを鼻にかけているためか、それらの子供たちは
自らの家庭環境を笠に来て高慢になる一方で寛一の家庭の事を生活が苦しい母子家庭と嘲り
寛一の事を将来は年老いた加奈子ともども共倒れか、介護疲れで年老いた加奈子を
殺害、若しくは老衰死したのを機に年金を不正受給しまくった挙句、逮捕され
獄死するだろうと馬鹿にしたのが原因だ。

寛一としては、自分が馬鹿にされるのはいくらでも我慢出来るが
母加奈子の事を貶められたのだけは憤怒を堪えられないという。
更に、言ってしまえば自分らの恵まれた家庭環境と境遇を鼻にかけて寛一の
家庭環境が現在、事実上の母子家庭状況である事を見下すだけでも
寛一にとっては腹立たしいのに、勝手な憶測と想像で
"この母子家庭はあと十年か、遅くとも二十年後には滅びる"などと
こっちの将来を勝手に決め付けられ寛一としては、もはや我慢の限界に達したと言えよう。

この事が対立の起源であり、両者が相容れる余地は何処にも見当たらなかった。
波風が立たなかったのは最初だけで、その後の寛一と彼らとの対立ぶりは
アニメや漫画におけるお互い不仲で対立している二人のキャラに例えられるほどである。

彼らは寛一のことを父方の苗字の尾場をもじって「おバカ」と扱き下ろし
寛一も寛一で彼らの事を「親の七光り」「親に似ずな無能の子」と侮る。
両者の対立は教諭が投げつけた椅子で教育委員会と文科省のお偉いさんが二人
亡くなられた件に至るまでで丁度ピークに達していた。
その後、教諭が逮捕され刑事裁判で実刑は避けられそうにない情勢になると
一案を思いついた校長は彼らと寛一との和解をさせようと図った。
当然、難航はした。彼らは寛一の身の程知らずぶりが許せないと鼻息を荒げ
寛一は寛一で、彼らのこれまでの言動や振る舞いが招いた結果であり
こちらだけが先に謝罪させられ相手が謝罪もしなけれ相手に
何のお咎めも無いのは納得いかないと、顔を歪めて苦々しい表情を露にする。
校長もPTAら面々も、まるで本物の政治の世界、外交の世界というモノを教えられる思いを
禁じえないのである。もしも下手に日本人的な道徳裁き、例えば
『喧嘩両成敗』とか『向こうも悪いが、お前にも原因がある』などといった事をしたり
二人の異性と二股がけしているヤツみたいな処理を試みようものなら
両方を敵に回す事になり、彼らはもう二度と大人たちを信用しなくなり
それが原因で中学に進学して以降は非行に走られるリスクを自ら生み出しかねない。
かといって、このまま手をこまねいてる訳にも行かないのも
この両者の関係が許さない。こうしている間にも、この子らと寛一は
どちらか一方が手を出したのをきっかけに大乱闘になるは必定だ。
結局、警察署長や社会福祉協議会関係者代表も加わった結果、
・尾場寛一は、社会の一員として秩序を重んじ他の社会や地域の皆と協調する。
・学校や地域の方は人間関係のトラブルの原因となる安易な言動や振る舞いを控える。
 特に相手に対する暴言に注意。その事を各家庭の子弟にも徹底させる事。
という事で、寛一もその他も合意に至った。
これで、学校の皆も地域の皆も教諭ひとりの刑事処分と引き換えに
長きに亘る対立は一応の収束を見る事となった。

青春の嵐 第4話「正義とは誰がために」

2015年11月14日 12時41分15秒 | 青春の嵐
教諭が寛一に投げつけたはずの椅子が誤って教育委員会の関係者と文科省の役人の各一人の頭部に命中し
それによってメディアが連日のように騒ぎまくる事態に発展して、学校内の不穏な空気は
一層著しくなった。

無論、その教諭は寛一とともに既に警察署に連行されて行った。
その後、その文科省の役人と教育委員会の人が頭部の負傷が故で亡くなったという
事実が伝わり一層の騒ぎになった。

古きよき
日本家屋というべき造りを成した二階建ての広い木造の屋敷において
この件を事実を聞き知った一人の老人は、如何にも忌々しいと言わんばかりの
不快な表情で顔を歪めている。その理由も判り切ってる。
尾場勘吉にとって皆村加奈子のような子供をダシに金の無心をする悪女だけでも
腹立たしいのに、あろう事か目上の言う事を碌に聞かず常に反発しまくり
あまつさえ自分の気に入らない相手に対して日米開戦直前時の米国政権のような
謀略・策略を用いて相手を挑発し自分のやった蛮行の美化・正当化を企ててるという
悪行、乱行は元より最近では常識ある者にとって到底理解出来ない愚行・奇行ぶりも
堂に入っているらしい。

ある日、勘吉は寛一が警察署から戻ってきたというのを知ると
すぐ翌日、加奈子とともに呼び出した。
そしてそこで寛一を詰った。
「寛一ッ!お前の数々の悪事はこのワシは聞いておるぞッ!?
何で悪さばかりするッ!何で相手の立場になってやる事が出来んのだッ!!?」
これに対して寛一は子供とはとても思えないような冷静かつ毅然とした姿勢で
臆することなく反論する。
「それは、あの人たちが自分に甘く他人に厳しい性格で、
オレやオヤジやオフクロのような性格とは水と油であるために
こうなるべくしてこうなったのであります!」
要するに、こうなったのも相手側のその性格が招いたのであって
こっちには何の非など無く向こうの思い通りにさせられる謂れは無いと言う事である。
これには加奈子も驚いた。
「正論を唱えるオレをどうしても罰するというのなら、この世の法律とは
一体誰のためにあるのでしょうか?」
それに対して勘吉は益々、耳まで真っ赤になって興奮状態になり
寛一に向かって、ありったけの罵声を浴びせ当たるを幸いに鉄拳と蹴りを見舞った。
これに驚いた、家政婦をはじめ多くの使用人が止めに入ると
寛一に唾を吐きかけ思いっ切り罵りまくる。
加奈子はもうこれ以上対話出来る状況には無いと判ると寛一を連れて退出する。

青春の嵐 第3話「露呈した決定的」

2015年11月14日 08時03分16秒 | 青春の嵐
それからというもの。
寛一と周囲と何かにつけて対立を重ねていた。
同世代からは"クソ生意気な野郎"だと詰られるのに対し、寛一も同世代に対して
"潰しの利かない能無しが何を偉そうに"とか"どうせ他人の足を引っ張るしか能が無い暗愚な、
てめえらの生涯年収なんざオヤジやオフクロの世代の七割にも及ばねえよ"と狭量ぶりを軽蔑する。
大人たちの多くからは"いちいち言う事が癪に障る生意気で可愛げの無いガキだ"と罵られるのに対し
寛一の方も"てめえらこそ見た目が年取っただけで中身はガキじゃねえか"と大人たちの
傲慢で粗野で無知無学で人として中身の伴ってない尊敬できない部分を嘲る。
そうして両者とのしこりが出来てから月日が経った
間もなく小学四年生迎えたとある日のことである。

今日も今日とて、寛一はクラスの女子と帰り際の教室の掃除の手順の事で言い合いになり
その結果、その女子が泣き出した件で教諭と激しく口論となった。
それで感情的になった教諭が、寛一の頬を叩いたのである。
これが並みの子供なら、そこで大泣きし始め出す所のはずである。
ところが寛一とて並みの子供では無い。
泣くどころか逆に教諭に対する怨嗟と軽蔑を倍加させて、教諭をこう詰った。
「口で負けたら、とうとう暴力に訴えるんですか?
それで教師とはボク笑っちゃいます!」
これに対して教諭は、もうほとんど乱心気味だ。
傍目から見て、もうすぐ五十にもなろうかといういい年した大の大人が
子供相手に半ば大人気ないことをしまくりだ。
丁度折りしも、その日は教育委員会に連れられた文科省の役人が学校を視察し
帰り際に職員室に挨拶に来て挨拶しようとしたときと重なっていた。
その際に、この教諭は何とも間が悪い事に
その役人に寛一に対して小学校教師にあるまじき罵声・暴言を浴びせた上に、
頬を叩いた一部始終を見られてしまったのだ。
それだけでも拙いのに、自分の立場や周囲の事などもはや一切お構いなしな上に
年端も行かない子供に生意気な口を聞かれ、目上に対する舐めた態度への激怒も手伝って
もはや感情は抑えられなかった。寛一に向けて教諭は椅子を力任せに投げつけたが
寛一はそれを軽く回避する。するとその投げつけられた椅子は寛一の真後ろに居た
文科省の役人とそれを連れていた教育委員会の人らに飛んで行く。
慌てて彼らは文科省の役人を守ろうとした。だが遅かった。
飛んで来た椅子は背もたれを支える金属製の骨の部分が
文科省の役人を守ろうとした紺色のスーツの初老の男性の右側頭部に当り、
そこで少し捻って椅子の金属製の足の部分が役人の頭部に命中した。
それによって二人とも頭から多くの血を流して倒れた。

これによって、その日の学校は救急車とパトカーと
各種メディアが集まるという、ある意味お祭り騒ぎとなってしまった。

そしてその日のテレビは地域版は元より全国版のニュースも
これを題材にしてしまったという。

翌日以降のワイドショー番組もニュース番組もつけたしのようにこの件を
まるで興味本位のように連日、取り扱ったようである。

青春の嵐 第2話「疎まれ童子 それから」

2015年11月12日 19時25分23秒 | 青春の嵐
それから少し経ち。

皆村良人から名を改めた尾場寛一は、幼稚園に上がった。
だが、この児童はこの時から既に同世代の児童は元より周りの大人たちにとって
驚愕すべき結果を乱発していた。
例えば、英語の学習授業において基本はおろか、文字の読み書きは元より
外国人の先生とは日常会話もこなせるレベルを三ヶ月足らずでマスターし、
日本に輸入される外国製品の英語表記も読めるほどだった。
それだけでは飽き足らず、他にはフランス語をはじめ十二ヶ国語にも手を出し
それらをわずか数ヶ月でマスターし、街の外国人に親しげに話しかけ
彼らたちから大いに可愛がられたという。

身体的な事では、各種競争において常に同世代の同年組は元より年長組にすら
圧勝を重ね、喧嘩では近所のガキ大将がわずか十数えるほどで泣きべそかくほど
やられてしまい、もはや街では天才か?はたまた怪童か?と噂されるほどの子供になった。

小学校に上がってからも寛一の成長と大躍進ぶりは止まる事を知らなかった。
一年生になって最初の一学期にして常に成績は上位であり続け、
先生は元より上級生の如何なる質問に返答出来ぬ事は何ひとつ無かった。
しかも上は専門知識から下は下世話な雑学までと多岐多様である。

普通の人の感覚なら"我が国の我が街に非凡なる才能の子供現る"と歓迎すべきであろう。
ところが、である。周囲の多くは寛一のことを何かにつけ化け物扱いして毛嫌いする。
その原因は何故か?それは長年に亘る日本人社会がはぐくんだ国民性に由来する。
悲しいかな我が国日本の社会は、
「出る杭は打たれる」ということわざに見られるように、
自分より出来のいい者や、自分より境遇のいい者に対する妬みが著しいエゴイスト社会だ。
エゴイストは仕事もひっくるめて人生が自分より上手く行っている者が、面白くないし
他人の活躍ぶりがあまりにも不快で堪らない。

ましてや、惨めな境遇に位置する者であればあるほど
自分と対極に位置する立場の者への嫉妬と憎悪は余計に天井知らずになる。

寛一は思った。
最初は褒めてくれたのに、いつの間にか無視し始め、遂には嫌がらせをし出した。
これを非難し訴え出ても先生も周りの大人たちも取り合ってくれない。
それを訝って母親の加奈子にこの事を言ってみた。
加奈子としては、寛一があまりにも出来が良い子である事が彼らには面白くないからとしか説明できない。
いくら出来がいいといってもやはり寛一も小学校に上がり立ての幼い子供である。
寛一としては、他人の事を妬んで嫌がらせするだけの余裕と頭の良さがあるのなら
もっと勉強して、もっと世の中の役に立つ事をみんなで考えればいいのに何で
それをやろうとせず自分の気に入らない者を傷つけるしかやろうとしないのかと泣きながら憤る。
それを聞くにつけ、加奈子はただ目に涙を浮かべながら
寛一が受けてきた不条理を聞いてやるしか無かった。


青春の嵐 第1話「疎まれ童子」

2015年11月11日 22時00分34秒 | 青春の嵐
もうすぐ昼を迎えようとしていた如何にも古きよき
日本家屋というべき二階建てをしている広い木造の屋敷。
ひとりの年老いてはいるが表情からも凛とした感じが窺えるほど
立ち振る舞いはしっかりしている、かくしゃくとした男が
若いひとりの女性に連れられた一人の男児を見る。

けれど、その男の表情は何故かぜんぜん嬉しくは無さそうである。
嬉しそうなどころか、まるで
"朝っぱらから、この世で絶対に見たくないものを連れて来やがって"と言わんばかりの
不快さに満ちた怒りを漂わせている。これが並みの人なら
いくら鈍感なヤツでも、こういう手の修羅場になりかねない事は
流石に怒りを静めようと、とりあえずは謝罪の言葉とか
宥める姿勢とかに徹しようとかにするだろう。
何故なら、この老人はただの老人では無い。
この人の怒りを買ったら、この街での自分の将来は無い事を
この街の人ならば誰しもが、よく知っているし実際に彼の怒りを買うような事を
やらかして、彼による金と強権的な手段による制裁を受けて破滅したという事例もある。

なのにこの若い女性は、怖気づくどころか平然としている。
これは無知から来る身の程知らずなのか?それとも
高い地位にある男とあろう者が女である自分と、この子に手を上げられる訳が無かろうと
半ば舐めてかかった態度なのだろうか?

「この子は、貴方様の子です。どうか認知のほどを。」
女は言葉を発した。
「ふざけるな!」
男の方は声こそ小さいが唸るように憤怒を込めて反論する。
「何で認めてくれないのですか?」
女は抗弁する。
確かに、この男は丁度四年前ほどにこの女と知り合い抱いた事はある。
けれど、男の方ではキチンと避妊をしていたはずであったし
女の方も避妊薬を服用していたと思っていたのであった。
この男としてはこんな結果を招く根拠などあろうはずは無い。

女の方も引き下がらない。
遺伝子証明書を盾に要求する。
これ以上、この子を認知しなければ恥をかく結果を招くのはお前の方だと迫った。
結局の押し問答の結果、形式上の認知として苗字を名乗るのを認めた。
女の方はそれで喜んだ。だが、次の瞬間それはあまりにも非情だった。
それは、
・苗字を母方から父方の姓にする。但し戸籍上は婚外子。
・生活費・養育費も世間一般家庭と同水準しか与えぬし、その生活ぶりも
 世間一般と著しく乖離している場合、依存心を断ち切り自立を促すためにも
 生活費・養育費の供与は中止する。
・そのためにも生活費・養育費を何に使ったのか領収書の提供を要求する。
 これを拒否すれば支払わない。
というモノである。
普通の者なら、"こんなの納得出来るか"と激怒するだろうが
この女にはそういう事が出来ぬ状況にはない理由がある。
何故ならこの女は、元が暮らしのあまり芳しくない家庭の出身である上に
田舎でも取り分けに位置する所の生まれで彼女のような境遇下の身が
どうしても人並みの暮らしを考えるには
普通の境遇に生まれた者と同じ事をしていたらとても出来ない事である。
ましてやこの女が自分の頭を振り絞って考えた方法というのが
自らの美貌と容姿を上手く使って高収入の男に取り入るというのであった。
その結果、自らの子をこさえてこの老人の前に認知を迫り自分はこの子の母親として
この家の実権を掌握できるかもしれないだろうという考えだった。
ところが世間に言わせれば女子供の考えとは悲しいかな、
有名で優れた政治家や文化人、スポーツ選手、芸能人などと比べ
それほど深くは無く熟した上での判断では無いという。
この女としては自分自身、学生時代じゃマドンナと形容されるほどの美人だったし
頭のレベルも当時の同世代の女子たちは元より、男子も目を見張るほどの優秀だった。
要するに少なくとも自分は、世の中からバカにされる謂れは無いという
自信とその裏付けるだけの実力と結果は学生時代も学校外でも残してある。
それでも彼女にとって自分に必要というのは、やはり資金力と地位である。
そう、周囲に自分の悪口を言わせず蔑みの目で見させないだけの力の裏づけだ。
そこで彼女なりに考えたのが、自分より金と地位のある男に取り入るという事だ。
そのためには、あえて子を持つという方法をしたのだ。

「言っておくが皆村加奈子。確かにワシは今は妻には先立たれてはいる。
だからといって貴様ごときに、この尾場勘吉の目の黒い内は
この家を好き放題させられると思うな!」
尾場勘吉と自ら名乗った老人は、皆村加奈子と呼ばれた三十を少し回った若い女性に対し
半ば攻撃的かつ排他的な口調で言った。
言外に「お前のような子供をダシに、この家の財産を好きなようにしようという性悪女の
思い通りにさせてなるものか」という語っているのである。
下心を見抜かれたのか、加奈子は勘吉に対し
下唇を噛み締め歯をむき出しにして上目使いに睨む。

この大人たちのやりとりをこの幼い男児は、まるで生まれながらにして
もう既に精神的に大人としての片鱗を見せ始めているのか
何か同世代の他の者とは何か違う器の片鱗なのか
表情をほとんど動かさず、ただ黙って見守っている。
これが同世代の他の児童なら、勘吉のような強面な老人による
さっきから自分と自分の母親に対する大人気ない恫喝と罵声ぶりに思わず泣き出してしまうだろう。
けれどこの子供は、泣くどころか泰然とした姿勢で二人の様子を見守っている。
おもむろに勘吉はこの子供の方に向き直る。すると殊更、ますます不快な表情が顕著になる。
「まあいい。とりあえず名前だけは考えてやろう。おい、ガキ!?」
「はい。」
勘吉の半ば大人気ない怒号での問いかけに、子供の方も怖気づくことなく
加奈子にいつも言われている言いつけどおりの姿勢と態度で接する。
「お前の名前は何と、言う?」
「ちょっと、この子にそのような大人気ない態度は!?」
加奈子は思わず勘吉を咎めようとする。
「人の金で遊んで暮らそうと企んだ性悪女は、黙ってろッ!!」
勘吉は加奈子に対して甲高い声で怒鳴る。
そして、子供の方に向き直ってぶっきらぼうな口調で名前を問う。
「お前の名前は何だ?」
「みなむら よしとです。」
子供は素直に自分の名前をそう答える。
「皆村良人?」
これを聞いた勘吉は怪訝そうな顔で反応する。
これに加奈子が解説する。
「この子には、世の中のみんなのために役に立つ良い事をする
なりなさいという意味を込めて名づけたんです。」
だが勘吉としてはこれが気に入らないのか、少し思案したあと
「ふむ。・・・ならワシが認知してやるに当たって、新しい名前をつけてやろう。」
そう言って、少し笑みを浮かべる。
「新しい名前をですか?今のままでも構わないのでは?」
「いや、この家の苗字を名乗りワシの子である証をくれてやるんだ。
それに見合ったモノをあげないとなぁ?」
「それで何の新しい名前をつけるんですかこの子に?」
「もう決まってる。この子の名前は"寛一"とする。」
「か、かんいち?」
「そうだ。良人じゃ大きくなった際、名前負けした生き方しがちだ。
実際、ワシの知り合いの息子にも善人などと名前をもらったのに、
大学生になったにも拘らず遊び歩いた挙句、別れ話のもつれで付き合った女を
殺して刑務所に収監されおった。じゃから昔からああいう如何にも
和とか正とか義とか善とか良識とか言った正義や平和とか秩序とか道徳とかを題材にした
漢字を名前にすると得てしてそれとは逆に暴力や卑劣や陰険さや強欲や収奪などを
美化する生き方をしがちになり多くの人々を苦しめ社会を乱しまくった挙句、自滅して行くんじゃ。
それならばいっそ、このワシが決め付けた名前の"寛一"として生きた方がこの子の幸せだ。」
勘吉はかなり自分に酔った持論を展開している。
「そんな勝手な!?」
加奈子は思わず非難する。
「嫌なら、お前と交わした条件は無しじゃ。さっさとそのガキ連れて、とっとと帰れ。」
加奈子はもう、半ば泣き顔のようだ。
結局、彼女は断腸の思いで契約を交わす事となった。
この皆村良人という三歳の小児は尾場寛一と名を変える事になった。


青春の嵐 プロローグ

2015年11月09日 19時53分20秒 | 青春の嵐
ここは、とある研究室。

ひとりの所長と思われる白衣を羽織った年長の男性が同じ白衣を羽織ってる若い研究員に訊ねる。
「ガンバレルの中はどうなっている?」
「はい。上手く行ってます。順調ですよ。」
ガラス越しに伺うとそこにあるのは、ガンバレルと呼ばれた正しく砲身状をした
人工子宮装置がある。その中でひとつの塊だったのがやがて人間の赤子の形を形成して行く。

「くくく。この遺伝子操作とクローンをはじめ各種細胞バイオ技術を
組み合わせれば、天才的かつ優秀な能力を人工的に造れる。」
「そうですね。」
「そうだ。それにこの技術をもってすれば、ナチュラル(従来の母胎出産の人間)と違い
能力のバラつきは小さくなるし、身体や精神に障害を生まれながらに抱えてくることもなくなる。」
二人の科学者たちは、半ば喜んでいるようだ。

科学者たちがガラス越しに眺めている間にも。砲身状の人工子宮装置の中の生命は
そのシリンダー内でやがて世に出る時を待っている。

青春の嵐(仮)

2015年11月08日 17時34分33秒 | webog
ゆうじ「何なんだよ、それ!?そのタイトル名ってPSP/PS2ソフト
    『太平洋の嵐~戦艦大和、暁に出撃す~』のパクリじゃんかゴルァッ!!」(゜皿゜#)
欲しいよう。「そうだよ!?いくらそのゲームがあまりにも操作性が悪すぎたからと
       いって、こんなの
       システムソフトアルファさんからいろいろと怒られるよ!?」( ̄∩ ̄#
低学歴「そうだぞ。キミは少しは『ときめきメモリアル』でもプレイして
    何かを学ぶべきでは無かったのではないのか?」( ̄へ  ̄)
ゆうじ「いや、それはちょっと無理があるだろ?」( ̄_  ̄;)

おバカ「なら、ブログ主がこれまでプレイしてきた限りのゲームの話を
    モチーフにすればいい。」

欲・低・ゆ「そういう問題なのっ!?」Σ(゜皿゜)

おバカ「ブログ主って戦略ゲーが好きなんだろ?なら話の進め方は
    戦略ゲーをモチーフにすればいいんだし。」
ゆうじ「いや、それは何だか無理があるだろ。」
低学歴「だがその昔、戦略ゲーや戦術ゲーをモチーフにした
    ストーリー展開をした漫画やアニメは実はあるにはあるらしい。」
欲しいよう。「どういうことなの?」
低学歴「それは80年代前半の『超時空騎団サザンクロス』や
    80年代末期から90年代にかけての『銀河英雄伝説』がそれだ。
    ただ、前者はテレビゲームでさえ黎明期の頃はあまりそういう
    ストーリー展開は理解されにくかったようだ。」
欲しいよう。「どうしてなの?」
低学歴「今でこそ、戦略・戦術という概念を取り入れた
    ああいう戦闘シーンの多いはアニメファンからは
    大いに支持され市民権を得られて久しいが、当時のアニメは
    ロボットモノも含めて
    勧善懲悪モノの方が視聴率を得られやすかったのだ。」
欲しいよう。「その勧善懲悪モノの方が良かった理由は?」
低学歴「当時の日本人の国民性ってやつがそうさせたのかも知れないな。
    勧善懲悪=真面目に生きる人を踏みにじるワルは許せない
    という観念は、ともすれば戦略や戦術という概念とは相容れない場合もあるからだ。」
ゆうじ「つまり、それって戦略や戦術という概念を理解するには
    清濁併せ呑むという事にあると?」
低学歴「まあ、そうなるだろう。」

おバカ「話を戻すとするぜ。結局は何だ。
    ブログ主としてはTRPGかTSLGの要素を盛り込んだ話は
    果たして出来ないのだろうかと思いたいんだろう。」
ゆうじ「TRPGは聞いた事あるけどTSLGって初めて聞くぞ?何だそれは?」
おバカ「何。基本的なやり方は変わらんよ。ただ、プレイヤーは
    自分のステータスをちゃんと理解した上で話の進め方をやればいい。」
欲しいよう。「何か、ぶっちゃけているよね。」