goo流・キャラネタブログ

ニュースなどを扱います。
あと場合によっては小説というかお話を書く事もあるでしょう。

青春の嵐 第18話「母と子と」

2015年11月30日 21時46分35秒 | 青春の嵐
勘吉の初七日の法要が過ぎてから、加奈子にはまるで縋る者が
何も無くなってしまった思いのようだった。
法要が過ぎてからの加奈子は何においてもやる気が無く
家事全般において手抜きが目立ち出した。

それを見て、寛一は加奈子がこのまま魂の抜け殻のようになり
若くして呆けてしまい耄碌してしまわなければ良いのだがと周りの誰もが懸念せずには居られなかった。
このとき母である皆村加奈子は四十歳であった。
だが、彼女にはまるで人生の目標とという生き甲斐と感じられるモノが何も感じられない。
それを見るにつけ寛一は子供とは思えぬほど考え込む。
(まあ、無理も無いだろうな。)
そう思うしかない。いくら最後まで自分ら母子を歓迎しなかったとはいえ
自分にとっては亭主だったんだし、世が世なら自分は継母としてあの屋敷に
寛一の母親にして後見人として君臨しようと思えば、情勢とやり方次第では
出来なくも無かっただろう。だが、その夢を台無しにしたのが
戦後から今日まで、古くから日本国内で悪事の限りを尽くし
その度に日本の社会に対し戦前や戦中における、自分らと日本との間に起こった出来事を
盾にして、数々の悪事を正当化し続けて来た在日韓国籍や朝鮮籍の人間と中国人たちだ。
あの窃盗と殺人に加え放火まてしておきながら、戦前・戦中において自分らや自分らの国と
日本との間に起こった出来事の数々を理由にして、無罪を主張し
償うべき罪から逃れようとしたあの糞忌々しさは今でも腹が立つし、
今の母加奈子がこのようになった原因もアイツらだ。
だが、今の寛一にとって問題とすべきなのは今後、もう生ける屍も同然と化した
魂の抜け殻に等しい、加奈子はどうするのかである。
いくら同世代の子らを既に問題にせぬ非凡な寛一といっても所詮は、
来春、中学に上がるべきの子供でしかないのである。
いくら寛一がデイトレードで一日に今の時点で、三千七百万円の平均五パーセントを稼ぐとはいえ
その稼ぎをもってして人に頼むというという事って果たして出来るのだろうか?
本来、義務教育を受ける子の面倒を見るべき保護者である立場の母親が
認知症の老人の如き呆けようを為しているというだけでも世間からは、
如何なものかというのに、小学生の息子に行政福祉とそのための金を出して貰うというのでは
寛一からすれば親孝行をしたつもりでも、
加奈子にとっては母親としての面目を傷つけることでしかない行為でしかない。
学校を休んで母加奈子の面倒を見るという事も又、義務教育を受けねばならぬ立場として
出来ぬ話であるのも、寛一にとって現実に対する呪わしい思いである。
そうあれこれ悩みながら、学校生活をそこそこに奔走している日々を送ってた。

そんなとある晩秋の日の夕暮れ時。
並木道の紅葉が朱に染まるように色づき、黄色くなった銀杏の葉も地面に落ち
それを竹箒で折角かき集めたのを風が撒き散らし、それに竹箒で集めていた
並木道の落ち葉を竹箒で掃いていた人たちが恨めしげにしている。
そんな彼らを横目に、寛一は屋台で買った鯛焼きを食べホットの緑茶を飲みながら
物思いに耽っていた。ところがである。
鯛焼きを食べ、緑茶を飲み干した後、家路に着こうと歩き始めたら
懐のスマホが鳴り響く。それを受け取った寛一はそれを耳に当てる。
通話の相手は警察からであった。それというのも母加奈子が自宅に押し入った
犯人に強姦された挙句、台所にあった包丁で殺されたというのであった。
それを聞いた寛一は、警察署に向かった。
死体の確認に立ち会った寛一は、その死体は間違いなく母加奈子である事を認めざるを得なかった。
それだけでもショックなのに、それから数時間後に別件で逮捕された犯人が
あろうことか父勘吉一家の件で犯行グループの一員として事件に関与し、
その事で裁判所から懲役八年、執行猶予五年の
有罪判決を受けて、今その執行猶予中の在日韓国籍の男性であったという事が
次の日の朝に警察から知らされるにつれ
寛一にとって在日も含む、極東アジア系外国人に対する感情は遂に決定的となった。


青春の嵐 第17話「中秋に滅んだ実家」

2015年11月29日 20時12分06秒 | 青春の嵐
街は賑わっていた。
それというのも街は、毎年の秋に行われている秋祭りだ。
多くの出店も出ており人々の賑わいで活気付いていた。
まるで世の中の不況に対する人々の苛立ちを発散するかのようだ。

寛一はその人混みに混ざりながら色んな所を歩き、
神社に御参りして自分のやる事がすべて上手く行く事を祈願し
御神籤を引く。するとその結果は大吉であった。
そして家路に着く。
だが、それとは裏腹に何か悪い予感がしたのか煙が立ち上っている。
その煙が立ち上っている方角とは、自分や母加奈子をあれほど疎んじていた
父勘吉の屋敷の方角だ。何やら悪い胸騒ぎすると寛一は
自転車を飛ばし駆けつける。だが、現場は消防車と警察が規制線の黄色いテープを張って
人々を規制しているため入れないだが、それでも消防車がまともに入れないほどの
狭い道路があるためかまともに消火活動出来ず屋敷を包む炎が凄まじく
隣接している四方の住宅にも延焼させ全焼させかねないほどの勢いだ。
無論、消防だって手を拱いている訳では無い。消火車両が入れず
消火装備一式を持ったバイクだけでは、たかが知れている。
ならばと、ヘリコプターを使って低空からの消火活動に徹する。
何度もヘリコプターによる消火活動と地上からは消火装備をもったバイク隊員と
地元の人々の協力によって、ひとつのピークは終えた。
だが、火災はまだまだ続く。
寛一には、これをどうする事も出来ず、ただ火災を見ている人々とともに
立ち尽くすしか無かった。結局、火災が鎮火したのは夜に入ってからだった。

そして、その屋敷で焼死体となって発見されたのは
家主の勘吉を筆頭に、寛一にとっては写真でしか見た事がない
歳が離れた腹違いの兄や姉ら、更には顔も知らなければ
名前を聞くのも初めてな親戚、親類縁者全員およそ八十八名という。
更に、寛一が驚いたのはその火災の原因は放火によるものだという。
その証拠に、その焼死体には刃物による傷があったという。
更に決定的な事に、この火災を犯罪行為由来とする案件と成さしめたのは
金目のモノが荒らされたのか金に換えられそうなモノがあらかじめ
この屋敷から無くなっていた形跡があるという。

それから二日後の午後、寛一にとって非常に大激怒すべき結果となった事件があった。
それというのも逮捕された犯人が中国人が五人、韓国人が三人、朝鮮人が二人
在日韓国籍が六人の犯行グループであったのだからだ。
父を親戚たちとともに殺し、金目のモノを奪った上で放火しただけでも許し難いのに
韓国人や朝鮮人に至っては、幼い子ですら輪姦して楽しんだ後、殺害したという。
これだけでも寛一にとって復讐心に駆られかねないのに
彼らは警察の取調室は元より裁判所の法廷でも
「かつて日本が我が国中国や朝鮮を長年に亘って支配し、多くの人民を蹂躙し続けてきた
歴史と比べれば、我等のした今回の事など大目に見て然るべきに値する」
などと持論を展開し、自らの非を認めようとしなかった。
結局、彼らは首魁の中国人の何人かは最高刑となり他の被告もそれなりの有罪を受ける結果となったが
このときを境に、寛一の中国人と朝鮮半島の人間に対する憎悪は深まった。

青春の嵐 第16話「初秋での豹変」

2015年11月29日 15時39分09秒 | 青春の嵐
あの廃墟と化した、施設での件から寛一は人が変わったかのようになった。
相変わらず、バイトとスマホを使った株と外為のデイトレードで大金を増産しては居るようだ。

ただ夏休み前と違うのは、今までのように子供である故の幼さと我侭さ気侭さから来る
小児的な気紛れや生意気さから来る粗暴で尊大さばかりを突出させていたような姿勢は
影を潜め、下手な大人よりも成熟した思考や判断に基づいて深い考えを出す、
まるですべてを見透かした上で戦略と戦術を練り、それを実行したりする偉い方並みのような
器量が身につき出した。要するに、寛一はもはや勉強と喧嘩に強いだけの人間では
無くなってしまったという事である。
そのような在り方から、そのまま遂に小学校生活最後の学年の二学期を迎えた。
学級内の何人かは会話をしては居る。だが、いつものような他愛も無い会話は少なく
その多くは尾場寛一が夏休み前と比べて著しく人が変わったようになってる事だ。
クラスの女子のひとりに言わせれば寛一は今学期を迎えた日からまるで、
偉い立場のオジサンのような難しい表情する事が多くなり、何か神経質になったモノを感じる。

そこへ担任の教諭である石原敬二が現れ朝のホームルームを始める。
いくつか話しをした後、生徒が一度起立し、先生に一礼して着席する作法をした後
ホームルームは終わる。すると敬二は
「尾場。お前に、話がある。職員室に来い。いいな?」
それに対し寛一は、これまでのような何だよ文句あるんかと言いたげな感情を表に出さず
「ああ、判ったよ。」
と素直に答えた。
それを見て、周りのクラスの面々は大いに驚愕した。少なくとも自分らが最後に見た
夏休み前のような姿勢とはまったく違うだけでもというだけでも驚くのに
これまでのような屁理屈や悪態を敬二にしなかったというのが
彼らにとっては、とんでもないほどだ。
そして職員室にやって来る。
そこで寛一は、敬二に対して開口一番に言う。
「んで、何を訊きたいんだ?夏休みに入る前までの事を今頃になって
言うために呼んだんじゃ無かろう?」
そういう寛一の言葉に対し、敬二も
「そうだな。俺も過去の事を今頃になって言い出すほど器の小さい男とは言われたくないんでね。」
敬二もこの、もはやただの生意気な児童では無く絶大な実力と器量に裏打ちされた上での
生意気さ、つまり大人たちと対等に会話し交渉の駆け引きをしてそれなりの譲歩を得るための
術をつけたという、いわば貧しく他人から馬鹿にされ憐れに思われ、
心無い者たちからなけなしの金品を力ずくで奪われたり
舌先三寸や口八丁手八丁で騙し取られる危険性が非常に高く
常に自分らのことを不幸にしかしない人たちが周囲に居る身の上から
成り上がれるなら目的のために手段を選ばず、そのためなら
他者との対立や他者からの憎悪・反感も恐れないという生き方をしてる
強い力と金とそれを生産し続けられる能力を持った者こそが正義という
正に、生き馬の目を抜く現実社会の現実に育てられたような男だ。
いくらサスペンスモノのテレビドラマにおける真犯人に対する言葉みたいな事など
この寛一に言っても、コイツに言わせればそんなの
残酷な人間関係の現実を知らぬ戯言にすら値しないと片付けてしまうだろう。
更に言ってしまえば、寛一にとってテレビドラマ内はおろか
この世に起きてしまうような事件など
現実における人間関係の残酷さと今の社会の致命的な欠点と
国の政策の失敗故に起きてしまった、如何なる存在をしてもどうする事も出来ぬ深い業なのだ。
「何を言いたい?」
その大人びたような姿勢で訊く。
「そうだな。実は、この街の外れにある廃墟と化したモノに
夏休みの間に誰かが入ったという噂があってだな?それがひとりはウチの学校の生徒らしくてな?」
するとそこへ、若手の女性の学年主任が割って入るように言う。
「石原先生。あれは街のならず者が入ってたって新聞では!?」
「おめえは、黙ってろッ!!」
敬二は相手が自分より上の立場である事を意に介さず
その若い学年主任の女性教諭を一喝する。
それとは対照的に寛一は、お前そんな態度をして良いのかよと言いたげに笑みを浮かべ構える。
「さっき、学年主任の先生が言ってたようにウチ(ここの学校)とは関係ない者が
あそこに居たのを確認したんだろ?なら、何を心配する事があろう。」
そう言って寛一は、悠然とした姿勢を崩さない。
来年の卒業式の後、人事によっては東京の日本で高名な一流の学校、
時と場合に遺憾では、生徒は女の子ばかりの学校の教諭か教頭、
運がよければ、雇われの立場とはいえ校長か理事長っていう幸運も無きにしも非ずだろう。
なのに、この寛一の目の前の男性教諭は何をうろたえているのか
余裕のない態度で何の関係ない、しかもいくら若い女とはいえ
自分より上の立場であろう学年主任を怒鳴るという小物っぷりをやらかしたのだ。

無論、寛一とて今日のこのような事まではないにしろ
後になって警察なり、あの廃墟のかつての所有者だった関係者なり何なりを
想定して、自分なりに打てるべき手を実は打っていたのである。
実は夏休みのあの日においてあの廃墟の地下三階で真琴とお楽しみした後、
誰かが上から降りて来る気配を察知した寛一は、既に服を着た後
真琴に、ガンバレルと呼ばれた、その名のとおり形状が砲身状をなした
巨大なガラス製のシリンダーの影に隠れさせると、階段から
降りて来た、男二人組を階段から降りた直後の陰から襲い
当身を喰らわせて気絶させ、意識を失ったのを確認すると
真琴を呼び寄せ、入れ替わるように真琴を先に階段を昇らせ
自分も後に続いた。そして首尾よく出てから、真琴と別れた。
真琴は林の中を去って行った後、寛一自身はしばらくの間は近くの林の潅木に潜んだ。
すると何やら、セダンタイプの白い自動車が現れ、あの廃墟の前で停まり
その車から、四人の男性が降りてあの廃墟の中へ入って行く。
あの男たちが入って行って、六十ほど数えてから寛一は
隠れていた潅木から立ち上がり、ゆっくりと林の中を歩くようにして
立ち去ったのである。
それに寛一は、真琴にあの廃墟の件は安易に口外しない方が身のためだとも言った。
その理由もあの廃墟にあったモノも実は国が、国民にも外国にも口が裂けても言えないような
研究と実験をしていてもし、それが真琴の口から出るなり真琴がネットを使って
拡散するなりやると国は不都合な真実を知られる事を恐れ、
真琴や真琴の家族を口封じで狙う恐れがあると言って置いたのだ。
だから。そのために寛一は別れ際に真琴が舗装されておらずワダチのある道を通らず
林の中を走って行かせたのも実は、途中であの男たちのように
この廃墟に何か用がある者と出逢ったりしないかを懸念した上での
寛一なりの配慮だったのである。

(ふん。コイツ如きにあの施設の何を知っておろうか。あの施設の事を知っているのは
真琴さん以外じゃこのオレとあの車で乗り付けてきたあの四人組みだけさ。)
寛一は、内心を隠していつに無く自信満々で居る。
結局、敬二は寛一が夏休みにあの施設に行った件に関して物証も状況証拠も示せず
画竜点睛を欠いた追求しか出来ず、この日の寛一に対する追求は水入りとなった。

青春の嵐 第15話「姦染」

2015年11月29日 09時16分43秒 | 青春の嵐
かつてガンバレルと呼ばれた、その名のとおり形状が砲身状を成している
ガラス製のシリンダーの巨大容器を色んな角度や倍率で写真撮影して
元の位置に戻ってくる。すると、寛一は背後から抱きつかれてくる。
「な!ま、真琴さん!どうしたんだよ、いきなり何をするんだよッ!?」
寛一は、驚くと同時に真琴が豹変した事に戸惑った。
その表情は、人が変わったかのようにまるで夫との性生活に不満のある
若妻が性的欲求を渇望するかのようだ。
この時、寛一は気づいた。心当たりがあるとすれば、どう考えても
真琴が迂闊に蓋を開けてしまった、あの何らかの薬品が入っていた
パイナップルジュースとヨーグルトを雑巾で拭いたような不快な異臭がした
容器しか考えられない。
こうしている間にも寛一に背後から抱きついた真琴は
顔を赤くさせ恍惚の表情を浮かべる。その目の瞳も心なしか肉体的欲求を渇望しているようだ。

頬や耳元に吐息をかけ、耳の裏を舐めたりしている。
次の瞬間、真琴は寛一にとって耳を疑う事を言った。
「ねえ、寛一くん。お姉さんといい事しよっか?」
それを聞いて寛一は思わず赤面する。
(な、ななな、何を言ってるんだ、こんな時にこんな場所で!?)
寛一は同様してしまったが、すぐに気を正す。
どうやら真琴をおかしくさせてしまったのがあの容器だとしたら
あの容器の中身は、もしかすると元はあのガンバレルに使う材料に使う触媒か何かだったのだろう。
遺伝子操作された人間を胎児の段階で作るに当り、性的機能においてナチュラルを超える
能力を出すために使う化学薬品だったのだろう。ただ、それがここの建物の放置とともに
この容器の中身も経年によって中身が変質し、あの臭いを嗅いだ者に対して
非常に強い催淫効果をもたらしてしまったようだ。
真琴は寛一を自分の前に向かせると、強引に唇を合わせ舌を絡ませる。

彼女と唇を重ね、舌を絡ませ合う内に寛一の股間は何やら始めて男性としての
何かに目覚めるように飛躍的な背伸びを始めだす。
寛一としても、こんなヘソ出しでデニムのホットパンツを穿いた
生足の色っぽい格好しているだけでも
十分、目のやり場に困るくらいなのに抱きつかれた上にキスまでしてもらえて
もうそれだけで、今まで自分の事をまったく相手にしてくれなかったクラスの女子が
この目の前のお姉さんと比較して
凡庸で暗愚で狭量な世間知らずの甘ったれ小娘に思えるほどだ。
このとき寛一は思った。
(そうだな。今は、この状況を楽しませてもらうとするか。今ここで
これを振り払って断ったりしたら、もう二度と無いだろうし。)
ここで彼女からの肉体的な誘いを拒否したら、もう二度とこの人生で訪れないであろう
こんな手の状況を楽しむ方がいいだろう。後の事は、これを済ましてからでも遅くは無かろう。
来年、中学に上がろうかという子供にしては大した思考である。
やがて寛一は真琴と唇を重ね舌を絡ませ合いながら
真琴の乳房を裾を鳩尾で結んだライトグリーンのYシャツ越しに、揉みし抱く。
「ん、んんー。」
乳房を揉まれ思わず真琴は唇を合わせ舌を絡ませながらも喘ぎ声を出した。
そして背負っているリュックと共に羽織っているネイビーブルーのジャンパーを脱がす。
それから一緒にゆっくりと灰色のコンクリートの床に座り込み
更に乳房をシャツの上から揉みし抱く。
そして、シャツのボタンを上から外して行き最後に鳩尾にあるシャツの裾の結びを解いた。
はらりと、はだけて大きめの乳房が露になる。寛一は、真琴の右の乳房を舐め回す。
「あっ!ああーっ」
真琴は顔を赤めながら喘ぐ。
空いてる方の乳房を手の指で巧みに愛撫して愉しむ。
寛一は背後に回るや、真琴の髪の匂いを嗅ぎ耳の裏を舐めて楽しむ。
その度に真琴は、顔を真っ赤にさせながら喘ぎ声を出して悶える。
真琴は寛一にされるがままに乳房を揉まれ乳頭を親指で優しく愛撫されその度に喘ぎ声を出し悶える。
そして、真琴の耳の裏を舌で舐め回し、やがて片方の手でデニムのホットパンツの尻を
撫で回す。そう、次はこの股間に自分のモノを差し込んでくれるという意思表示でもするかのように。
やがて寛一は大股広げている真琴のデニムホットパンツの股間の辺りに手を当てる。
人差し指で、局部の辺りをなぞるように撫で始める。
それに敏感に反応したのか真琴は殊更、苦しそうな息で悶える。
デニムホットパンツの上から局部の辺りを人差し指で上下に撫で、時々グリグリと指先で撫でる。
(おやおや、こんなに過剰に反応するとは。さては・・・・・・かな?)
きっとこのデニムのホットパンツの下は何も下着をつけてないと見た。
そのように寛一は想像した。
彼女は、寛一にせがんでいる。
「そろそろ、いいかい?折角の半ズボン、濡らすのも何だろうし。」
寛一は、そう言って誘いをかけて見る。
「・・・ええ、いいわ。」
真琴は、もう顔を完全に耳まで真っ赤にさせており、意識も性的快楽にしか集中しておらず
半ば他の事も考えられぬほどのようだ。
そう聞くと寛一は、真琴の穿いてるデニムホットパンツにさっきまで生地の上から
股間を触りまくっていた手をやり金色に輝くボタンを親指と人差し指を使って器用に外す。
次にジッパーをじわりじわりと引き下げていく。
そしてジッパーを引き下げられたホットパンツの胴囲を少し広げる。
すると寛一にとって案の定、ホットパンツの下はノーパンのようだ。
真琴はこのホットパンツを下着をつけず直穿きしていたようだ。
(ふふふ。ホットパンツの下は直穿きとは。さぞ動く度に股間が擦れて大変であっただろう?)
それでも尚、その選択肢をあえて採るとは
やはり異性を人一倍渇望しているお年頃故の心の欲求が
そうさせたのかも知れないと寛一は思った。

寛一は両手の指で裾を掴んで真琴が穿いていたデニムのホットパンツを引き摺り下ろしにかかる。
じわりじわりと真琴のホットパンツは引き摺り下ろされていく。
ついに引き摺り下ろされたホットパンツを寛一はおもむろに頬に当てその内側の匂いを嗅ぐ。
さっきまで穿いてただけあって暖かさを感じ、その匂いのかぐわしさを感じる。
流石に、日頃から碌な事をしないために学校や地域のみんなからは
苗字の尾場をもじって"おバカ"と呼ばれるだけの事はある。
そしてそのホットパンツを先に脱がせたライトグリーンのシャツの元に放り出す。
これで真琴はソックスとブーツを履いてる以外は全裸になった。
寛一の方も服を脱いで全裸になる。そして真琴の剥き出しになった股間の局部を
指で愛撫し弄くり回しはじめ、舌で愉しむように舐め回す。
それをされる度に真琴は大いに悶える。やがて寛一が仰向けになりながら
真琴の股間の局部の秘部を舌先で舐め回していると、真琴の方も這うように
やがて寛一の股間に迫り、既に勃起している股間の逸物を手に取り
顔面を赤らめようやく何かを得た目になる。脳内も半ば性的な事以外は
考えられない意識状態なのか目元もあまり焦点が定まらない。
真琴は寛一の逸物を優しく手に取ると、おもむろに舌で舐め始める。
寛一は思わず股間が何か舐め回された感触を覚える。
真琴は最初は寛一の股間の逸物を下で舐めて回したいただけだったが、
やがて口の中に逸物を咥え入れ出し入れを繰り返したり、舌を使って逸物をマッサージしたりする。
寛一も真琴の股間の秘部を舌を使って愛撫したりマッサージするのを続ける。
真琴はしきりに寛一の逸物を口から出し入れしたり口の中で優しくマッサージしたりをを繰り返す。
寛一も真琴の局部を舌先で愛撫し続ける。
お互いの性的なエクスタシーがピークに近づくにつれ、お互いの喘ぎと悶えが早くなる。
やがて真琴は寛一の逸物の先から吹き出た白い粘着液のようなモノが顔にかかり、
寛一も真琴の局部の奥から勢いよく出た体液を顔で受ける。

お互い、息を弾ませながら仰向けになる。けれどそこで終わりでは無い。
真琴は寛一の方に向いて上半身を起こすと、艶やかな色っぽい笑みを浮かべ
今度は自らの乳房を片手で揉み始め、空いてる片方の手を何と自らの股間の局部に
当てるや、中指で股間の自分にとって性的に一番敏感な部分を弄くり出した。
「ねえ・・・・・・寛一くん・・・・・・お姉さんのココに・・・・・・入れて見たい?」
真琴は自らの乳房を揉み、股間の局部の敏感な部分と内径を指で触り続け
その度に苦しそうな息を弾ませながら言う。
それを見せられた途端、寛一の股間の逸物は再び蘇るかのように勃起した。
「ああ・・・したい・・・です。」
寛一は思わず答えてしまう。
「そう・・・なら・・・・・・入れさせて・・・・・あげる・・・ああっ!」
真琴は片手で自らの乳房を揉みし抱き、もう片方の手の指で股間の局部を愛撫している内に
堪らないほどの性的な快楽に近づいて来たようだ。
そして真琴の悶え苦しむのと喘ぎ声は早くなる
「ああぁ――っ!!」
真琴の股間の局部の奥から勢いよく吹き出た体液を寛一は胸で受ける。
それは非常に暖かかったようだ。
ハアハアと息を弾ませながらも真琴は
「さあ、寛一くん。じっとしてて。」と言い、
仰向けになっている寛一の許へ迫り馬乗りになる。
やがて、片手で寛一の勃起している逸物を手に取り自分の股間の位置に合わせる。
「ねえ・・・これから寛一くんのモノ・・・お姉さんのに・・・入れるわよ?」
そう言うと、真琴は寛一の股間の逸物を自らの股間の局部の位置に合わせると
ゆっくりと座るように腰を下ろす。
するとその瞬間、グニュッという感覚とともに
暖かい塊が自分の体内に深々と入り込むような快楽が真琴を包む。
寛一の方でも暖かい粘膜に包まれたモノの中に自分の逸物が深く入って行き
それに自分の逸物が揉まれ始めるような感覚が訪れる。

それから真琴は抜き差しを繰り返すかのように、腰を動かし
悦びに満ちた恍惚の笑顔と表情で悶え喘ぎ声を出す。
寛一も股間の逸物が揉まれ締め付けられる感覚にさいなまれる。
そうしている間にも真琴は腰を上下に動かし続け性的快楽も絶頂に近づく。
「ああ!来る!?寛一くんのモノがお姉さんの奥へと来るわッ!!?ああっ!!」
真琴は息も絶え絶えに悶えながら言う
「ああっ!ま、真琴さんッ!?だ、出しそうですっ!?」
寛一も堪えながら言う。
「い、いいわ!私の中に出していいわッ!!?」
そう聞くと寛一は、心解き放つ思いで全身の力を抜いた。
「うぅっ!」
すると寛一の逸物の先から奥へ何かを注ぐような何かを感じる。
「ああ―っ!」
真琴の方も、自分の体の中に何かが注ぎ込まれる感じを覚えた。
やがて崩れ落ちるように彼女は、自分の体から寛一の逸物を外す様に
離れると体を捻らせ腹這い気味になる。

寛一の方も疲れているだろう。だが、寛一も寛一自身の体も疲れ知らずなのか
真琴のお尻とその肛門と局部を見るにつけ、またしても勃起が始まり
居ても経っても居られなくなる。少しばかり間を置くと真琴の綺麗なお尻に手をやる。
「真琴さん。オレ、まだ足りないんだ。済まん、後ろから入れるよ?」
お尻を突き上げた前のめりに床に伏していた真琴は、
「うふふ。そんなに凄いのね。キミって将来、頼もしい子になりそう。
いいわ、後ろから入れても。」
「それじゃ、やるよ?」
寛一は自分の逸物を手に持って真琴の局部のある位置に合わせ、ゆっくりと迫って行く。
そして、真琴の局部にグニュリと食い込む感触と自分の性的部分が
揉まれたり絞められたりする感触が来る。
寛一は、真琴の背後から何度も抜き差しを繰り返すように腰を動かす。
突いたり抜いたりするような動きをする度に
彼女は大いに悶え喘ぎ声を出す。その表情は狂おしいようだ。
最初は床に伏していた真琴は寛一に後ろから股間の局部を突かれてからは
四つん這いになり乳房はブルブルと震える。
「ああ!いぃ!いいわ~っ!」
真琴は、もう完全に心身とも恍惚に陥っている状態だ。
「だ、出して。出してもいいわよ。出して―っ!ああ―――っ!」
「うぅっ!!」
真琴は自身の体内に再び、何かが噴出されるのを感じた。
寛一の方も、自分の逸物の先から吹き出てしまった思いを感じる。
こうして真琴は、息を弾ませコンクリートの床に伏した。


青春の嵐 第14話「砲身の形状を冠した、生命を創造する機器」

2015年11月24日 22時01分14秒 | 青春の嵐
目の前にある砲身の形をしたガラスのシリンダーを見て寛一は、
思わず目が泳いだ。だが、ここで驚いてる場合では無い。
すぐに寛一はスマホを取り出しこのシリンダーは元よりこの階のほとんどを撮影した。
その撮った写真は少なくとも二十枚はあるだろう。

ひととおり、写真を撮り終えて戻って来ると寛一は
真琴が何かの薬品が入ってると思われる瓶を手に取り
蓋を開けようとするのを見て、何か悪い予感を覚える。
「真琴さんっ!その容器を空けてはダメだッ!!?」
「えっ!?」
真琴は胸の位置で容器の蓋を取る。するとパインジュースとヨーグルトを雑巾で
拭いたような異臭がする。
「嫌っ!何よこれっ!?」
「早くその瓶の蓋を閉めてッ!!」
真琴は寛一に言われるままに、その容器の蓋を急いで閉じる。
「あー臭かったわね。」
「真琴さんも、無闇にそこ等へんにあるモノを触ったり中身を開けようとしてはダメだよ。」
寛一は真琴にそう注意する。
「ごめん。それは拙かったわ。」
真琴は申し訳なさそうに言う。
そうやりとりした後、一緒にこの階を改めて見る。

何かの実験だったのか、あの横向きにある巨大なガラス製のシリンダーで
遺伝子操作とクローンをはじめ各種細胞バイオ技術で人工的に人間を作るための
過程で作られたと思われる人間の胎児らしきモノがある。
どうやら、これらは実験的に作られたものの致命的な短所が判明したため
失敗と判断されたモノがほとんどのようだ。その証拠に、この胎児たちによっては
顔や身体のあちこちが奇形していたり何かマダラのような出来物が皮膚の表面に現れたり
中には、まるで米国のホラー映画に出てくる人外のような異形に成り果てたりしたモノもあった。
それらにしてもこの研究施設が廃墟と化して経年しているだけあって
ガラス容器の中にあるモノ以外は、ほとんどが乾涸びていたり
軒並み腐食劣化や発酵が進んでいた。
当然、近づけばその異臭は想像したくないほどである。
「もう戻りましょう、寛一くん。
「ああ、これの写真を撮ってからな。」
そう言って寛一は、これらの写真をスマホで撮りまくる。
「もう、ここを出ましょう。」
真琴がそうせがむのに対し
「あの水平になってる砲身の形をした巨大なガラスの容器を調べたら
もうここを出るよ。時間からするとこの巨大なガラスの容器を調べ終えて
ここを出ればもう丁度もお昼ご飯どきになるんだし。」
そう言うと寛一は、再びあの例のかつてその名のとおりガンバレルと呼ばれていた
形状が砲身状をした人工子宮装置の元へ行く。

青春の嵐 第13話「我が身の起源」

2015年11月23日 18時47分06秒 | 青春の嵐
廃墟となった建物の中に入った。
外の壁にはコンクリートの黒ずんでいたシミが外壁が
長年放置され、雨風に晒され劣化ぶりを物語っていた。
建物の内部もかなりの荒れ果てぶりのようだ。
足下には、瓦礫や割れたガラスや倒れた物が散乱しており
心なしか微かに異臭も鼻に来る。

足場の悪さに注意しながら、ゆっくり奥へ進むと突き当たりに来る。
そこから左右のどちらかを選ぶ事となった。
左の方を見ると瓦礫と倒れた物が邪魔で向こう側には行けそうない。
結局、右側側を選んでこっちに行く。
少し歩くと、階段の前にたどり着く。
「ここは、上の階に上がるかそれとも下の階に降りるかとなるわね?」
米津真琴は、ここでふと迷う。
「ここは、下に降りた方が妥当みたいだ。」
寛一は答える。
「あら、どうして寛一くん?」
「上の階はどうせ一階と大きな違いは無いよ。それにこういう研究施設は秘匿性を重視する
性格からして肝心の部分は施設から出る機械の騒音や臭いの事を勘案しても
地下に作る方が立ち入り出来る箇所も限る事が出来るし、立ち入る人間も
限られた者しか入れなく出来るし、地下の研究材料を許可無く持ち出そうとするには階段を
利用するしか出来ないようにすればいいんだし。」
これを言われて真琴はハッと思った。確かにそのとおりだ。

自分がここの研究施設をスパイする者の立場ならどう思ったか。
この建物は見たところ地下から一階のに上がるとすれば
エレベーターで一階に行くか階段を上る。これしかない。
だが、自分が研究所の責任者の立場で考えるなら自分らスタッフが必死の思いで研究開発したものを
自分たちの仲間に混じっていたスパイに盗られては堪ったものでは無い。
それならどうするか?自分なら警備員をエレベーターの前と階段の前にそれぞれ一名ずつ配置する。
それまでにスタッフも追いついて取り押さえればいい。

そう考えれば妥当だろう。ましてやこの研究施設は地下に限っては階段しか設けていないようだ。
もしこれが寛一の言うとおりなら、一階の地下への階段口と地下の最深階の上り階段口に
警備員を配置して身元の不審な者が安易に入れないようにするのに加え、駅の自動改札装置や
空港にある国際線の自動チェックイン装置を応用したシステムで
研究所のデータの盗用を困難にする程度のセキュリティは可能になるだろう。
その結果、上の階に上がるより下の階へ降りる方を選択する事にした。
下へと続く階段を一歩一歩と降る。一階から降りる事、地下三階目に到着した。
この部屋の惨状を見るにつけ寛一も真琴もただ呆然とするばかりだ。
「何かもう、瘴気が漂うって感じね。
「ああ。そうだね。正に、これがバイオハザードっていうものならそうだろう。」
寛一は目の前にある生理的に受け入れ難いモノに顔色がはかばかしくない真琴とは対照的に
真剣な表情で今、目の前にある事態を認識しつつ、捜し求めるように足元に中止しつつ
慎重に一歩ずつ足を進めて行く。
すると、そこにあるのは何やらこの研究施設の本命にして心臓部ともいうべき
研究室と思われる広い一室のようだ。
片方の一室はかつて研究スタッフが常駐していたスペースと思われた部屋のようだった。
その証拠に今でこそあちこちガラスが割られ何か化学薬品やら何やらぶちまけられた上に
色んな書類が床やテーブルに散らかっている。
そして、次の大きなガラスの割れている、この部屋を隔てていたとなりの大きな部屋を見ると
そこに形状が砲身状を成しているガラス製のシリンダーを見つけた。

このとき尾場寛一は何もご存知ないが、この砲身の形状をしたガラス製のシリンダーが
実は遺伝子操作をはじめ各種細胞バイオ技術によって作られた精子と卵子を融合し
ナチュラル(自然分娩で生まれた人間)を遥かに凌駕した人間を将来的に工業製品の如く
生み出すための実験装置だったとは知る由も無い。

青春の嵐 第12話「真夏の廃墟の中へ」

2015年11月22日 19時49分14秒 | 青春の嵐
それからも寛一は、相変わらず夏休みをそこそこ過ごしながらもバイトと
ネットトレードに入れあげる日々であった。

とある8月に入って少しの日の事だった。
バイトも休みだし、一学期の終業式に学校から出された宿題も
休みに入って早々に瞬殺の如く完了させたので暇が出来たので
家から出かけて、
街から大きく外た山間の人気の無い場所に行くと何やら廃墟と化した建物がある。
それをじっと見つめる。すると寛一の背後から、年上の女性が話しかける。
「君、ここの建物に何か用?」
振り向くとそこに、ネイビーブルーのジャンパーを羽織り
ライトグリーンのYシャツの裾を鳩尾で結び、ジーパンを内股の所でハサミで切ったかのような
裾になっている薄い青色のデニムのショートパンツを穿いていて、
長さが足首までしかない浅い茶色のブーツにカーキ色のソックスを履いているという
ウェーブのかかった長い髪の若い女が居た。
「お姉さんは、ココを何か知ってるの?」
寛一は質問して見る。
「そうね。少なくとも無関係じゃないわね。そういう君もココに何のなの?
関係ないのなら、立ち入らない方がいいわよ?」
そのお姉さんがそういう。
普通の者なら、ここで引き返しただろう。
だが、寛一は身体能力や器量の非凡さもそうだったが、思考や判断も凡人のような事をやっていては
他人に舐められるという価値観の人だ。"袖振り合うのも他生の縁"という考えに至ったのか
この廃墟となった、かつて何かの研究施設らしき建物の件でこのお姉さんと上手く話を合わせれば
自分の何かが判るかも知れないという考えに辿り着いたからだ。
すると早速、寛一はこのお姉さんにココの建物の件で誘いをかけてみようと考えた。
「いや、実はこの建物、このオレの生い立ちにとって何かのヒントになるんじゃないかと
思えるような気がしてならないんだ。」
「そうなの?この建物って、ジェネティックエンハンスメント(遺伝子強化法=遺伝子操作によって
ヒトの形質を変更・強化すること)において、親という隠語で呼ばれるクライアント(依頼者)の
需要に合わせて技術者のデザインした塩基配列(遺伝子型)どおりの形質(表現型)が
が胚の生育過程で発現出来るように、人工子宮装置を用いる事によって
従来のような胚が母胎からの余計な影響を受けやすく、能力が全体的に拡張性が低く
障害児・奇形児が生まれやすいナチュラル(自然分娩で生まれる従来型のヒューマノイド)に
取って代わる人間を研究していた施設なのよ?それと君が何か関係ってあるの?」
そうお姉さんが言うのに対し寛一はフッと笑い、こう呟いた。
「実はね、お姉さん。オレはこう見えても勉強でも運動でも学校の上級生すら問題にした事はないし
喧嘩でもスポーツの勝負でも負けた事は無いし、この前なんか街のみんなにさんざん
迷惑かけまくってきたオレより目上の歳が七十過ぎのオッサンが、喧嘩勝負で
このオレに負けたのを最後に、頭を丸めて坊主になっちまったほどだぜ?」
それを聞いて、思わず驚くお姉さん。
「何なら、このオレがウソついてないのを証明して見せようか?」
そう言って、寛一は足元にある石の中でも一番硬いと見た石を手に取り
軽く握り潰しにかかる。すると握力で砕かれた石は豆腐のように脆く崩れ地に落ちる。

「ありがとう。もういいわ。君がどれほどの子かよく判ったわ。」
お姉さんは唖然としながら答える。
「この施設を見て回るんだろ?なら一緒に行った方がいいよね?
自己紹介が遅れたね。オレ、尾場寛一。寛一でいいよ?」
寛一がそう答えるとお姉さんも自己紹介する。
「私も紹介するわ。私の名前は米津真琴。真琴さんでいいわ。」
お互いに自己紹介すると、二人はこの廃墟と化していた建物の中へと入って行った。

青春の嵐 第11話「7月に聞こえてくる夢からのメッセージ」

2015年11月22日 10時58分27秒 | 青春の嵐
ゴールデンウィークの出来事からかなりの日数が過ぎ、教室のカレンダーは
もう既に7月である表面の紙が壁に画鋲で押さえられている。
寛一は、相変わらず何か楽しいでも無く、かといって不快という訳でも無く
ただ黙々とスマホを操作している。
無論、ゲームでも無ければLINEでも無い。
では何をやっているのかというと、証券会社にログインしてデイトレードにうつつを抜かし
毎日のように元手の三パーセントを算出していた。

心なしか季節は梅雨時を向かえ、そして蒸し暑い時期を迎えている。
寛一の証券口座における買い付け可能金額は遂に二千万円を超過した。
スマホを使って、授業と授業時間の合間の休憩時間や
昼間の時間を利用してのデイトレードで売買取引による
一日平均二パーセント余りだとしても、小学生高学年としてはかなりの収益である。


とあるまだ梅雨も明けぬ土曜日の昼下がりの事である。
寛一は、昼飯を食べた後、ネット掲示板に昨日の帰り際に
自分に対してカツアゲを試みようと金の無心に来た街のワルを
徹底的に筆舌に尽くし難い憂き目に遭わせたのを自慢する書き込みしてから
パソコンの電源を切ったあと携帯ゲームをしていて何時の間にか眠り込んでいたである。
夢の中で何処かから、寛一に対する怒声とも罵声とも受け取れる声が聞こえてくる。
(一体、何だ?誰がオレに問いかけてるんだ?)
寛一は、足元に霧が立ち込める周りが真っ暗闇の中で、辺りを見回すが
声の主は見つからない。

――尾場寛一よ、思い上がるな!

「な、何だとコノヤローッ!?このオレがいつ、思い上がったッ!!」
思わず声のして来る方向に対して、声を荒げる。
だが、姿を見せぬ声の主は遠慮することなく寛一に対して
年端も行かぬ子供にあるまじき生意気の数々を詰る。

――では、言わせて貰おう。

声の主は、寛一に対してお前には文句が山ほどあるんだと言いたげに、
少し呼吸を整えるかのようにしばらく間を置く。

――お前は父親の勘吉から、母子ともども同居は何で一緒に暮らすことを
  認められないのかお前は、そのことを考えたことはあるのか?

いきなり、核心を突かれ寛一は動揺する。だが、寛一の方とて負けはしない。
「そんなの知ったこっちゃないね。大体オレは屋敷に居る腹違いの兄貴たちと違い、
もともと戸籍上は認められてない男なんだよ。それでも苗字だけ名乗らせてやったのは
向こうとしてはこれが慈悲ってヤツなのさ。
ホントの所はあのジジイにしか判らねえよ。まあ、このオレの
推測かつ憶測で良ければ答えてやるよ。てめえが、もし天の神様だとしたら
あのジジイの職業は何なのか、もういちいち他人に教えられなくても知ってるだろ?
てめえがあのジジイの立場だったら、いくらてめえの女房亡くした寂しさと
抱く女の居ない退屈さはだからって、てめえの屋敷にどこぞの判らん女と子供を
抱え込むを出来ると思うか?おまけに
屋敷にゃ、てめえの息子すなわちオレにとっちゃ腹違いに当る兄貴たちも居るんだ。
ましてや、てめえの職業はこの街じゃ泣く子も黙る街の名士だ。
こういう手の立場にとっちゃ、金にまつわる醜聞だけでも自分を危うくさせるには充分なのに
どっかで素性の判らん女を孕ませた上に、その子供が居るって判れば
世間はどう思うかてめえが世間の人々の声が聞こえない訳じゃねえのなら理解出来るだろーが?」
これに対して、声の主も引き下がらない。

――じゃあ、お前は今の住んでいる家において世帯主の名前が皆村加奈子で
  お前の名前が尾場寛一という、歪であるという現状に関しては疑問に思わないのか?
  お前の家の周囲の家々を見ろ。何処の家庭の表札によっては、家主とそこに
  暮らしている家族の苗字は異なっているだろうか?お前はそれに関して疑問に感じないのか?

「なら、お前はオレに何をしろって言いたいんだ?言っておくが今のジジイにとって
オレもオフクロも異物でしか無いんだぜ?素直に受け入れるっていう
選択肢は向こうには元よりあるはずが無いぜ。」
寛一の持論も間違ってはいない。
ここで寛一の立場になって考えれば母子ともども勘吉の屋敷に寛一が成人になるまででいいから
屋敷に置いて貰えないかと頼み込んでも、断られるのは判りきってるし
仮に認められたとしてもその待遇というか屋敷内におけるカーストは
使用人とか居候よりも格下の最底辺層に位置するのである。
世の中において子供をダシに富裕層の夫人としての主導権を握れるなんて
考えはそう甘くは無いといういい事例であるし子も子で
既にそこに居る子供らより甘えさせてもらえる訳でも無いという事例である。
夢の中で声の主とやりとりしながら、悶々とした想いにかられつつ起き上がり
やがて夢の中での出来事を思い出すように心の中で呟く。
(思い出しても見ろよ。何でオフクロがこのオレが四年生のときに、過去に貰った
お年玉や田舎の農家の手伝いで貰った金やバイトなどで貯めた金で
株や外為をやりたいって言ったときに、反対しなかったばかりかむしろ、
『それらを上手く使って他人からのお金を当てにしない暮らしをしなさい』と言ったか。)
改めて寛一は思った。それというのも過去に優しかった母加奈子が珍しい事に激怒した事があった。
それというのも、寛一が小学三年のときだった。
お年玉と田舎の知り合いの農家の手伝いで得たお金でお菓子や玩具を買ったのが原因だからだ。
お菓子や玩具を買うのは、この歳の子供なら致し方ないモノなのだけど加奈子としては
それを認める訳には行かなかった。加奈子はお菓子や玩具を買ってきた寛一を
暗愚で救いようの無い出来損ないと口汚く罵った。
寛一としては何でそれがいけないのか判らず、ただ泣きじゃくるばかりだった。
そして泣き明かした翌日に加奈子は、寛一に対して打って変わっていつものように優しく穏やかな
笑顔で諭すように、自分が叱った理由を折角、自分も含めて周りの人たちが寛一が
将来、自分の器量と才覚だけで生きていけるために貯めてそれを運用するのを願って
あげてくれたのを寛一が目先の道楽のために使ったのが悪いからいけないのだと説明したのである。

その事を思い出すにつけ、改めて寛一はお金とは自分を助けるために貯めて
自分を援けるために運用するためにあるものなのだと感じるのであった。

青春の嵐 第10話「ゴールデンウィーク最終日の騒乱」

2015年11月19日 20時46分39秒 | 青春の嵐
迎えたゴールデンウィーク。この年のゴールデンウィークは例年としては珍しく
十日間にも及ぶ。敬二の方も最初の数日は気を揉んだ。だが、日数が経つにつれ
半ば安心していた。これならもう連休明けは大丈夫である。・・・そう思った矢先
ゴールデンウィークも最終日を迎えた日の昼前の事である。
実家の自室でネットでもやりながら過ごしていると、
突然自分のスマホに警察署から電話がかかってきたのである。
(これは、よもや!?)
敬二は悪い予感を感じつつ、スマホを手に取り液晶画面越しのスイッチを押して耳に当てる
すると、予感は的中だった。警察署の職員が言う事には
尾場寛一が、年が自分より上の高校生ひとりをリーダー格とする少年グループ数名と
やり合ったというのである。それを聞いて驚いた敬二は直ちに車に乗り警察署に向かった。

敬二の中では思った。寛一が目上の少年グループとやり合ったと聞いたのだ。
流石にボロボロの姿では無いだろうかと考えた。
あれこれ考えながら警察署に辿り着く。
そこで受付の職員に尋ねる。
「貴方が尾場寛一くんの通ってる学校の先生なんですね?」
「はい。私は新潟市立豊栄小学校の石原敬二です。それで尾場は何処に!?」
職員に案内されて行くとそこに寛一は居た。寛一は特に何処にも怪我した形跡は見られない。
「尾場っ!一体これはどういう事だッ!?何でこういう事になったッ!?」
怒鳴る敬二に対して、寛一は、忌々し気な表情で呟くように返答する。
「あいつらが、オレがショッピングセンター内を歩いてたら突如やって来て刃物をチラつかせて
"金を出せ""金を出さないと痛い目に遭うぞ"って囲んで来たんだよ。
だから、ボコボコにしてやっただけだよ。なのに、この無能で税金泥棒なこのオッサンは
強盗やった向こうを罰せずに、こっちを悪者扱いしやがったんだよ。」
それを聞いて、トレンチコートを羽織った如何にも漫画やアニメに出てそうな
ステレオタイプの格好の警部と思われる中年の男性が思わず気色ばんで声を荒げる。
「無能で税金泥棒のオッサンとは誰の事だ、こんガキが!」
寛一も負けじと逆に相手を舐め切った態度で、すかしたように言う。
「お前が駆けつけるのが遅いのが悪いんだから仕方無かろうが?
文句あるならその弛んだ腹を何とかしろや。オレの通ってる学校の石原なんか
アンタのような不健康な体型とは間逆に位置するぜ。
まったく、強盗と被害者のこっちの区別もつかんとはココの警察署長も
さぞ苦労が耐えんだろう。こんな給料泥棒じゃあ。」
「なんだと、コノヤロー!」
このやりとりを聞いて周囲は、思わず呆然としある者は笑いを堪えるので精一杯だ。
敬二は、二人の言い争いを聞いて唖然としながら、事の真相を警察の関係者に訊く。
事の発端は、寛一の言うとおり向こうの少年グループがナイフを片手に
寛一に金の無心をして強盗を試みた事が原因だし、その事は
店内の防犯カメラにも一部始終が録画されているし、その日の店内に居た
客の一部と従業員からの目撃証言も得られている。
ただ問題なのは寛一がそれで怯むどころか、彼らを全員その場で
虫の息になるほど完全に叩きのめした事だ。
そして店内に警察の関係者が駆けつけたのが寛一に少年グループが全員
叩きのめされて随分経ってからの事である。
では、その間にお店の者とか警備の者とかは何をやってたかというと
遠巻きに様子を見ているだけで止めに入るとか少年グループを力ずくで店外に追い出すなり
警備室に連行するなりする訳でも無く、寛一からすれば一向に頼りにならないようだった。
無論、これも防犯カメラには録画の証拠となっている。
結局、この防犯カメラ映像が日が経つにつれ、なまじ記憶が曖昧になりやすくなり
証言が二転三転しやすい人間より顛末を見届けた真の証言者という皮肉となり
加害者の少年グループを刑事起訴に追い込み、店内で起こった事件において
何もやろうとしなかった防犯カメラ映像内の店の従業員と警備員が
後日、店と店と警備員の派遣契約を請け負っている警備会社から解雇通知を受け取る結果となった。

そしてこの警部はというと、何で現場への到着が遅かったのかという寛一の質問に対し
当初は新潟駅前で起きた事件に対処したから遅れたと言ったが
すぐに若い女性職員から「貴方は、今日朝から病院に健康診断に行ってたのでは?」と
言われ、すぐに答えに窮した。やがて寛一に対する返答が二転三転した挙句、
朝、行きつけの病院での健康診断を受けてからそのまま職場の警察署に行くはずだったのに
途中で喫茶店に寄りそこで砂糖を沢山入れた紅茶を飲んでくつろいでて、
その店を出た所で寛一の件の報せを警察署のオペレーターから受けた事がバレる事態に陥った。
要するに、本当は朝、定期健診に行ってそのまま職場に行けば良かったモノを
途中で寄り道してサボりをした挙句、起きてもいない新潟駅前での事件をでっち上げて
折角、店内に居合わせた他の客か従業員と思われる通報で
ショッピングセンター内で少年グループに囲まれていた寛一への救援に間に合わなかった言い訳に
しようとしたのである。それだけでも遺憾な事なのに素直に非を認めず
言を二転三転させるという、本来、ペテン師を逮捕するべき立場にある者がペテン師まがいのような
舌先三寸で寛一の事を言い包めようとしたのである。
寛一はもはや怒る気も失せ苦笑いし、早くから警察署内に居た母加奈子は呆れ
他の職員は、ある者は軽蔑しある者は詰る。
敬二に至っては、大いに憤慨する。
(こんなヤツなんかと同じ公務員とは思いたくない)
結局、この警部はこのあと諭旨免職処分へと追い込まれて行ったのである。


青春の嵐 第9話「担任教諭の憂鬱」

2015年11月17日 19時05分27秒 | 青春の嵐
寛一が自宅ではパソコン、学校ではスマホを使ったデイトレードとアフィリエイト他ネットを使った
ビジネスで莫大な収益を上げていた頃。

ここで、担任教諭の視点に移る。
教諭(といっても寛一のために逮捕され実刑判決を受けて現在、刑務所に収監されているヤツではない)は思った。
この際、判り易く表記するために、この教諭の前任で寛一のために
現在、刑務所に服役している方を藤井伸、それで現在ここに居る方の教諭の姓は石原、名は敬二としよう。
この石原はゴールデンウィークを翌日に控えるというのに、心が晴れなかった。
それというのも、彼にとって悩みの根拠であるのは、他ならない尾場寛一の事である。

彼はかつて大学を卒業はしたものの就職活動は惨憺たる結果だった。
それで事実上の自宅待機状態であったのだ。
この状況を懸念した親が大学時代に掛け合ったところ大学が
教育委員会と交渉したら、小学校教諭に一人欠員が出たという情報が得られた。
すると大学の方も石原が自校で教員免許を取得している事を挙げたため
教育委員会の方も渡りに船とばかりに快諾し、すぐ石原に面接に来るよう電話させた。
翌日に彼は教育委員会に赴き、面接した。
教育委員会の方は、もう最初から採用ありきのようでわずかな面接したあと
石原の教師採用を即日決定した。そして石原を前任者を欠いた小学校へ着任させる手続きに入り
現地の小学校校長に彼を推挙した。校長の方も欠員を今すぐにでも埋めたいのか
石原に対して基本的には任せるが、尾場寛一にはくれぐれも注意するよう念を押した。
そして彼は寛一の居る教室の担任となった。
これが寛一にとって小学三年生のときの出来事、すなわち今より二年半前の出来事である。
実際、自分が着任してからの尾場寛一は、噂に違わずかなりの問題児だ。
自分が着任してからのほぼ一年の間に、同学年との喧嘩は日常茶飯事、
上級生に対しても数々の悪態ぶりも著しく、下級生でも自分に対して舐めた言動や振る舞いをする者には
容赦なく憂き目に遭わすという。当然、喧嘩だけでは無い。
街では拾った物を売って金に換えるなど、到底小学生のやるような事とは思えないような事を
繰り返していた。それをやったかと思えば、小学四年生を迎えると一転して
風の無い日の瀬戸内の海の如く穏やかになった。その代わりあちこちでバイトして金稼ぎをやり出し
まるで何かに憑依されたかのようだ。そこへ来て追い討ちをかけるように
尾場寛一がどうもスマホを使ってデイトレードしているという噂があるらしい。
学校の校則では生徒がスマホとか携帯を持つ事自体は別に禁止はしてないし
むしろ、それを正しく使うことを推奨する教育をしている。
だが寛一、この男に関しては別だ。この男はスマホの使い方が他の児童とは違い
まるで何かに執着しているかのようにスマホを使ったネットトレードとネット収入方法をやり出し
その歳入金額は、小学生の稼ぎ方にあるまじき巨額だ。

敬二は、ときどき寛一を呼びこの件で話をした。だが寛一は明確な回答を与えるはずも無かった。
これを警戒したのか、これ以降寛一はこの件に関してまともに取り合わないばかりか
はぐらかしが多くなった。
無論、敬二としてはこれで断念する訳には行かず、時には母親の加奈子にも
寛一に生徒としての本分を守るよう説得して見るが、加奈子も言葉を濁すに止まった。

敬二としては周囲の安堵とは裏腹に、このほぼ二年半の間の平穏に対してどこか胸騒ぎを覚えて
ならないのである。まるで寛一のいる学年の卒業式までに何か大きな好ましくない出来事が
起こるまでの束の間の平和であるかのように。
(願わくばせめて、このゴールデンウィークの間だけでも平穏であって欲しい。)
敬二はそう願う。だけど、そんなの三十をあと数年に控えた一介の青年教諭の願いなど
果たして、現実の前に届いてくれるものだろうか?
結局、その答えは現実だけしかご存じないのだろう。

青春の嵐 第8話「金融ブギ」

2015年11月15日 20時32分55秒 | 青春の嵐
そして春になり、寛一は小学校生活最後の学年を迎えた。
多くの同世代が中学に上がったらどんな事をしようとか
どんな部活に入ろうかとか、中学に上がったら必ず彼女を作ろうとか
それぞれが大きな夢を膨らませているなど
小学校生活生後の青春を謳歌せんとしている中、寛一はただひとり
証券口座を開設し、一日での売買注文を繰り返しどれだけのお金が手に入るか
要するにスマホを片手にデイトレードで血道を上げていた。

(くくく。もうすぐゴールデンウィーク前の段階でもう八百万円を軽く突破出来たか。)

証券口座を開設してからの寛一は非常に止まる事を知らぬ勢いであった。
バイトでもバイト先の店長からは頼もしい子と絶賛され、
店に来るお客さんの中には寛一にお小遣いだと称して、一人当たり平均五万円モノ
気前のいい金額をくれた。
――やはり同じ人に生まれるなら出来のいいヤツに生まれる方がやっぱり得だよな。
寛一はそう思える。世の中の人間は何だかんだ言ってもやはり自分より出来の悪いヤツは蔑む。
誰だって、出来のいい人間には生まれたいし、この世に生まれた者の多くだって
親も含めて他人から何かにつけて否定されるまでは、自分は少なくとも他者とは
同等だとは思いたかっただろうし、他人から否定されるほど自分は凡庸・暗愚だとは思いたくは無い。
けれども現実とは女子供をはじめとする弱者の命を路傍の草ほどにとも思わぬ悪逆非道な犯罪者の如く残酷だ。
体力が無くひ弱であればそれで見下され、頭の回転が鈍く思考力も記憶力も無いと馬鹿だと侮蔑される。
子供が言いたい事を言えば生意気だとされ、老人が言うべき事を言えば老いぼれめ片腹痛いと詰られる。
自分のような、母子家庭でしかも街の有力者の婚外子の分際で自分と同世代の
家庭が裕福なヤツと対等になろうというのなら、それこそ血のにじむ思いを顧みぬほどでなければならぬ。
そうでは無かろうか?寛一は我が身自身に語りかけるように心の中で呟く。
それから寛一は、小学四年の三学期からこの小学六年生の一学期になるまでの
バイト先での対価に加え、お客さんがいつもくれたお金を深夜、数えてみる。
数えてみたところ、何と二百万以上もの大金だ。
(そうかい。ならやるべき事はただひとつだぜ。)
翌日、寛一はそのお金を証券口座に多くを振り込んだ。
これで証券口座の寛一の残高は遂に一千万を超過した。

「さて。ここで少しはゴールデンウィークを利用して小休止とするか?」
寛一は手許に残した一万円札をざっと数えると財布に収めた。

青春の嵐 第7話「豊かさへの渇望」

2015年11月15日 18時13分39秒 | 青春の嵐
年が明けて、小学四年生の三学期を迎えてからの尾場寛一はこれまでと違い
まるで人が変わったかのようになった。勉学は勿論のことだが、特にバイトを
何かに憑依されたかのように始めだし、それに人一倍励んだ。
元々身体能力が同世代はおろか、大人の自衛隊員すら驚愕するほどなためか
バイト先の目上の先輩なら、もう既に音を上げるような激務を
問題にせず、バイトの終わった時間の段階でもまったく疲弊した顔を見せないため
バイト先の面々は、ただ驚くばかりだった。バイト先の先輩の中には彼女から
「あの子に負けてどうすんのよ?情けないと思わないの?少しは体を鍛えなさいよ!?」と
言われてしょげ返るほどである。

周囲の噂のことなど、まるで意に介さぬように寛一は必死に働き、
その受け取った対価を決して無駄遣いせず、むしろその受け取った対価を
如何に多く残せるかに心血を注いだ。
その思いは、決まっている。
一方その頃、母加奈子も何やら変わった事を成していた。
それというのも、自動車を新車で買ってはそれを短期間で下取りに出すというモノである。
新車を買って、それまで乗ってた車を下取りに出すくらいならこれは誰しもがやるのだけれど
加奈子の場合は、どうも不穏と思えなくも無かった。
それというのも、新車を買っては、それを下取りに出す期間がかなりの日数をかけて
よくよく観察して見ると、非常に短いのである。
それというのも、よくよく注意して調べて見るといくつか不審と思える点がある。
一・新車価格の高い軽自動車に意識して拘っているところ。
二・軽自動車を新車価格で売る際に出来るだけ購入価格を高くなるように努力していること。
  具体的に洗車や車の窓拭きを寛一とともにやり運転の際も傷ひとつつけないように注意していること。
三・新車を現金一括で買ってからそれを下取りに出すまでの期間が短いこと。
四・下取りに出して得た金はその多くが寛一名義の通帳に行ってること。
五・そして後の残りを寛一に年二~三回のご褒美として寛一に手渡していること。
無論、この事に気づいている者は当の本人しか知らないようだ。
多額の仕送りをしている勘吉は元より、自分名義の通帳を作られそれに大金を
振られている寛一も知る由も無い。

周囲はこの実態を知る訳も無く、一見してせいぜい
自動車をゲームソフト感覚で買い替える贅沢な暮らししてるオバサンとしか思わない。
何故なら車を買い替える頻度が年に三回もしているからだ。

そして、季節はめぐり小学五年生の二学期も後期を迎えた晩秋のこと。
寛一は、期末テストがいつもと同じように他の追随を認めぬほどの好結果だったことを機会に
母加奈子に、恐る恐る証券口座開設してもいいかと願い出た。
すると加奈子は二つ返事で了承した。それどころか寛一に対し
「これから長く付き合うのですから、自分に合った会社を選びなさい。」とまで言ってくれた。
母加奈子が寛一に金融取引をやるための証券口座開設を認めたのには
実は深い訳がある。自分はやがていつかは年老いて老衰で死ぬか、
認知症や寝たきりで寛一の人生を奪いかねない晩節の汚し方をしてしまうかもしれない。
もし、ここで寛一に証券口座開設を認めず、職場に勤める以外のお金の稼ぎ方を認めなかったら
果たしてどうなるのだろうか?自分の老衰やそれに伴う成人病による死か
自分の寝たきりや認知症が原因で寛一は働いてた職場を辞めなければならなくなり
自分の世話のために生活が乱れ、この子の人生を台無しにしてしまうのではないのか?
我が子の将来の仕合せを望むべき親が、我が子の人生を台無しにする本末転倒など
あってはいけない事なのである。又、最近の世の中の政治と社会の有り様を考えて
この子が成人を迎えるまでに世の中が、この子の事を受け入れる働き口など
本当にあるのだろうか?かつての自分でさえ、苦しんだほど。
ましてやこの子が成人になった時の社会は、尚の事この子を受け入れがたいほどのレベルだろう。
そうなってしまうくらいなら、この子には最初から他人からのお金を当てにしない
お金の稼ぎ方をこの子がした方が、いい意味でもこの子の将来の自立になる。
そう考えた結果が、寛一から証券口座開設の要請を願い出た際を機に加奈子の出した返答だ。

それから二学期が終わったクリスマスイブ、その日の朝、寛一にとって
サンタクロースのプレゼントであるかのようにネット証券会社から
口座開設の決定を知らせる郵便物が届いた。その中には
証券口座番号と、ログインするためのIDと仮パスワードだった。
終業式を終えた寛一は自宅に帰り、その郵便物にあるとうりの手続きに従って
上手くログインして見せた。仮パスワードを本格パスワードに設定し直して
それをロストしてもいいようにメモリースティックやパソコンのハードディスクと
それをプリントアウトした紙に分散して管理した。それを終えるとネット証券のマイページを
ログアウトしてパソコンの画面の左下の電源のシャットダウンを探しそれをクリックすると
電源が切れるのを確認すると、外出する支度をして外へ出ると銀行に向かって行った。
そして銀行のATMから証券口座番号宛に、高額の振込みを何度も繰り返した。
その金額は何と三百万以上モノ高額であった。


青春の嵐 第6話「貧者であることからの独立のための教え」

2015年11月15日 12時37分49秒 | 青春の嵐
一応ながら周囲との和解が成り立ってから少し経ち、二学期の終わりを告げようとしたある日。
家に帰って見ると家に見知らぬ男性が居た。しかも年齢は非常に若く、年の頃からして二十代半ば過ぎと
いったところだろうか。
「坊や、ただいま。」
「お兄さん、誰?」
「僕かい?僕は君のお母さんの知り合いなんだよ。ほら、こういうモノさ。」
そういうと、この青年は名刺を見せる。
その名刺は証券会社に所属している佐藤隆弘と明記してある。
この人の証券会社での仕事は、営業もさることながら
フィナンシャルプランナーの資格も持っている上に、所属している会社では
毎週の週末、普段働いてて株式市況を見る時間があまり取れない方向けに
来週の海外の為替と株価と日本の株式市場との因果関係の有無とか
海外の経済情勢が日本の経済に具体的に何をどう影響するのかという事を
自らが集めてきた情報を元に分析して今後の株式市場はどうなるのかという
解説をするアナリストという役職でもあるという。
そしてそれをメールマガジンを情報発信している。

このとき寛一は脳裏で何か閃いた。
「ねえ、お兄さん?」
「何だい?」
「どうしたら、相場に強くなれるのかな?」
「ははは。君はこういう世界に興味があるのかい?」
「うん。どうしたら、相場の流れに合わせられるのかなって。」
寛一は隆弘に、人懐っこく訊いてみる。
「そうだなぁ。まずはチャートってヤツを読めるようになる事だな?」
「チャート?図面の事だね?」
「さすがは頭がいい坊やだ。お母さんとしては、さぞ誉れ高いだろう。
だが、それだけではダメだぞ?チャートには色んな意味があるんだ。」
「へえ~。色んな意味があるんだ?例えば、どの図面のどの辺りを理解したら
いいのかな?」
寛一が訊ねると隆弘は鞄の中からとある東証一部上場企業のチャートが印刷された
一枚の紙を取り出して説明して見せる。
「例えば、これを見て。よく見ると黒いロウソクや白いロウソクがお互い上下に向くように
並んでいるだろ?」
「ホントだ。まるでロウソクで山と谷を描くように並べて楽しんでいるようだ。」
寛一はロウソクチャートというモノを理解した。
「でも、その中に手裏剣のような十字やキリスト教のシンボルのような十字架のような
モノがあるよ?中にはダガーナイフや西洋の剣にも見えるのもあるし。」
寛一は隆弘にこの点を訊いてみる。
「これは相場の転換点って言ってね?相場の価格が最底辺に近いと最低価格の更新の終わりを
知らせてくれるし、最高値に近づくと、もうすぐ頭打ちでもうすぐ下がるからねと
知らせてくれる役割をしてくれるんだよ。」
「そうなんだ。これを理解すればいいんだね?」
「これだけじゃダメだよ?テクニカルというモノもチャートの中にはあるんだよ。」
「テクニカル?」
「そう。例えばRSIっていう指標がここにあるとしよう?これが世間一般じゃ30以下では
この株価は二束三文で売られすぎているから、もう買い戻すべきだとされて
値上がりに転じる事になるんだ。逆に70以上になると、そろそろ潮時だとされて
売り時に転じて下がるようになるんだ。」
「そうなんだ?それを覚えれば大概は負ける事は無いんだね?」
「だけど、これはあくまでもチャートの上での流れであって、そうなりやすくなるには
その会社の四季報情報と日経平均株価と、外国との為替レートが日本にとってポジティブになれば
会社の株価にプラス補正が加わるしニュースによっても株価にプラス補正が加わるんだよ。」
「んじゃ、それを覚えれば大抵の役に立つんだね?」
「まあ、そうなるのだが君はもしかして将来、個人投資家になりたいのかな?」
「もし、それで貧しい生活を何とか出来て幸せな家庭に出来るのなら
どんなに高いお金が必要だろうが、そんなのバイトしてでも稼いでみるよ。」
「ははは。君って頼もしい男の子だね?ウチのニートしてばっかの弟に
君の爪の垢でも煎じて飲ませてあげたいほどだ。」
こうして二人は、加奈子が家に戻ってくる二時間半の間に
すっかりと意気投合した。その間にも隆弘は寛一に個人投資家として大事な知識や教養は元より
お金に対する哲学とかいろいろ教えられた。


青春の嵐 第5話「富める者は貧者の嫉妬を買い、貧者は富める者からの不快を買う」

2015年11月14日 14時42分53秒 | 青春の嵐
あれから経って。
尾場勘吉は加奈子・寛一母子を怒鳴りこそはしたものの
生活支援の打ち切り・削除などは特には考えてはいないようだ。
それどころか生活支援のお金を今までよりは増やしてくれたようだ。
それというのもあれから加奈子は勘吉と話し合った所、
寛一が小学校一年の晩秋から小学四年生になるまでの数年間の
学校や地域の他の子供たちとの諍いの原因は、
どうも寛一と争っている彼らの家庭の親の職業が、
公務員や高級ホテルの支配人、日本の精密機器に必要な部分を作っている
東証一部上場企業の経営者、大学病院の教授、請け負う案件が常に五件や十件は
当たり前の凄腕の弁護士。自衛隊の階級が米軍の基準でいえば大佐以上の者、
警察官僚、中堅芸能事務所の経営者など、いずれも皆、これまでの加奈子より
高所得家庭だ。それを鼻にかけているためか、それらの子供たちは
自らの家庭環境を笠に来て高慢になる一方で寛一の家庭の事を生活が苦しい母子家庭と嘲り
寛一の事を将来は年老いた加奈子ともども共倒れか、介護疲れで年老いた加奈子を
殺害、若しくは老衰死したのを機に年金を不正受給しまくった挙句、逮捕され
獄死するだろうと馬鹿にしたのが原因だ。

寛一としては、自分が馬鹿にされるのはいくらでも我慢出来るが
母加奈子の事を貶められたのだけは憤怒を堪えられないという。
更に、言ってしまえば自分らの恵まれた家庭環境と境遇を鼻にかけて寛一の
家庭環境が現在、事実上の母子家庭状況である事を見下すだけでも
寛一にとっては腹立たしいのに、勝手な憶測と想像で
"この母子家庭はあと十年か、遅くとも二十年後には滅びる"などと
こっちの将来を勝手に決め付けられ寛一としては、もはや我慢の限界に達したと言えよう。

この事が対立の起源であり、両者が相容れる余地は何処にも見当たらなかった。
波風が立たなかったのは最初だけで、その後の寛一と彼らとの対立ぶりは
アニメや漫画におけるお互い不仲で対立している二人のキャラに例えられるほどである。

彼らは寛一のことを父方の苗字の尾場をもじって「おバカ」と扱き下ろし
寛一も寛一で彼らの事を「親の七光り」「親に似ずな無能の子」と侮る。
両者の対立は教諭が投げつけた椅子で教育委員会と文科省のお偉いさんが二人
亡くなられた件に至るまでで丁度ピークに達していた。
その後、教諭が逮捕され刑事裁判で実刑は避けられそうにない情勢になると
一案を思いついた校長は彼らと寛一との和解をさせようと図った。
当然、難航はした。彼らは寛一の身の程知らずぶりが許せないと鼻息を荒げ
寛一は寛一で、彼らのこれまでの言動や振る舞いが招いた結果であり
こちらだけが先に謝罪させられ相手が謝罪もしなけれ相手に
何のお咎めも無いのは納得いかないと、顔を歪めて苦々しい表情を露にする。
校長もPTAら面々も、まるで本物の政治の世界、外交の世界というモノを教えられる思いを
禁じえないのである。もしも下手に日本人的な道徳裁き、例えば
『喧嘩両成敗』とか『向こうも悪いが、お前にも原因がある』などといった事をしたり
二人の異性と二股がけしているヤツみたいな処理を試みようものなら
両方を敵に回す事になり、彼らはもう二度と大人たちを信用しなくなり
それが原因で中学に進学して以降は非行に走られるリスクを自ら生み出しかねない。
かといって、このまま手をこまねいてる訳にも行かないのも
この両者の関係が許さない。こうしている間にも、この子らと寛一は
どちらか一方が手を出したのをきっかけに大乱闘になるは必定だ。
結局、警察署長や社会福祉協議会関係者代表も加わった結果、
・尾場寛一は、社会の一員として秩序を重んじ他の社会や地域の皆と協調する。
・学校や地域の方は人間関係のトラブルの原因となる安易な言動や振る舞いを控える。
 特に相手に対する暴言に注意。その事を各家庭の子弟にも徹底させる事。
という事で、寛一もその他も合意に至った。
これで、学校の皆も地域の皆も教諭ひとりの刑事処分と引き換えに
長きに亘る対立は一応の収束を見る事となった。

青春の嵐 第4話「正義とは誰がために」

2015年11月14日 12時41分15秒 | 青春の嵐
教諭が寛一に投げつけたはずの椅子が誤って教育委員会の関係者と文科省の役人の各一人の頭部に命中し
それによってメディアが連日のように騒ぎまくる事態に発展して、学校内の不穏な空気は
一層著しくなった。

無論、その教諭は寛一とともに既に警察署に連行されて行った。
その後、その文科省の役人と教育委員会の人が頭部の負傷が故で亡くなったという
事実が伝わり一層の騒ぎになった。

古きよき
日本家屋というべき造りを成した二階建ての広い木造の屋敷において
この件を事実を聞き知った一人の老人は、如何にも忌々しいと言わんばかりの
不快な表情で顔を歪めている。その理由も判り切ってる。
尾場勘吉にとって皆村加奈子のような子供をダシに金の無心をする悪女だけでも
腹立たしいのに、あろう事か目上の言う事を碌に聞かず常に反発しまくり
あまつさえ自分の気に入らない相手に対して日米開戦直前時の米国政権のような
謀略・策略を用いて相手を挑発し自分のやった蛮行の美化・正当化を企ててるという
悪行、乱行は元より最近では常識ある者にとって到底理解出来ない愚行・奇行ぶりも
堂に入っているらしい。

ある日、勘吉は寛一が警察署から戻ってきたというのを知ると
すぐ翌日、加奈子とともに呼び出した。
そしてそこで寛一を詰った。
「寛一ッ!お前の数々の悪事はこのワシは聞いておるぞッ!?
何で悪さばかりするッ!何で相手の立場になってやる事が出来んのだッ!!?」
これに対して寛一は子供とはとても思えないような冷静かつ毅然とした姿勢で
臆することなく反論する。
「それは、あの人たちが自分に甘く他人に厳しい性格で、
オレやオヤジやオフクロのような性格とは水と油であるために
こうなるべくしてこうなったのであります!」
要するに、こうなったのも相手側のその性格が招いたのであって
こっちには何の非など無く向こうの思い通りにさせられる謂れは無いと言う事である。
これには加奈子も驚いた。
「正論を唱えるオレをどうしても罰するというのなら、この世の法律とは
一体誰のためにあるのでしょうか?」
それに対して勘吉は益々、耳まで真っ赤になって興奮状態になり
寛一に向かって、ありったけの罵声を浴びせ当たるを幸いに鉄拳と蹴りを見舞った。
これに驚いた、家政婦をはじめ多くの使用人が止めに入ると
寛一に唾を吐きかけ思いっ切り罵りまくる。
加奈子はもうこれ以上対話出来る状況には無いと判ると寛一を連れて退出する。